メディアグランプリ

 個性をそれぞれ輝かせて、誰でも自分らしく自然体で。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:藤原 宏輝 (ラィティング・ゼミ 11月コース)


「わたし実は、男性なんです」

あまりに寒い朝、つい乗り込んだタクシーで、降車する間際の衝撃的なひとこと。
私はこの言葉は、あらためて‘インクルーシブ・デザイン’の本質を再確認することになった。

運転手さんは柔らかい声、整えられたボブヘア、穏やかな接客。
私は自然と“女性ドライバー”だと、勝手に認識していた。
運転手さんと楽しく会話を交わしながら、目的地に向かった。
そして、「最近は、女性ドライバーさんも多いですね」
という私の一言に対し、
目的地到着直前に、笑顔でこう言った。
「わたし実は、男性なんです」

私は一瞬、驚きを隠せずに、ネームプレートを確認した。
そこには“ナカムラ”とカタカナで名字のみ。
性別を示す要素は排除され、誰にも誤解なく対応できる状態が、そこにあった。
思わず「ごめんなさい」と口から言葉がこぼれた。

しかし彼は笑いながら、
「いつもお客さんには、間違えられるんです」
本当の性別よりも、これがインクルーシブデザインの肝。

“誰でも自分らしく、自然体でいられる余白をつくる”


半年ほど前の夏。
沖縄で当社がプロデュースした‘レインボー婚’も同じ思想だった。
お2人は、可愛いウエディング・ドレスを身に纏い、立ち位置も、呼称も一切固定しない。
“しっくりくる形”
を、選べるように設計した結果、結婚式全体が柔らかく、美しく、自由な空気に満たされた。

ここで大切なのは、インクルーシブ・デザインが“特別な人のための特別対応”ではないということ。
誰をも排除しない設計は、結果として、すべての顧客の満足度を底上げする。

昨今では、結婚式もまったく同じような構造で動いている。
性別の固定観念を外し、誰もがストレスなく、性別を前提にしないスタートで、役割を押しつけない構造、
さらに選択の余白を残すこと。“誰もが、心地よい”

“排除される人を生まない設計”を、最初からつくる考え方だ。
これは“構造そのものを整える技術”であり、静かに、確実に、顧客体験をアップデートしていく。

ここで出てくる“インクルーシブ”という考えは、誰かのための特別対応ではなく、
『どんなお客様にも、自然にフィットするように、最初から設計する』
という発想のプロデュース。
‘レインボー婚’から半年後、あらためてこの先の“当たり前”が、日常でそっと姿を現した瞬間でもあった。
そして、きっとこの小さな気づきが、次の時代の結婚式を、さらに動かしていくのだろう。

どんな業界でも、きっとインクルーシブの位置付けは、これからの社会では固定概念を外し、誰でも心地よい体験を作れる。
そんな企業が、選ばれるブランドへ進化していくだろう。

未来の結婚式は、
ご新郎様でもご新婦様でもない、“ふたりの名前で始まる式次第”。
お衣装に性別記号はなく、似合うか、好きか?
家族の形も、パートナーの在り方も、多様性を前提にした柔らかい構造へ、だんだんアップデートされていく。

インクルーシブは、これからの社会では“やさしさ”だけではなく、
固定概念を外し、誰でも心地よい体験を作れる企業が選ばれる、
そんなブランドへ、進化していくだろう。

未来の結婚式は、
ご新郎様でもご新婦様でもない、“ふたりの名前で始まる式次第”。
衣装に性別記号ではなく、似合うか、好きか?
家族の形も、パートナーの在り方も、多様性を前提にした柔らかい構造へ変化する。
その流れは、静かで、しかし確実だ。

日本における「LGBTQ+(またはそれに近い性的少数者層)」の割合については、調査によって数字に幅がある。
この幅は、使用される定義が異なったり、調査対象年齢が若年層対象か? 全年齢対象か? で結果がズレる。
ざっくり言うと、人口の約5〜10%前後とされることが多い。
さらに、社会的プレッシャーやカミングアウトのしやすさの影響で、
「本当は該当するが“LGBTQ+”と答えない人」
が存在する可能性もあるので。正確にはもっと潜んでいる。
と考えて良いだろう。


日常のなかにひっそり現れて、社会全体をじわっと変えていく。
インクルーシブは未来の“特別対応”ではなく、未来の“標準装備”になるだろう。

私たちがその変化に気づくたびに、結婚式という文化は、次の時代に向けて少しずつ、美しく進化していく。
インクルーシブは未来の“特別対応”ではなく、未来の“標準装備”になる。
私たちがその変化に気づくたびに、結婚式という文化は、次の時代に向けて少しずつ、美しく進化していく。
そしてこの気づきは、次の時代のブライダルをつくるヒントにもなる。
と私は思うのだ。
これからの結婚式は、誰かの“役割”から始まるのではなく、
ふたりの“らしさ”から始まる時代へ、確実に進んでいくだろう。

朝のタクシードライバーのナカムラさんは、きっと女性でありながら、ただ自然体で接客していただけ。
でも、その自然体を支えているのは、企業側が仕掛けた、ニュートラルな情報設計だ。

令和になり、平成から少しずつ、個々を尊重する時代へと変遷してきた。
これからもさらに、個性を輝かせながら1人1人が様々な変化をしながら、未来を変えていくのだろう。
私はその先駆けとして、レインボー婚へと一歩、踏み出したのだった。

【終わり】

 

 

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