週刊READING LIFE vol.68

宿題をしない子どもにやらせる方法を見つけた研究成果《週刊READING LIFE Vol.68 大人のための「自由研究」》


記事:鹿内智治(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「宿題、やりたくない!」
 
うちには6歳の息子がいる。宿題しろと言っても遊びたいと言い、テレビ見たいと言って全くやろうとしない。「(遊びの)邪魔しないで!」と強い口調で言い返してくるだけでなく、おもちゃを投げられたこともあった。内容が難しいから言っているわけではないだ。始めてしまえば、ひとりで黙々と終わらせてしまう。問題は、遊びを止めてイスに座るまでに、こっちの時間と労力がかかることだった。どうしたらもっと、楽に宿題をしてもらえるか、妻と悩んでいた。
 
息子の気持ちも分からないでもない。というもの、まだ幼稚園の年長で、宿題は学校のではない。宿題は、公文の宿題なのだ。きっかけは、キャンペーンで安くなっていたことと、徒歩2分と近いことであった。小学校の先取りが少しできたらとも考えて「公文行ってみる?」と聞くと「行く!」と返事してくれた。よし、頑張ろうなと思ったのだ。
 
通うようになり、最初は問題なかった。1から100までの書き取り、小さい数の足し算、ひらがなの書き取りは順調だった。なのに突然、「宿題、やりたくない!」と言い始めたのだ。宿題よりも遊びをしたいのだそうだ。お絵描きや人形ごっこや録画を見るなど。
 
宿題をやらないことに、私も妻もいらいらしていた。妻も私も宿題は子どもが自主的にやるものだと思っていたからだ。なぜルールを守れないのだ、うちの子はと思っていた。「明日授業なんだから、やりな!」と言ってもやらない。強く怒ってもやらない。「おもちゃで遊ばせないぞ!」と脅してやっとイスに座った。最後は泣きながら宿題をさせたこともあった。
 
「辞めようか?」
 
宿題をさせるのに、子も親もこんなに疲れているのはおかしい。このまま続けていては子にも親にも良くないのは明らかだ。子どもにも聞くと「辞めない!」と言うのだ。なら続けるけど……いいの?
今考えるとこの質問は、子どもには怒られているように聞こえていたかもしれないが。
 
「宿題を自分からやる方法はないですか?」先生に相談した。「それなら、宿題が終わったときに、シールを貼って楽しんでいるご家庭がありますよ。シールを貼るのが楽しくて、宿題を自分からされているようです。」
 
それはうちの子で失敗したやつだと思った。たしかに最初はシールを貼るのが楽しくなっていたのだが、すぐに飽きて、シールを貼らなくなった。うちの子に合わなかった。そこで「ポイントカード方式はどうか?」と思った。私はYシャツをクリーニングに出すとき、いつも同じ店を使っている。理由は、ポイントカードがあって20ポイントためると、Yシャツが1枚無料になる。無料サービスを得るために通っている。例えばシールを20枚貯めたら、なにか買ってあげるのはどうか?と思った。
 
「何がほしい?」と聞くと、「コピー用紙!」と答えた。そのころお絵描きにハマり、なんでも書ける白い紙が欲しかったようだ。「20枚シール(20個の宿題をやる)を貯めたら、買ってある」「なら宿題する~」と言って自分から宿題を始めるようになった。「おお! これならいけるぞ!」と喜んだのだ。しかし、2週間もすると「宿題、やだ!」と始まった。お絵描きに飽きて、コピー用紙がいらなくなったのだ。別のものを提案した。
 
コピー用紙の次は、絵本を買ってあげた。最初は喜んでだが、絵本を読まなくなりボツになった。次に、マンガを買ってあげた。昆虫や動物たちが戦うシリーズものだ。2カ月ほど楽しく読んでいたが、シリーズが揃ってしまったため、飽きしまった。
 
最後に、提案したのが、映画だった。映画なら、6歳の子どもにインパクトがあるし、喜んでくれるのではないかと思った。これが当たりだった。モノだと買ってお終いだが、映画はいろんな楽しみんが子どもにあったのだ。まず行く前が楽しい。前日にネットで席を予約して、子どもに席の場所を決めさせる。「明日が楽しみ!」と言う。次に当日、朝から電車に乗って映画館に行く。チケットを発券して、ポップコーンとジュースを買って映画を見る。これがとても楽しいのだそうだ。最後に、見たあとに、子どもの頭は映画で一杯になっていた。最近スターウォーズを見たのだが、お絵描きのテーマや、口ずさむ歌や、戦いごっこが全てスターウォーズになっていたのだ。主人公のカイロレンになりたいと言っている。「また映画を見るために、宿題しようね。」と言うと、「なら、やるか!」と言って宿題をするようになっているのだ。「やれ!」なんて言わなくても、勝手に宿題をやるようになったのだ。今のところ数カ月ほど効果は続いている。「やっと見つけた!」と思ったのだ。
 
ただいつまた映画に飽きるか分からない。思春期で「親とは行きたくない」と言い出すかもしれない。先を考えると必ずしも映画が正解ではなくなるかもしれない。でも、それが成長には自然だと思ったのだ。
 
大切なことは、うまくいかなくなるたびに、試行錯誤することなのだと思う。今まで正しいと思っていたことが通用しないならば、また別の方法で、うまく行く方法を見つけるよりほかないのだ。そうして、大人が合せていくより仕方ないと思うのだ。それが大人の自由研究なのかもしれない。
 
なぜうまくいかないんだとイライラするのはもったいない。どうしたらできるようになるのか、頭を使い試して、よりよくしていくがベストだと思ったのだ。もうその試行錯誤が楽しみなっているのだ。最後は子どもが勉強の楽しさや意味を見つけて自分からするようになるこが理想である。そうなるまで、これからも伴走したいと思う。

 
 
 
 

◽︎鹿内智治(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
東京都在住。明治大学卒。妻と息子と3人暮らし。

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2020-02-19 | Posted in 週刊READING LIFE vol.68

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