アラフォーになって改めて感じた「年を重ねるということ」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/10/16 公開
記事 :まるこめ(ライティング・ゼミ11月コース)
20代になったばかり頃の私は、どこか生き急いでいる節があった。
別に彼氏がいないわけでもなかったし、気軽にお茶したり、飲みに行けたりする友達だったいた。就職氷河期と言われていたけれど、地元の企業に難なく就職も決まった。周りから見ればそれなりに「リア充」に見えていたと思う。だけど、満たされたことなんて、これっぽっちもなかった。常に、上には上がいたし、S N Sなんて開けば「映え」がキラキラ眩しくて、サングラスでもかけてやりすごさないと「やってらんねぇな」と思った。だからといって、要領は決して良くもなかった。何をするでも遠回りしてしまう自分の不器用さには心底呆れた。どうすれば、認めてもらえるんだろう。どうしたら、うまくいくんだろう……欲望の底なし沼で、ひとり、もがいて、もがいて、もがき苦しんでいた。
そんな、不器用でないものねだりの私は30代、アラサーを目前にするとさらに悲観的に世の中を、そして自分自身を見つめていた。決して順調なキャリアではなかったけれど、それでも地道に積み上げてきたキャリアが妊娠・出産で止まる恐怖は計り知れなかった。自分が足踏みをしている間にも、周りの時間がものすごいスピードで進んでいく恐怖。家から出ずに子どもと1日を過ごす間に、世間から取り残されてしまう孤独感。虫籠に入れられた気分だった。だから、そんな自分をどうしても見返してやりたくなった。年を重ねるということは「ロールプレイングゲーム」のレベル上げみたいなものだと、とにかく貪欲に働いて、働いて、働いた。気づけばあんなに気にしていた「映え」に興味は薄れてしまった。離婚や再婚を経て、いつの間にか周りの「雑音」は小鳥のさえずりくらいにしか聞こえなくなった。さらには、10人いるうちの1人でも嫌われたらどうしようと本気で恐れていたのに、今となっては1人好きだと言ってくれる人がいれば上出来じゃないかな。と思えるようになっていた。慌ただしい30代を、ただひたすら駆け抜けて、いよいよアラフォーが「こっちへおいで」と手招きをするようになった。
20代、30歳前半と、不器用な私は「頑張る」くらいしか取り柄がないと思っていた。だから、目の前にある「頑張れる」ことをとにかく一生懸命「頑張る」ことに邁進し続けてきた。
だけど……
もう、そういうのやめようと思う。
あまり認めなくはないけれど、アラフォーの靴を片方履く瞬間に感じた、身体的な「老い」はもちろんある。とはいえ、それ以上に「頑張る」というステージからもう一つ上へ、階段を登っても良いんじゃないかな、と思えるようになった。年を重ねるということは、アラサーの頃に感じた「ロールプレイングゲームのレベル上げ」なんかじゃなくて、長い人生をかけて光り輝く宝石を作っていくようなものなんじゃないかと、今、改めて思う。20代に「なりたいと思う自分」を切り出してきて、30代で大まかに要らないものを削ぎ落としてきた。そしてこれから迎える40代は、これまで作り上げてきた自分をどんどん輝かせるために「磨く」時期だ。今までと同じように荒削りなことばかりしていても、石が小さくなってしまうし、壊れてしまっては元も子もない。
20代、30代と取り憑かれたように仕事に没頭してきたけれど、これからは仕事のクオリティはそのままに、家族の時間や、自分を労わる時間を貪欲に取っていこうと思う。きっと今まで以上に忙しくなるだろう。それでも、今の私はそれができると信じてやまない。20代や30代の「誰かのため」に頑張ってきた私は、40代を目前に、ようやく「自分のため」に頑張りたい、と思えるようになった。気持ちに身体がついていかないことも、これからは増えていくだろう。けれど、今までおもりをつけて走ってきた分、心はずっとずっと軽い気がする。これまで頑張って、叩き上げて、削りあげてきた自分の人生は、これからますます光り輝いていくに違いない。これからの40代、自分自身を磨き上げていくのが楽しみで仕方ない。50代、そして60代になった時、私はどんな形をして、どんな風に輝いているんだろう。まだまだ荒削りの原石だけれど、これからの毎日を丁寧に、そして貪欲に過ごしていきたい。そして、シワを指差しながら「これは年輪みたいなものよ、ホホホ」と笑って言えるような、楽しいおばあちゃんに、私はなりたい。
《終わり》
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