息子に伝えておきたい「お金」のはなし
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:大村 博士(2026年1月開講・渋谷/通信・4ヶ月コース)
息子よ、君がもう少し大人になったら伝えようと思っていた、「お金」について書こうと思い立った。 世の中にはお金に関する本がたくさんあるけれど、それらを読む前の「基礎知識」とでも思ってほしい。
それではいきなり本題だが、お金は「タイムマシン」だと言ったら、今中学生の君は「は? 何言ってるの?」と変な顔をするだろうか。
残念ながら、このタイムマシンは人間を時間旅行させるものじゃない。
お金は「時間」を保存する装置
結論から言ってしまうと、お金の本質は、君や誰かが費やした「時間」そのものだ。
さらに言えば、その時間を濃密に使い切った「努力」の証だと言い換えてもいい。
——つまり、お金は「時間を保存する装置」なんだ。
例えば、少し現実的な計算をしてみよう。
私立高校の初年度納付金(東京都平均): 約987,000円
日本の平均年収(約460万円)の時給換算:約2,738円(1日7時間・月20日勤務前提)
この条件で計算すると、親は子供の1年間の学費を払うために約360時間働いていることになる。 1日7時間勤務だとしたら、1ヶ月半から2ヶ月分の労働だ。 税金などが引かれることを考えれば、実際にはそれ以上の時間を費やしている。
君の場合には、君が学校で授業を受けている裏側で、パパやママの人生の時間が仕事を通じて「お金」という形に変換され、君の未来に投資されているということだ。
「だから感謝しろ」「もっと勉強しろ」ということを、ここで言いたいわけではない(別なところでは言うかもしれないが(笑))。 お金とはそういう仕組みで動いている装置なんだ。
ライフステージごとの「お金」の動き
お金と時間の関係について、もっと分かりやすく言うとこうなる。
・お金を稼ぐこと: 誰かのために自分の時間を使うこと
・お金を使うこと: 誰かの時間と努力を利用させてもらうこと
・お金を貯めること: 将来の「家族との時間」や「自由な時間」を保存しておくこと
蛇足だが、「悪銭身に付かず」とはよく言ったもので、人は賭け事や何かの偶然で手にしたお金は、貯めることができず簡単に浪費してしまう。 きっとそこには「時間」或いは「努力」の積み重ねといった「重み」が無いからだろう。
——さて、さっきは親から子へというお金(時間)の動きだったが、人生のステージにおいては自分自身の中でもお金の行き来がある。 大まかにはこんな感じだろうか。
学生時代には、親からのお金を使って勉強し、将来自分が人の役に立ってお金を稼ぐための基礎能力をつける。
青年期には、自分で仕事をしてお金を稼ぎ自立する、さらに自分と家族の将来のためにお金を貯める。
中年期以降も、引き続きお金を稼いで貯めるのだろうが、子供への投資が大きくなり、自分の経済的自由のためにお金を使う方向へシフトしていく。
君は今、親のお金(時間)を使って勉強し、将来人の役に立つための基礎能力をつけるべきステージにいる。 まずは人の役に立てるように、今はしっかり学び、心身を丈夫にしてほしい。
お金に働いてもらう「複利」の力
ここまでは、自分で稼ぐ話をしてきたが、実はお金自身も稼いでくれる。
知っているとは思うけれど、「金利(ここでは投資利益も含む)」のことだ。
特に、金利の必殺技である「複利効果」は強力で、元本から発生した金利にもまた金利がつくという効果により、雪だるま式にお金が増えていく。
複利とは、「時間が味方になってくれること」と言っても良い。
ここでは理屈を省くけれど、マジックナンバー72の法則というのを覚えておくと良い。 これは、72を金利(%)で割ると、「何年で元本が2倍になるか」が分かる法則だ。
・今の銀行預金(約0.3%): 72 ÷ 0.3 = 240年(ほぼ江戸時代と同じ長さ!)
・手堅い投資信託(約3%): 72 ÷ 3 = 24年
・上手に運用できた場合(約7%): 72 ÷ 7 = 約10年
複利効果もそれなりに時間がかかるけれど、まともに運用できればすごく助けになる。
少し脱線するが、欧米が「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」よろしく金利をビジネスへせっせと組み込む一方で、イスラム教圏の国では金利を認めていない。 これは、彼らが遅れているのではなく、「時間は神様のもの」だから人間が勝手に利益にしてはいけない、という深い哲学があるからだ。 確かに時間は神様の領分かもしれない。 けれど、その時間をどう味方につけるかで、人生の景色は大きく変わる。
「良い借金」と「悪い借金」
さて、ここまではお金を「稼ぐ」「増やす」話をしてきた。 では、稼ぐ前にお金を使ってしまったらどうなるのだろうか。 つまり「借金」だ。 恐ろしいことに、借金をすると、今まで味方だった複利が、とてつもなく強力な敵に変わる。
例えば、消費者金融(よくテレビでも宣伝しているが)の金利は、法律ギリギリの約18%に設定されている。 72の法則を使うと、72÷18=4年。 つまり、4年間借りっぱなしにするだけで、返すお金が2倍に膨れ上がる! 安易な借金は絶対にしてはいけない。
でも一部の例外として「良い借金」もある。 それは住宅ローンと車のオートローンだ。
これらは金利が1〜3%程度(住宅ローンの変動金利なら1%以下)と非常に低い。 特に住宅ローンは生命保険がついていることが多く、万が一の時には保険でカバーされるし、最悪の場合は家を売却して現金化することもできる。 とはいえ「何を買うか」が肝心だから、その点については慎重に考えてほしい。
なお、将来この「良い借金」をするために、絶対に守るべきルールが2つある。
- 消費者金融や銀行カードローンで借金をしないこと
- クレジットカードの残高不足を起こさないこと
これらを破ると、「信用情報機関」という金融ネットワークに「事故情報(いわゆるブラックリスト)」として記録が残る。 そうなると、将来「家を買いたい」と思っても銀行に門前払いされてしまう。 人生の大事な選択肢を失うことほど、悔やまれるものはない。
最後に
お金について考えるということは、自分がどう時間を過ごすのか、つまり「人生をどう生きるのか」を考えることに等しい。
むやみに働いてお金を貯め込んだとしても、家族が助けを求めているときに自分の時間が割けないなら、それは悲劇だ。 仕事なら代わってくれる人はいるが、自分の家族を支えられるのは自分だけだ。 自分の「時間」と「お金」をどう配分するのか、そのバランスをよく考えてほしい。
君がお金という「タイムマシン」を上手に乗りこなして、自分らしい未来へ辿り着くことを願っている。
……と、何だか遺言めいてしまったけれど、まだまだこの世に居座るつもりなので、これからも一緒にお金と人生について勉強していこう。 それに、まだまだ伝えたいこともあるので、それはまた追い追いにでも……。
まあ、まずは衝動的にものを買わないようにするところから始めてみようか!
《終わり》
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