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週刊READING LIFE vol.44

朝活で得したことと、恥ずかしかったこと《 週刊READING LIFE Vol.44「くらしの定番」》


記事:吉田健介(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

「朝活」という言葉が使われ出し、広く世間にも知られるようになってどのくらい経つだろうか。
今では朝活という言葉の意味もすっかり定着し、周りに実践している人もいるのではないだろうか。実は僕自身、早く起きて、朝にやりたいことや、やるべきことを行なっている朝活人である。
今の生活を始めてもう10年くらいは経つだろうか。
今ではすっかり自分のリズムとして定着し、体に馴染んで生活をしている。
 
朝活歴10年の僕から言わせてもらうと、早起きして勤務時間が始まるまでの間に、何かしらの活動をすることは、非常にメリットが高いと思っている。
 
ここでは実際に体験してきた手応えとして、朝活を行う上でのポイントや注意点をまとめてみた。
今現在、朝活をしている人もしていない人も、何かの参考になれば幸いである。
 
ちなみに、朝活に関する書籍はたくさん出版されており、インターネットでも様々な情報がアップされているが、僕自身、そういった外からの情報を仕入れたことは一度もない。我流である。
だから、一般的に知られている朝活ポイントとは少しズレている所もあるかもしれない。または全く同じ所もあるかもしれない。あくまで、僕自身が行なっているルーティーンであり、1つのサンプルとして見ていただけるとありがたい。
 
「なんだ、全然参考にならないじゃないか」
 
とお叱りを受ける所もあると思う。実際に思い当たるポイントはあるので……
 
ただ、あくまで1つの例として、テレビのバラエティ番組を見るような気分でぼーっと眺めてもらえれば幸いである。
 
ー朝活のメリットー
 
朝早く起きて、自分のやりたいこと、やるべきことを行う最大のメリットは、時間が凝縮されていることである。いつもより濃い時間に感じるのだ。時間がギュッと詰まったような、そんな錯覚におちいる。30分の作業が、1時間分の内容として仕上がることもある。なぜだか分からないが、とにかく濃縮した作業を行うことができる。
 
なので、いつもより早く出勤し、少し早めに仕事に取り掛かる場合に有効だ。
他の職員が出勤し、勤務時間真っ盛りになると、自分の仕事だけに集中することが難しくなる。お客さんがやってきたり、電話が鳴ったり、後輩に相談されたりと、様々な情報が周りに溢れ出す。
早朝出勤は、まだ職員は多くない。もしかすると誰も出勤していないかもしれない。
 
窓を開る。
外と中の境界線がなくなり、風や鳥の鳴き声が流れ込んでくる。
コーヒーを入れ、その日のスケジュールをチェックしながら朝の一杯を味わう。
準備するべき資料があれば、パソコンからプリンターにデータを送り、必要な枚数を刷る。
作成するべき文章が残っていれば、続きに取り掛かる。
いつもより静かな室内に、カタカタとキーボードの音が鳴る。
 
気が付くと、作業に集中している自分がいる。穏やかな気分の中、やりたいことや、やるべきことがスムーズに進んでいる手応えを感じる。スーッと波に乗っているような、そんな気分。
 
いつもなら、時間に追われながら1つ1つの作業を行っているのが、どうやら朝の静かな環境で行うと、ストレスを感じにくいようだ。サラサラとこなしている自分がいる。
気が付くと30分経過している。いつの間にか作成するべき資料は完成している。
 
通常の勤務時間帯なら、ここまで没入してキーボードを走らせることは難しい。
ギュッと濃縮された時間を感じる。
上手く作業が捗った時は、その代償として「時間」をもらうことができる。
僕はそこで生まれた時間を、読書に使う。
先に控えている仕事はしない。あまり無理はしない主義だ。
 
午前中はビジネス書などの、スキルに関する本。
午後なら小説を読む。
どうやらこの方法が、頭の疲労度と上手くマッチし、読書が捗るからだ。
 
濃縮された時間で作業を行うことで、時間を生み出すことができる。
朝活ならではメリットだ。
 
また、早めに出勤する恩恵として、職場までの道が混雑していない点がある。
僕は車で片道50分程の道を運転して出勤している。道はいつもよりすいている。
何というか、気持ちがいい。
電車やバスで通勤する場合も同じであろう。人は少なく、本を読みながら落ち着いた気分で出勤できるはずだ。ストレスなく、良いスタートを切ることができる。
 
ー朝活のデメリットー
 
日本人の平均起床時間は6時半である。
 
朝活のために、30分〜1時間程早起きすると仮定して、朝活人の起床時間、5時半前後といったところだろうか。
通常よりも1時間前後早い時間軸で生活がスタートする。
 
生活リズムが馴染み、体の一部として朝活スタイルが回っていれば問題ないのだが、このある種のズレがいささか周りとの噛み合わせを悪くしてしまう。
 
朝ごはんを食べる時間、昼寝をしたくなるタイミング、お酒が飲みたくなる頃合い。
これら全てが周りの人よりもズレる。
午前中の変なタイミングでお腹がグーッと鳴ったり、うとうとと眠気に襲われる。
そんな姿を見られると少し恥ずかしくなる。
 
「いやーどうもすみません……」という感じになる。
 
飲み会ではその影響は更に大きくなる。
朝早く起きるということは、寝る時間も早い。
睡眠時間を7時間とすると、夜は10時半に寝ることになる。
 
夜の10時半というと、飲み会の席では盛り上がり絶好調くらいだ。
一日の疲れとアルコールとの化学反応で、起きているのもやっとの状態になる。
時には、眠気に負けてコクリと首が落ちてしまうこともあるかもしれない。
 
「仕方のないやつだなー」という感じになる。
 
「いやーどうもどうも……」と言うしかない。
 
このように、朝早く起きるということは、周りの人よりも生活のリズムがズレることになる。
その分、普段のあらゆるタイミングがワンテンポ早くなるのだ。
その辺りのつじつまや微調整をどう付けていくが難しい所だ。
 
ちなみに僕は朝の3時半に起床している。
世間一般の人よりも3時間ズレている。
 
飲み会の席ではもう悲惨だ。
夜は9時に就寝するので、その時間に外出していると、もはや起きていられない。
自分の意思とは関係なく、抵抗虚しく寝てしまうことも多々。
瞼は鉛のように重たくなり、頭の回路は強制シャットダウン。
偉い人の前で眠りについたこと数知れず。
 
ただ10年も続けていると、あいつはすぐ寝てしまうやつ、と周りは受け止める。
そこに救われている。みんなのいる前で、僕の頭と体、大きな船を大きな動作で一人漕ぐ。
 
「帰るよー」
 
だいたいこの流れ。
気恥ずかしいったらありゃしない。
 
ー朝活のポイントー
 
朝早く起きて、ランニングをしたり、読書をしたり、音楽を聴いたり、仕事をしたりとその活用方法は様々だ。自分のやりたいこと、やるべきことを行い、スキルを習得したり仕事を進めていく手応えは、朝活ならではである。
毎日頑張って続けるに越したことはないが、いつも頑張れるものでもない。
 
上手く寝付けずに寝足りないこともある。
気分が乗らず、朝の作業が捗らないこともある。
 
そんな時は、無理をしないこと。
あくまで、朝の時間を使って、爽やかに、気持ちよく、健やかに過ごすことが理想。
気分や体調が上手く噛み合わない時は、無理をせずに、睡眠を取ったり、ボーッと何もせずに過ごすこと。そこに罪悪感を感じてはいけない。ステイクール。気楽に行こう。
 
ちなみに僕は低気圧に弱い。
沖縄付近で台風が発生したり、近くで低気圧が発達し出すと、強烈な眠気に襲われる。
どんなに睡眠を取った日でも、どこかで数分程度の小睡眠を取らないと仕事が手につかなくなる程だ。朝活も当然捗らない。
そんな時は、無理をしない。気分転換にコーヒーを飲んだり、同僚とコミュニケーションを取る。とにかく無理をしないことだ。
 
ー早起きになるためのコツー
 
僕が朝活を行うために、起きる時間を早くした方法を紹介する。
無理をしたり、体に負担をかけるのは好きではない。
ごく自然に体のリズムを早朝に合わせて行く。
 
まず、いつもより早い時間にタイマーをセットする。これは10分でも、20分でも構わない。間隔は自分が無理なく起きることができる程度で、タイマーを設定する。ちなみに僕は30分早めに設定した。
 
翌朝は、タイマーと共に頑張って起きる。何が何でも起きる。ここは頑張るポイント。
これを1週間続ける。
 
1週間後、更にタイマーを早く設定する。10分か、20分か。この間隔は統一させたままだ。
それをまた1週間続ける。
 
このようなサイクルで、自分が起きたい時間に向けて調整をしていく。
寒くて布団から出づらい冬よりも、温かい季節をお勧めする。
この方法はあくまで、僕が実際に行った方法なので、個人によって合う合わないがあるかも知れないが、1つのサンプルとして気にとどめてもらえれば幸いだ。
 
寝る時間も重要だ。
僕は6〜7時間寝るようにしている。その逆算で夜の何時に寝るべきかを設定し、それを守っている。睡眠は重要だ。しっかりと睡眠が取れていないと自分のやりたいこと、やるべきことは上手く捗らない。きっちりと寝る時間を確保して、朝活生活を満喫できるようにする。
 
ー朝活10年目の僕はー
 
朝活10年目の僕は、他の朝活人と比べてあまり参考にならないかもしれない。
まず、起床時間は3時半。季節によって30分は前後するが、だいたいこの時刻に起きる。
横で寝ている奥さんを起こさないように気をつけながら顔を洗いにいく。
 
美術大学を卒業した僕は、今も細々と油絵を描いている。
朝の1時間程は、この油絵制作に時間を使う。
その後、早めに出勤する。
まだ誰も出勤していない。
 
静かな環境の中、1日のスケジュールを確認したり、仕事の続きに取りかかる。
僕の朝活内容は大きくこの2つだ。油絵制作と仕事。
気が付くともうすぐ10年が経とうとしている。
 
この10年間、油絵で素晴らしい作品を描いたとか、賞に入選したとか、そういったことはない。また、仕事でものすごいカリスマ性を発揮して昇進した、なんてこともない。
何かが大きく変わったという意識はないが、静かな環境の中で自分のやりたいことや、やるべきことをこなすと、結果的に時間に余裕が出来る。濃縮された時間で目標を達成すると、新しい時間を生み出すことになる。自分で生み出した時間で、読書をしたり、帰宅してから映画を見たりする。得をした気分だ。
 
最近知った情報では、人は朝に集中できるタイプと夜に集中できるタイプとがあるらしい。朝活は是非ともおすすめするが、全ての人にお得な効用があるとは言えないようだ。
しかし、日々の生活の中で何か一工夫をすると、有用な時間を過ごすことができる。積み重なれば大きなものだ。僕にとって朝活は生活の一部であり、外せない定番リズムだ。
 
先日、第一子が誕生した。
今後。若干の時間的カスタマイズをする必要はあるが、朝早く起きて自分のやりたいことや、やるべきことを引き続き行っていくつもりだ。
飲み会の席で、みんなの前で寝てしまおうと、朝に得られる達成感に変えられるものはない。
今度は自分だけでなく、生まれてきた子どもにもメリットがあるよう工夫をしていくつもりである。

 
 
 
 

◻︎ライタープロフィール
吉田健介(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

1981年7月22日生まれ。
兵庫県西宮市育ち。現在は京都府亀岡市在住。

関西大学卒業
京都造形芸術大学(通信)卒業
佛教大学(通信)卒業。

美術と数学の免許を持つ二刀流中学教師。
本人は美術(油絵)が専門のつもりだが、数学の方が需要が高いため、生徒や教師全員が数学専門と勘違いしている。
カホンやダラブッカといった民族楽器の演奏をする傍ら、土曜の夜はカポエラで汗を流す。
油絵の制作を続けながら、最近は写真にも挑戦している。

 
 
 
 

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2019-08-05 | Posted in 週刊READING LIFE vol.44

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