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人生100%自己開示するモデル会社社長《週刊READING LIFE》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2024/1/22/公開
記事:松本 萌(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
モデル事務所である株式会社ロッテンマイヤーの社長佐藤薫さん(以下薫さん)を知ったのは5年程前のことだ。友人から「薫さんのメルマガ面白いから読んでみて」と勧められたのがきっかけだ。
衝撃的だった。
まず冒頭に身長、その日の体重と体脂肪が書かれている。身長はまだしも、体重や体脂肪なんてトップシークレットじゃないか。今だかつて「私の体重は○キロです」と自ら発表する女性に出会ったことがない。そんな情報を不特定多数の読者に公表していいのかと度肝を抜かれた。本文には「ダサいファッションとはどういうものか」というモデル事務所の社長らしいファッションに関する内容に加え、プライベートやお付き合いしている人との出来事が飾らぬ言葉で語られていた。そして随所にハッとさせられる薫語録が散りばめられており、どれもグサッと心に刺さるものだった。
 
「自分ファースト」
「真実に悪いことは何もない」
「人は魅力でしか縛れない」
「人生はみんな平等で投げた球が返ってくるだけ」
「太陽の下をど真ん中を歩きたい」
「丁寧に扱って欲しかったら自分が自分を丁寧に扱うしかない」
「死ぬまで女として現役ど真ん中でいたい」
どんなときも自分らしく生きたいと思いながら、じゃあどんな生き方が自分らしいのかと言われると戸惑ってしまう私にとって、薫語録は「そうだ、私はこういう生き方がしたいんだ」と気づかせてくれるものばかりだった。
 
自分の体重やプライベートに留まらず自分の思考を包み隠さず自己開示する薫さんはどんな人なのだろう。どうしたらこんな思考になれるのだろう。自己開示することに恐怖を感じないんだろうか。日に日に薫さんに会ってみたいという気持ちが大きくなっていった。モデル事務所を経営する傍ら一般向けに講座を開催していると知った私は、早速申込むことにした。
 
薫さんの講座はファッションのみならず現役モデルの教える食事方法やボディーメイク、ウォーキングが組み込まれていて「トータルであか抜け」を目指すものだ。2017年から始まり200人もの女性をあか抜けさせている。
 
薫さんの第一印象は「自分を全方位で理解している人」だった。白色のカットソーと白地にブルーのストライプの入ったスカートは清潔感があり、ジャストサイズの装いが自分を魅力的に見せる洋服を知り尽くしていることを表していた。メルマガ同様歯に衣着せぬ話し方ではあるものの、キツい印象を全く与えなかった。
 
 

身口意(しんくい)で人情深い薫さん


リアルで会った薫さんはメルマガに書いていることと同じ事を語り、宣言したとおりに行動をしていた。思っていること、言うこと、そして行動が一致していた。裏表がなく、忖度せずに我が道を行く姿から自分にも他人にも嘘をつかない人だというのが分かった。
講座ではファッションのプロとしてはっきりと「この洋服の形や柄はあなたに合わない」と伝えるのだが、ハッキリ言われることでオシャレ迷子の受講生達は自分に合う洋服を正しく理解することができた。ファッション以外の相談も親身に聞いてくれ、受講生のことを否定することはなく「私はこう思います」「私ならこうします」とアドバイスをくれた。「こうしたほうがいいですよ」と自分の考えを押しつけるのではなく「私だったら」というアドバイスの仕方に、どんな人ともフラットな関係を築くことを意識していることがうかがえた。
 
薫さんの虜になった私はその後も開催される講座に参加し、今に至る。「どうやったら薫さんのような人になれるのか」を紐解きたく、インタビューを依頼したところ快く引き受けてくれた。
話を聞いていくと、思慮深いお母様の教育と社長の何たるかを薫さんに叩き込んだ師匠の存在が大きく影響していることがわかった。
 
 

お母様の教え「自分から自己開示する」


初めて会った人がどんな人か知りたくて「どこに住んでるんですか?」「お仕事はなにをしてるんですか?」「趣味はなんですか?」と質問ばかりしていないだろうか。
薫さん流のコミュニケーションは「私は○○に住んでるんですが、あなたはどこに住んでますか?」「私はモデル事務所を経営してるんですが、あなたはどんなお仕事をされてるんですか?」とまずは自分のことを話し、その上で「あなたは?」と問う方法だ。
これは幼いころから「相手のことを知りたいなら、まず自分のことを話しなさい」と自己開示をすることが礼儀とお母様から教わったからだ。
 
「また会いたい」と思われるために薫さんが「まずは自分から相手にメリットを出す」ことを意識して行っているのもお母様の教えが影響をしている。友人に起業家仲間が多い薫さんは、自己投資をして学んだことをすぐに友人達にアウトプットする。どれも有料級の情報なので喜ばれ、それがきっかけで仲が深まったり、お返しに友人達から有益な情報やアドバイスをもらえることがある。
どんなときも「まずは自分から」の精神だ。
 
自己開示するには自分がどんな人間であるかを分かっていなければできない。薫さんは子供の頃から自己開示の訓練をしているため、自分が快や不快に感じるものが何かを瞬時に判断することができ、自分の考えや意見を人に伝えることに長けている。自己開示こそが裏表のない佐藤薫というキャラクターを作っているといっても過言ではない。裏表がないということは自分に正直に生きている証だ。
そんな薫さんの生き方に私は惚れている。
 
 

師匠の教え「貰った以上に返しなさい」


薫さんに社長業の何たるかを徹底的に叩き込んだ人がいる。その人のことを薫さんは「ロッテンマイヤーのお父さん(以下お父さん)」と呼んでいる。薫さんに「人に好かれる」という起業家にとって重要な素質があることを見抜いたお父さんは、自分の持つ知識全てを伝授すると宣言し時に厳しく、時に優しく社長業について教えてくれた。50箇条にもなる教えの中で、薫さんが一番大切にしていることは「貰った以上に返しなさい」だ。
 
薫さんが50もある教えの中で「貰った以上に返しなさい」を大切にしている理由はお父さんから最初に習った教えということに加え、薫さんのお母様が日々大切にしていたことと通じるものだったからだ。
 
お父さんから「貰った以上に返しなさい」を教わったとき、お母様のことが薫さんの頭をよぎった。
薫さんのお母様は住んでいたマンションを清掃する業者の人と会った際「いつもきれいにして頂きありがとうございます」と声を掛けていた。清掃への対価は支払われているので「ありがとうございます」を言う必要はないと考える人もいるかもしれないが会えば必ずお礼を伝えていて、業者の人が嬉しそうな表情をするのを間近で見て薫さんも温かい気持ちになった。
「そうか。母の行為はお父さんの言う『貰った以上に返す』そのものだ」と気がついた。
 
親は人生における大切なことを意識的に、時に無意識のうちに子供に教えている。それを自分のものにできるかは子供自身にかかっている。無意識なものは「大切」と分かっていても「なぜ?」と聞かれると明確に答えることができず、おざなりになってしまうことがある。
意識するには言葉にして顕在化させることが一番だ。
薫さんの生まれ持った素質とお母様から素晴らしい教育を受けてきたことを見抜いたお父さんは、言葉と実体験を通じて「人として大切にすべき考え」を薫さんに教えてくれた家族以外で初めての人だった。
 
「お父さんに付いて社長業を学ぶ」と決心した薫さんは「俺が言うことはノートに書くこと」というお父さんの指示通り書き続け、気がつけば50にもなる教えができあがった。教えは社長を生業にする上で指針となるものに留まらず「言葉に重みを」「話をずらさない」等、人とコミュニケーションする上で大切な教訓も含まれていた。薫さんは今でも当時のノートを大切に持っている。
「この人に付いて学ぶ」と決めたらすぐに従い行動する素直なところも、薫さんの魅力の一つだ。
 
何かをしてあげた時の見返りとして、また何かをしてもらう時、過度に期待する「くれくれ星人」が世の中には多い。見返りを求めてばかりいると搾取する関係になり「いつも求められてばかりでしんどい」「あの人といると損をする」と思われてしまう。人と揉めずに温かい人間関係を作るには「貰った以上に返す」これしかないと教わった薫さんは、いつでも誰でも見知らぬ人にでも「貰った以上に返す」ことを意識している。
 
たくさんの学びをくれるお父さんの存在を重たく感じ「与えてもらってばかりの関係はつらい」と伝えたことがある。返ってきた言葉は「俺に返さなくていい」だった。お父さんに返せない替わりに、薫さんはファッションに限らず今までに培った知識や実体験から得た教訓を受講生に惜しみなく、そして分け隔てなく与えている。
 
株式会社ロッテンマイヤーは昨年の9月に16周年を迎えた。これからも薫さんは人生の指針となる大切な教えを惜しみなく与えた薫さんのお母様のような優しさで、また時に厳しく時に優しく薫さんを育て上げたロッテンマイヤーのお父さんのような頼れる存在として、モデルや講座の受講生を導いていくだろう。
 
 

薫さんとの出会いが私を変えた


以前の私は自分の考えや思いを人に伝えることから避けていた。「私が意見したところでどうせ興味を持たれないだろう」という自己肯定感の低さと「ストレートに伝えて傷つけたらどうしよう。嫌われるかもしれない」という思い込みがあった。
薫さんのマインドに触れる中で、間違いであることに気づかされた。人の目を気にするあまり、内にこもる自分に気がついた。
「私の意見に反応するかは相手が決めることで、私の問題ではない」と考え、積極的に発言するようになった。反応があろうがなかろうが、伝えたいことを口にすればいい。反応が欲しいなら「どうしたら相手は反応したくなるか」を考え工夫すればいい。
「嫌われるかもしれない」という思い込みを捨て、口をつぐむのを止めた。そうすると「何も言わないことが『この人は何を考えているんだろう』と相手を不安にさせてしまう。その方が失礼だ」というマインドに変わった。
勤務先の化粧室で清掃している人に会ったら「おはようございます」「ありがとうございます」と声を掛けるようにしている。ビックリされることもあるが、笑顔で「どうも」と返してくれると温かい気持ちになる。
薫さんを倣い「自己開示」「貰った以上に返す」訓練をしながら過ごす日々だ。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
松本 萌(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

兵庫県生まれ。千葉在住。
2023年6月より天狼院書店のライティング講座を絶賛受講中。
「行きたいところに行く・会いたい人に会いに行く・食べたいものを食べる」がモットー。平日は会社勤めをし、休日は高校の頃から続けている弓道で息抜きをする日々。

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2024-01-22 | Posted in READINGLIFE

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