仕事は進まなかったけど、私は元気です
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/10/16 公開
記事 :山原みさえ(25年11月開講コース)
今日は朝から雲ひとつない快晴。
こんな日は気持ちよく仕事が進むはず、なんですけどね。
なぜか朝から心が重いんです。
HSP気質だからでしょうか、太陽の光がやけに鋭く感じられ、早くも脳みそが疲弊モードに突入している気がします。
カーテンの隙間から差し込む光も、今日は少し刺激が強すぎる……。
音にも敏感になっているみたいで、冷蔵庫のモーター音や時計の秒針の音まで、妙に大きく聞こえてきます。
夫が「行ってきます!」と元気に会社へ向かう足音、玄関のドアが閉まる音、遠ざかっていく足音……。
音が完全に消えた瞬間、肩の力が抜けていくのを感じます。
HSPにとって、この「誰にも気を張らずに、自分の呼吸だけに耳を傾けられる時間」は、何よりも大切な回復時間です。
他人がいるだけで、無意識に相手の感情を読み取ろうとしてしまう……。
機嫌は良さそうか、何か気になることはないか。
そんなアンテナを常に張り巡らせているから、一人になった時の解放感は格別なのです。
「よし、今日は午前中にDTPの仕事を片付けて、午後はイラストを3本仕上げよう!」と意気込んで、一応パソコンに向かいます。
パソコンを開き、メールを確認する。
ここまでは、いつもの朝のルーティン。
でも、頭はまだ本調子じゃありません。
頭の中では、昨晩のクライアントからの微妙なニュアンスのメールをぐるぐる深読み中。
「この表現は、わたしの仕事に不満があるってこと?」
「いや、もしかしたら単なる定型文?」
「あー、また考えすぎちゃう。HSP気質つらいわ」
メールの一行一行を何度も読み返し、行間の意味を探ってしまう。
普通の人なら「了解しました」で済ませられるような内容なのに、私の頭の中では勝手に物語が膨らんでいく……。
結局、メールの返信文を考えるだけで30分が溶けてしまい、本来やるべきDTPには手がつけられません。
何度も書いては消し、消しては書き。
このフレーズは失礼じゃないか、この表現は誤解を招かないか。
たった数行の返信メールに、こんなに時間をかけてしまう自分に、また疲れてしまいます。
「あきらめよう」と潔く開き直り、午前10時には、コタツへダイブ。
まだ冬じゃないけど、私はコタツ常設の「コタツ民」なんです。
コタツに入ったら、誘惑に完敗です。
今日のお昼ごはんは、昨日スーパーで買った粒あんのドラ焼き。
「餡子が救う午後3時」なんて言いますけど、私にとっては午前11時でも午後1時でも餡子は救いです。
餡子を頬張っている瞬間だけは、他人の機嫌が感染ることもなく、心の平和が保たれます。
甘さが口の中に広がると、不思議と心の緊張がほぐれていく……。
餡子の優しい甘みは、疲れた神経を癒してくれる特効薬なのかもしれません。
昼食後は漫画を読みながらの休憩タイム。
最近、過去の少女漫画を読み返してるんだけど、モブ系女子の主人公に、アラフィフの私がやたらと共感しちゃうんです。
「ああ、わかる。人の言葉を必要以上に深読みしちゃうのよね」
共感で心が満たされたら、次はセルフケアの時間です。
今日みたいに心がざわつく日は、情緒が乱れるのを避けるため、別室に逃げ込んで誰とも会わない静かな時間を作ります。
カーテンを閉めて、薄暗い部屋で静かに横になる。
外の世界から完全に遮断された、自分だけの聖域。
ここでは誰の顔色も伺わなくていい、誰にも気を使わなくていい。
はたから見たら、「何に疲れるの?」って思われるかもしれないけど。
昭和世代に染み付いた「頑張らなきゃ」という義務感を脱ぎ捨て、「回復を先に確保する」ことに、最近ようやく罪悪感を持たなくなりました。
夕方、フリーランス仲間とのチャットが、私の心の支えです。
「今日は仕事が全然はかどらなかったわ」
「わかるぅぅぅ」
この「わかる」の一言が、HSPの傷つきやすさを和らげ、明日を頑張る小さな活力をくれます。
同じ痛みを知っている人からの共感ほど、心に染みるものはありません。
さて、夕飯の準備をしようとコタツから出たところで、思い出しました。
洗濯物シワシワ事件の再来です。
干し忘れた夫のシャツが、見事なまでにシワシワになっています。
昔なら罪悪感でいっぱいになり「アイロンかけなきゃ」と焦ったでしょう。
でも、今の私は違います。
「まあ、いっか!」
完璧じゃなくても、それでいい。
帰宅した夫は、図太い神経の持ち主ゆえ、シワシワのシャツに気づくこともないでしょう。
気づいたとしても「大したことないでしょ」と一言で終わらせるはず。
今日もまた、大した成果は上げられなかったけど、昼寝して、餡子を食べて、漫画に泣いて、心のエネルギーは黒字で終えられそうです。
もしあなたが、今日一日、誰かの機嫌に引っ張られて疲れてしまったのなら、少し休んでみてください。
休むのは怠けじゃなくて、回復に必要な時間です。
トホホな一日も、笑いに変えれば愛おしい。
明日もきっと、私はコタツから出られないだろうけど、それも含めて、これからがシニアの青春ってことで、ゆるゆると進んでいきます。
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