【こじらせ女子図鑑】《File 001》蛙化現象頻発系女子
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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2023/7/10/公開
記事:川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
※身バレ防止のため、こじらせ女子本人及び登場する任物はすべて仮名です。
※「こじらせ経歴書」は、こじらせ女子本人に記入いただき、筆者が取材内容をもとに一部加筆・修正をおこなっております。
こじらせ女子図鑑、記念すべきFile001は、大阪在住の赤山さん(29)。
タイトルにもある通り、彼女は近頃よく耳にするようになった「蛙化現象」を頻発する女子であった。まずは彼女の経歴書を見ていこう。
こじらせ女子の経歴書
―――最初に1つだけいいですか? ……峯田くん、幸せそうでよかった!!!!
赤山:笑。そうですね、それは私も本当に思います。一度ならず二度も、彼には申し訳なかったなぁ、と今でも思いますね……。
―――こじらせ経歴書は、書いてみていかがでしたか?
赤山:いやー、私ってめっちゃめんどくさい奴だな!!! って思いました。あと、とても理不尽だなぁ、と。今まで私が蛙化現象を起こしてしまった人たちに対して申し訳ないなぁと思う反面、今までこうして自分の恋愛遍歴を辿るというか、整理することはなかったので、自己分析のようなものができて良い機会だったのかなと思いました。あと、高橋くんに費やした10年が長すぎて、率直に怖いと思いましたね。笑
なぜ「蛙化現象」を発症してしまうのか?
赤山:蛙化現象って、自分に好意が向けられたその瞬間に、自然発生してしまうんですよ。私の場合は、高橋くんと出会うまでは常に発生させていましたね。
蛙化現象を起こす人にとって、「好きな人=アイドル」のようなものなんですよ。憧れで、手の届かない存在みたいな。そこに向かってキャーキャー言ってる状態で。だから、そんな人が自分のことを好きになってくれたときの心境としては「あの憧れの人が、私のことを好きになるなんておかしい」になるんですよ。そこから「私のことが好きなあの人はおかしい」ってなって、一気に冷めてしまうんですよね。なんなら気持ち悪いとまで思っちゃいます。理不尽ですよね、わかってるんですけどね。
―――雲の上の存在だった人が、地上にいる自分のところまで降りてきちゃった、という感じなんですかね? 高いところにいた人が、自分のレベル(地上)まで落ちてきた、その落差にガッカリするのでしょうか?
赤山:まさしくそうですね。恐らく、蛙化現象を起こす人っていうのは、前提として自己肯定感が低い人が多いんじゃないかなと思います。自分に自信がなくて、好きな人がそんな自分のどこを好きになったのかがわからない。こんな自分を好きなんて、なんか気持ち悪い……と。
ドラマや少女漫画での胸キュンな言動も、いざ自分にされると「うわ、きもっ!」って思ってしまいます。私はそんなヒロインキャラじゃないのに、って。やっぱり自信がないんです。そういう胸キュンシーンも、見る分には全然いいんですけどね。
あと、もしかしたら理想も高いのかもしれません。好意を持たれる前は盲目状態なので、良い部分しか見えていないのですが、好意が向けられた瞬間にあれもこれもといろいろ目についてしまって幻滅していくので……。
―――うーん、難しい……。「付き合いたい」とは思うんですか?
赤山:それは思いますね。やっぱり好きなので。ただ、その先はあまり考えていないかもしれないです。付き合ったらどこに行きたいとか、一緒に何をしたいとか、そういうのは考えたことないかもしれないです。
たぶん、付き合うということがゴールになってしまっているんだと思います。ポケモンのゲームだと、四天王を倒した瞬間にエンドロール流れるじゃないですか。映画でも、恋愛映画だと2人が結ばれた瞬間にハッピーエンドで、エンドロールが流れますし、そんな感覚です。見事結ばれた瞬間に、第1章終了! 解散! みたいな。第2章に続くことはないです。我ながら、やっぱりすごく理不尽ですね……。
だから、18歳から28歳春までの10年間好きだった高橋くんに対しては蛙化現象を起こすことはなかったのだと思います。高橋くんは私のことを好きにはならなかったんで。
この10年間の間に何度も諦めようとしたんですが、経歴書にも書いたように、本当にタイミングの良い男で。経歴書には記載はしなかったんですが、大学を卒業して接点がなくなり、連絡も取らなくなったので、高橋くんのことを諦めようと思っていたんですよね。でも、私が大学を卒業してすぐ勤めていたお店の前を、高橋くんが偶然通って再会したんです。高橋くんが彼女と別れていたこともあり、そこから再び連絡を取り始めるようになってしまって、そのまま28歳の春までずるずる片思いが続き……。
この時はこの再会を「運命だ!」というより、「腐れ縁なのかな」と思っていました。切ろうとしてもなかなか切れない縁で、もしかしたら神様が繋いだ縁なのかな……と。
結果、10年思い続けましたが、もし仮に高橋くんと付き合ったとしても、蛙化現象は起こしていたと思います。この10年はあくまでも彼が私を好きにならなかったから存在する10年で、彼が私を好きになっていたらこんなにも長い間好きでいられなかったと思います。
蛙化現象を克服した? 今彼・山下くんとの出会い
―――28歳夏にできた彼氏・山下くんとは現在もお付き合いは続いているんですか?
赤山:はい、付き合い始めてもうすぐ1年経ちます。中学、高校と彼氏はできていますが、付き合った瞬間に蛙化現象を起こしてしまいろくなお付き合いはしなかったので、実質、山下くんが初めてちゃんと付き合った彼氏です。2回目のデートで告白されました。
―――2回目! 結構早めだったんですね。
赤山:でも、私にとってはちょうど良かったです。もっと回数を重ねた後だったら、私は完全に彼のことを好きになってしまっていたかもしれないですよね。そうすると、また蛙化現象を起こしてしまう可能性が非常に高い。だから、好きでも嫌いでもない状態だった、2回目がちょうど良かったんです。生理的にも人間的にも無理な人ではなかったので、とりあえず付き合ってみるか~、というような軽い感じで付き合い始めました。
でも蛙化現象が起こりそうな瞬間も、実は訪れていて……。付き合った後なんですけど、ちょうど1週間くらい経った頃ですかね。山下くんは発言がかなりストレートな人で、褒め言葉もすごく言ってくれる人だったんです。だから私のことも付き合った当初からいろいろと褒めてくれて。でも自己肯定感が低いゆえに、その言葉たちを素直に受け止められない私は「それは本音なのか?」と少し疑ってしまっていて。仮に本音だとして、好意が向けられている状態に変わりはないので、蛙化現象も起こしかけていたんですよね。
その時に、友人の言葉を思い出したんです。
その友人とは山下くんと付き合うことになった翌日に会ったんですけど、彼氏ができたことを伝えると「嫌やなと思っても、悪い人じゃないんやったら、とりあえず1年は頑張って付き合ってみたら? 1年付き合ったら、良いところがいっぱい見えてくるよ」とアドバイスをくれたんです。その友人は私が蛙化現象の常習犯だということを知っていて、だからこそ、そういう言葉をかけてくれたんだと思うのですが、その言葉もあって一度堪えたところはあります。
あとはやっぱり、山下くんのことがまだ好きでも嫌いでもなかった、という点も大きかったです。どちらでもなかったから「本音なのか? とは思うけど、まぁいっか」と流せた部分はあると思います。まぁいっか、の状態で一緒に過ごすうちに、彼は私だけじゃなく、誰に対しても良いと思ったところはストレートに褒める人だと知りました。そんな彼を見ていると、自分にかけてくれた言葉も全部本音で言ってくれていると思えて、この人のことを信じられるなとも思えました。何より、自己肯定感も上がりました。
山下くんに出会えるまでが長かったですが、こんなに信頼できる彼に出会えて良かったなと、本当に思います。
―――いやー、いいですね。そういう人に出会えるって、幸せなことですよね。蛙化現象は克服(?)されたと思うのですが、世の蛙化現象を発生させてしまう女子たちに、この現象を発生させないためのアドバイスはありますか?
赤山:生理的に大丈夫で、そこまで嫌いな人でなければ、一度付き合ってみたらいいと思います。冒頭と重なりますが、蛙化現象を起こしてしまう人は、たいてい好きな人をアイドル化してしまっているところはあるんですよね。妄想による期待値が高いというか、幻想を抱いているというか。でも自分と同じステージに相手が降りてきてしまうと、途端に冷めてしまう。期待値が高かった分、低レベルな自分のところまで相手が降りてきてしまった、その落差にガッカリして、気持ち悪いって思ってしまうんです。でも、好きでも嫌いでもない状態からのスタートであれば、相手には何の期待も幻想も抱かずに、お付き合いが始まりますよね。蛙化現象を発生させる人に関しては、相手への期待値が高くないうちから関係をスタートさせた方が、その後、相手の印象がプラスに転じることが多いのではないでしょうか。
実際、私はそんなスタートで山下くんと付き合い始めましたが、彼に対しては、人としてどうかと思うことがなければ、今後嫌いになることはないなと思います。こっちから粗探しして嫌いになるような、理不尽なことは起こらないですね。足は臭いけど、そんなの全然気にならないし、大丈夫です。笑
好きってこういうこと? こじらせ女子なりの解釈
赤山:山下くんに対して「幸せにしてもらおう」とは思っていなくて。私が山下くんを「幸せにしたい」という気持ちの方が大きいです。
思い返せば、今まで好きになった相手に対しては、何かを「してもらう」ことで好きになっていたところはあったと思います。職場まで迎えに来てくれるとか、ご飯に連れて行ってくれるとか。でも、山下くんと付き合ってからは、そういう考えはなくなりました。何かしてもらうばかりじゃなくて、してもらった分、私も相手に何かしてあげたいなと思うようになりました。物を貢ぐとかそういったものではなく、気遣いのある言動というか、「こういう言い方のほうがいいかな」とか「こうしたら喜んでくれるかな」とか、そういうことを考えて行動するようになりました。長く一緒にいたいと思えるからこそ、自然とそういう考えになっている気がします。どちらかが与えるだけじゃなくて、お互いを尊重し合える関係性を築くことができればいいなと思います。……これ、答えになってますか?笑
―――いや、「好き」っていうより、もはや「愛」について説いていただいたような気もします。でも確かに、無条件に「何かしてあげたい」と思えることって素晴らしいことですし、そう思える相手がいるのも幸せなことですよね。恐らくもう蛙化現象は起こさないと思いますし、そうであることを願っておりますが、山下くんと末永くお幸せに! 本日はありがとうございました!
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□ライターズプロフィール
川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
兵庫県生まれ。大阪府在住。
大阪府内のメーカーで営業職として働く。コロナ禍で当時付き合っていた彼氏に振られ、見返すために自分磨きを開始し、その一環で2021年10月開講のライティング・ゼミに参加。2022年1月からライターズ倶楽部に参加。WEB READING LIFEにて『こじらせ女子図鑑』連載中。
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