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週刊READING LIFE vol.131

ライティングでK点を越えろ《週刊READING LIFE vol.131「WRITING HOLIC!〜私が書くのをやめられない理由〜」》


2021/06/06/公開
記事:椎名真嗣(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「このままではまずい。もっとお客様にとって魅力のあるメールが書けないと」
私は誰もいない深夜のオフィスで独り言をいっていた。
 
私が会社でマーケティング部を立ち上げたのは5年前の事だ。それまで営業部長だった私だが、営業本部長とそりが合わず、最後はマーケティング部の立ち上げというミッションを与えられた。言い方を変えるとマーケティング部に左遷されたという事になる。マーケティング部の立ち上げメンバーは私を含めて5名。
ウェブサイトやリーフレットのデザインを20年以上担当しているアラフィフの気難しい職人社員。営業部から成績不振で転籍してきた元気だけが取り柄の30半ば独身の元営業マン。経理部から先輩女性社員とそりが合わず、転籍してきた28歳の女性事務員。定年を迎え、再雇用となった営業キャリア40年の超ベテラン営業マン。そして私。
行く場所がない人間達で集められて作られた、それがマーケティング部だった。私は営業部長の経験から、こんなマーケティング部が会社にあればよいのになぁ、を1つ1つ実現し皆を見返してやろう、と密かに意気込んでいた。
 
まずはウェブサイトのリニューアルだ。ウェブサイトのリニューアルをサポートしてくれる業者を選定した所でサイト管理を20年やっていたアラフィフ職人がパンケーキ屋をやりたいと突然言い出し、会社を辞めてしまう。残されたのはサイトのサの字も知らない事務の女性と私だけ。私達は業者になりふり構わず頭を下げ、教えを請いながら、サイトリニューアルを成し遂げた。そしてそれまではアラフィフデザイナーが気まぐれに更新していたウェブサイトを事務の女性と手分けをしながら毎月更新する事に。すると、どうだろう。サイトのアクセスは3倍に増えたのだった
次に挑戦したのは自社主催イベントの立ち上げ。私がこの部に赴任するまで自社主催のイベントは10年前の創立20周年記念イベントのみ。イベントに関しては私と30台独身元営業マンとで担当する事にした。営業出身の私達が出した、わが社のイベントの方向性はただ1つ。製品の販促を目的としたイベントはやらない、というもの。そんな事より、他社の事例や旬な技術の情報発信をお客様は望んでいるのは営業出身の私達からすると自明の理。この方向性で二人一緒に脳みそが沸騰するほど考えてイベントを1つ立ち上げた。しかしそこまでやったのに集客は30人も満たない体たらく。社内の白い目に晒される私達。それでも諦めず、毎年この試みは続け、5年後の今年。とうとう出席者200名を超える参加者を集めるオンラインセミナーを成功させたのだった。
イベントで集客できたお客様へのフォローは再雇用の超ベテラン営業マンが引き受けてくれた。無理に売り込まずお客様の課題解決にフォーカスした営業手法は、さすがはこの道40年のベテラン。時間はかかるが、お客様からの信頼感は絶大。十分商談が温まった所で直販の営業担当にお客様を引き継ぐので、営業部門からも感謝された。
寄りあい所帯からスタートしたマーケティング部もこのように一つ一つ実績を積み上げ、会社の中ではなくてはならない存在と認められるようになってきた。今年は増員もされ今では部員は当初の2倍の10人に。一見順風満帆のように見えるマーケティング部。しかし私には密かに悩んでいる事があった。
我々のプロモーション対象は営業マンが収集してきた名刺情報だ。収集された名刺に記載されているメールアドレスにメールマーケティングを仕掛けるのがわが社のプロモーション活動の主軸である。しかしこのコロナ禍の中、営業マンが名刺を交換機会が激減。相反して同業他社も含め、お客様へ配信されるメールは増加の一途だ。山のような受信BOXに貯まるメールに辟易したお客様にとっては私達のメールも迷惑メールの一つでしかない。この時代、迷惑メールは配信停止にされるのが運命なのだ。メールを配信すればするほど、配信停止希望が山のようにくる。配信停止はある程度しようがないとしても、名刺交換がない以上新規のメール配信先は増えない。このような状況下ではメール配信先はどんどん減っていく。メール配信停止希望が来ないようにするには、メール自体の魅力をあげないといけないのだ。
「このままではまずい。もっとお客様にとって魅力のあるメールが書けないと」
私は誰もいない深夜のオフィスで独り言をいっていた。
しかし魅力的な文章ってどうやったら書けるのだろう?
深夜の独りぼっちのオフィス。明日のプロモーション用のメールの文章作成にすっかり息詰まった私はスマホでFacebookを見ていた。
 
お友達の松本さん 他400人が「いいね!」しました。
 
Facebookの広告で何度もしつこくでてくるが、今まできちんと読んだことがない、天狼院書店という会社の広告が目に留まる。
 
【2020年10月開講】人生を変えるライティング教室
 
ライティングとは、まさに私が今悩んでいることではないか。しかも人生を変えるとは、なんとも大きくでるキャッチフレーズ。大ホラ吹きかもしれない、と思って中身を読んでみると、受講生累計8,500名とかメディアに取り上げられたとか、それなりに信頼に値しそうだ。しかも月11,000円と自腹で払ったとしても手ごろな値段。以前受講料数十万の某会社のコピーライター養成講座を受けようと人事部長と掛け合った時、
「業務で必要ですか?」
と一蹴されたのだ。
石頭の人事部長の事だ。受講料が10分の1とは言え、今回も決して会社からお金はでないだろう。受けるとしたら自腹しかない。そういった意味でも月11,000円は私にとってはありがたかった。私は早速サイトの申し込みボタンをポチっとして、この講座に申し込んだのだった。
 
申し込んだライティング教室は月2回の講座がオンラインで行われるほか、『投稿チャレンジ』がある。『投稿チャレンジ』とは2,000文字程度の文章を提出すると天狼院書店の現役ライターからの総評の後、人様に読んでいただくに値すると判断されたものは掲載OKとなる。掲載OKのものは、なんと晴れて天狼院書店のウェブサイトに掲載されるのだ! 私は真面目に講義を聞き、推敲を重ねた会心の作品を次々提出した。しかし提出結果は5回連続不掲載。
「真面目に講座を視聴して、構成を練って、誤字脱字もないようにしているのに、何故掲載されないのだ?」
愕然とする私。
総評を読んでみると「惜しい、リーダビリティーが……」とか「サービスになっていない」という評価。そんな事、講義でも聞かされてきたし、わかっているのだ。だけど具体的どう書けばリーダビリティーが上がるのか、サービスになるのかわからないから困っているのに……、もっと具体的におしえてくれ! しかし、そこまで総評では書いてくれない。自分の頭で考えろ、という事なのだ。次の締め切りは2週間後の月曜日、23時59分。私は寝ても覚めても、ライティング教室に提出するための文章をひたすら考えたのだった。
 
いよいよ月曜日。
今日が締め切り日だ。けれども1文字もかけていない。えーい、しようがない。今まで村上春樹みたいな文章を書こうとしていたが、所詮できないのだ。諦めよう。
私は憧れで格闘技を始めたが、無様にも練習についていけなかった事を文書にしてみた。練習についていけなかったが、今でもその格闘技を続けている、その理由は練習仲間の温かい視線であったことを思い出し、それを最後の2,000文字に感謝の気持ちと一緒に込めて文章を完成させた。
提出して1週間後、総評がきた。見事掲載OK! 無様な自分がいかに皆の支えで変わったか。これがサービスであり、リーダビリティーの本質なんじゃないかと私は勝手に理解した。そうすると文章に迷いがなくなり、最終的に最後の3回の提出は全て掲載となったのだった。
 
なんだ。ちょろいもんじゃないか。俺ってもしかして文章の才能があるのでは? なんて思った。自信満々の私はライティング教室の後どうしようか、と考え始めた。もっともっと文章能力を高めたいのだ。そうすると、うまいもので講座の最後にライティング教室の上位講座でライターズ倶楽部というのがあると宣伝される。天狼院書店の思うつぼだな、と思いながらも、ライターズ倶楽部に、またポチっとしてしまったのだ。
 
ライターズ倶楽部もライティング教室同様に『投稿チャレンジ』がある。しかし今度の『投稿チャレンジ』は5,000文字とライティング教室の倍の分量。2000文字の倍の感動を与えないと掲載OKにならないとの事。ライティング教室と同じく、最初は5回の挑戦は全部不掲載となる。しかし、6回目、とうとう掲載をゲット! 私はその場で跳びはねるほど嬉しかった。その後は掲載OKとなったり、ならなかったりが続くが掲載OKになる作品とならない作品を比較するとある傾向に気が付いたのだった。
 
総評をしていただく方は2人だ。2人が交代で総評してくれるのであるが、Kさんが総評の番の時には、極端に掲載OKにならないことに気が付いた。
「うーん、惜しい!」で総評が始まる時は掲載NGの合図。逆に「おもしろかったです!」で始まる総評の時は掲載OKだ。私の総評はほとんど「うーん、惜しい!」で始まる。何度だしても「うーん、惜しい!」 こればかり。心が折れそうになる。もうこんな苦しい事やめてしまおう、と何度思った事か。
そんなある日、私は天狼院書店のウェブサイトでKさんが書いた文章を読んだ。
「苦しみのない楽しさは全部ビギナーズラックだ」
胸に突き刺さった。今まで自分が文書を書けるようになったと思ったのは単なるビギナーズラック。たまたまうまくいっただけ。それを彼女は見抜いていたのだ。文章で人に感動を与えるという事はこんなんじゃない、だけど文章を書き続けて、努力し続ければ、この苦しみの沼から必ず乗り越えられる、そんな思いが「うーん 惜しい!」に込められている。私は彼女の文書を読んでから、彼女から「おもしろかったです!」のコメントをもらい、掲載OKになる事を『K点越え』と密かに呼ぶことにした。
 
「K点越えの大ジャンプ!!」
これはスキージャンプの競技ではつかわれる言葉だ。スキージャンプでいうK点とは、これ以上飛ぶと危険です、という極限点を表すドイツ語のKritischer Punktからきている。しかし、私のK点は正にKさんの基準を超える文章の事だ。K点を超える事、これこそ私が文章を書く理由なのだ。K点を越えれば多分今まで見てきた景色と違う景色がみえるはず。それを信じながら何度不掲載になっても私の挑戦は続けている。
 
会社の業務でもK点を超える事を意識し始めた時から、変化が生じた。
あれほど悩んでいた会社のプロモーション用のメールに迷いが少なくなった。要はいかにお客様視点で文章が書けるか、なのだ。迷うことなど1ミリもない。お客様視点で文章を書くように心がけるようになると、配信停止希望はみるみる減ってきた。
メール以外でも様々な文章を業務で書く。イベントの告知文のヘッドコピーもその一種。イベントのヘッドコピーも目に見えて品質が良くなり、メール1本のイベント告知で楽に集客できるようになってきた。どんどんマーケティング部は忙しくなり、最近はプロモーション用のメール文を部下に任せる事にした。
 
「うーん 惜しい!」
 
私が、部下のメールを読んで、修正を依頼する時の最近の口癖がこれだ。まだリアルでは会っていないのにKさんの口癖がうつるとは。これもライティングの効果なのだろう。
 
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
椎名 真嗣(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

北海道生まれ。
IT企業で営業職を20年。その後マーケティング部に配置転換。右も左もわからないマーケティング部でラインティング能力の必要性を痛感。天狼院ライティングゼミを受講しライティングの面白さに目覚める。
現在自身のライティングスキルを更に磨くためREADING LIFE編集部ライターズ倶楽部に所属

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

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2021-06-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.131

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