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週刊READING LIFE vol.14

〝何もしないをする〟を始めよう≪週刊READING LIFE「今年こそは!」≫


記事:江島ぴりか(READING LEFE編集部ライターズ倶楽部)

昨年のお正月、久しぶりに地元の神社でいただいたおみくじは「大吉」だった。おまけに一緒にひいた母も「大吉」で、たぶんこんなことはめったにない。母は「全部大吉なんじゃない?」とわざわざ巫女さんに聞いていたが、この神社の大吉は5%と決まっているらしい。それはやっぱりなかなかすごい。

おみくじによると、願い事は「思い通りになる 早ければ吉」とのことだった。

そのとき、何を願いながらひいたのかはっきりとは思い出せないが、ここ2~3年ずっと心にあるのは、再び日本を出て海外で暮らしたいということだった。実際、昨年中には仕事を辞めるか、もしくはすぐに辞めなくても次の行き先は決めておこうと考えていた。周囲の友人にも、「そろそろ辞めようと思っている」なんてことを話していた。

しかし、結局のところ、私はまだ日本にいる。

仕事も辞めていない。

次の行き先も決めていない。

まったく意志の弱い人間だ。

あんなに周りにも言っておいて、何ひとつ前進していない。

2018年も、ただ日々の仕事をこなして、流されて大晦日を迎えてしまった。

けれど、Facebookの投稿を眺めてみると、流されているわりには随分生き生きと楽しんでいる自分がいる。

〝〇〇で〇〇を食べた〟系の話がやたらと多いのは否めないが、今勉強していること、今日感じたこと、挑戦してみたこと、訪れた美術館、鑑賞した映画、出会った友人……この1年間私の心と体を成長させてくれた足跡が確かにそこにある。そして、気づくことがある。

私は前進していないわけじゃない。

ただ、最初に予想していたことと、違った方向に進んでいるだけなのだ。

通信講座でライティングの勉強を始めることになるとは思っていなかった。

そもそもそんな講座があることすら知らなかった。

でも、参加してみたら面白くなって、自分の書いたものが天狼院書店のWebサイトにも載って、自ら友達に送って読んでもらうようになった。

そして今では、ライターズ倶楽部にまで入って、本格的に「書きたい」と思うようになった。

ついでにセルフブランディング講座まで受講して、全く興味を持っていなかったブログまで始めた。

そんなこと、1年前には1ミリも頭になかったのに。

ちょっとかわいくて美味しそうというだけで、カルチャースクールで受講した「練り切り」作り(あんこにつなぎを入れて、着色や成形、細工をした生菓子)も、もっとちゃんと作れるようになりたくて、結局認定講師資格まで取ってしまった。つまり、もうカルチャースクールで教えることができるのだ。

和菓子なんて全然好きじゃなかったのに、自分で作るようになるなんて。

ずーっと観てもらう専門だった「タロット占い」も、プロを目指す人たちの勉強会にまで参加するようになった。月に一回わざわざ大阪にまで出かけて、6時間もカードを読んでいる。

まだまだプロとは言えないが、少なくとも立派なマニアだ。

そして、タロットの勉強を通じて大切な仲間がたくさんできた。

彼女たちは私の書いた記事を楽しみにしてくれている大切なファンでもある。

ここでの出会いがなければ、1時間並んで明石焼きを食べたり、突然フェリーで淡路島へ渡って夜景を眺めたりすることもなかっただろう。

去年私が得たものは、得ようとして得たものじゃない。

最初から欲しかったものや、目指していたものはひとつもない。

なんだかやりたいことがわからなくなって、

今何をすべきかが見えなくなって、

PCの前でぼーっとしていたりして、

そんなときに何となく惹かれたものに飛び乗った感じだ。

その飛び乗った船が、思いもよらない方向に進んでいった。

そしてさらに、どこかへ行こうとしている。

どこに向かっているのかはわからないけど、でもなんだかワクワクする。

きっと私を、まだ見たことのない世界に連れて行ってくれるに違いない。

今年こそは転職しよう、とか

資格を取って独立しよう、とか

TOEICで〇〇〇点突破、とか。

あるいは、

今年こそ彼氏を作って、脱・クリぼっちだ! とか

彼にプロポーズさせるぞ! とか

いや、もう一生シングルでいいから、究極のリア充ライフを満喫するのだ! とか。

もちろん、そういう明確な目標を定めて進んでいくことは、素晴らしい。

たぶん、その方が時間のロスも少ないし、お金も無駄にならないかもしれない。

でも、ひとつのゴールを目指してまっすぐ進もうとするあまり、その周囲に転がっているかもしれない、素晴らしい可能性やチャンスを見過ごしてしまっているかもしれない。たくさんのヒントを取りこぼしてしまっていることもあるかもしれない。

だから、もし新年を迎えて、とりたてて今年の目標がないとか、やりたいことが見つからなくても、それはそれでいいのだ。今年は〝何もしないをする〟1年にすればいい。何もしないときに感じること、見えてきたことに素直に反応することで、新しい可能性が生まれるからだ。

〝People say nothing is impossible, but I do nothing everyday〟

映画『プーと大人になった僕』で、プーさんがつぶやいた言葉だ。

プーさんは毎日はちみつをなめているだけで、熱心に本を読んでいるわけでも、何かを勉強しているわけでも、体を鍛えているわけでもない。でも〝何もしない〟ことで、自分の気持ちにいつも素直でいられる。自分が今何をしたいのか、何を欲しいのかがわかる。自分を知りたいときこそ、〝何もしない〟時間が必要なのだ。

昨年のおみくじには、こうも書かれていた。

「広く枝を伸ばしたほおの木のように、可能性が大きく広がっています。この好機を生かすことです」

ふりかえると、確かに今後の可能性を感じられるような年だった。

でも、この1年で広がった可能性の行き先はまだわからない。

自分が本当にたどり着きたい場所がまだ見えない。

だから、〝何もしないをする〟を今年の目標にしよう。

何もしないで、自分が感じることを大切にしよう。直感で動いてみよう。

そうしたら、自分の想像をはるかに超えた未来が待っている気がする。

だから今日も何もしないで、自分の欲望に忠実に、食べて、飲んで、寝て、笑おう。

〝何もしないをする〟は別に難しくない。

つまり、毎日がお正月だと思えばいいのだから。

❏ライタープロフィール

江島 ぴりか(Etou Pirika)
北海道生まれ、北海道育ち、ロシア帰り。
大学は理系だったが、某局で放送されていた『海の向こうで暮らしてみれば』に憧れ、日本語教師を目指して上京。その後、主にロシアと東京を行ったり来たりの10年間を過ごす。現在は、国際交流・日本語教育に関する仕事に従事している。
2018年9月から天狼院書店READING LIFE編集部ライターズ倶楽部に参加。
趣味はミニシアターと美術館めぐり。特技はタロット占いと電車に揺られながら妄想すること。ゾンビと妖怪とオカルト好き。中途半端なベジタリアン。夢は海外を移住し続けながら生きることと、バチカンにあるエクソシスト(悪魔祓い)養成講座への潜入取材。

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2019-01-08 | Posted in 週刊READING LIFE vol.14

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