ママ起業のリアル

第13章 応援される人になろう《ママ起業のリアル》


記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
起業してうまくいくママと、うまくいかないママは、一体何が違うのでしょう。
 
一言では言い表せないかもしれませんが、あえていうならばそれは、応援される人であるかどうか、に尽きると思います。
 
起業するママたちには、様々な人がいます。
有名な大学や海外留学経験があるような高学歴ママもいれば、そうではないママもいる。フルタイムで仕事しながらのママもいれば、パートタイム、派遣社員、ときには主婦をしているママもいる。夫がいるママもいれば、シングルマザーもいる。30代のママもいれば、50代のママもいる。仕事も年齢も趣味も特技も学歴もバラバラなママたちが起業をしているわけで、資格や条件は様々です。そのなかでもうまくいく人はうまくいくし、いかない人はいかない。
 
うまくいく人とは、一体どういう人のことを言うのでしょう。
簡単に言うならば、売れる人ということになります。ご自分のビジネスが人から求められて、感謝されて、それが収益に繋がる。またそれだけでなく、その商品に満足した人からの口コミがおこり、自然とビジネスが大きくなっていく。そういう人のことがうまくいく人と言えます。
 
一方うまくいかない人とは、ありとあらゆるノウハウを試すも、お客様から反応がなく、購入に結びつかない。誰でも起業してすぐはなかなか売り上げにつながらないので、初期は仕方ないかもしれませんが、その状態が半年、1年、と続いていくとさすがに不安になっていきます。不安から起こる行動は、決してよいエネルギーを放つことはないので、ますますビジネスが難しくなり、2年、3年と経つまでにその仕事を諦めてしまう。そういう人のことをうまくいかない人と言えるでしょう。
 
どちらの人も、一生懸命やっていることには変わりがありません。
基本的に一生懸命やることは起業において当たり前のことですから、最低限それすらやらない、できない人は、そもそもうまくいくはずはありません。
 
しかし一生懸命やっているにもかかわらず、うまくいく、いかないがわかれます。そう分かれるのは決してその人が持っている条件によるものではないのです。高学歴であればうまくいくという保証はないし、主婦だからうまくいかないというものでもありません。うまくいくために最も重要な要素が応援される人かどうかという、あり方の問題です。
 
 

一生懸命な人を応援したくなる


誰か、好きなアイドルはいらっしゃいますか。歌手でも俳優でもコメディアンでも、スポーツ選手でも誰でもいいです。この人をめっちゃ応援しています、という人はいらっしゃいますか。
 
ちょっと振り返ってみて欲しいのです。なぜ自分がその人を応援したくなるのかを。
 
例えば高校野球。2020年は新型コロナウィルスの影響で甲子園が中止になったりと波乱万丈の一年でしたが、通常は春、夏と、日本中を感動の涙で包む大応援大会が繰り広げられます。
 
高校時代の3年間という短い期間のなか、毎日汗を流して練習し、チームで勝つことを夢見てがんばる高校球児たちをみていると、その一生懸命な姿に応援したくなりませんか。まだ人生これからというティーンエイジャーたちの青春の一幕を垣間見させてもらい、若き日の自分とも照らし合わせたりして、私たち大人はがんばる高校生を心から応援したくなります。
 
つまり、なりふり構わず一生懸命がんばる人を、人は応援したいのです。
 
100%の力を持っていて、まあこれぐらいでいいか、とその80%だけを使ってやろうとする人よりも、まだ50%の力かもしれないけれど、その力を全部、もしくはそれ以上出し切ろうとする姿に人は感動し、心が感応してそういう人を応援したくなります。
 
つまり応援される人のあり方というのは、101%以上で一生懸命に頑張る人、ということが言えます。100%はがんばれば誰でもできる。しかしそれを1%超えるところまでやり切るには、かなりの努力が必要です。努力するからこそそこに、周りの心が感応する秘密が隠されているのです。
 
もうこれぐらいでいいか、ではなく、もうちょっとできることはないかな、の姿勢をいつも忘れないで行動すること、それが応援される人に近づくファーストステップです。
 
 

人はなぜ、に共感する


なぜその仕事をしているのか、自分の想いをシェアしていますか。
 
人は、何をしているか、に共感するのではありません。なぜしているのか、に共感します。
 
例えば、マッチ売りの少女がいたとします。寒い雪の降る夜、街頭でマッチを売っている、アンデルセンの童話にでてくる少女です。大晦日の夜、なかなかマッチを買ってもらえず、それで家に帰ると父に叱られることから、なんとかマッチを売ろうとする少女のお話です。
 
売っているのはマッチですから、マッチが必要な人には売れるでしょう。しかしもしマッチが欲しかったら、その少女のところで買わなくても、他のところでもいいわけです。世の中にはもっと質が良くてコスパの良いマッチもあるでしょう。またマッチじゃなくても、ライターもあります。よほどマッチが欲しい人でなければ、マッチだけで選んで買うことはしないでしょう。
もし少女が「このマッチはすごくいいマッチですよ」とマッチを宣伝していても、それは全く売れることはないでしょう。所詮ただのマッチ、人の心は動きません。
 
またもし少女が、こう思っていたらどうでしょう。
「マッチを売ってガッツリ儲けて、そのお金でブランドのバッグを買おう」と。
いやいや、そんな思いのために、マッチを買おうと言う気にはならないですよね。
 
もし自分のやっていることが、ただモノを売っているだけ、もしくは自分の私利私欲のためだけであれば、お客さんの心は動かないし、買いませんよね。
 
ならば、こういうケースはどうでしょう。
少女の母が病気で、その母に薬を買ってあげないと、母が死んでしまうかもしれません。刻一刻と病状が悪化し、時間もあまり残されていません。少女は母のために、どうしてもマッチを売りたかった。
 
この場合、ブランドのカバンを買うよりはまだ少しは人の心が動くかもしれません。しかしそれは同情という、ちょっと異質な感情です。ビジネスの場で同情という感情をベースに物を販売するというのは、つまりお客様の弱みにつけ込んでいることになりかねないので、あまりよい方法とは言えないでしょう。しかしこの方法は確実に、ブランド物のカバンを買いたいという思いよりは人に響きます。
 
最後に、こちらのケースも考えてみたい。
少女が販売しているマッチで火を灯すと、暖炉の火がとても暖かくなり、長持ちします。寒い冬の日、心からあたたまる暖炉をみなさんのご自宅にお届けしたい、という思いで、少女がマッチを売っています。
 
寒い家で育ち、その寂しい環境で少女の家族も冷え切り、いつも暗い顔をしていた母。そんな自分のような思いを他の人にはしてほしくない、暖かい家で、身も心も暖かく過ごして欲しい。そんな気持ちでもし、少女がマッチを売っていたとしたら。それは一番マッチをたくさん買っていただけるあり方なんじゃないかと思います。
 
少女は、自分ごとではなく、お客様の幸せを一番に望んで行動し、それを伝えた。お客様からしてみたら、自分の幸せを最大限に望んでくれる人のことを好きにならないはずはありません。自分のことを考えて一生懸命がんばっている人のことは、むしろこちらが応援したくなります。
 
 

応援して欲しければ、まず応援しよう


これまではお客様から応援されるという視点でお伝えしてきましたが、応援してほしいのはお客様だけではありません。
 
家族や友人という親しい人たちからの応援ももちろんですが、何よりも大事なのが、仲間から応援される人であるかということです。
 
仲間、というのは、ここでは起業家仲間のことをいいます。
何かを成し遂げたいという熱い思いをもち、そのために一生懸命がんばると決めて起業をしている人たちだったり、また自分よりも先をいく先輩だったり、またはすでにかなりのインフルエンサーであったり、とにかく「起業」というフィールドに立ち、自分と同じように自分で自分の人生を切り開くと決めて仕事をしている人たちです。
 
時に彼らは、ライバルになることもあります。もし彼らに嫌われてしまったら、ひどい時には邪魔をされたり蹴落とされたりと、まだまだひよっこの自分などあっという間に消されてしまいます。ヤクザの世界ではないですが、仲間や先輩に気に入られない場合は、うまくいかないだけでなく、下手したら抹殺されてしまうぐらいのインパクトがあります。
 
では一体どうすれば仲間や先輩に気に入られるのでしょう。
 
使いパシリをしたり、なんでも言うことをきくこと、ではありません。
すでに成果をだしている先輩たちは、見る目も肥えていますので、おべんちゃらやお世辞には引っかかるどころか、かえってマイナスの印象を与えることになります。自分より偉い人の前と、自分よりも下の存在である人たちの前で言葉遣いや態度を変える様なあり方は、あっさりと見破られてしまいます。
 
気にいられるにはそういう小手先のテクニックでは通用しません。
仲間や先輩に気に入られ、応援してもらうようになるには、こちらからまず全力で相手のことを応援することが必須になります。
 
例えば、周りの誰もがやらないようなことを率先して引き受けたり、人とのご縁を繋いだり、自分ごとと同じ様に、いやそれ以上に、仲間や先輩のために行動すること。そういう地味だけど大事なことを日頃からどれだけコツコツできているかどうか、つまり普段のあり方が周りの人を応援する姿勢であるかどうかが、重要です。
 
これを「代償の先払い」と言ったりします。また「利益を得たければ、応援することが先」と言うこともあります。
 
仲間も先輩も、やっぱり自分のことを応援してくれる人を好きになります。応援してくれるからこそ、反対に応援したくもなります。この時、自分はまだ若輩だから、誰かを応援するなんておこがましい、と思うかもしれません。こんな若造が応援して一体どんな意味があるんだろう、と。しかしこれは本当に杞憂で、そう思うことはむしろ自分のことを応援してくれている人のことを下げてしまうことになりかねない。「応援させてくださってありがとうございます」の気持ちで、全力で周りの人を、分け隔てなく応援する。その姿勢こそが、応援される人になるために、最も大切なあり方なのです。
 
 

まめに連絡を取る人が応援される


せっかく応援してもらっても、その後お礼もいわず、なんならフィードバックや結果報告もまったくないようなあり方だと、引き続き応援してはくれません。
 
せっかく上の人が目をかけてくれたにもかかわらず、そのことに感謝も足りず、なんなら成果は自分の力で出したものだと、謙虚さのかけらもないあり方だと、確実に嫌われます。いただいたアドバイスや助言に対して、その実践結果を報告したり、また折に触れ近況をアップデートしない人は、礼儀にかけるので忘れられていきます。
 
大切なご縁を大切にする、そのためにキープ・イン・タッチを欠かさない。
そう言う人が人とのコミュニケーションを大切にする人です。そしてそのあり方こそ、人を大切にする人のあり方です。
 
私も起業初期のころから、一緒に切磋琢磨して、苦しいときもいい時も一緒に乗り切ってきた仲間がいます。最近ではなかなか頻繁には会えないですが、ほぼ毎日SNSで相手の近況を知ったり、ときにはお茶や食事をしたりと、キープインタッチを続けています。
 
私は彼ら彼女らがどういう想いで仕事をしているのかをよくわかっているつもりなので、その一生懸命さを応援したくなりますし、実際に応援し続けています。また彼らも私と同様、私が応援が必要なときには、二つ返事で助けてくれます。
 
こういうママ友以上、家族のような信頼ある人間関係を構築できたことは、起業という生き方を選んだからこそだと思っています。
 
人は一匹狼では生きていけません。
また一人ではある程度のことはできても、結局それは一馬力ですから、大きなことは成し遂げることはできません。
 
 

起業は生き方の選択


ママが起業をするというと、ちょっとしたパートの仕事、派遣の仕事ぐらいな感覚で起業をしていると思わるかもしれませんが、決してそうではありません。
子どもをもつ母だからこそ、家族のため、子どもの未来のために何かを成し遂げたいと思いますし、また女性として、人として、自分の人生をもっと豊かに生きたいと考え、起業を選択しています。
 
その覚悟のようなものが、確実に自分のあり方を変えていきます。
そしてそのあり方が、自分のまわりの仲間に伝わり、彼らの感情を動かして、何者にも変えがたい人の繋がりを作り出していきます。
 
お互いが自分の想いや気持ちをさらけだし、共に切磋琢磨する人間関係は、なかなか得られるものではありません。それも結婚して子どもができると、ママの顔、妻の顔、PTAの顔と、女性はたくさんの顔をかぶらなくてはなりません。よりよい母親、女性、人でありたいと願えば願うほど、自分以外の何者かの顔を被り続け、挙げ句の果てには自分が何者かがわからなくなってしまいます。そんな女性たちにとって起業は、自分が自分であり続けるための、一つの大きなきっかけとなるものです。
 
せっかく生まれてきたのだから、自分の夢を叶えたい。その想いが、同じ想いを持つママたちに伝わり、自然と仲間との繋がりができる。
そういう人間関係を構築していくことで、まず自ら応援し、応援される人になる。
 
そう決める人だけが、起業家として生き残っていくのではないかと思っています。
 
 
 
 
《第14章に続く》


頑張るママのお助けレシピ

女子力アップの味方!よもぎ葛ねり
<材料>
葛粉 20g
よもぎ粉 3g〜お好み
水 200cc
 
1 土鍋に、水、葛粉、よもぎ粉を全部入れて、20分程度浸水させる。
2 全体をよく混ぜて、中〜弱火にかける。
3 火が入ってきたら、木べらでかき混ぜながら加熱し続ける。葛粉が透明になってきたら一気にかたまってくるので、だまにならない様木べらをかき混ぜながら練っていく。
4 全体が透明になったらできあがり。トッピングに醤油、味噌、ニラ醤油、メープルシロップなどお好みのトッピングでいただく。
 
*葛粉はホルモンバランスを整え、体を温めてくれる最強の食材の一つ。毎日少しずつ食べたい食材でもあります。腸内環境を整え、内臓から温めてくれるので、消化吸収力がアップします。
*よもぎはホルモン分泌を促し、デトックスを助けてくれる食材です。体の代謝をスムーズにし、いらない物を出せる体を作ります。
*葛ねりは、ファスティングにも使われるほどの薬効があり、体の内側からいらないものを排出させてくれる効果があります。
*朝ごはんに、おやつにと、味を変えて楽しんでください。

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

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2020-10-26 | Posted in ママ起業のリアル

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