第39回：日本株で大失敗！ アメリカ株で取り返すぞ、の巻≪素人投資家いちねんせい実況中！≫
記事：安光伸江（READING LIFE編集部公認ライター）
「ぎゃぁぁぁぁぁ、昨日より120円も上がってるぅぅぅぅ！」
10月30日水曜日、ＲＰＡホールディングスの株価を見た私は叫んだ。700株持っていた塩漬け株を、その前日にＭ師匠（いつもの担当のにぃちゃん）と電話で話しながら1210円で損切りしたら！ よりによって次の日に！ 自力反発したとかで最高値1350円、終値1333円になったのであった。それを見て会社に電話したらＭ師匠はいなくて、後輩さんに「ＲＰＡ上がって落ち込んでます、ってお伝えください」と伝言しておいた。この悲しみを分かち合ってもらおうと思ったのだ。
ＲＰＡはもともとＭ師匠が勧めてくれた銘柄だった。ほかにもいくつか教えてくれたんだけど、サブスクでクラウドな会社、だったかな？ もはやよく覚えていない。こないだまで買っては売り買っては売りしていたＤＩＴもその中のひとつだった。ＤＩＴは一日のうちでの値動きがすごいのでタイミングを見て売り買いしていたんだけど、ＲＰＡは３ヶ月だか６ヶ月だかのチャートを見た時に「穴を開けて」どかんと下がっていたところがあったから、これは戻る時には戻るんじゃないかなぁとかいってナンピン買いして700株まで増やしていたのだ。
だが、Ｍ師匠と私の目論見とは裏腹に、ＲＰＡは下がる、下がる。どんどん下がる。おいおいヤバいじゃないか。1200円切ったよ。ヤバいよ。「ボク日本株弱いです、はずしました」とＭ師匠も反省しきりだった。
そして、Ｍ師匠が私の担当になって１周年記念日の10月29日、電話で話しているとどうもごにょごにょしている。「これはアメリカ株で取り戻せますよ」とかなんとか話を引き延ばしている雰囲気。「もしかして、今日売れ、って言ってる？」「はい」
なんでも私の大好きな米国リートプラスが分配金を出したばかりで配当落ちみたいな感じで安くなっている時だから、ここで資金を作って買っちゃうのがいい、という考えのようだ。う～ん、う～ん、どうしようかな。ＲＰＡを売ってもう少し足せば100万円リートプラスに移せる。そうするとざっくり１万円弱、いや税引後だともっと少ないけど、月々の分配金が増える。そっちの方がいいんじゃないか？ という考えだ。
どうしよう～
そのときの株価は1207円とか8円とかだった。せめてもうちょっと、というところで1210円で700株売りに出した。ぽち。暗証番号を入れて確認ボタンをクリックすると「あ、今売りに出しましたね？」とＭ師匠が言う。なんでわかるの！？ と思ったら、板というやつを見ていて、いくらで何株売り／買いに出ている、というのがわかるんだそうだ。私のパソコンでも楽天証券のページでそれが見られるけど、Ｍ師匠の会社のソフトだと瞬時にわかるらしい。1210円のところが700増えたから、それは私だね、とわかったというわけだ。うちのパソコンの操作が見える超能力でも持ってるのかと思ったけど違ってた。
私が売りに出してからしばらくの間、1208円で買い、1210円で売り、というあたりでにらみ合っている。「これは我慢比べですね」。売主と買主のどちらかが譲歩するか成行注文にするかによって株価が動くらしい。そして……約定した。1210円、700株、手数料535円。やすっ。合計で100万円に届かないから535円でいいのだ。この手数料の安さは、いつもＭ師匠が嘆いている。ネット証券さんには手数料では勝てません、としょっちゅう言っている。
あ～あ、売っちゃった。正直言って、がっくりきた。実現損益、マイナス二十数万円。あああああ～。Ｍ師匠は、今持っているアメリカ株なら取り返せるから、と太鼓判を押してくれたけど、村田とペッパーでもマイナスを出しているから、日本株では負けが続いている。ぐぁぁぁぁぁぁ。
ともかくその日のうちに米国リートプラスの買い注文を出すことになった。投資信託だから、お金が必要になるのは11月６日、連休明けでいいらしい。だからその日に売ったＲＰＡ株の資金が入ってきたのを振り込むので十分間に合う。これが投資信託と株が逆だと、売ってすぐ買う、ってのができないらしい。いろいろあるのね。
この日はスポクラをサボって家に引きこもっていたんだけど、この事件があってさらに引きこもってしまった。お昼を抜いて、朝夕は菓子パンを食べてしのいだ。からだに悪そう～。こころにも悪そう～。というかダメだった。めちゃくちゃ落ち込んだ。そう、忘れてはいけない、私は軽いとはいえうつ病患者なんだよ。メンタルがやられることはなるべく避けなきゃいけないんだよ。
この時に落ち込んだのは、お金のことが大きい。ＲＰＡでどかんとマイナス出しちゃった。楽天カードの支払いもけっこうある。明細を見たら、MacBook AirとiPhoneを買った時に分割にしたのが手数料がかかっていることがわかったのでさらに落ち込んだ。Appleで分割するのは手数料無料のはずだけど、カード払いで分割するなら手数料がかかるのだ。手数料はかけない主義の私が、大失敗だ！ あ～。じぶん銀行もゆうちょ銀行もけっこうお金を動かしていてギリの状態だ。大丈夫か私。どよ～ん。その日はほとんどいちんち中寝込んでしまった。
さて翌30日、やはり引きこもりはよくないということで、早めのお昼を食べに出た。リンガーハットの牡蠣ちゃんぽん、スモールサイズ550円税別。前日が菓子パンだけだったから、おなかにしみた。お店の人の笑顔にも救われた。そしてスタバにも行って、お昼が安くて量も少なかったからいいかな、と思ってコーヒーにシナモンロールをつけてみた。ほっとした。株で損を出しちゃったからスタバに行くのを減らそうと思っていたけど、やっぱりスタバは必要経費だ。原稿を書くためだけではなく、精神衛生上も、スタバの雰囲気は捨てがたい。これをまかなえるだけのお金は必要だ。
ところが、である。あろうことか、ＲＰＡはその日は前日よりすごく上がったのである。あ～あ。がっかりだね。Ｍ師匠にも連絡がとれたので、つみたてNISAでプラスになっている iFree S&P500 を全額売りに出してもらうことにした。その資金を米国リートプラスに入れようという魂胆だ。そうすればＲＰＡを売った資金だけ振り込めば十分、という計算である。だいぶ落ち込んだので精神衛生上その方がいいと思って、というとＭ師匠も納得してくれた。そしてＲＰＡが１日で120円（最高値だと140円）上がったことについては
Ｍ師匠とこころの痛みを分かち合ったのだった……
「１日でこんなに上がるとは、ボクとしてもショックで」と言っていた。そうだよね、うんうん、わかるよ。700株だから十万円近く違うもんね。Ｍ師匠も、客の私も、どうも日本株はうまくいかない。もう日本株はやめようか、という話にもなっている。ペッパーフードサービスはこないだ食べた時優待券を使うのがうれしかったから今はまだ持っているつもりだけど、これもいざとなったら売る。そしてアメリカ株で取り返そう、という魂胆だ。
「ここから、取り返しましょう！」
Ｍ師匠が力強く言った。どうやら本気を出してくるらしい。しかも自分の会社での取引じゃなくて、私が楽天証券で取引するのをリモートコントロールするような感じ。夜中の取引は、最終判断は私がしないといけない。このおばちゃん何しでかすかわからないからね、というのも織り込み済みである。それでも本気で取り戻そうとしてくれるってのはありがたい存在だ。ちゃっかり米国リートプラスを買わせてＭ師匠の会社に置いてある資金を増やしているけど、この際少々手数料を払ったってかまわないよ。プロの本気を見せておくれ。これからもWIN-WINの関係で行こうぜ！
折しも30日深夜、日本時間の31日午前３時には、ＦＯＭＣの発表があって、利下げが見込まれていた。その後株がどかんと下がる可能性があるから、リスク回避のために、と、持っていたビザとマイクロソフトを半分売っておくことを指示された。３時半からパウエルさんの記者会見。４時になったら買ってもいいですよ、変に下がってないか、上がってたらですけどね、と釘をさされていた。それまではアマゾンのナンピン買いとかしちゃダメだって。このおばちゃん少しドルが出来ると何か買いたがるからね、と、完全に性格を把握されているのはさすがにこの１年とことん話し合ってきたからだろう。
夜中の取引時間になってビザとマイクロソフトを半分売り、ちょっとマイナスが出てしまった。そしたらビザがもう少し上がって、損しないところになったので、ありゃりゃ～また失敗したわ～と嘆いたことだった。どうも下手くそだ。マイクロソフトは始値でプラスだったけど、ビザは最初に指値をしたのが高すぎて、しびれを切らして成行で売っちゃったからマイナスが出たのだ。損しないギリギリのところで指値をしてじっとしておけばよかった。
そして日本時間午前３時の発表のあと、一瞬だけちょっと下がった株価は記者会見あたりでひょこっと上がっていった。ブルームバーグの英語サイトでやっていた生中継を見ながら、ありゃ～。リスク回避する必要、なかったじゃん。そのまま持っておいた方がよかったじゃん。Ｍ師匠の見立てはまたはずれたか？ と思ったんだけど、そういえば、上がっていたら買ってもいい、って言ってたよな～、と思い出した。これからどう動くだろう。ええい、ちょっとだけ簿価が上がるけど、買っちゃえ！ というわけでビザとマイクロソフトを買い戻すことにした。さっきよりちょっと高いところだけど、ビザ100マイクロソフト61→ビザ50マイクロソフト30だったのを、ビザ84マイクロソフト80にしてみた。同じ数をただ買い直すより、なんとなく額をそろえる感じにした方がいいのかな～、と思って。
そうこうするうちにＲＰＡを売ったお金が楽天証券に入っていたので楽天銀行に出金し、なぜかじぶん銀行経由でＭ師匠のところの附属銀行に振り込んだ。こんなことしなくても楽天銀行から附属銀行に直接振り込めばよかったんだけど、とりあえず手数料がかからないのでいいことにしよう。
ちょっとうとうとしていたら朝になり、附属銀行に入金したのを確認してからＭ師匠に電話したら、案の定電話中だった。ＦＯＭＣ関連であちこちのお客様と話さないといけない、って昨日も言っていたっけ。じゃぁ待ってま～す、米国リートプラスのためのお金入れました～、と伝言してもらって電話を待っていたら
来た～
わりと早くにかけてくれた。Ｍ師匠も３時の発表と３時半のパウエルさんの会見を見ていたそうだ。４時になったら買ってもいい、とレクチャーしてくれていたので「動いてくれてるかな～」と思っていたそうだ。ビザとマイクロソフトを半分売って、買い戻したこと、上出来だということで褒めてくれた。わ～いうれしいな。
そんなこんなで29～31日はすったもんだの大騒ぎだった。はぁ疲れた。実は25日金曜日と28日月曜日にもアメリカ株をいろいろ売ったり買ったりした。まず金曜日にTAL2株を売って趣味のスタバ株を1株買い、円建てでイルミナ株を10株買った。月曜日にはイルミナがひゅるるっと上がったのでちゃっかり売ってしまい、その分でマイクロソフトを買い増し、スタバとアリババを売ってマイクロソフトをさらに買い増した。ここでアマゾン・ビザ・マイクロソフトだけになり、30日の攻防に至ったのであった。
というわけで10月31日木曜日午後現在の持ち株
ペッパーフードサービス100株
アマゾン18株
ビザ84株
マイクロソフト80株
以上。スタバ１株はすぐ売っちゃったんだけど、決算がよかったので、持っていてもよかったかも。Appleの決算もよかったけどもう高くて買えないや。ペッパーはともかくとして、アメリカ株の王道ともいえるアマゾン・ビザ・マイクロソフトの３銘柄で、なんとか損失を取り戻したい！ といいつつアマゾンはがっつりマイナスなんだけどね。
ちなみに10月28日からは楽天証券の国内株式を買うのに楽天スーパーポイントが使えるようになったそうだ。私も早速「ポイント全額利用」という設定にしておいた。だからＲＰＡを売った時の手数料がそこから出るのかな、と思ったら、違った。「買うとき」の手数料しかポイントでは精算してくれないようだ。う～ん、もう日本株は買わないだろうけど、まぁいいや。
そんなわけで11月からは新連載「クラウド生活のススメ」も始まることだし、事件がなかったら「素人投資家いちねんせい」は休載だな、と思っているんだけど、なんだかんだ言って毎週事件が起こっている。来週もセミナーに行くからきっと書くことがあると思うので、また読みに来てやってください。よろしくお願いします！
つづく。
❏ライタープロフィール：安光 伸江(READING LIFE編集部公認ライター)
山口県下関市出身・在住。下関西高、東京大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
大学卒業後は東京で声楽・器楽の伴奏ピアニストや音大非常勤講師などの音楽活動をしていたが、2008年９月、リーマンショックの１週間前に病気療養のため実家に帰る。その後2016・2018年と両親を看取り、金融資産と土地家屋を相続。2016年に乳がんの全摘手術と抗がん剤を体験した乳がんサバイバーでもある。iPad Pro・mini＋Apple Pencil愛用、4Gガラケー(au、通話のみ)とiPhone 3本・Android 1本（データのみの格安SIM利用）を電話代とWiFiオプション込みで合計月5000円かからずに使うなど大のガジェット好き。パソコンの日本語入力は平成の初めからずっと親指シフト派。ライター、ブロガー、素人投資家。
天狼院メディアグランプリ 21st season 総合優勝。2019年11月よりWeb READING LIFEにて2つめの連載「クラウド生活のススメ」開始。
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