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似合うの先にあるもの《週刊READING LIFE Vol.63 2020年に読むべきBOOK LIST》


記事:深谷百合子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

自分には、どんな服が似合うのかわからない。
いざと言う時、着ていく服が無い。
色もデザインも好きだったけれど、何だかしっくりこなくなってきた……。
 
服装に関して、あなたはこんな悩みをお持ちではないだろうか?
 
私はいつも着ていく服が無くて悩んでいた。
 
ビビっときて衝動買いしたものの、手持ちの物と合わせづらくて出番がない服、年齢や体型の変化と共に何となく似合わなくなった服、洗濯が気軽にできないために着なくなってしまった服……。クローゼットの中には、こうした服が死蔵され、服で溢れかえっているのに、いつも着る物がないのだ。
 
そして、そもそも自分にはどういう物が似合うのか? それが分かっているようで分かっていない。
カラー診断を受けたこともある。自分に似合う色を教えてもらうと、その色ばかりが気になって、同じような色の服を何枚も持つようになる。
 
最近では、骨格診断というのもあり、自分の体型に合うデザインを知ることができる。
自分の体型だと、Aラインのワンピースが似合うと分かると、そればかり探している。
 
そうして「似合うはず」の服を何着も持っているのに、出かけようとする度に、何を着ていこうかと、鏡の前でとっかえひっかえしながら、途方に暮れるのである。
 
私には服のセンスがないのかもしれない。そう思って、雑誌に掲載されている通りの組み合わせで、ごっそりと服を買ったこともある。
 
着回し術とか、パーソナルファッション診断等の言葉が並ぶ本を、何冊も買い込んで読んでみたりもした。
 
それでも、私の服に対する悩みは解決することがなかった。
何かが足りないのだ。
 
似合う色、似合う形、コーディネートの仕方……、そういった「テクニック」にはかなり詳しくなった。
色んな服を、着せ替え人形のように着てみるけれど、自分にとっての「鉄板服」というのが無いのだ。
 
そんな時に、一冊の本に出会った。
パーソナルスタイリストである政近準子さんの「服は、あなた」という本だ。
 
パーソナルスタイリストと言うからには、その人その人に合ったスタイルを提案してくれる人なのだろう。色々な事例が載っているに違いない。そう思って手に取ったのだ。
 
ところが、服に関する本なのに、服の写真はおろか、他のファッション関連の本にあるようなコーディネート例のような物も一切無い。
 
こういうタイプの人は、こういうスタイルが似合うといった例も無い。
そういった表面的なテクニックに関することは、一切書かれていないのだ。
 
そこに貫かれていたのは、「ファッションは人生そのもの」という彼女自身の哲学だ。
 
お店で服を選ぶ、クローゼットから今日着ていく服を選ぶ……。私たちは毎日選択をしながら生きている。人生は選択の連続。服選びもその中の一つなのだ。
その小さな選択すらきちんとできないのであれば、人生の選択なんて言わずもがなではないか。それが彼女の主張なのだ。
 
「似合うと言われたから」という基準だけで選択する人は、人生も人任せになっていないだろうか?
「こういう色や形が好きだから」と、いつも自分の好きなものだけを選ぶ人は、いつでも自分中心に物事を考えていないだろうか?
「安いし、楽だし、これでいいや」と妥協する人は、自分の人生も妥協していないだろうか?
 
どれもこれも、耳の痛い話である。
 
結局のところ、「ファッション迷子」になっている私のような人間は、人生においても迷子になっているということなのだ。
 
全くその通りであった。
 
「私には、どんな服が似合うのか?」
それを考える前に「私は誰か?」、「私はどうありたいか?」を考える方が先なのだ。
「服選び」、それは自分と向き合うことなのだ。
 
実際、彼女がある女性のパーソナルスタイリングをしているところを、テレビのドキュメント番組で見たことがある。
 
相談者は自己否定感が強い女性で、いつも暗く、地味な服装をしていた。けれども、一度でいいから、「キレイ」と言われたいと思っていた。
 
政近さんは、その彼女と本音で向き合い、「本当はどんな自分になりたいのか」を徹底的に考えさせた。
「自分と向き合う」というのは、実は結構つらいものだ。良いところばかりではないし、嫌なところもあるし、人と比べて劣っていると思うことにも目を向けなければならない。
 
けれども、そんな一見短所と思えるようなことも、人とは違う個性となる。そこを、ファッションの力を借りて際立たせていくのが、政近さんのパーソナルスタイリングの神髄なのだ。
 
相談者が描く「なりたい未来」に近づける服を政近さんが選ぶと、それまでの彼女とは別人のように、生き生きと自信に満ちた表情に変わったのだ。
 
パーソナルスタイリングと言うより、コーチングと言った方が当たっているかもしれないが、ファッションには人生を変える力が有ると感じた瞬間だった。
 
「似合う」というのは、色や形の問題ではないのだ。自分と向き合い、「私は○○です」と言い切れるようになった時、初めてそれにふさわしい服が見つかるのだ。
 
2020年、新年と共に新しいスタートを切る人も居るだろう。
私もその一人だ。
人生を見直す時、クローゼットの中身も見直してみてはどうだろうか。
 
これからのなりたい姿を思い描きながら、一着一着服を取り出してみる。それらを着ている自分と未来のなりたい自分はマッチしているだろうか?
もしも違和感を感じるのなら、それは「似合わない服」なのだ。
 
そうして残った服こそ、これから大切に着ていく「鉄板服」になるだろう。
そこから自分自身の「軸」を作っていくのだ。
 
この本は、ファッションを通じて「生き方」を見直すきっかけを与えてくれる。
ファッション迷子になっている貴方に、ぜひ手にとって頂きたい一冊である。
 
 
 
 

◽︎深谷百合子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
愛知県出身。
6年前から中国で工場建設の仕事に携わる。中国での仕事を終えたあと、自分は何をしたいのか? そんな自分探しの中、2019年8月開講のライティング・ゼミ日曜コースに参加。
もともと発信することは好きではなかったが、ライティング・ゼミ受講をきっかけに、記事を書いて発信することにハマる。今までは自分の書きたいことを書いてきたが、今後は、テーマに沿って自分の切り口で書くことで、ライターズ・アイを養いたいと考えている。

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