メディアグランプリ

第3回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》


2025/12/1/公開

記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 

結婚で得られるものと、失うもの

そう聞いて「何それ?」と思った方もいれば、

「そうそう、まさにそれ」と頷いた方もいるかもしれません。

 

結婚は、幸せか不幸せかという二択ではありません。

得るものもあれば、同時に手放す(失う)ものもある。

そしてその配分は、時代や年齢によって大きく変わります。

ここで重要なことは、

・時代や年齢で、この配分がガラッと変わるという事が大前提である事をご理解下さい。

・結婚で「得る・失う」ものは 愛そのものではなく、選択肢と自由の配分 という事を念頭に置いて下さい。

・個人差は、ございます。

これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。

ブライダルの現場を25年以上見てきた私が、今、伝えたい事は。

 

【令和の結婚とは】

 

「好きだから……。でも、それだけじゃないんです」

結婚する理由を司会者に聞かれると、ご新婦様は少しだけ困った顔をして、そう答えた。

 

「正直だな」と私は思った。

ご新郎様も、隣で小さくうなずいた。

 

お2人は、ドラマチックな恋をしていない。

燃え上がるような告白も、運命的な出会いもない。

出会いはアプリ、初デートはカフェ、3回目でようやく敬語が取れた。

 

でも、お2人はよく話す。

今日、しんどかったこと。今は1人になりたいこと。

相手の言葉に傷ついたこと。

「言わなくても分かるでしょ」は、最初からない。

 

ご新婦様が言う、

「今日は無理。ごはんも作れない」

ご新郎様は、

「了解。じゃあ各自で」

優しさは、頑張らない形で差し出される。

 

お2人は、同じ方向を見ていない。

ご新婦様は仕事に夢中で、ご新郎様は自分の時間を大事にしている。

休日も別行動が多い。

 

それでも、夜になると同じ場所(自宅)に戻ってくる。

報告も特にしないし、お互いに干渉もしない。

ただ「おかえり」と言う。

 

ケンカもするが、勝敗は決めない。

どちらが正しいかより、

「このまま続けるためには、どうするか?」を話す。

 

結婚したから幸せになった、とは言わない。

結婚したから不安が消えた、とも言わない。

 

ただ一つ、はっきりしているのは、1人で抱えなくなったということ。

 

ご新婦様は「結婚って、完成じゃないのね」

ご新郎様は「うん、毎月アップデートする契約」

と、笑って答える。

 

世間から見たら、地味な夫婦。

お2人は愛の盛り上がりより、壊さない工夫の積み重ねだということを。

よく、理解している。

 

だから、過度な期待をせず、過剰な我慢もしない。

それでも、同じ場所に戻る。

 

それが、令和の結婚。

愛の証明ではなく、継続可能性の設計。

だから、条件より対話を大事にし、理想よりも現実に運用する。

そして、覚悟より調整能力。

この視点を持つカップルほど、静かに、長く、ちゃんとうまくいっている。

令和の結婚は“静か”だからこそ、強い。

 

 

ではまず、年代別に見ていこう。

 

① 年代別に見る‘結婚で得るもの/失うもの’とは?

 

20代の結婚は、人生設計のスタートアップ。

得られるものは、社会的信用(特に日本の社会では、この傾向がまだ強い)や、経済の共同化による安定。そして、「一緒に成長する」という物語資産など。

失うものは、試行錯誤の自由や自分の価値観を壊して、再構築する機会など。

 

30代の結婚は、戦略的パートナーシップ。

愛よりも「相互理解力」と「言語化スキル」が成否を分ける。

得られるものは、生活の効率化で、時間配分や家事分担さらに、感情労力いわゆる1人で考え込まなくて良いことや孤独リスクの低減。そして、キャリアと家庭の役割分担など。

失うものは、1人で意思決定する軽さや気楽さや感情の気ままさなど。そして、仕事や移動、プライベートの自由度など。

 

40代の結婚は、再編集。“幸せ”より“納得感”を重視。

得られるものは、精神的な伴走者や健康・老後のリスクヘッジなど。そして、人生後半を語り合える相手など。

失うものは、自分流で生き切る潔さや一人時間の完全な自由。過去の習慣や癖など。

 

 

② 時代別に見る「結婚の意味の変化」について

 

・昭和時代の結婚は‘生存戦略’だったようだ。

得るものは、経済的安定や世間体であり、役割が明確。

失うものは、個人の夢や感情の自由、選択権など。

要するに、幸せかどうかより「正しいかどうか」がポイント。

 

・平成時代の結婚は‘幸せの手段’。

得るものは、恋愛の延長としての結婚であり、家庭という心の拠り所を求める。

失うものは、依存と期待の衝突や「察して欲しい」文化による摩耗

愛があれば何とかなる、と思いがちで、何とかならない時代。

 

・令和時代の結婚は、必須ではなくオプション。

得るものは、制度としての便利さや、選べる関係性(事実婚・別居婚など)さらに価値観ベースの共同体である。

失うものは、「結婚すれば安心」という幻想と、自動的な幸福は失くす。

結婚は、決してゴールじゃない。1つのプロジェクトだという認識。

 

 

③ まとめ

 

昭和は「守られるための結婚」

平成は「愛を証明するための結婚」

令和は「自分の人生を壊さないための結婚」

 

年代が上がるほど、

得るものは“安心”から“納得”へ、

失うものは“自由”から“気楽さ”へ

と変わります。

 

 

つまり結婚とは、

何を得たいかではなく、あなたは何を手放せる(失う)かの選択。

選択を誤ると、結婚という制度は味方ではなく、

重り(敵)にもなり、ズレにもなります。

 

ブライダルの現場を見続けてきたからこそ、このズレは山ほど見てきました。

 

令和(今、現代)時代の今は、ラブラブでも我慢大会でもない。

お互いに運用が、上手い関係です。

感情より設計、勢いよりアップデート。ここが昭和・平成と決定的に違う。

 

ここで、令和の結婚について、具体的に整理してみます。

 

  • 「愛してる」より「説明できる」

気持ちを察し合っていない、その代わり思いをちゃんと言語化している。

「なぜ、それが嫌か?」

「どこまでなら、許されるまたはOKか?」

これを都度、アップデートする。

愛情は前提条件、運用はスキル。

 

  • 役割分担が“固定”ではなく“流動”

できる方が、やる。

「これは、あなたの仕事」「あなたがやって」

などと言わない。

体調や仕事量、メンタルでお互いの役割は変わる。

実はこれ、めちゃくちゃ高度なチーム運営。

 

  • 「同じ」より「違っていい」が前提。

趣味が違うとか、考え方が違うとか、価値観がズレる瞬間がある。

もちろん‘価値観が同じ夫婦’は、やっぱり強い。

しかし、価値観など‘違いを前提にしている夫婦’の方が長持ちする。

違うからと言って修正対象にするが、無理に変化させない。

違いは、もともとエラーではなく、仕様の違い。

 

  • 結婚を“ゴール”にしていない。

結婚後に、環境が変わったらどうするか? どちらかが、病気になったらどうするか?

さらに、自分の気持ちが揺れたらどう話すか

そう、結婚した瞬間から「次」を見ている。

つまり、結婚は完成品やゴールではなく、プロトタイプ(試作品)。

 

  • 1人の時間を尊重している。

夫婦であっても、それぞれの世界があり依存しないし、報告義務がない

仲がいい夫婦ほど、一緒にいない時間が健全。

「常に一緒=愛」ではなく、

「戻れる場所がある=信頼」

 

⑹“世間”より“2人の合意”が最優先。

親、友人、常識、SNSなど、令和はとにかく、ノイズが多すぎる。

しかし「外の正解」を家に持ち込まない。

決めるのは、いつも2人で。

 

  • ケンカの目的は、勝つことじゃない。

結論を急がない、人格否定をしない、過去を武器にしない。

ケンカではなく、調整会議。

感情は出すが、壊さない。

 

  • ここが核心。

「相手の人生を壊さない」という覚悟。

幸せにしてあげる、ではない。

少なくとも、邪魔はしない。

この一線を互いに守れている関係は強い。

 

 

次回は、年代別の50代以上について、お話ししていきます。

 

 

《終わり》

 

 

❒ライタープロフィール

藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』

愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年携わり、2200組以上のご新郎・ご新婦様の人生のスタートに関わりました。

さらに、大好きな旅行を業務として20年。思い立ったら、世界中どこまでも行く。知らない事は、どんどん知ってみたい。 

と、好奇心旺盛で即行動をする。とにかく何があっても、切り替えが早い。

ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? 

をいつも模索しています。

2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。

 

 

 

 

 

 

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