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お笑いコンビ・ピース又吉直樹さんが語る「いつかの、誰かの好奇心」が、新たな誰かを動かす。『Dewar’s Curious Book Bar supported by 天狼院書店』@天狼院カフェSHIBUYA キックオフイベントレポート(前編)


(撮影 : 牟田貞治)

 

ウイスキーを飲みながら、心の赴くままに選んだ本を楽しむ体験が実現しました。
本棚に並んだ、真っ白なカバーがかかった本たちは、書名も著者もわからない。
わかっているのは、その本を買った人のプロフィールだけ。
あなたなら、どの本を選びますか?

 

創業170年を誇るスコッチウイスキーブランドである Dewar’s と天狼院書店がコラボするBarが、天狼院カフェSHIBUYAにて2022年11月2日(水)〜11月16日(水)の期間限定で開店します。

その名も「Dewarʼs Curious Book Bar」

ウイスキー片手に本を読む。その親和性は古くからあれど、今回敢えてバーの名に “curious” =「奇妙な」と入れたのは何故なのか。本に深いゆかりのあるピース・又吉直樹さんとともに、Dewar’sの世界観を介して本の魅力を味わっていただきましょう。



ようこそ「いつかの、誰かの買った本が読めるブックバー」へ

 

創業家と全従業員が持ち続ける「好奇心」をキーワードに商品開発をし、世界的なスコッチウイスキーブランドへと成長したDewar’s と、同じく書店でありながら好奇心をそそるゼミや講座を展開し「本の先の体験を提供する次世代型書店」として飛躍中の天狼院書店。

好奇心に魅せられたもの同士がコラボして実現した「いつかの、誰かの買った本が読めるブックバー」。「読書の秋、スコッチウイスキーを飲みながら、心の赴くままに選んだ本を楽しむ体験」が実現しました。

 

(撮影:牟田貞治)

 

天狼院カフェSHIBUYAの店内に現れたのは「その本を買った人のプロフィールだけが書かれた100冊の本」。訪れた人は「本を買った人のプロフィール」だけを読んで本を選びます。自分が何を選んだかわからないミステリアスさと高揚感は、日常ではなかなか味わえないものかもしれません。

今回のキックオフイベントでは、Dewar’sの2022年春のキャンペーンからメインキャストを務めておられるピース・又吉直樹さんにご登壇いただきます。秋らしい装いに身を包んだ又吉さん、天狼院書店は初来店なのだとか。どんな感想を持たれたのでしょうか。

 

(撮影:内田ケンイチロウ)

 

「面白いことをやっているという噂を聞いていて、一度来てみたいと思っていました。ゆっくり見たいですね」(又吉さん)

早速「Dewar’s Curious Book Bar」の100冊の本棚のアンベール=除幕式を、又吉さんに行っていただきました!

 

(撮影:内田ケンイチロウ)

 

「こういうことなんですね!」(又吉さん)

アンベール後の本棚を興味深く見つめる又吉さんの表情は、生き生きとしています。ここからどんなトークが生まれていくのでしょうか。

 

本を買った人にまで想いを馳せろ! 想像力を刺激する読書法とは

 

「Dewar’s Curious Book Bar」に現れたのは、いずれも真っ白なカバーに覆われた本たち。「本を買った人のプロフィール」だけが書かれています。

「いろいろ気になりますね。『学生の時に留学したメルボルンでゴリラにハマった男性が表紙に一目惚れして買った本』」とかすごいですね。メルボルンで買ったということは海外の本や、翻訳本かもしれませんね」(又吉さん)

 

(撮影:内田ケンイチロウ)

 

又吉さんがエピソードだけで想像して繰り出した言葉を聞いていると、とても鮮明に光景が浮かんできます。

『坊主頭の青年が何度も来店し、立ち読みを繰り返して買っていった本』。僕も小学校や中学校の時にお金がないから書店に行って1日10分ずつ立ち読みして読み切ったことありますもんね(笑) その時の「ごめんなさい」という意味をこめて、今は本をいっぱい買うようにしていますけど。それと『友人に熱心に勧められ、白髪混じりの初老の男性が首をかしげながら買っていった本』。納得いってなくてようわからんけどとりあえず買ってみようか、ですかね。どのエピソードも思わず手に取ってしまいたくなります」(又吉さん)

 

どれがいいんだろう? と楽しい選書のお悩みの又吉さん、果たしてどの本を手に取るのでしょうか。

「まずは『最近サブカル好きの彼女ができたエンジニアの男性が買った本』にしてみましょうか。ここでいうサブカル全然想像つかないけど(笑)」(又吉さん)

本を選んだところで、Dewar’sのスコッチウイスキーのテイスティングをしながら、タイトルを見てみましょう。

 

(撮影:内田ケンイチロウ)

 

「『月と6ペンス』! サマセット・モームですか。正解はサブカルあんまり関係なかったけど、こういうパターンもありですね。むちゃくちゃ彼女の趣味に寄るというよりは、2人で新たな場所を見つけたいと思ったからこれを選んだのかもしれませんね」(又吉さん)

本の正体がわからなかったときと、わかったあととでは、その本に対しての見方がまた違うものになるのでしょうか。

タイトルを知った上でさらに読みたくなります。小説は小説として、名作だから面白いじゃないですか。こういう買い方をした人がいると想像しながら読むと、それまでとは違う言葉の響きがしそうで面白いですね」(又吉さん)

 

(撮影:牟田貞治)

 

さらにもう1冊、選んでいただきましょうか。

『ギターケースを背負い首元のゆるいTシャツを着た伏し目がちの青年が買っていった本』も気になります。音楽をやっている人かな? 首元がゆるいということは割と自由奔放なファッションに身を包んだ、でも伏し目がちだから、表現欲求はあるけど自信はない人でしょうか。買っていった人が何に興味を持つのか知りたくなります。首元のゆるいTシャツを着た青年だから、服を痛めない洗濯の方法の本など、そういう実用書だったら面白いかも」(又吉さん)

どこまでも想像が止まらない又吉さん。わくわくする気持ちのまま、2冊目のタイトルをご覧いただきましょう。

「小西利行著『プレゼン思考』だ! 「プレゼンを制するものがビジネスを制する」って、意外やなあ(笑) この本を買った人は、音楽を本業にしたいなら自分がどういう存在で何ができるのか、自分のストロングポイントとか長所を伝えていく方法をこの本で探ろうとしたのか、あるいは転職して新たな道を歩もうと思ったから買ったのか。いずれにせよすごく前向きな読書ですよね」(又吉さん)

 

又吉さんなりの本の選び方と、今回チャレンジしていただいた本の選び方とでは、何か大きく違うところはあるのでしょうか。

自分で本を選ぶとどうしても似た傾向になるので、それをどう新しい感覚の本に出会うように散らしていけばいいのか、それは本を読む人みんなが考えていることだと思うんです。

書店に行くと目当ての本を買うけど、そのコーナーに行くまでに、全然ジャンルが違っても気になる本が目に入って買いたくなることもありますよね。書店という場所はそういう役割を果たしているのですが、今回の「いつかの、誰かの買った本」での選び方は、自分が気になった本を手に取る方法として、違う選び方になるから新しいし、面白いです。

もしもくじ引きで読む本を選ぶとなると「自分がその本を読む」という理由がなくなってしまいます。「いつかの、誰かの買った本」を知って本を読むのは、自分で「こういう状況を知った上で読んでみたい」という動機づけができますから、人からハイって渡された本を読むのとは違いますよね。その本に至るまでの道のりがあるのが面白いところです」(又吉さん)

 

(撮影:牟田貞治)

 

本を読むにあたっての動機づけは、今回のイベントのキーワードとなる「好奇心」につながりそうですね。

想像力を刺激する意味で、この読み方はすごく生かせると思う。僕は友達と飲みながら、この遊びを続けていきたいですね。エピソードをまず読んで「なんでこの本を買ったのか?」を話し合って、本のタイトルを見て「なるほどなあ」という感想戦にする。遊びでありながらも、深く深く語り合えそうな本読みですね」(又吉さん)

 

 

誰が何といおうと、自分の好奇心に正直であれ

 

実を言うと、この100冊の中に又吉さんと本との出会いのストーリーがエピソードとして書いてある本が含まれています。

「どれだろう……。『若手時代に漫才がウケず、自分のネタの書き方が正しいのか確かめたくて買った本』や、『古本しか買えなかった下積み時代に我慢できずに生活費を削って買った本』などは僕の可能性が極めて高いですよね。どうやら1冊だけではなさそうですが、それでは『初めて小説を書こうか迷っていた時に買い、その迷いを吹っ切ってくれた本』にしましょう」(又吉さん)

 

(撮影:内田ケンイチロウ)

 

まさにそれは又吉さんのエピソードです。そのシチュエーションについて詳しく教えてくださいますか?

「今までエッセイを書かせていただいたり本を紹介する機会をいただいたりしたことはありましたが、自分が本を好きすぎるが故に、自分が書かなくても面白い本なんていくらでもあるから、書こうと思えなかった。そんな時に「小説を書いてみませんか」と声がかかりました。何かを表現するのが僕は大好きだから書きたい気持ちはあったけど、恐れ多い気持ちが強すぎて「書けない」と思っていました。

そんな時にこの本、西加奈子著『サラバ!』を読んで「自分の人生、自分の信じるものは自分で決めていいんだ」と思えたんです。

恐れすぎて遠慮しすぎてはダメ、誰がなんと言おうと自分がそうしたいと思ったならそうすればいい。これは全ての人の背中を押してくれる本です。僕はこれを読んで、誰かに気を遣っていたのか、かっこつけていたんだなって思いました。面白いものができるかどうかなんてわからないから、恥をかいたっていい、書きたいんなら書いていいんだという衝動が沸き上がってきました」(又吉さん)

『サラバ!』には本の素晴らしさが書かれているということです。少年時代の友達との心の通いあいや交流、言葉を超えたものなどに本を通じて触れた、若き日の読書体験の積み重ねが今の又吉さんを形作っていることが伝わってきました。

 

(撮影:牟田貞治)

 

【編集後記】

自分の背中を押してくれた本は絶対に忘れないし、力強い自分を作る源となる。好奇心に裏付けられた熱い想いが、さらにまた誰かを動かしていくと確信できるトークでした。

 

(取材・文:河瀬佳代子、撮影:内田ケンイチロウ、牟田貞治)


◆『後編』はこちらから ↓
成熟に欠かせないのは、もしかしたら好奇心なのかもしれない。
『Dewar’s Curious Book Bar supported by 天狼院書店』
@天狼院カフェSHIBUYA キックオフイベントレポート(後編)


<ご協力企業>

Dewar’s
https://www.dewars-jp.com/

Dewar’s Curious Book Bar
期間:2022年11月2日(水)〜11月16日(水)
場所:天狼院カフェSHIBUYA
(東京都渋谷区神宮前6丁目20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South3F)
時間:19:00〜23:00
※11:00〜19:00は通常のカフェ営業になります
https://www.dewars-jp.com/campaign/#event2

天狼院カフェSHIBUYA
https://tenro-in.com/category/shibuya/

❏ライタープロフィール

河瀬佳代子(かわせ かよこ)(フォトライター)

東京都豊島区出身。天狼院書店ライターズ倶楽部「READING LIFE編集部」公認ライター。
「 Web READING LIFE」にて「魂の生産者に訊く!」、
『横浜中華街の中の人』がこっそり通う、とっておきの店めぐり!」連載中。
他に企業HP、シンポジウム等実績。 Instagram @kkayoco_ichigo

❏カメラマンプロフィール

内田ケンイチロウ(うちだ けんいちろう) 写真家

埼玉県出身。サッカー選手引退後アパレル会社を経てWeb制作会社へ。
母親の影響で写真に触れはじめる。 某カメラメーカー出身のプロカメラマンに師事し、写真活動をスタートする。後にキッズ&ファミリー撮影100組ツアーを実施し、これまで300組以上の撮影を手がける。2017年にウチダブロ合同会社(UCHIDAbüro.inc)を設立する。
現在は榊智朗氏に師事し、受託撮影と写真家活動で活躍中。
天狼院写真学校の講師も務める。(超実践撮影会
https://uchidaburo.com/

❏カメラマンプロフィール

牟田貞治(むた さだはる) 写真家

神奈川県出身。
天狼院書店が開催する本格的なポートレート講座を初心者の写真講座と勘違いして参加したのがきっかけで写真活動をスタートする。
ポートレート、料理、スナップを中心に、当時の講師であった榊智明氏に師事し、今も『言葉にならない何か』を求めて活動中。
MS-OPTICS(宮崎光学)やFUJIFILMのレンズをこよなく愛し、レンズの作例などにも参加する。 Instagram @GENJI_1776

 

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

【間もなく開講!】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《全国通信受講対応》


2022-11-04 | Posted in NEW, メディアグランプリ, 記事

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