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週刊READING LIFE vol.128

コロナ禍にかつ! 船乗り流 孤独に負けないメンタルの保ち方《週刊READING LIFE vol.128「メンタルを強くする方法」》


2021/05/17/公開
記事:森 団平(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
コロナ禍に入って、全ての人達の生活は一変した。
外出自粛、飲み会するな、出社するな。
うるさいくらいに聞き飽きた言葉だが、この時代に入って、僕たちは分断された。日常的に一緒にいた人たちと会えなくなり、コミュニケーションが希薄になり、
そしてみんな「ボッチ」になった。
リア充も、そうでない人も、経験したことがないほどの「ボッチ」体験を強いられることになった。
この状況下、メンタルが折れるのも仕方ない。
これまで使ってきたメンタルを保つ方法が通じなくなったのだ。
しかし、僕はさほど今の状況に不便を感じていない。
なぜなら、僕は「船乗り」だからだ。
 
そう、高らかに宣言したい!
船乗りは「ボッチネイティブ」であると!
恐らく、「船乗り」ほど孤独に強い人種はいない。
なぜなら、陸から切り離され、太平洋のど真ん中で一人っきり、頼りになる親友も、心を癒してくれる恋人も、家族からも切り離され、約半年、長いと一年に渡り海の上で生活するのだ。
これほどにメンタルが強くないとやっていられない人種が存在するだろうか、いやない!
 
そんな船乗りとして心折れずに生きていくために、僕が身に着けざるを得なかった、「孤独に負けないメンタルの保ち方」についてお話ししたい。
 
ルーティーンで孤独な時間を塗りつぶす
心折れるとき、それは孤独な時間だ。
自分が孤独だと感じたとき。それに押しつぶされたとき人は、心折れる。
大事なのは孤独を心の中に入り込ませる隙間を無くすこと。
そのために、まず初めにやるべきは、「ルーティーン」を作ることだ。
日々の生活にルーティーンがあれば、自分の心は安定する。
時間によってやることが決まっていれば、ルーティーンを実践することに全力を傾けることが出来る。
そうすれば、孤独を感じる時間を減らすことが出来る。
 
例えば僕の場合、船上で生活ルーティーンはこんな感じだ。
 
0400 起床
0400-0800 仕事(航海当直)
0800-0900 朝食
0900-1200 仕事
1200-1300 昼食
1300-1600 睡眠
1600-2000 仕事(航海当直)
2000-2400 趣味の時間
2400-0400 睡眠
 
こんな感じで、毎日同じスケジュールで働き続けている。そこに隙間時間はなく、仕事しているか、寝ているか、趣味をしているか、その三択で時間は流れていく。
トラブルがあることはあるが、自分の立てたスケジュールで、基本的に過ごす。
この毎日決まったスケジュールというのは、心を安定させてくれる。
今日も明日も同じというのが大事なのだ。
 
同じスケジュールで、隙間を作らない。やることがある。
これは、コロナ禍で在宅勤務を強いられている人達と共通するところがあると思う。上司に急に呼び出されて飲み会に駆り出されることも少なくなり、通勤時間も無くなり。自分が思うように一日のスケジュールを立てることが出来る。
自分が心地よいと思える程度の緩さで、しかしきちんと睡眠はとる前提で毎日のルーティーンを組むのが肝心だ。
できれば、休日のルーティーンも組んでおくとより抜けがなくてよいと思う。
船乗りの場合は、乗船してしまえば毎日休むことなく働くので、そんな心配はいらないのだが。
 
趣味は最強のメンタルを保つ手段
一日のルーティーンの中で、仕事の時間と、睡眠は時間が決まるので、後自分が自由に使えるのは、「趣味」の時間だ。その時間に何をするか。
その趣味は、千差万別いろいろあると思う。時間をどのように使うのも自分の自由だ。
船乗り仲間は趣味人が多く、それぞれの方法で、自分の時間を過ごしていた。
例えば、筋トレを趣味にしている人もいた。ジムのような機材も使えないので、基本は自重トレーニングだ。自分の身体をひたすらに鍛え上げていた。
一日で一番楽しい時間は体重計に乗ることだそうだ。
他には、コーヒーを楽しむのを趣味にしている人もいた。訪れた寄港地でそれぞれの国のコーヒー豆を仕入れて、自分で焙煎するところから楽しむ。
そうして自分好みのコーヒーを飲みながら、映画を見るのが至福の時間だとその人は言っていた。
 
僕の場合は、「写真」だ。
毎日、海と空しかない写真を撮影し、夜はそれをパソコンでレタッチをしたりして楽しんでいる。
なぜ、海と空の写真を撮るのか?
それは、それしか撮るものがないからだ!
本当なら、もし陸にいるのなら、桜とか、紅葉とか、雪景色とかを撮りたい。
しかし残念ながら海の上にはそんなものはないので、目の前にある景色を撮るしかない。
それしか撮れないとなるとそれはそれで面白いもので、普段見上げることのない空を毎日見上げていると、夕陽の朱色も毎日違うことに気づくことが出来るし、雨雲が近づいてくる様子も被写体になると思えるようになる。
船から見る、満天の星空、そして天の川を始めて撮影できた時は涙が出るほど嬉しかったのを思い出す。
 
趣味の事を考えていれば、毎日が楽しいと思える。
外の世界と関われないからこそ、趣味=自分の強化をすることに集中できるとも言える。
このコロナ禍の時間を無為に過ごすことなく、自分の強化が出来れば、コロナ禍が終わったときに新しい一歩を踏み出すことが出来る準備が整っているのではないだろうか?
 
最後に求めるのはやはり人との繋がり
一日のルーティーンで自分を律して、趣味に時間を費やして、前向きに一日一日を過ごしていたとしても、結局、人は一人では生きられない生き物なのだろうと思う。
ふとした瞬間に孤独は心の隙間に入り込んで、ダークサイドに引きずり込もうとしてくる。そんな時に引き留めてくれるのは、やはり人との繋がりだ。
 
船乗りを始めた頃、陸上ではインターネットも充実し、携帯電話も普通に使える時代だったが、船の上では使えなかった。
海外に行ってもそこから電話をかけることは難しい状況だった。
その状況は慣れない船上生活に戸惑っていた僕を圧し潰すには十分な環境だった。
 
そうして、孤独に落とされる直前の僕を救ってくれたのは一通の手紙だった。
後に、結婚する妻からの手紙が寄港地に届いていたのだ。
書いてあるのはそんな大した内容ではない。どこかに遊びに行ったよとか、日本は桜が咲いたよとか。そんなたわいもない内容だ。結びには「逢える日を楽しみにしているよ」と書いてあった。
その手紙は何度も読み返した。仕事で失敗したとき、辛いことがあった時何度も読み返し。普段は持たないペンを取って手紙を書いた。お礼の手紙、船で起こった出来事等。たわいもないことだが、何を書くか何日も悩みながら、少しずつ書いて次の寄港地から日本へエアメールを送った。
今は、もう船の上でもメールも、WIFIも使えるので、連絡も取りやすくなったが、この頃の手紙のやり取りは今でも忘れることが出来ない。
人は繋がっているという実感があるからこそ生きていられるのだと心の底から理解できた。
 
そういう意味では、僕が勧めたいのは、この時だからこそ普段会えない友人や、遠くに住んでいる知り合いなどと積極的に連絡を取ることだ。
普段の忙しい日々の中では、埋もれてしまう人間関係も、改めて見直すと、発見もあるかもしれない。独身だと思っていた友達が連絡を取ったら、実は結婚していたとか、子供が増えていたとか。事業を立ち上げていたとか。
そうして、友人の人間関係を改めて繋ぎなおすのもこの時期ならではできることかもしれない。
 
後は、何かを発信するのも良いと思う。
SNSで何かを呟けば、誰かに届くかもしれない。ブログで何かを書けば、誰かの助けになるかもしれない。
趣味に関したことを発信すれば、同じ趣味を持つ人とも繋がれ、より自分の趣味に邁進することが出来るようになるかもしれない。
 
僕の場合は、船に乗っている間中、「空と海の写真」をインスタグラムでアップし続けていた。毎日代り映えのしない写真。でもわずかに空の色や雲の形が違ったりする写真たち。
誰かに届けばいいなと思っていたが、インターネットの片隅にアップした写真は、意外に誰かに届くようで、知り合い以外に、面識がない人からも「海の写真、楽しみにしています」とコメントを頂けるようになったりもした。
そうして、だれが見てくれているそういうことが、助けになる。
その数は多くなくていい、一人でもいい。
誰かが見てくれているということが、救いになる。
「孤独」対策の作戦としては、発信しないより発信した方が絶対に良い。
そうすれば誰かが見てくれるので、孤独に落ちずに済む。
 
改めて書いてみると、このコロナ禍という状況は船乗りが普段置かれている状況に似通っているように思う。
船乗りは半年から一年弱、船に乗り続けるが、今から一年弱経ったとすれば、2022年4月頃。その頃にはさすがにワクチンも打ち終わって日本も普通の生活を取り戻しつつあるだろう。
乗船した瞬間は、後半年も船の上かと憂鬱になるが、一日一日カレンダーをめくっていけば、意外と早く過ぎ去ってしまう程度の期間でもある。
終わらない乗船はないように、今のコロナ禍もずっと続くわけではない。
それまで、心を折れることなく、メンタルを強く保って皆様が乗り越えられることを強く祈っている。
 
その一助として、「船乗り流のメンタルを保つ方法」がお役に立てば幸いだ。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
森 団平(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

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2021-05-17 | Posted in 週刊READING LIFE vol.128

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