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ママ起業のリアル

第20章 ママ起業家か、ママ社長か〜社長になる夢《ママ起業のリアル》


2021/02/02/公開
記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
「社長に、なりたい」
 
そんなふうに小さい頃から漠然とした想いがありました。
京料理屋を営んでいた父は、料理屋ではありましたが会社として経営をしていたので、でかける先々で「大将」「社長」などと呼ばれていて、子ども心にかっこいいなあと感じていました。父は外食が大好きな人で、よく料理屋に足を運んで日々の食事をとっていたのですが、そこに同席する機会があるたびに、大人になるならあんな風に、人から大将とか社長とか、かっこいい呼び名で呼ばれるようになりたいと思っていました。
 
個人で起業したのが2014年、その4年後にその夢が叶いました。
 
一粒万倍日、かつ天赦日であった2018年2月1日に、私は法人を設立しました。株式会社ではなく一般社団法人、つまり「協会」と言われる組織体です。協会とはなんぞや、協会ビジネスとはなんぞやと問われたら、知的コンテンツを提供して資格を発行する団体、というイメージでしょうか。しかし私は設立当時、実は明確な協会のあり方、みたいなものを理解していた、と言ったら嘘になります。
 
なぜ株式会社や有限会社ではなくて一般社団法人だったのか、と問われると、その時はそれが正しいと直感していたから、というしかありません。どんな会社であれ、会社を経営したことがない私にしてみたら、明確な会社運営のイメージなどあるはずもありません。ましてやこれまでの仕事はデザイナーや編集者を経てからの現代美術画廊でアートディレクターですから、およそ企業や組織といったものからかけ離れた仕事です。それなのになぜかその時、一般社団法人を立ち上げることが絶対的に正しいのだ、という感覚を持っていました。
 
 

なぜ一般社団法人を立ち上げたのか〜信頼という最大の武器


協会所属のインストラクターというほうが、信頼感を得られるのではないか。
 
単純にそれだけでした。
2015年から伝え始めた食に関するコンテンツは、2016年には100名以上が受講をし、その成果を持って2年目の2017年、インストラクターを育てることになりました。
 
一緒に、伝えてくれませんか。
 
そんなオファーにイエスと答えてくださる方が生まれ始め、彼女たちに今度はコンテンツである食の知識だけでなく、起業やビジネスの方法までをも伝えることになりました。そうして2017年にはインストラクター養成講座が、法人設立の1年前にはすでに立ち上がっていきました。
 
インストラクター養成講座では、講師としての振る舞いや集客の方法など、いわゆる起業の仕方を伝える講座です。自分が学んできた起業塾のやり方を生かして、SNSを使った集客の方法を中心に、ビジネスを作っていく方法をお伝えしていました。ほんの数年前には自分が教えてもらうほうだったにもかかわらず、実践してできるようになったら今度はそのノウハウを次の世代、新しい人に伝えていくことになったわけですが、当然ものすごい葛藤がありました。
 
まだひよっこの私が伝えてもいいものだろうか、という自分に対する自信もそうなのですが、それよりもなにより、届けたい相手が変わることにかなりの違和感を感じました。
 
それまではずっと「食」に悩む人に、どうやったら伝わるのか、またどうやったら興味を持ってくださるのか、そのことばかりを考えてビジネスを作ってきたわけですが、インストラクター養成講座を立ち上げた時点で、お客様になる層が変わったわけです。新しいお客様は、食に悩んでいるというよりは、起業の仕方で迷い悩んでいるという人。これら2つの全く違うペルソナ像からペルソナ像への変遷のおかげで、伝わるメッセージを作り出すことがとても困難になりました。
 
それでもその葛藤のなか、自分も伝えてみたいですとおっしゃってくださる方が一人、二人と増えていき、あっという間に数十人になっていきました。そうなるといよいよ彼女たちの活躍の場をもっと作っていきたいという願いが生まれました。その時に心にひっかかっていたのが、個人起業家としての自分でした。
 
一個人起業家のもとで仕事をしているインストラクターという存在を、どれほどの人が尊敬して愛してくれるだろうと思うと、気が気じゃありませんでした。私がもしお客様だったら、やはり「ちゃんとした」団体や組織のコンテンツや講師というものを、個人よりは信じます。別に、個人がだめだとか、個人のほうが劣っていると言いたいわけではありません。個人だろうとなんだろうと、関係なく仕事をして評価を得ている人も多いわけですから、個人か法人かなどは大きな問題ではないと思ってはいたのですが、やはり自分の元で伝えたい、と言ってくださる方たちのために、少しでも活動がしやすい環境を作っていくことが必要だと感じました。
 
そのため私は株式会社ではなく一般社団法人を設立したのです。協会所属のインストラクターと肩書きがつくことで、インストラクターたちが仕事がしやすくなる。そう思ったからこそ、一般社団法人を設立しました。
 
 

株式会社というさらなる信頼の看板を


「株式会社と変わらないですよ」
 
と、最初は顧問税理士が教えてくれました。個人起業家時代からお世話になっているこの税理士さんは、いわゆる私のビジネスをゼロから知っている人で、いつも適格なアドバイスをくれる方です。その彼が一般社団法人であろうと、株式会社であろうと、税務上大きな違いがあるわけではないと伝えてくれたこともあり、まずは協会を作ることとなりました。
 
それでインストラクターたちは念願の、協会所属という立場を手に入れることになったのですが、良いことばかりではありません。
 
まず起こったことに、銀行口座の設立がありました。つまりなかなか銀行との取引が開始できないのです。とあるネットバンクは3回申し込みをして結局まったく受け付けてもらえず、なぜだめなのかの理由も聞かせてはもらえませんでした。
 
結局とある方からのご紹介を経て無事銀行に口座を開設することはできました。しかしこの一連の出来事が、協会という形の法人だからかどうかはわかりませんが、そうじゃないとも言い切れません。そしてまた困ったのは銀行口座だけではありませんでした。
 
ところどころで一般社団法人だと契約できない、申し込めないサービスがありました。その一つがPR会社との契約です。活動を広く認知していただくためにもPRは必須と考えていたものの、契約したいPR会社は一般社団法人だと申し込みができないのです。
また、補助金の申請も、種類にもよるのでしょうけれど、一般社団法人では申し込めないものがありました。なぜそうなっているのか正確なところはわかりませんが、なんとなく一般経済社会では、株式会社に勝る看板はないのではないか、と思い当たりました。そのため同年9月、協会の設立から7ヶ月後には、株式会社をも設立しました。
 
私は図らずも1年足らずで、2つの会社の社長になったわけです。
 
 

法人であること、個人であること


こうしてあっという間に2社の社長になった私、子どものころからの夢が叶いました。社長になりたいというエゴイスティックな夢ですが、いとも簡単に叶えることができてしまいました。
 
会社の社長になるなんて大そうなことだと思い込んでいた節があります。しかし実際は、会社を作るぞと旗を振り上げて、登記すればいいだけ。ならば誰にでも作れるとは思うのですが、それでも社長になるというのは、なんらかの覚悟を決意を背負って立つような気がします。
 
個人起業家として活躍されている方はたくさんいらっしゃり、またその方達を否定も非難もするつもりは全くありませんが、しかし法人格を持つということはなんとなく、社会の中で大人になったような感覚になります。個人起業家よりも信頼があり、責任感があり、なんだか重みがある。確かに対企業との契約をするならば、個人事業主では難しい。そういうケースには株式会社という看板が、本当に役に立ってくれています。
 
また会社の社長というだけで、人が自分を見る目が違うような気がします。
私が子どものときに抱いた「社長」という呼び名のカッコよさを、今自分が身に纏うことができていると思うとそれだけでワクワクしました。人の価値は肩書きで判断されるものではないと百も承知ですけれど、それでも社長という呼ばれ方をすることは悪い気はしません。
 
一言で言うならば、責任でしょうか。
法人格をもつことで、社会の一員としての責任が増したように感じます。しっかりと経済活動をして売り上げを立て、しかるべき税金を納め、会社を成長させながら、社会の役にたつ存在として活動していく。そういうちょっとサムライ的とも言える会社のあり方がなんだか格好いいと思います。
 
 

結局は何がしたいのか


肩書きはあくまで肩書き。法人であろうと個人であろうと、自分がどんな想いを持って、何を成し遂げていくのか。そこがまず根幹にあることは、疑いようがありません。肩書きを持つことは、他人や社会に対していかにわかりやすく自分をプレゼンするかどうかに過ぎません。個人よりはちょっと責任のある立場なんだよと、ドヤ顔しているだけのようなもの。ただそれが自分の自尊心をくすぐることも、確かです。
 
だけどしかし、肩書きにはそれ以上の意味はありません。結局は自分の想いと、それに沿って何をするかということ。法人を持とうと持つまいと、その方法については、自分がやりたいものを達成するための手段の一つにしか過ぎないのです。
 
日本には約410万の企業があります。このうち個人起業家が240万社、そして残りの170万社が法人ということになります。これを日本の人口に照らし合わせてみると、約1億2000万人中の170万人が社長ということ。つまり大体100人に1人は社長ということになります。
 
これが多いか少ないかといったら、正直多いなあと思います。誰でも社長になれる時代です。実際私も図らずも、2社の社長という立場です。その気になれば誰でも簡単に社長になることができる。
 
だからこそ、肩書きじゃなくて、何をするのかを心にしっかりと留めておきたい。人はつい肩書きや収入などの条件で他人を判断しがちですが、人の価値はそこにはありません。なぜならその条件は簡単に変わるものですし、また判断基準も時代によって大きく変わっていきます。そのような不安定なもので人の価値を判断するのは、本質ではありません。
 
結局人は、どう在るか。それに尽きると思います。
どう在るかとは、どんな想いや信念をもち、それをどんな行動に結びつけていくか。うちなる思いを軸にし、何を成し遂げていくのか。そこにこそ、起業するということの本当の意味があるような気がしてなりません。
 
起業を志す人の多くは、私のそうでしたが、最初はやはりお金を稼ぎたいというところから入ってきます。日本のサラリーマンのように収入が頭打ちになる世界で生きるのではなく、自分の力で未来を切り開き、その価値に応じて収入が増えるというある意味平等の社会のなかで、不安定だけどれどもやりがいを得たいと言う人だけが、起業をするのだと思います。
 
安定が欲しければ、起業はするべきじゃない。
やりがいが欲しければ、安定は求めてはいけない。
なぜならこれらは、決して相入れることのない価値観だからです。
 
社長の仕事は、安定的な成長や利益の追求、盤石な組織を作り出していくことではあると思いますが、そのあり方は真逆、不安定の極みにいるものなんじゃないか、と、社長業が4年目になる今年になって、ようやく落とし込めてきたような気がします。
 
人生まだまだこれから。
社長業がますます面白くなってきた。
 
 
 
 


頑張るママのお助けレシピ

ブレない軸を作る究極の玄米ご飯
<材料>
玄米 無農薬のもの600cc
水 800cc〜
自然塩 小さじ1/4
 
<作り方>
1 玄米を洗う。最初にお米が触れる水は出会いの水といい、一番よく玄米に九州されるため、浄水を使う。一度水を入れて軽く洗ったら水を捨てる。

2 玄米を拝み洗いする。両手で玄米を揉むように洗う。こうすることで玄米の殻に細かい傷をたくさんつけて、吸水しやすくなる。
水を2、3回変えて、丁寧に洗う。

3 玄米を浸水させる。圧力鍋に分量の水に玄米を入れ、2〜8時間浸水させる。

4 3を火にかける。中火で加熱し、20分ぐらいで沸騰させる。この時蓋をしない。20分たって沸騰してきたら塩を入れて蓋をしめる。その後圧力がかかるところまで中火で加熱、熱がかかったら火を弱火にして30分炊飯する。

5 時間になったら火から降ろし、ピンが落ちるまでそのままにしておく。この時熱が逃げないように、圧力鍋時代をタオルや新聞紙で包んでおく。

6 ピンが落ちたら蓋をあけ、天地返しをする。そして一呼吸置いたらよそっていただく。

*毎日の主食として食べたい玄米こそ、美味しくたけていることが望ましい。毎日食べる主食の米が、ブレない精神の軸を作ります。

*一つ一つの工程は簡単なので、丁寧に行うこと。自分が扱われたいようにお米を扱うとよい。

*玄米については、必ず無農薬を選ぶこと。

*お住まいのエリアによっては炊き上がりが違うので、水分量を適宜調節してください。

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

この記事は、「ライティング・ゼミ」の受講生が書いてます。 ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2021-01-29 | Posted in ママ起業のリアル

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