第15回：損切りは続くよどこまでも？ の巻《素人投資家いちねんせい実況中！》
記事：安光伸江（天狼院公認ライター）
４月に入り、日経平均は上がっているのに、あいかわらずケータイ３社の株が安い。ソフトバンクなんて新規公開以来一度も公募の1500円に達してない。ネット証券で安く買っていた分は適当に上がったところで売って利益を得たけど、大手証券会社で新規公開の時に買った株はそのまま塩漬けになっていた。
それがなんとな～く、気になっていたら、大手証券会社のいつもの担当のにぃちゃんことＭ師匠も同じことを考えていたらしく、４月８日の月曜日、スポクラで着替えていたところで電話が鳴った。なんとな～く、もごもごと言いにくそうにしているので「損切り、ですよね？」とこちらから話を向けたら、「そうです」と言う。やっぱりね。アメリカ株はもう売り払ったからあとはソフトバンクしかない。Ｍ師匠イチオシのゲノム関連ファンドの伸びがよく、こっちに乗り換えた方がいいんじゃないかという見解。実は私もそう思っていた。思っていたけど、損切りする勇気がなかなか持てなくてねぇ。
たまたま４月始めには大手証券会社附属銀行（なんて名前ではないけど）の定期預金が満期を迎えていたので、それと合わせて買っちゃいましょう！ というのがＭ師匠の考えだった。そう来たか～。６日と11日に満期があって、６日の分はさっさとゆうちょ銀行の本人名義の口座に移していた（これは手数料がかからない）のだが、11日の分があいたらすぐやろうと言うのだ。それまで動けませんね、という話をしていたんだけど、ほんとは今すぐにでもやりたいみたい。スポクラからゆめシティまで戻るバスの中でいろいろ考えてみたけど、あ～、しょうがないなぁ、意見が一致しているんだからこれはやるしかないなぁ、ということで、ゆめシティに戻ってからセブン銀行のＡＴＭで入金し、「20万円入れておきましたのでこれで進めてください」ということにした。そのかわり、11日満期の分はゆうちょに移しますよ、という条件で。
折り返しの電話を受けたのはスタバで、午後３時の締め切りぎりぎりのところで注文を出すことになった。ソフトバンク300株全部売り。うまいこと指値で売ってくれたみたい。そしてさっき入金した分の一部と合わせてゲノムのファンドを買うことになった。
あ～、売っちゃった
ソフトバンクがＭ師匠の証券会社に残っているの、気になっていたんだよね～。これはもう塩漬けどっぷりで売れないものかと思っていたけど、ゲノムのファンドはすくすく育っているから、もしかしたらモトがとれるかもしれない。ソフトバンクの損失分はたぶん大丈夫だろうなと思う。アメリカ株の損失数十万円はいつになったら戻るのか定かではないけど。
そして数日後
あいかわらず安いケータイ株、なんとドコモが年初来安値を更新してしまった！ なぜ？ どうして？ ５Ｇの割り当てが発表されたのに？ いい材料じゃないの？ とＭ師匠のところに電話して聞いてみたけど、それはもう織り込み済みでたいして好材料ということでもないらしい。それより値下げによる？ 減益が見込まれることを嫌気しているのかも、とかなんとかかんとか（いや別の話だったかも）いろいろ話していて、年初来安値を「更新した」というのが気になりますね、ということでまたまた意見が一致してしまった。これはもくろみがはずれた（上がってくるところで売るつもりだった）ということだから、「はずす（＝売る）」ことも考えた方がいい、とのこと。500株持っていたのでけっこう損は大きい。ＫＤＤＩと合わせたら20万円くらい損しちゃう。でも全部で300万くらい持っている中の20万円なら、取り戻せますよ、という話になった。Ｍ師匠のお客さんで200万円くらい損した人がアメリカ株で半分取り戻している、なんて話もしてくれて、そっか～、じゃぁやるか～、なんてことになった。
そうすると私の動きは速い。その日の夜間取引で、ドコモ株を全部売っちゃった！ 参加している人が少ないので、買い気配っていうのか、いくらで買いたい、と出ている値段にあてて指値で売ってみたのだ。そしてその夜のうちにアメリカでアマゾン２株とアップル20株買っちゃった。翌朝になったら三菱商事（Ｍ師匠オススメ）も買ってみた。
その報告の電話をしたら、Ｍ師匠の会社では夜間取引がないので「行動、速いですね」とびっくりされた。昨日の終値とその日の始値よりは高く売れたからいいことにしたんだけど、もう少し待っていた方がもうちょっとは高く売れたかも。でもそれは蓋をあけてみないとわからないことなんだそうだ。プロでも動きは読めないんだから、素人投資家の私に先を見通すことなんてできるわけがない。だからもう、直感で動くしかない。
はぁ……
損切り、しちゃいました……
でも！ 30万かかると思っていたシロアリ業者さんの見積もりが22万円なにがしで少し安くすんだし！ アメリカ株と合わせた評価額は損切りした分を超えたプラスだし！ まぁ……いいことにしよう……かな。とも思った。
損切り、嫌いなんだけど、これは避けては通れない道なのかもしれない。そのうちドコモが盛り返して「しまったなぁ、売るんじゃなかったなぁ」と思う日が来たらいいな、とは思うんだけど。
こんなことならトヨタ自動車株をもう少し持っておけばよかった……すぐ戻ったのに。もっとお得になったのにね。なかなか難しいもんだね。
さらに、平成～令和の10連休を前にして私はまた損切りをしてしまった。前回売ったドコモに続き、500株あったＫＤＤＩを、夜間取引で何回かにわけて全部売っちゃった。その日の終値よりは高く売れたから、だいぶマイナスが出たけどまぁいいや、と思っていたら、翌日100円くらい上がった（号泣）。ひとばん待てば５万円くらい取り戻せたのに、平均取得単価からのマイナスが少なくてすんだのに、損しちゃった感じ。ぐすん。完全に判断ミスだ。悔しいぞ。
Ｍ師匠に話したら「残念でしたね」と言われ、夜間取引はあまりしない方がいいということで意見が一致した。夜間取引は大引け（午後３時）後に何か新しいニュースが出た時にするものであって、何も材料がない時は普通に昼間の取引をした方がいいらしい。確かに今までの夜間取引では、その日の終値よりは高く売れたけど次の日に上がった、というのが続いていたから、素人はあまり手を出さない方がよさそうだ。トヨタ自動車もうまく売れたと思っていたらその数日後にずいぶん上がったし。３月の18日くらいに楽天証券で夜間取引が始まってたった１ヶ月で何回か失敗したんだから、これはもうやめとけという神様のお告げのようなものだろう。
さて４月に入ってから複数の証券会社のセミナーやオンラインセミナーを受講し、勧められた銘柄に手を出したり、持っている銘柄を損切りしたり、いろいろごちゃごちゃやってみた。これを書いているのはまだ平成で、10連休の前に手仕舞っておこうという魂胆だ。買ったものは1570日経レバレッジＥＴＦと村田製作所。セミナーの資料を見た限りでは村田製作所なんて高くて買えないよ、と思ったんだけど、なんと３月末に３分割したという。それなら私でも買えるかも、と思って買ってみたらこれがひょこひょこ値上がりしてくれて、プラスが出ている。そこで今日の始値からちょこっと下がったのを見計らって買い増しもしてみた。平均取得価格は上がったけど、それでもまだプラスだからいいことにしよう。
あとの株はけっこうばっさばっさと売ってしまった。ＫＤＤＩの損失でもはや感覚が麻痺してしまったのかもしれないけど、下がったのでナンピン買いをしていた三菱商事を、きれいさっぱり売り払ってしまった。Ｍ師匠ご推薦銘柄だけど、下がり方が気に入らなかったのでばっさり損切りしちゃった。気分がすっきりしたのでそれはそれでよかったのかもしれない。Ｍ師匠はなんとか持ち直してくれるといいんですけどね～と言っていたけど、売ったあとも下がっていたから、珍しく判断が正しかったような気がした。後悔はしていない。
アメリカ株ではプラスが出ていたアップルと、マイナス2000円くらいだったノキアを売った。でもアップルは２回に分けたので手数料を考えるとたいした儲けにはなってなさそう。ノキアは200株持っていたのを全部売ったけど、もともとの株価が高くないからそんなに損失にはなっていない……はずだ。手数料も最低の5.4ドルですんだしね。
日本株は売ったらすぐに（といっても受け渡しに数日かかるが）お金が楽天銀行に移されるけど、アメリカ株は外貨で売買しているので証券口座に残ったままになる。しかも税金が日本円で引かれて、手数料も日本株より高いみたい。よく、わからない。日本株みたいに「シロアリ駆除工事に使うために株を売って資金を作りましょう」というわけにはいかない。難しい。
そう思っていたら、株は買うときより売るときの方が難しい、というネットの記事をみつけた。そうだよなぁ。売るときを考えて買いましょう、とのことだ。だからとりあえず10連休前は村田製作所と1570に期待して、あとのは全部手仕舞った（＝売った）わけだ。10連休でもアメリカ市場はやっているから、そこで何か買ってみたいな、という思惑もあり、ドルで資金を確保してみた。さてこれがうまくいくか？ 平成最後の時を生きている私はドキドキしているのだった。
というわけで４月18日後場の時点で持っている株は
1570日経レバレッジなんとか10株
6981村田製作所300株（いつの間に！）
アマゾン・ドット・コム
バークシャー・ハサウェイ クラスＢ
アリババ
ペイパル
マイクロソフト
になった。アップル大好きなのにアップル株を売っちゃうなんて、と思わないではないけど、そのうちまた買うかもしれないな。さんざキャンセルしまくってついに買ったiPad mini 5（Wi-Fi版にした）はなかなか使い勝手がいいから、その評判でアップル株も上がらないかな～と思っているんだけど、どうだろう？
で、４月18日現在の実現損益はマイナス14万円ちょい、評価損益はプラス36万円弱になった。アマゾンとマイクロソフト、そして村田製作所ががんばってくれているのがありがたい。とりあえず評価損益としては、プラス。だから、いいことにしよう。損切りは痛かったけどね。
あっ！ 忘れてた。Ｍ師匠のところで数十万円の損切りをしたんだった。これは医療機器とゲノム関連のファンドに化けているのだけど、まだ取り戻すにはいたっていない。でもなぁ。アマゾンをいちばん高いときに買ってそのあとどっちゃり値下がりしたのは、私の判断というわけではなかったからなぁ。何もわからずにお姉さんの言うなりになったのがいけなかったんだ。もちろんそれも自己責任だけど、素人投資家いちねんせい、になるより前の、赤ちゃんの時だからなぁ。しょうがないか～。ファンドの成長に期待するしかないな～。Ｍ師匠もいろいろ考えてくれたしな～。
でも楽天証券の方は、Ｍ師匠の入れ知恵はあるものの、自分の判断でやっている。だからケータイ会社などの損切りで損しちゃったのは完全な私の判断ミスだ。これはなんとか取り戻したい。取り戻したいよ～～～。村田製作所を300株にしたのは値上がりしたところで一部売ろうという魂胆なんだけど、ここにはホントに期待してる。頼むよ。応援するからさ。
あれだけ大好きだったリンガーハットとペッパーフードサービスは、株を買うんじゃなくてお店で食べて応援することにした。明日からサーロインのキャンペーンだって（これが載る頃にはとっくに終わってるけど）。しょっちゅう食べに行っていると付け合わせのインゲンがなんとなく多めに盛られている気もするし、お店の人も親切だし、私としてはいきなりステーキもペッパーランチもリンガーハットもゆめシティに長くいて欲しいわけです。株を買うよりお店にお金を落とす方がいいと思うわけです。そしていろんな人をお店に誘導したいわけです。Ｍ師匠に逆に営業かけちゃったりもしてるくらいだもんね。
と、いうわけで、10連休まではとりあえずおとなしくしておこうかな～と思っているところ。評価損益でほぼ全銘柄プラスというのはなかなか気分がいい。このままプラスのままでいて欲しい。実現損益マイナスは痛いけど、売ればいつでもプラスに出来る、という状態で令和を迎えたい。
そんなわけで今日の教訓：株を買うときは売るときのことを考えよう！
私としては、もう損切りは十分やったから、これ以上しなくていいような運用をしたいと思った。評価損益プラスの方が気分がいいに決まっている。
さぁ、令和へ向かって、資産運用も新しく仕切り直そう！ いつかは株長者に、なってやる！
つづく。
❏ライタープロフィール：安光 伸江(READING LIFE公認ライター)
山口県下関市出身・在住。下関西高、東京大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
大学卒業後は東京で声楽・器楽の伴奏ピアニストや音大非常勤講師などの音楽活動をしていたが、2008年９月、リーマンショックの１週間前に病気療養のため実家に帰る。その後2016・2018年と両親を看取る。2016年乳がんの全摘手術と抗がん剤を体験した乳がんサバイバーでもある。LTE契約なしのガラケーとiPhone 2本・Android 1本（格安SIM利用）を合計月4000円ほどで使うなど大のガジェット好き。ライター、セラピスト、ブロガー、素人投資家。
天狼院メディアグランプリ 21st season 総合優勝。週間１位複数回。
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