スマホのない世界で、わたしは息をする
*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:マダム・ジュバン(ハイパフォーマンス・ライティング)
「スマホがない」と気づいたのは、夜の十時を過ぎたころだった。
夕食後、夫とテレビを眺めながらのんびりしていた時、ふと手元を見たら、そこにあるはずの“相棒”がない。バッグの中にもない。ソファの下にも転がっていない。
「ねえ悪いけど、私に電話かけてくれない? スマホが見つからないの」
私の訴えに、夫は「やれやれ」という顔で立ち上がった……のだが、ソファを探しながら、今度は夫が言う。
「おい、オレに電話かけてくれない?」
──まさかの夫婦そろってスマホ紛失。
情けないと思いつつも、歳を重ねるというのはこういうことなのだろうかと、しみじみ思う。
ほどなく夫のスマホはソファの隅から見つかったが、問題は私だ。
夫がLINE電話を鳴らしても、音がしない。
嫌な予感がじわりと広がる。
あ──さっきのスーパーだ。
レジで財布を取り出す時、カウンターにスマホを置いた記憶がある。きっとそのまま忘れたのだろう。
閉店後のスーパーは電話もつながらない。
親切な人が届けてくれていればいいけれど、なぜか数年前の映画「スマホを落としただけなのに」の緊迫したシーンが脳裏をよぎる。
北川景子の恐怖に染まった表情を思い浮かべ、なぜか気分は完全に北川景子。
「やめて!」と心の中で叫びながら、家中をうろうろした。
そんな中、「お〜い!」という夫の声が響く。
行ってみると、私のスマホは夫のベッドサイドでひっそりと横たわっていた。
洗濯物をたたんでいる時に置き忘れたらしい。
胸の奥で安堵が弾け、一気に息が抜けた。
同時に、むさぼるように通知をチェックする自分がいた。
その時ふと気づく。
たった数時間スマホが手元にないだけで、どうして私はこんなに不安になるのだろう。
その夜、私は初めて「もしかしたらスマホに依存しているのかもしれない」と真剣に思った。
■『スマホ脳』が突きつけた、見たくない真実
反省も込めて、私はAmazonでアンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』をポチった。
……この行為自体が早速スマホ依存の証拠なのだが、そこは見て見ぬふりをしておく。
『スマホ脳』は2020年に世界中で売れた。
著者であるスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンははっきりと言い切っている。
「スマホは現代のドラッグである」と。
ドーパミンという報酬物質の仕組みを、スマホは見事に利用している。
通知の音、SNSの“いいね”、誰かの反応……
私たちは知らないうちに、それらを脳から“もっともっと”と求められているというのだ。
思い返すと、確かに心当たりしかない。
夕飯のメニューを調べていたはずが、気づけばSNSを徘徊して1時間が経っている。
本を開いても、数ページ読むたびにスマホに手が伸びる。
夜は眠りが浅く、朝起きても妙に疲れている。
ハンセン氏の警鐘はさらに続く。
・スマホは注意力を細切れにする
・SNSは自己肯定感をむしばむ
・睡眠が浅くなる
・デジタル疲れは軽い鬱にもつながる
読めば読むほど、心がざわつく。そしてつくづく思う。
何十年も本を愛してきたはずなのに、いつの間にか私は活字より画面に心を奪われていた。
60代にもなって、どうしてこんなループから抜けられないのか。
そんな情けなさが胸に広がった。
■私のスマホ断ち
私は思い切って寝室からスマホを追い出した。
昔ながらの目覚まし時計を押し入れから引っ張り出し、
夜はスマホをリビングに置いたまま寝るようにした。
すると驚いたことに、
たった二日で睡眠の質が劇的に変わった。
「朝ってこんなに爽やかだったのね」と思わず笑ってしまった。
けれど、スマホ断ちは決して簡単ではない。
そしてパソコンやタブレットも生活の必需品。
生成AIだって、毎日頼っている。
気がつけば私たちの暮らしは、リアルよりデジタルの情報にずいぶん包まれている。
ハンセン氏は言う。
「脳は静かな時間を必要としている」
それなのに、自分たちでその静けさを奪っているのだ。
『スマホ脳』では、
“毎日2時間はデジタルを完全オフにする”
そんなデジタルデトックスをすすめている。
けれど正直に言うと、私は一人では絶対に無理だと思った。
家の外へ出れば誰もがスマホを持っているし、電車では皆が同じ小さな画面をのぞき込んでいる。
その光の中に、私たちはいつの間にか閉じ込められているのかもしれない。
■デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜
そんな時、天狼院書店のサイトで見つけたのが、
『デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜』だった。
実際のイベント名は店舗ごとに
「東京デジタルデトックス〜…」「京都デジタルデトックス〜…」と地名がつくが、内容は共通している。
スマホを“封印する儀式”から始まるのだ。
スマホとは物理的に距離を取り、
古典を原稿用紙に書き写したり、アナログカメラで街の風景を撮ったり、
1万歩のウォーキングで風の匂いを感じたり。
半日かけて“デジタルの波”から離れ、本来の自分に戻る時間をつくる。
──この構成を読んだ瞬間、私は思った。
一人では無理でも、儀式があればできる。
同じ目的を持つ仲間がいれば、きっと歩ける。
スマホを持つのは、誰かとつながるため。
でも、ほんとうにつながりたいのは、
もしかすると“自分自身”なのかもしれない。
スマホを失くした夜、
私はほんの数時間の“デジタルデトックス”を体験した。
あの不安と焦りは、
今思えば「立ち止まりなさい」というサインだった気がする。
だから私は、
今度は自分の選択でスマホを置き、
人と、自然と、時間に向き合いたいと思う。
その先で“わたし”が少し戻ってくるような気がしている。
天狼院書店で行われる
デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜
あなたもスマホの光から少し離れて、心の呼吸を取り戻してみませんか。
≪終わり≫
イベント詳細はこちら 👉
東京デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜 | 天狼院書店
https://tenro-in.com/event/374163/
名古屋デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜 | 天狼院書店
https://tenro-in.com/event/374180/
京都デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜 | 天狼院書店
https://tenro-in.com/event/374184/
福岡デジタルデトックス〜スマホ封印から始まるウェルネス1日体験〜 | 天狼院書店
https://tenro-in.com/event/374184/
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