週刊READING LIFE vol.78

幸運の種の探し方《週刊READING LIFE Vol.78「運」は自分の力で掴め》


記事:なつき(READING LIFE編集部 ライターズ倶楽部)
 
 
よくツイてるとかツイてないとか、幸運、不運とかいうけど、どういうことなんだろう。運というのは、多分皆にある程度同じようにあるものだという気がする。運と言うのは、実は自分のすぐそばにいつもあって、それに気づけるかどうか、なのではないかと思う。
 
私は幸運な方だろうか、それとも不運な方だろうか。そう思った時に思い出したことがある。捉えようによってはどっちにも取れる出来事だった。私はがんで手術して入院したことがある。果たしてこれは幸運だろうか、不運だろうか。
 
以前、その時のことを記事にしたことがある。「がんになったら肩こりが治った」と言うタイトルだ。がんと肩こり、何が関係あるのだろうと思ったかもしれない。話の内容はこんな感じだ。私はがんになった。手術した。入院した。手術後リハビリ体操をした。そのリハビリ体操が肩こりに大きな効果をもたらした。これは幸運だろうか、不運だろうか。
 
ただ、がんで手術して入院した、だけでは不運でしかなかったものが、手術後のリハビリ体操のおかげで肩こりが治ったという話がつくと、不運の中にも幸運が見えてくるのではないかと思う。そしてそこから不運の印象を消し去って幸運の印象だけにするにはどういう話になるか。
 
私は頭痛を引き起こす万年肩こり持ちだった。そんななか、がんで手術して入院した。その際に覚えたリハビリ体操のおかげで肩こりが治り、いまでも私の肩こりの特効薬になっている。こうなると、肩こりの悩みから解放されて良かったね、と幸運という方にシフトするのではないだろうか。
 
こういう風に、実はそこかしこに自分にとっての幸運の種は転がっているように思う。それを見つけられるか否かが、幸運と感じられるかの分かれ道になってくるだろう。どれが自分にとって幸運なのかを見つけるのに必要なことは、自分の見方を変えることだけなのだけど、それが案外難しい。こういう考え方はどうだろうか。
 
例えば、仕事でちょっと嫌な思いをした。帰り道、電車が遅れた。ああ、もう今日はツイてない。家に帰ったら、食べようと思って買っていたアイスが少し押されて変形していた。ああ、やっぱりツイてない。先日の私の状況だ。多分よくある状況だろう。3点セットのツイてない。1日不運だった。
 
でも自分にとって幸運はどこにあるかわからない。それなら、この自分の状況を、考え直してみよう。
 
ちょっと巻き戻してみる。2つ目の電車が遅れた。これは実際にあったことだが、その日は土砂降りだった。ズボンを履いていて足にぴったり貼り付いて気持ちが悪い。それなのに電車が遅れる。ここで終わればたしかにツイてない。でもこの時にちょっとした変化に気づいた。ズボンがどんどん乾いていく。電車が遅れなかったら、あるいは混んだ電車でなかったら、気づかなかったことだ。このことで雨の日に向いてるズボンを知ることができた。ツイてる、に思考が変わった。
 
そして、3つ目の変形してしまったアイス。あーあ、と思いながらよく見るとハートに見えないこともない。ハートの形が好きな私はそれだけで嬉しくなった。これも私の中で、ツイてない出来事からツイてる出来事に切り替わった。3つもあった不運に思える出来事が、2つは幸運な出来事に変わった。2つには幸運の種が隠れていたということだ。こうなると、仕事ではちょっと嫌なことあったけど、2つもいいことあったからいい日だった、と思えたりする。
 
こうやって、1日に1つでも幸運を見つけることを続けていると、実は幸運の種はそこかしこに撒かれていることに気づくだろう。そうした日々を過ごしていくと、今の状況きついなと思った時にも、毎日1つずつでも心の中にためていった幸運の種を思い出して気持ちが楽になるかもしれない。全く同じことでなくても、似たようなことが実は幸運の種だったと思い出すかもしれない。
 
そして、身の回りは幸運の種でいっぱいだと思えるようになった時、自分にとって大きなチャンスが舞い込んでくるのが分かるようになるのではないだろうか。幸運の種を見つけることで、ちょっとずつ違うことにも気づけるようになる。それがいつしか連鎖して今までの自分だったら気づけなかったものにも反応するようになる。それは、自分の視野が広がった瞬間でもある。視野が広がれば、それだけ見えてくるものも変わる。見えるものが変わるから、やってみたかったこと、興味があった分野にも近づける。ずっと欲しくて中々手に入らなかったものも、既に手にしていることに気づいたりするかもしれない。
 
運が無いから私には無理、と言う人がいるかもしれないけど、私は運は自分のやってきたことの結果だと思っている。今の自分の状況はどうか、今自分はどこにいるか振り返ってみよう。もしかしたら、山の麓かもしれないし、5合目辺りかもしれない。9合目辺りだと思えた人はおめでとう、それまで幸運の種を自分で見つけて、それを幸運だと思って視野を広げてきた結果だね。そうやって1つの山を越えると、また次の山が見えてくるだろう。その山もまた、幸運から幸運を繋いで視野を広げていつしか越えられる日が来るだろう。
 
幸運の種は見つけやすいもの、見つけにくいものがある。とっても小さいこともある。さっき例にあげた変形したアイスの様に。人の心は浮き沈みがあって、沈んでいる時は小さい種は見つけにくい。1日1個の幸運の種も見つけられずに、落ち込むこともある。苛々するかもしれない。そんな時は無理をせず、次に見つけられた時にそれを喜べばいいのではないかと思う。それを喜べる自分に気がついた時、人は成長し、また1つ視野が広がる。自分の到達したい場所に近づく。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
なつき(READING LIFE編集部 ライターズ倶楽部)(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

東京都在住。2018年2月から天狼院のライティング・ゼミに通い始める。更にプロフェッショナル・ゼミを経てライターズ倶楽部に参加。書いた記事への「元気になった」「興味を持った」という声が嬉しくて書き続けている。

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2020-05-07 | Posted in 週刊READING LIFE vol.78

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