週刊READING LIFE vol.44

四六時中、B6ノート持ち歩いてます《 週刊READING LIFE Vol.44「くらしの定番」》


記事:しゅん(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

日々の暮らしの中で、良くやっていること、それがないと自分で居られないものってなんだろう? ライターズ倶楽部のお題がでてから、しばらく考えた。本を読むこと、ではなんだか普通な気がするので、他に何かないだろうか?
 
「ノートに自分の頭の中を書き出すこと」
 
だろうか。最近、話題になった「メモの魔力」の前田さんが四六時中メモを取っている、という話に触発されたのもあるが、元々「頭の中や感情を書き出すこと」について興味を持って、たくさんの本を読んできた。ぱっと思い出せるものとして以下のような本がある。
 
「ずっとやりたかったことを、やりなさい」
「一冊の手帳で夢は必ずかなう」
「武田双雲の「書いて」夢を叶える本」
「書きながら考えるとうまくいく!ープライベート・ライティングの奇跡」
「書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート」
「ゼロ秒思考 頭が良くなる世界一シンプルなトレーニング」
「苫米地式 思考ノート術」
「メモの魔力」
「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか」
 
これまでもトラベラーズノートや測量野帳といった手帳に凝ったりもして、何度も取り組んで来たが、長続きせずに途中で辞めてしまっていた。二ヶ月ほど前に、文房具屋さんで丁度いい感じのB6リフィルノートを見つけたので、再度取り組んでみることにした。今ではプライベートでも仕事でも常に持ち歩き、ふと頭に浮かんだ思いや感情をその場で書き留めるようにしている。寝るときにも枕元に置いているくらいだ。
 
書き留めだして一週間で想像以上のメモの量に驚いた。逆に、書き留める前は、これだけ多くのことが頭に浮かんでは消えていってたのかと、恐ろしくなった。書くことはなんでもいい。「あれ気になるな」でもいいし「好きなこと・嫌いなこと」「読んだ本から得た気づき」でもなんでも書き出している。
 
例えば、職場で3人で打ち合わせした後になんだか嫌な気分になったので、書き出したところ「後輩のアイツ、私じゃないもうひとりの方にだけ挨拶してたな。私のことを馬鹿にしてるのか?」 ってイライラしてたことに気がついた。そう気がつければ「いやいや、その前には私にも挨拶してたかもしれない。単に気が付かなかっただけかもよ?」や「別に挨拶くらいいいじゃん」といった別の角度から考えることができて、心の平穏が保たれるようになってきた。

 

 

 

 

書き留めだして、改めて、書くことには大きな2つの効用があるのを実感している。

1つ目は、頭の中のもやもやを紙の上に現実化(言語化)することで頭の中がスッキリすることだ。あなたにもないだろうか? 頭の中を不安や悩みがぐるぐるして他のことが何も考えられなくなることが。そんな時、紙に書き出してみる。単語でも文章でもなんでも気にせずに書く。そして書いたことから、さらに連想される言葉や感情を書いていく。これを繰り返す。スッキリするか疲れたら終了する。心理学で言うところの「自由連想法」に近いかもしれない。これをすると、頭の中でもやもやしていたことが紙の上に現実化されて、頭の中がスッキリする。
 
ホラー映画が怖いのは、襲ってくるものの正体がわからないからだ。姿が見えないのに次々に人が襲われていくから怖いのだ。正体さえわかってしまえば、後は立ち向かうか逃げるかを決めればいいだけだ。人が居ないのに、扉がバタンバタンするって怖がってても、正体がわかってしまえば「なーんだ、風だったのか」なんてこともあるかもしれない。
 
頭の中のもやもやも、これと一緒だ。もやもやしてて正体がわからないから怖くて不安なのだ。だから、紙の上に書き出すことで正体がわかってスッキリする。

 

 

 

 

2つ目は、このもやもやの正体に対して、客観的に対策を考えることができる点だ。立ち向かうのか、逃げるのか? 他に方法はないのか? といった様々な角度から考えることができるようになる。
 
以前、知り合いから合同個展を開くと案内をもらったことがあった。平日の夕方までの開催のため、仕事を終わった後に向かったのでは間に合わない。「行きたいけど、無理なのかなぁ、どうしよう。どうやったら行けるんだろう?」と悩みながら、紙に書き出してみた。書き出してみたら、なんてことはない。「行きたいんでしょ? 行ったらいいじゃん。仕事早上がりさせてもらったらいいだけじゃん」すぐに答えが出た。仕事時間には融通が効く仕事にも関わらず、一定の時間までは職場に居なければならない、って勝手に思い込んでただけだった。でも、きっと紙の上に現実化させなければ、思い込みに気づけなかったように思う。
 
書き出すときの注意点が一つあると思う。「こんなこと書いたら駄目だ」「人に読まれたら恥ずかしい」と躊躇しないことだ。絶対に人に見せない、と決めて本音を書くよう心がけること。書くのを躊躇する部分に自分の本音や思い込みが潜んでいることが多いからだ。

 

 

 

 

ちなみに、書き出す時には、できるだけ邪魔が入らない環境でやりたいものだ。集中して自分と向き合うので、途中で「ねぇ、ねぇ」と話しかけられると集中力が途切れてしまうからだ。後は、単に私は集中すると周りが見えなくなって、その時に人から話しかけられると「ヒャァ〜! ビックリした〜!」と心臓がバクバグとなる体質だからだ。職場でも集中している最中に声を掛けられてビックリしている。
 
娘が小学校低学年の時にはこんなことがあった。休みの日に私は部屋に籠もって資料を作っていた。そこに娘がこそ〜っと入って来て、「わっ! びっくりした?」とやったことがある。今思えば、お父さんと遊びたくて部屋に来た娘の可愛いイタズラだ。それにも関わらず、心臓がバクバクなった私は「コラッ! お父さんビックリして心臓止まりそうになるから、やめてくれ。お願いだから」と怒ってしまった。楽しい気持ちで部屋に来たであろう娘には申し訳ないことをしてしまい、後から申し訳ない気持ちになってしまった。
 
そういったことを避けるためにも、集中する場所と時間を選ぶことは大事なポイントだ。私の場合は電車の中、カフェ、駅の待合いスペース、自宅の自分の部屋だろうか。自分の部屋でも、もう「わっ!」とされることはないから大丈夫。職場ではいつ話しかけられるかわからないのでやはり落ち着かない。

 

 

 

 

「ノートに頭の中を書き出すこと」は自分自身と対話することだと思う。これまで、悩んでいたことを紙に書き出したことで、大したことないんだと思えたり、自分の思い込みに気がついたり、解決するアイディアを思いついたことがたくさんある。
 
悩みやすい人、自分の好きなことがわからない人、もしくは、日々ブログのネタに困っている方にとっても、良いと思うので、興味のある方は是非試してみて欲しい。
 
 
 
 

◻︎ライタープロフィール
しゅん(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

ソフト開発のお仕事をする会社員
2018年10月から天狼院ライティング・ゼミの受講を経て、
現在ライターズ倶楽部に在籍中
日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー

 
 
 
 
http://tenro-in.com/zemi/86808

 


2019-08-05 | Posted in 週刊READING LIFE vol.44

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