メディアグランプリ

第2回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》


2025/12/1/公開

記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 

 

現代における、結婚の意義とは?

 

結婚する!って決めたら、あなたは何から始めますか?

と書き出しながら、

現代において「結婚しない」という選択は、もはや欠落でも反抗でもない。

という事に今回は少し触れておこうと思う。

「結婚しない」

それは、自分の人生設計を最後まで自分で引き受ける、極めて主体的な意思決定。

 

かつて結婚は、

生活の安定や社会的信用、老後の保証を一括で手に入れる最短ルートのようでした。

しかし今、それらは分散化され、個人単位で調達可能になり、収入、住まい、キャリア、人間関係。

結婚という“パッケージ”を選ばなくても、人生は成立する世の中に変化してきました。

 

だから結婚を選ばない人たちは、‘結婚できなかった人’ではなく、

‘結婚以外の最適解’を冷静に選んだ人

 

 

こうして結婚の意義は、時代と一緒にアップデートされました。

もはや、制度に人が合わせる

ものではなく、

人が制度を使いこなす

その選択肢の一つ、という立ち位置です。

 

現代の結婚をビジネス用語っぽく言うなら‘人生の長期パートナーシップ契約’

ただし、契約内容は各社(各カップル)で完全カスタマイズ可。

定型フォーマットは、存在しません。

 

  • 法的・社会的な意義とは?

結婚は今もなお、相続・医療判断・税制・社会的信用など、人生のリスクマネジメントとして強力です。

愛が冷めるかどうかは不確定でも、制度は淡々と機能する。

ここはかなり現実的で、合理的なのです。

 

2、心理的・関係性の意義。

現代は「一人でも生きられる」時代だからこそ、

それでも「一緒にいる」を選ぶ行為自体が、強い意思表示になります。

依存ではなく、選択。

義務ではなく、合意。

この“自発性”が、昔の結婚と現代の決定的な違いです。

 

3、社会的メッセージとしての意義。

結婚は「私たちは、この関係を公に引き受けます」

という宣言。

完璧な幸せの証明ではなく、

不完全な二人が、同じ船に乗る覚悟を表明する儀式です。

 

4、現代ならではのポイント。

結婚はゴールではなく、関係性を進化させるためのプラットフォームです。

別居婚、週末婚、事実婚、再婚、年齢差婚など。

どれも‘結婚の再定義’です。

 

つまり、現代の結婚の意義は、安心を制度で担保し、自由を合意で守り、関係性を言語化すること。

ロマンだけでも、打算だけでも成立しない。

そのバランスをどう設計するかが、今の結婚の知性です。

 

 

しかし、結婚は人生においての必須科目ではありません。

 

ただし、結婚を選ぶなら……。

世間の正解ではなく‘自分たちの設計図’を持っているかどうか?

が重要であり、現代の結婚の価値を分ける分岐点です。

 

 

ここで時代の流れを、考えてみます。

まず、昭和の結婚の意義を、ひと言で言うと

個人より社会を安定させる装置であり、守るための結婚。

 

結婚は恋愛の延長というより、

家と家

役割と役割

社会と個人

を結び直すための制度でした。

 

夫は、稼ぐ人材。

妻は、家庭を運営する人材。

この役割分業が前提条件で、

愛情はあれば理想で、なくても結婚は成立する。

 

つまり昭和の結婚は、生きるためのインフラでした

個人の幸福より、

「きちんとした大人になる」「世間体を整える」「家系を守る」

その意味合いが圧倒的に強かったようです。

だから、

我慢は美徳、継続は正義、離婚は例外。

結婚は選択ではなく、通過儀礼でした。

 

 

そして、平成の結婚の意義は、一気に個人側へ引き寄せられます

 

恋愛結婚が当たり前になり、

「好きだから一緒になる」

「気が合うから結婚する」

という感情が正当な理由になりました。

 

同時に、女性の社会進出が進み、

共働き、価値観のすり合わせ、家事分担など、

結婚は‘感情+調整のプロジェクト’に変化したのです。

 

つまり、平成の結婚のキーワードは、

幸せになるための共同体で、幸せになるための結婚。

 

ただし、ここがポイント!

制度は昭和のまま、意識だけが平成(個人)化しました。

その結果、

「思っていたのと違う」

「こんなはずじゃなかった」

が量産されていきました。

 

我慢しすぎても、ダメ。

自分優先すぎても、ダメ。

平成は、理想と現実の摩擦が一番激しい時代でした。

 

 

ブライダルの現場に長くいると、

「どの時代の価値観で、結婚しているか?」

でスレ違いの原因は、ほぼ説明できます。

昭和の物差しでご両親様世代が、平成・令和の結婚を測ると苦しくなる。

 

‘結婚’は、時代の要請に応じて役割を変えてきた社会装置。

だからこそ、皆さんがどの時代を前提にするか?

が問われています。

 

 

現代における結婚の意義。

「結婚する」のは、自由の代償を理解したうえでの選択であり、

さらに「大人の選択」が許される時代になった、納得して選ぶ結婚。

 

しかし、結婚を選ばない人たちは、不安定さ、孤独、老後の不確実性。

それらをコストとして理解したうえで、なお「結婚しない」を選んでいるようです。

誰かと人生を共有しない代わりに、自分の時間、判断、責任を100%引き受ける。

これは楽な選択ではない、むしろハード。

それでも、「誰かに合わせて自分を削るより、自分を保ったまま生きることを優先した」

ただ、それだけの話。

家族以外の強い人間関係を複数持ち、仕事仲間、友人、趣味のコミュニティ、パートナー。

関係性を分散投資している。

結婚しない=孤独、ではない。

結婚と孤独を安易に結びつけるのは、昭和的な誤解。

 

 

もう一方で、結婚していても孤独な人は、たくさんいる。

つまり、婚姻の有無ではなく、関係性が機能しているかどうか? が問題。

我慢が前提だったり、役割に縛られる生き方や更新されない契約。

そんな旧来型の結婚モデルの場合‘熟年離婚’に至ることも少なくない。

 

だからこそ、

「結婚する」

と決めたら、形はどうであれ、入籍のみではなく、結婚式を挙げること!

不完全な二人が‘同じ船に乗る覚悟を表明する儀式’を強くおすすめします。

なぜなら、結婚式という節目を迎えることで、この先の人生で何かあったときに、ふたりの気持ちを感情の記憶から、原点に立ち返らせてくれるからです。

泣いて、笑って、手を取り合って。

結婚式は“完成されたゴール地点”ではなく、準備から結婚式当日までお2人一緒に乗り越え、ご夫婦として一歩を踏み出す“未来へのスタート地点”なのです。

 

次回は、その一歩についてお話ししていきます。

 

 

《終わり》

 

 

 

 

 

❒ライタープロフィール

藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』

愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年携わり、2200組以上のご新郎・ご新婦様の人生のスタートに関わりました。

さらに、大好きな旅行を業務として20年。思い立ったら、世界中どこまでも行く。知らない事は、どんどん知ってみたい。 

と、好奇心旺盛で即行動をする。とにかく何があっても、切り替えが早い。

ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? 

をいつも模索しています。

2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。

 

 

 

 

 

 

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