ウルトラトレイルランナーが案内する日本一過酷な鎌倉・湘南観光

第20回:人間は段階的に太っていく(シリーズ減量〜その3〜)《ウルトラトレイルランナーが案内する日本一過酷な鎌倉・湘南観光》


2024/9/9/公開
佐藤謙介(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
減量を本格的にスタートして2週間と少し経過した。
ここまでの進捗を見てみると
 

【1ヶ月間の体重推移】

 
8月21日(水)
体重:90.5kg
体脂肪率:19.5%
 
9月8日(日)
体重:88.85kg(−1.65kg)
体脂肪率:17.8%(−1.7%)
 
10月13日のハセツネ本番まで残りあと34日間で2.85kg。
最後の1週間は極端な減量は避けたいので27日間と考えると1週間でおおよそ0.7kgずつ落としていく計算になる。
今のままのペースで落ちていけば達成可能な範囲だろう。
ただ、油断は禁物なので、引き続き運動と食事のコントロールを頑張りたい。
 
さて、私は前回の記事でダイエットには3つの要素が必要であると書いた。
 
一つ目は「具体的な手段」
二つ目は「自分の体の状態と特性」
三つ目は「マインドコントロール」
 
一つ目の「具体的な手段」については前回の記事で目標体重までの解像度を高めることで説明をした。
 
(参考)目標の解像度を高める(シリーズ減量〜その②〜)
https://tenro-in.com/ultra_trail-kamakura_shonan/328166/
 
今回は二つ目の「自分の体の状態と特性」について考えてみたい。
 
 

あなたはいつ太りましたか?


突然だが皆さんはこれまでの人生でいつ太っただろうか?
おそらく毎月、毎年右肩上がりに綺麗な曲線を描いて体重が増えたという人は少ないのではないだろうか?
ある時に突然数kg増え、それがしばらく維持され、そしてまた数ヶ月後、あるいは何年か経ったあたりでまた数kg増えるという感じで太ったのではないだろうか?
 
子供の頃は成長期なので誰でも毎年一定の体重増加をしたと思うが、今考えていただきたいのは成長期を過ぎた後にあなたが太った時のことである。
例えば私が覚えている中で強烈に体重が増えたのは、
 
・浪人生の時
・社会人一年目の時
・起業した時
 
この3つである。
高校生の時の体重は比較的安定していた。
身長は伸びていたが、運動もそこそこしていたので、浪人するまで私は覚えている限り体重は85〜90kg前後だったはずだ。
ところが長い浪人生活を送っている間に体重は105kgまで増加した。
その後大学に入ってから運動部に入り、また苦学生で贅沢な食事を摂れなかったこともあり、少し減って92kgぐらいまで戻ったが、社会人になった時に1年で体重が10kg増加し100kgを超えた。
そして体重100kgになってからはしばらくこの体重が続き、そして社会人6年目の時に勤めていた会社を辞めて起業した時に、さらに体重が増加して110kg近くまで増え、トレイルランニングを始めるまでの3年間はだいたい100kg以上をキープしていた。
 

【体重の推移】

 
このように私はずっと太った状態ではあったが、毎月、毎年右肩上がりで増え続けたのではなく、ある時に急に10kgほど太って、それをキープした後、また突然10kgほど太るということを続け、最後は110kgに到達したのだ。

何が言いたいかというと、人間には「セットポイント」というものがあり、そのセットポイントはある時突然増えるということなのだ。
 
 

人間の体重はセットポイントで決まる


「セットポイント」とは体重の「設定値」のことである。
皆さんもダイエットして一時的に体重が減っても元に戻ってしまう「リバウンド」を経験したことがあるだろう。これがまさにセットポイントである。
 
例えば現在の私のセットポイントはおそらく92kgだ。
毎年レース前に体重を87kgぐらいまでは落とすことができても、少し気を緩めると必ず体重は92kgまで戻ってしまう。そして92kgに達するとそこでだいたい止まる。
そのあとは毎月300〜400km走ろうが私の体重はほとんど増減することはない。
必ずこのセットポイントに戻ってしまうのである。
 
これは生物が生得的に備えている「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」があるせいだと言われている。
 
もし運動をたくさんすれば痩せるのであれば、毎月300〜400km走っている自分が痩せないわけがない。ところがこれだけ走ったとしても私の体重はほぼ一定なのだ。つまりはただ走るだけでは体は痩せないのである。
 
もちろん、これまで全く運動していなかった人が有酸素運動を毎日30分続ければ、最初は目に見えて体重は減るはずである。しかしそれをある程度続けていると今度は体がその消費量を覚え新たなセットポイントを作り出してしまう。すると今までと同じことを繰り返しても体重はそこから落ちなくなってしまうというわけだ。
 
つまり長期的に体重を落とすということはこのセットポイントをコントロールするということと同義なのである。
 
 

セットポイントを上げてしまう要因


セットポイントがダイエットにとってとても重要だということは理解していただけたと思う。
ではセットポイントとは何によって変わるのだろうか?
 
結論からお伝えするとセットポイントは「ストレス」によって変わるのである。
(他にも遺伝や環境、生育歴なども影響するのであるが、自分でコントロールしにくいため、ここでは「ストレス」に絞って解説する)
 
先ほど私が実際に太った時のことを書いたが、この3つのタイミングに共通するのが強いストレスが加わった時期ということだ。
 
浪人時代、社会人一年目の時、起業した時、どれも相当の「ストレス」が加わっていた。
人間はストレスがかかると体の中で「コルチゾール(ストレス調整ホルモン)」が分泌される。
コルチゾールが体の中でどのような影響を及ぼし体重増加につながるかは様々な要素があるので、ここでは「コルチゾールが増加すると食欲が増進する」とだけ覚えていただきたい。つまり、ストレスがかかると人間はそれに抵抗しようとするためより多くのエネルギーが必要になるのである。
 
受験勉強や入試試験のプレッシャーや、社会人一年目の営業目標や上司からのストレス、起業した時の株主からのプレッシャーなど、今思い返してもかなり辛い状況だったことは間違いない。
 
こういった高ストレスにさらされると人間はよりエネルギーを蓄積しようと、高カロリーなもの(スーパージャンクフフードなど)を欲しがり、そのせいでセットポイントを上方修正してしまうのである。
 
ちなみに炭水化物抜きダイエットや、数日間の断食(ファスティング)などの急激に体重を減らすダイエットを行った後に、リバウンドして以前よりも体重が増えてしまったという経験がある人もいるのではないだろうか。実はこれも急激なダイエットというストレスを体に加えたことによって、セットポイントが上方修正されたことによって生じた現象なのである。

このようにストレスをできるだけ加えない・貯めないことがセットポイントを引き上げない重要なポイントなのである。
 
 

セットポイントを下げるために


セットポイントを上げないためにストレスに着目することがわかれば、セットポイントを下げるために重要なこともまた「ストレスコントロール」である。
 
ここでダイエットの三つの要素の最後「マインドコントロール」が必要となる。
とにかく人間はストレスがかかると、コルチゾールが分泌されエネルギーを必要とするようにできている。
ではストレスをゼロにできるかといえば現代社会においてそれは不可能だろう。
 
仕事をしていればどんな人でも少なからず何かしらのストレスがかかるはずだ。
また現在や将来にわたって経済的に全く不安がないという人も少ないだろう。
他にも人間関係において全ての人と全くストレスなく付き合うことも現実的ではない。
さらに現在私たちが生活している環境の中にも、政治、経済、犯罪、戦争などの悪いニュースがゴロゴロ転がっている。
 
これら全てにおいてストレスをゼロにすることはほとんどの人にとっては困難なことである。
そこで自分のマインド(考え方)をコントロールすることによって、ストレスを軽減することが必要になるのだ。
 
マインドの使い方もいろんな方法があるが、次回「ゴール設定」と「努力の仕組み化」の2つについて考えてみたいと思う。
 
 
 

□ライターズプロフィール
佐藤謙介(READING LIFE編集部公認ライター)

静岡県生まれ。鎌倉市在住。
幼少期は学校一の肥満児で、校内マラソン大会では3年連続最下位。ところが35歳の時にトレイルランニングに出会い、その魅力に憑りつかれ、今ではウルトラトレイルランニングを中心に年に数本のレースに参加している。2019年には世界最高峰のウルトラトレイルランニングの大会「UTMB」に参戦し完走。2023年イタリアで開催された330kmの超ロングトレイルレース「トルデジアン」に完走。普段は鎌倉・湘南エリアを中心にトレイルランニングを日常として楽しんでいる。
天狼院メディアグランプリ 56st season 総合優勝

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