ダイエット山に登った時の話
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/10/16 公開
記事 :ムー子(25年11月開講コース)
私は元々食べることが大好きな人間だ。そのうえ、運動は苦手ときた。
今まで何回もダイエットをしてきたが、大抵は失敗する。20代の時に一度大幅な減量に成功したが、当時は恐らく代謝がよく、少しの運動でも痩せたのだろう。それ以来成功していなかった。
そんな私が結婚することになった。
夫と相談し、フォトウェディングで自分達の結婚を祝うことになった。
憧れだったウェディングドレスや着物を着て、一生に残る写真を撮る。
テンション高めな気持ちで夫と共にフォトウェディングの見学会に行った。
そこでは凄腕カメラマンの方が夫とのツーショットを撮ってくれるサービスがあった。
出来上がった写真をデータで送ってもらい、ワクワクした気持ちでそれを見た瞬間、私は愕然とした。
足の太さが目立ち、お腹はぽっこり、全体的に丸く、二重顎の自分が写っていた。
「え、私って思ったよりかなり太ってる?」
雰囲気がよかったこのスタジオで、第一希望日を予約出来たことは嬉しかったが、帰りはどんより暗い気持ちで帰ったのだった。
家に帰って、鏡をもう一度見た。すました顔で顔向きを変えても二重顎は消えない。
確かに年々太ってきており、自覚はあるし、それを改善するために苦手な運動も頑張っているつもりだった。しかし、現実は努力不足だったと認めざるを得ない。
「この体型はなんとかせねば……」と思った。
一生残る写真に、今の私を残すことは出来ない。なんとしてでも今回はダイエットを成功させよう。私はそう決意した。
その時ふと思った。
そもそもなぜダイエットがいつも失敗するのか。
ここを自分なりに分析しないとまた失敗する、そう確信した私は原因を考えてみた。
いつも私は自分一人で運動を行っていた。本当にその運動フォームが合っているのかも分からないまま、自己流でやっていたのである。そして結果がなかなか出ないとすぐに諦め、ふてくされ、運動をやめてしまう。
つまり敗因は「成功するダイエット方法を知らないまま自己流で続けている」からである。
私は「今からの3ケ月をプロにアドバイスをもらいながら運動し成功させよう」と思い、片っ端からパーソナルジムを探した。
何日か検索していると、自分の家の最寄り駅から一駅離れたところに、他と比べて割とリーズナブルなパーソナルジムがあるのを発見した。
「フォトウェディングのために痩せたいんです! 運動苦手でどうしたらいいか分からないのでここに来ました!」とすぐに体験を申し込んだ。
体験当日、今までの私は一体何をしていたのかと思ったくらい衝撃を受け、今までの運動で味わったことのない筋肉痛に襲われた。
続けられるのか不安だな、と早くも疲労困憊の表情の私を見て
「運動苦手とおっしゃるけど、全くそんなことないですよ。むしろ出来てるじゃないですか」とトレーナーが言った。
もしかしたら褒めて伸ばそう方針なのかと思ったが、気分が良くなった私は即入会したのだった。
入会から1ヶ月半後、基本のスクワットや腹筋、ダンベルやダイエット用チューブを使ったりして、体重は減ってきた。しかし、見た目の変化はあまりない。
鏡餅のようなお腹は健在である。普段ならそろそろダイエットを諦めている頃だろう。
同時期にドレスや着物をそろそろ決めるためにフォトスタジオに行くことになっていた。気になったドレスを着てみると、案の定暗い気持ちになった。
「これ、あと1ヶ月半で変わるか!?」
後日、不安と焦りが混じった気持ちでトレーナーに相談をしてみた。
「食事制限も、運動も頑張っているのになかなか実感が湧かなくて焦っています」
すると、トレーナーは余裕の表情で意外な言葉を私に言った。
「真面目に頑張ってるからこそ、今は頑張らなくていいんですよ。1回好きなものを食べて休憩してみますか」
きょとんとしている表情の私を見て察したのか、説明をつけ加えてくれた。
「停滞期は絶対に来ますよ。身体が急激に頑張りだしたから、抵抗しているんです。
もし食べたらその分次の日かその週に調整すれば問題ないですし、ご褒美も大事ですよ」
そして力強く「必ず皆さん乗り越えて成功してますから大丈夫」と断言した。
それを聞いて「なるほど」と思い、同時にあることを思った。
ダイエットは登山だ。
登山では、頂上の絶景を見るために最初はひたすら進む。
時にはアクシデントに出会ったり、休憩したくなったり、もしかしたら途中下山したくなったりするだろう。
しかし、必ず山頂はある。諦めることなく進めば絶景を見ることが出来るはずだ。
そう分かっているからこそ、寄り道するといい。なにもまっすぐ上に突き進む必要はないんじゃないか。
ダイエットも同じだと考えたらどうだろう。
最初は目標を目指してワクワク感で進むが、途中絶対「もういやだ」と思う時が来る。
なかなか体重が落ちなかったり、好きなものを食べるのに制限があってイライラしたり……。
そりゃそうだ。途中休みなく進んでたら誰だって疲れる。
立ち止まりたいのに、無理して進んでも楽しくないし辛いだけだ。
トレーナーのアドバイス通り、自宅でのトレーニングは疲れているときは思い切って回数を減らし、どうしても食べたいものがあるときは食べることにした。その代わり、アドバイスをもらうためにトレーニングには休まず通った。
全然変化がないからといってすべて放棄するよりはマシだと前向きに考えた。
そして、それは突然来た。
毎日撮っていた体型に変化が起きたのだ。
相談してから半月後、つまりフォトウェディングまであと1ヶ月の時だった。
「……あれ、おなかの肉と反り腰がマシになってる?」
一体どこで何が変わったのか。
もはやバラエティ番組で出題された、アハ体験画像だ。
「出された画像のある一部分が少しずつ変わっていきます! どこが変わっているか当ててくださいね!」のあの画像だ。
毎日の画像を見比べてもどこで変化が起きているのか全く分からない。
しかし、1週間単位で見比べてみるとビフォーアフターが全く違う。不思議だ。
ぽっこりと出た鏡餅お腹には縦線が入り、筋力がついたからか反り腰が改善し、足の長さまで違うように見えた。
そのあとは早かった。みるみる痩せていき、結局フォトウェディング前日には入会当日より8㎏痩せていた。気になっていたお腹や足も細くなり、二重顎は改善した。頬肉もスッキリしたように思う。
そしてフォトウェディング当日。刺繡が綺麗なウェディングドレス、薄ピンクのフワッとしたドレス、そして赤や黄色の綺麗な着物……。
満足した気持ちで、自信を持って着ることが出来たのだった。
写真の私はどれも笑顔だった。
たとえ無理に思えても、長い道のりを、休憩をはさみながらやってみよう。どうせならその息抜きすら楽しんでみよう。
ダイエット山をいつも途中で引き返していた私だが、その道のプロに教わり、気持ちを切り替えたことで見事頂上に辿り着き「一生に残る素敵な自分」という絶景に会えたのだ。
1年たった今も、あの時頑張ったなぁと思い出しては写真を見ている。一生に残す写真が全部笑顔で本当に良かった。
≪終わり≫
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