第314回：退院して早1ヶ月！ の巻《素人投資家いちねんせい実況中！》
＊この記事は、天狼院書店のライティング・ゼミを卒業され、現在「READING LIFE編集部」の公認ライターであるお客様に書いていただいた記事です。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
2025/3/17/公開
記事：安光伸江（READING LIFE編集部公認ライター）
早いもので、リハビリ病院を退院してから1ヶ月が過ぎた。
最初はサバイバル生活だったけど、1ヶ月たった今、わりとのんびり楽しく過ごしている。半年〜1年という余命宣告にちょっとビビったけど、もともとステージがだいぶ進んだ状態で手術をしたことでもあり、よく考えてみれば、危うい橋を渡っていることに関しては以前からなんら変わりがないのだ。手術から8年半、よく生きている！ と自分を褒めてあげようと思う。
さて退院後1ヶ月の日々は、以前より忙しくなった。
週3回のデイサービスに、叔母が週3回ゆめシティに行く日に連れて行ってもらう、これだけで1週間ほとんど埋まってしまう。日曜日だけ何もないんだけど、友人が気遣ってくれて、これまたゆめシティに連れ出してくれることもよくあり、ほとんど毎日家の外に出ているのだ。自力で歩いて行けないのが難点ではあるけど、そこはそれ、ひとさまのご厚意には甘えることにしている。
デイサービスはなかなか楽しい。朝10時頃に車椅子でお迎えに来てもらい、びゅ〜んと車に乗る。郵便受けのところが狭くて自分では見られないので、お迎えの人に見てもらうのも習慣になった。車椅子ごと車に乗るのは、サンダーバードみたいでわくわくする。サンダーバードが出てくるところが昭和のおばちゃんなんだけど。
デイサービスに行くとまずお飲み物をいただける。私は冷たい麦茶を飲むことが多いが、コーヒーを所望される方もいるようだ。あとは紅茶をストレートで飲むことも多い。大型テレビもなんとなくついていて、午前中は順番にお風呂に入り、あとの人は思い思いに脳トレなどをしている。私はiPad mini を持って行ってソリティアをするかKindleを読むかする。ソリティアは無駄に時間が溶けていく感覚があるのだけど、暇つぶしにはちょうどいいのだ。
お風呂には車椅子で移動する。服を脱いだあと、ぐぃ〜ん、とスロープをあがって浴室内のシャワー椅子に移動し、髪を洗ってからだを洗って、ご家庭の浴槽よりちょっと長い感じの浴槽に入る。浴槽に入る時の移動がちょっと怖いけど、なんとかなっている。病院ではリフト浴といって機械を使っていたけど、ここは浴槽の縁に腰掛けるなどしてなんとなくするすると入っている。浴槽の丈が長いので脚を伸ばしてくつろげる。昭和な私はここで加藤茶さんの例の歌を歌いたくなるところだが、恥ずかしいのでガマンしている。
お風呂あがりにはまたお飲み物が出てくる。スポーツドリンクも飲めるらしくて時々出されるんだけど、私はポカリもアクエリアスもあまり好きではないので、ここでまた冷たい麦茶を飲む。いい気分だ。
そうこうしているうちにお昼ご飯だ。お昼の前にはラジオ体操のテレビ版をやるんだけど、私はお風呂の順番が遅くて体操には間に合わないことが多い。ご飯は3月まで330円、4月から350円という話だけど、それにしてはなかなか豪華な感じ。病院ではめったに出なかった揚げ物が出てくる確率が高い。食事には熱いお茶がついていて、食後のお飲み物ももらえる。
こうして改めて書いてみると、けっこう水分とってる感じ！
そして1時頃からお勉強会だ。今日は何年何月何日何曜日ですね。この日はこんなことがあったんですよ、とかなんとかいうのを毎日やっているようだ。認知症の検査（長谷川式）で日付と曜日を聞かれる項目があるんだけど、その対策にもなっているみたい。今日は何の日、のあとはクイズをやることが多い。
そうこうしているうちに2時になるとおやつの時間だ。ちょっとした甘いものと、あとは好きなお飲み物をもらえる。先日兄が珍しく会いに来てくれた時のお土産を寄付したのも出してもらった。お誕生日の人がいた日はケーキも出た。なかなかいい感じ。私はおやつを食べてしばらくして、2時半くらいに送ってもらう。おうちに帰ってジクトルテープという痛み止めの貼り薬を貼り替えるとだいたい3時になる、という寸法だ。
これが週3回ある。ご飯やおやつに何が出るのか、けっこう楽しみになっている。おばあちゃんたちも機嫌良く過ごしているし、スタッフさんたちも明るい。うちのケアマネさんが社長をしているデイサービスなんだけど、アタリだったな、と思っているところだ。
そんなわけで週3回はデイサービスにいるので、東京株式市場の動向はあまり見ていない。どうせそんなにお金がかかることはしないし、あと半年で死んじゃうのかもしれないし、大儲けをしなくてもいいのだ。
といいつつ、いつも騒いでいる米国成長株投信の基準価額は気になっている。今月は、実は、ヤバい。トランプさんの関税の関係かなんかでアメリカ株が下がり、米国成長株投信の基準価額も14日時点で1万円を切ってしまった。ヤバい。今月は分配金が出ない可能性、大！ そんなにお金を稼がなくてもいい、資産を取り崩す段階に来ているかもしれない、と思ってはいたけど、実際に分配金0となるとちょっと痛い。今月は家の基礎の補修でお金がドカンと出ていくことでもあり、ちょっと不安にもなるのである。
あとの日は叔母がゆめシティに連れて行ってくれることが多いので、お気に入りの海鮮丼の店によく行く。がんの病院に行く日は訪問看護の人に連れて行ってもらうのでゆめシティに行くのはおやすみだ。海鮮丼の店はフードコートなんだけど、セルフサービスのところ、私は脚が悪いので席まで持ってきてもらうようお願いしてある。ここがね。美味しいんですよ。唐戸市場で毎朝仕入れてきた新鮮なお魚が食べられるんですよ。イクラは国産らしいですよ。いろいろなお魚がのっている「ぶっかけ贅沢海鮮丼」または「こだわりの海鮮丼」がお気に入りだけど、週に何回も行ける時は他のメニューもローテーションで食べるようにしているんですよ。
食べている間に叔母が所用をすませて戻ってくると、買い出しもしくはスタバに行く。叔母に電子マネーゆめかのカードを預けてあるので、スタバでくつろいでいる間にパンなどを買ってきてもらうこともある。スタバにもあと何回行けるかわからないけど、顔色はいいらしいので、行けるだけ行きたいな。そういえばこの原稿が公開される翌日は開店9周年記念日だ。あの頃はまだ父が生きていたんだなぁ。当時ゆめシティ店にいた社員さんが今は一の宮の店長さんになっている。スタバも居心地のいい場所なので、長くこの場所にいて欲しいな。
ゆめシティのテナント料はわりとお高めという噂を聞くんだけど、この十数年でしょっちゅうテナントが入れ替わった鬼門の場所がある。そこにこのたびなんと！ GODIVAが入るんだそうだ。チョコレートを売るだけじゃなくてドリンクもあるんだろうか。先日問い合わせてみたら「入るのは確実だけど詳細はまだ打ち合わせ中」とのことだったけど、あそこでやっていけるのか。スタバの近くにGODIVAが出来て、ゆめシティがもっと賑やかになるのか。興味津々である。3月28日オープンと掲示してあるので、うちの高校の後輩たちとのお食事会のあとにでも覗いてみようっと。
さて余命宣告だけど、これはどこを基準に「あと5年」と言うのか？ と兄が疑問を持っている。転移があって5年くらいが平均値だという話なんだけど、もっと早く死ぬ人もいるだろうし、いま転移から4年だからあと1年ってことはないんじゃないか？ もっと生きるかもしれないよ？ なんて慰めてくれている。兄とは折りあいがあまりよくなかったのに、いざ死ぬかもとなると心配してくれているのかもしれない。この間もわざわざ会いに来てくれたしね。兄と普通に話せるのはホントに久しぶりというか、そんなこと今まであったかな？ という感じなので、これで仲のよい兄妹になれたらいいなと期待してるんだけど、甘いかな。そして案外長生きできたらさらによし。死ぬ死ぬと言われながらあと何十年生きました、なんてことになったらさらによし。そうなるとお金がちょっと心配だけど。
今の計画では、iPad を適当なところで売り払って iPad mini 1枚と iPad Pro 1枚だけ残し、iPhoneは16 Plus と 13 mini で打ち止めにすることにしている。藝大の後輩どのは「iPhone 20 を買いましょう」なんて言ってくれるけど、そんな先まで生きられる気は、あまりしない。Apple Intelligence が使いたくて 16 Plus に買い換えてみたけど、日本語対応予定の4月が近付いているのに情報がまだ入ってこないから、そんなに楽しくもないのかもしれない。Pro Max じゃなくて Plus にしたのは、5倍の望遠がいらない状況なのでまぁよかったかなと思っている。少し安くついたしね。自力で歩けない現状、遠くの景色を撮る機会はないのだ。食べ物とぬいぐるみの写真を撮ることがほとんどだから、2倍あれば大丈夫。広角はあった方がいい。今のところ、ベストの選択だったと思っている。
そんな3月なかば、米国成長株投信の分配金が出そうになくてしょぼんとしている週末の持ち株と終値は
日本たばこ NISA300 特定11 39 0.0
投資信託がいろいろマイナスで、評価損益 -89,069円、実現損益は +3,567,351円。トランプさんがまた何かやらかしてくれるとしばらく分配金0になっちゃうから、ビジネスマンとしての力量を発揮してアメリカ経済を立て直してほしいよ！ 頼むよ！ 私の生活もかかっているんだから！
とりあえず今すぐ死ぬ気はあまりしないので、美味しいモノを食べてのんびり過ごしていきたいなぁと思っている。
脚がもう少しよくなったら、ピアノとエレクトーンも弾きたいんだけどね。
がんばろ。
つづく。
❏ライタープロフィール
安光 伸江(READING LIFE編集部公認ライター)
山口県下関市出身・在住。県立下関西高・東京大学文学部西洋史学科卒業、東京藝術大学音楽学部楽理科中退、同大学院ソルフェージュ科ピアノ専攻修士課程修了。
大学院修了後は東京で伴奏ピアニストや音大非常勤講師などをしていたが、2008年９月、リーマンショックの1週間前に病気療養のため東京の住まいを引き払って実家に帰る。
その後2016・2018年と両親を看取り、金融資産と土地家屋を相続、2018年夏から投資を始める。市内有数のショッピングセンター「ゆめシティ」から徒歩数分・築40年超の戸建てに住む、2022年の還暦を機に繰り上げ受給で年金生活に入ったおひとりさまシニア。
2021年初め十数年ぶりにピアノのリハビリを始め、音楽講師などの個人事業主となる。同年7月エレクトーンを始め、翌年全日本エレクトーン指導者協会に入会。現在はピアノ・エレクトーンの音楽教室と、天狼院プラグインによる学習サロンを営む（病気のため休業中）。
2016年秋に乳がんの全摘手術と抗がん剤治療をする。2021年に骨転移、2024年に肝転移が発覚した現役ステージ４がん患者でもある。2025年要介護１認定。
iPhone 2本、iPad mini 2枚、MacBook Air、Apple Watchなどを駆使する大のApple製品好き。日本語入力は平成の初めから親指シフト派。
メディアグランプリ 21st , 64th seasons 総合優勝。
初著書『必ず目標達成する人が実践する続ける技術』JMAMより2024年12月発売。
天狼院書店の PROJECT 1000 第一弾！
『必ず目標達成する人が実践する続ける技術』
著 者：安光 伸江
発 売 日 ：2024年12月2日（月）
価 格：1,760円（税込）
出 版 社 ：株式会社日本能率協会マネジメントセンター
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