レンタル人間図鑑

おっさんがおっさんを借りてみた その3 —白パンのおっさん—《レンタル人間図鑑》


記事:射手座右聴き (天狼院公認ライター)
 
 
*写真はご本人の希望により、加工しています
 
 

おっさんはイジられて、バズる?


2年ほど前のある日、こんなツイートがRTされはじめました。
「レンタルおっさんをキンプラの応援上映に連れて行ったら、超面白かった」 え?なになに? キンプラ? 応援上映? 早速検索すると、キンプラとは、KING OF PRISM -PRIDE the HEROというアニメ。男の子達が歌い踊る、女性ファンの多いアニメです。応援上映とは、 掛け声OKの映画上映のこと。つまり、「女性ファンたちが熱狂する空間におっさんを放り込んだ」、ということです。意外なおっさんの使い方とおっさんたちの天然なリアクションが、twitter上で話題になり、キンプラ上映にぞくぞくとおっさんたちが駆り出されたのでした。今日は、その発端となったおっさんにインタビューしてみました。その名も、「白パンのおっさん」 の登場です。

おっさんは、やはり白パンで現れた!


1月某日@日本橋。向こうから、白いパンツのおっさんが歩いてきました。
 
―はじめまして! 白パンで登場するんですね。
 
白:もちろんです。白パンは、正装ですから。
 
―正装なんですね。そのへんは、あとで伺うとして、いきなりですけど、キンプラの話伺っていいですか?
 
白:はい。あれは、レンタルを始めて、すぐのことでした。地方から東京に出てこられる方がいらっしゃって、内容あまり知らないまま、劇場に連れて行かれました。
 
―もともと、アニメはお好きだったんですか?
 
白:子供の頃は、見てましたが、最近はあまり……
 
― そんな白パンさんが、いきなり女性だらけの応援上映へ。いかがでしたか。
 
白:新しい世界が広がった感じでしたね。一緒に声を出して叫んでいました。
 
―そうなのですね。で、いきなり、twitterに書かれて。
 
白:反響にも驚きました。ブログのアクセスもいきなり5000くらいになって。
 
―どうでしたか?
 
白:あまり知らないことの依頼でも、何が起こるかわからないし、気が抜けないなと思いました。
 
―たしかに、思いもよらないことで、話題になったりしますよね。
 
白:そうなんです。でもこれをきっかけに、アニメが大好きになりました。
 

きっかけは、定年を迎えたお父さま


 
―ところで、白パンさんは、なぜレンタルを始めたのですか。
 
白:はい。数年前に、自分の父が定年退職をしまして。それがきっかけです。
―と言いますと?
 
白:父は仕事人間でして。退職したあと、手持ち無沙汰な感じだったんですよ。
 
新しいことを始めようとしても、定年後だと、億劫になるのかなあと。
 
―なるほど。そんなことがあったのですね。
 
白:私も気づいたら、仕事と家庭の往復になっていて。今からでもできることは始めておきたいと思いまして。
 
―それで、おっさんレンタルですか。
 
白:はい。あとコーチングの資格があるので、それを活かしたいというのもありました。
 
―なんか、動機が真面目な感じがします。プロフィールは、面白い感じなのに。
 
白;あー、こうやって聞かれたら、答えるんですけど、プロフィールは楽しそうな方がいいじゃないですか。
 
―なるほど。考えてのことなのですね。
 

メガネで変身! 会社も家族も知らない別の顔


 
―レンタルのこと、会社ではどう話しているのですか?
 
白:あ、内緒です。
 
―えー。でも、サイト見たら、わかっちゃいませんか?
 
白:いや、わからないです。
 
―なんでですか?
 
白:このメガネです。

―あ、普段はメガネじゃないんですか。
 
白:そうなんです。このメガネをかけると、おっさんレンタルになるんです。
 
―メガネで変身ですか。ご家族には言っていますか?
 
白:あ、家族にも内緒です。
 
―どうしてですか?
 
白:なんとなくです。
 
―ふむ。そしたら、話を変えますね。どんなレンタルが多いのですか?
 
白;キンプラのせいでしょうか、ライブやお芝居の同行レンタルが多いですね。
 
あとは、コミケのお手伝いです。
 
―なるほど。エンタメ中心かもしれませんね。
 
白:そうですね。ほんとキンプラのおかげで、世界が広がりましたよ。
 

重大ミッションで依頼者宅に、急行!



―そのほかは、どんなものがありますか。
 
白:相談系もあります。
 
―どんな相談ですか?
 
白:やりたいことや目的を見失った人の相談が多いです。一緒に考えるような感じです。
 
―まさに、コーチングですね。
 
白:そうなんです。コーチングとレンタルの境目が、難しくて。時給1000円でどこまでやったらいいのか、わからなくなります。
 
ーレンタルとの住み分け難しそうですね。
 
白:はい。どこまでがレンタルで、どこからがコーチングかというような。
 
―おっさんレンタルならではの悩みですね。珍しいレンタルはありましたか?
 
白:ゴキブリ退治です。
 
―ゴキブリ退治って。どういうことですか?
 
白:ある日、CEOから連絡が来まして。
 
「 18時から 〇〇でレンタルです。自宅のゴキブリ退治。いかがですか? 」
って書いてあるんですよ。私、ゴキブリが苦手で。
 

―というか、ゴキブリの巣でもあるんですか?だって、行ったときに、ゴキブリがいるとは限らないですよね。
 
白:そうなんですよ。で、状況を確認したところ、
 
―どうだったんですか?
 
白:なんと依頼者のかたは、ゴキブリを見て、家を飛び出してしまったそうなんです。
 
―えー。
 
白:それが名刺くらいのゴキブリで、見た瞬間に怖くなってしまったようで。
 
調理中のカレーを放り出して、友達の家に駆け込んだそうなんです。
 
―ゴキブリに追い出されたわけですか。
 
白:そうとも言いますね。で、家に帰るのについて来てほしい。片付けを手伝ってほしいというオーダーでした。
 
―ゴキブリのでた部屋に帰る付き添いですね。
 
白:そうなんですよ。少し戸惑いました。ゴキブリが出るまで、待った方がいいのかな。何時間も出てこなかったらどうしようとか。
 
―それ、悩ましいですね。
 
白:とにかく、依頼者さんと部屋に行きました。先に僕が入りました。ゴキブリがいないか、確認する係です。
 
―ドキドキしますね。
 
白:もう気分は、刑事かスパイですよ。
 
―で、ゴキブリは?
 
白:いなかったです。で、まあひとまず、つくりかけのカレーの片付けをして。
 
お鍋を洗いました。そしたら、シンクのところに、ザザザザザッて。
 
―ラスボスですか?
 
白:そうです。奴が現れたんで、殺虫剤をシューっと。
 
―よかったですね。
 
白:思わず、「ミッション完了です」 って、CEOにメールしちゃいました。
 
―おつかれさまでした。
 
白:思わず、やったーって、なりましたね! 最高の充実感でしたね。
 

―ほかには、何かエピソードはありますか。
 
白:モデルをしたのですが、やらかしました。
 
―えーーー? おっさんがモデル? で、やらかしたとは?
 
白:ヘッドスパの教材動画のモデルです。
 
―で、何をやらかしたんですか?
 
白:はい。撮り直しでした。あまりに気持ちよくて、寝てしまったんです。
 
―あらららら。
 
白:おきたら、「撮り直し」 って言われたのですが、なんでかわからなくて。
 
―起き抜けですものね。
 
白:そうなんです。なんか、いびきがうるさかったみたいで。
 
―やっちゃいましたね。
 
白:次は寝ないように頑張りました。
 
―失敗談も素直に言ってくれる白パンさんにとって、レンタルってなんですか?
 
白:人の役に立つことです。
 
―まじめですね。
 
白:人の役に立ちたい気持ちが昔から強くて。
 
―困っている人がいたら、白パンさんへ。って感じですね。
 
白:はい。白パンで駆けつけます。
 
―毎日白パンなんですか?
 
白:そうです。家にも会社にも、白パンのスペアがありますよ。
 
―えええ。本気ですね。
 
白:白パンが正装ですから。
 
―もしかして、白パンさんに依頼するのは、白い服を汚しちゃった時がいいんじゃないですか?
 
白:そうきましたか。繊維メーカーで働いてるので、結構技術は知っていますよ。
でも、それ以外も任務、お待ちしています!

少しおどけているけれど、話は真面目な白パンさん。
あたりも穏やかな方でした。メガネをかけるとレンタルおっさんに変身するあたり
映画のスーパーマンを見ているようです。

あなたもいつか、この人を借りる日が来るかもしれません。
いや、来ないかもしれません。
 
 

(人間レンタルデータ)
白パンのおっさん@日本橋

白パンをこよなく愛し、白パンに愛されたおっさん!
生まれは関西。育ちも関西。 今は、お江戸日本橋。
おっさんでも白パン履けば最強無敵!!と超勘違い?
白パンの、白パンによる、白パンのためのおっさん!
白いパンではございません。白パンツでございます。

❏ライタープロフィール:射手座右聴き (天狼院公認ライター)
東京生まれ静岡育ち。バツイチ独身。
大学卒業後、広告会社でCM制作に携わる。40代半ばで、フリーのクリエイティブディレクターに。退職時のキャリア相談をきっかけに、中高年男性の人生転換期に大きな関心を持つ。本業の合間に、1時間1000円で自分を貸し出す「おっさんレンタル」に登録。4年で300人ほどの相談や依頼を受ける。同じ時期に、某有名WEBライターのイベントでのDJをきっかけにWEBライティングに興味を持ち、天狼院書店ライティングゼミの門を叩く。「人生100年時代の折り返し地点をどう生きるか」 「普通のおっさんが、世間から疎まれずに生きていくにはどうするか」 をメインテーマに楽しく元気の出るライティングを志す。天狼院公認ライター。
メディア出演:スマステーション(2015年),スーパーJチャンネル, BBCラジオ(2016年)におっさんレンタルメンバー
として出演

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2019-02-27 | Posted in レンタル人間図鑑

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