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中田敦彦は本当にテレビから干されたのか?《週刊READING LIFE Vol.63 2020年に読むべきBOOK LIST》


記事:坂田幸太郎(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

「あ、この人テレビから干されてYouTubeに逃げた人でしょ」
書店で、とある本を手に取った私へ友人はそのようなことを呟いた。
衝撃だった。
 
「労働2.0」
その本の表紙にはあるタレントが写っていた。
中田淳彦。その人である。
中田淳彦といえば15年前「武勇伝」のリズムネタで一世を風靡したお笑い芸人だ。
当時、芸歴わずか1年目で時の人となり、冠番組を数多く持ち芸人としてこれほどにない地位と名誉を得た。
しかしながら、時というのは残酷なものである。
武勇伝ブームは衰え、中田淳彦もテレビの露出が劇的に減って行った。
いわゆる一発屋っていうやつだ。悲しいけど芸人の宿命だ。
 
武勇伝も時の波にかき消されて行くのか。と、誰もが思った。
しかし、中田淳彦という男はその波に抗った。
 
ある時は「コメンテーター」ある時は「クイズ番組の演者」など、持前の頭の回転の速さを生かした仕事でなんとかテレビから消えずにいた。
一発屋と呼ばれる人でここまでテレビに出続ける芸人も珍しい。
 
活動の幅もテレビの演者に留まらない。
ダンスユニットを作り、大学の非常勤講師を務め、さらにはファッションブランドを展開と、本当にマルチだ。
マルチタレントという言葉がこれほど似合う男はそういないだろう。
 
そして今年(2019年)
マルチタレント中田淳彦が挑んだのが、YouTubeであった。
4月より始めたYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」はわずか4ヶ月で登録者100万人を記録した。
中田敦彦は芸人としては珍しい慶應義塾大学卒業の高学歴を持っており、持ち前の頭の良さと15年で培ったトーク力を活かして「敎育yotube」というジャンルを確立した。
学校じゃ教えてくれない歴史や、文化、国の成り立ちなど分かりやすく、面白く教えてくれる。
しかも毎日配信だ。
あのクオリティの話を毎日無料で観れるとは。
 
YouTubeにも頭角を表した中田敦彦が書き綴ったビジネス書「労働2.0」
一つのお笑い芸人像に囚われることなくマルチに仕事ができる柔軟性はどこから生まれるのだろうか。
気になる。
と、思いながら、本書を手に取ったのだがまさか友人にあんなことを言われるなんて。
衝撃だった。
 
彼は生粋のテレビっ子であり、YouTubeにそれほど興味がなかった。
私はその逆で、暇あればYouTubeの視聴時間の方が圧倒的に多い。
というより、家にテレビを置いてないのでテレビ側の心情がわからない。
だから久しぶりにテレビ側の心情に触れ、カルチャーショックを受けてしまったのだ。
 
あ、そっか、テレビサイドの人間からすれば中田敦彦は干されて逃げたことになっているか、と。
 
確かに、テレビだけを見ていればテレビ業界から逃げた芸人と映るかもしれない。
しかし先ほどもお伝えした通り、ハイクオリティーのコンテンツを毎日投稿しているのだ。
YouTube側の人間からしてみれば「YouTubeの制作に忙しくってテレビ出演する時間がなくなった」と捉えるが、多くの人は友人側の意見に賛同するだろう。
そういう方ほど彼のYouTubeチャンネルを見て頂きたい。
ご覧頂いた上で「労働2.0」を読んで頂きたい。
 
私はよくこの本を友人や後輩におすすめするのだがその際、必ず伝えることがある。
「この本を読む前にYouTubeを観て」
本をすすめると同時に動画も紹介するのだ。
しかも動画の方を先に見てと言う。
本を紹介してほしいと言われたのに、動画をすすめるとは我ながらどうかしていると思うが、これには理由がある。
 
もし、友人のような考えを持った人がこの本を読んだら、
「テレビから追い出された人の言い訳を綴った本」と誤解される恐れがあるのだ。
 
「労働2.0」は固定概念に凝り固まらない働き方を提唱しているので、固定概念を大事にする方にとっては絵空事を聞いているような感覚に陥ると思う。
 
テレビがメディアのトップで、Youtubeなんて大学生の悪ふざけの延長線だという感覚になる人にはとっつき辛い本だと思う。
 
Youtubeを見て中田敦彦が何をやりたいのか、何をやって行くのかを理解した人が共感できる本だと思う。
だからこの本を薦める時はYouTubeも紹介するのだ。
 
かといって「次世代の働き方の敏感な人だけが読めば良い」みたいな尖った書物でもない。
むしろ逆だ。
次の時代へ共に行こうという鼓舞するメッセージというより今の時代に生きづらいと感じる人への応援のメッセージが強い気がする。
「世間の固定概念が窮屈で生き辛い」と感じる人へこの本は「無理して人に合わせなくていいんだよ」と寄り添ってくれているような気がするのだ。
 
中田敦彦は2児のパパでもある。
子どももできてまさに順風満帆に見えるが子育てと仕事の両立は本当に悩んだと本書で綴られている。
彼の奥さんが子育てに疲れて、病んでしまったところから彼自身も仕事を減らし家庭に入ることにした。
いわゆるイクメンだ。
今や理想の旦那の代名詞とも言えるイクメン。
しかし、そこには意外な落とし穴が。
彼自身も仕事との両立に戸惑い心を病みそうになったそうだ。
心身ともに疲れた彼は、意外な行動を取った。
 
「いい夫辞めます宣言」だ。
家庭に入るのは諦める。
その代わりベビーシッターなど業者を頼ることにした。
はたから見れば「子どもがかわいそう」など思うかもしれない。
現に、バッシングが来たというが、子育てに疲弊するパパママを見るよりも、少し外部に頼り、両親が生きいき活躍している姿を見せた方が子供も嬉しいのではないか。
そんなことを考え、「いい夫辞めます宣言」をしたのだ。
世間体より家族の健康を優先する。
中田敦彦らしい愛のある考えだ。
 
今いろんな固定概念があり、それに収まりきれない人が多くいる。
 
そんな人程次の働き方を模索してほしい。
そんなエールが聞こえる本を私はお勧めしたい。
あ、でも、まずは動画を見て頂きたい。

 
 
 
 

◽︎坂田光太郎(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
26歳 東京生まれ東京育ち
10代の頃は小説家を目指し、公募に数多くの作品を出すも夢半ば挫折し、現在IT会社に勤務。
それでも書くことに、携わりたいと思いライティングゼミを受講する
今後読者に寄り添えるライターになるため現在修行中。。。

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