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週刊READING LIFE Vol.30

「成長と改善」「秩序と仕組み」そして「チーム」《週刊READING LIFE Vol.30「ライスワークとライフワークーーお金には代えられない私の人生テーマ」》


記事:なつむ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

ライスワーク。
ライフワーク。
人生のテーマ。
 
日頃考えたことのない問いを投げられて、ああかこうかといろいろ考えた。
実は、恥ずかしながら、「ライスワーク」という言葉を、初めて認識した。今までにも、聞いたことはあったような気がする。でもその時は右から左に聞き流していた単語で、深く考えたことはなかった。
ライスワークとは何だろう。言葉から「食べるためにする仕事」というところなのかなと推測しつつ調べてみると、意味の中心部分はそれで大きく外れていないようだったが、どうも、人によって(「ライスワーク」に限らず「ライフワーク」のほうも)ずいぶんといろんな定義で語られているようだ。
 
定義のあいまいな横文字はあまり深入りすると言葉遊びになってしまう。今日のテーマについて書く上では、ライスワークは「食べるため(だけ)にする仕事」、ライフワークは「お金には代えられない人生のテーマとほぼ同義のもの」だという意味で、考えてみたい。
 
さて、取り繕っても仕方ないので、正直なことを書こう。
 
私には、まだ、ライフワークといえるような人生のテーマは見つかっていない。
いつかほしいと思っているが、まだ、これと言って、そういうものがない。
 
なので今日は、自分や、自分の周りの人を思い浮かべて、今後の自分のライフワークや、人生のテーマになりそうなものを考えてみたい。
 
私は今、都内で、会社員として、働いている。この春で、11年勤続になった。
今やっている仕事が「ライスワーク」かと言われたら、それは即座に「No」と申し上げようと思う。
 
確かに、仕事がなくなってしまうと食い扶持がなくなるのは事実だし、100%全部がやりたい仕事で構成されているかというとそうではない。一説には、サラリーマンの給与というのは「やりたくないことをやる」「他人(社会や上司)からの理不尽を受け止める」料も含まれているという言われ方もあって、それには妙に納得してしまう。もともとサラリーマン(雇われて働く側)というのは、誰か他の誰か(主には社長や経営層)のやりたいことをやっている(自分のやりたいことをやるのではない)のかもしれず、そういう意味では「ライスワーク」的な要素と、無縁とはいいきれないのだと、確かに思うが。
 
でも、働き甲斐のある職場だと思っているし、やりたい仕事があるし、必要とあらば長時間、時に食事もわきに置いて打ち込むようなこともできる。寝食を忘れてとまでは言い切れないけれど、休みの日も含めて方針を練ったり段取りを作ったりすることもある。
 
そういうと、「じゃぁそれはもう十分にライフワークじゃないか」というお声も聞こえてきそうだ。
 
うーん。
いろんな定義があるようなので、もしかしたら、定義の取り方よっては、そうなのかもしれない。
 
でも、私としては、なんだかそれも違うと思っている。
 
これくらいで「ライフワーク」だなんて、言い切って良いものだろうか、という迷いが、とてもある。
 
今私がやっている仕事は、あくまでも、今の会社、今の所属部門、今のポジションだから、やっている内容の仕事だ。
これまでに社内で新規事業から営業から管理系と複数の仕事を経験して、その中で、初めて自分からこれがやりたいと手を挙げたのが今の仕事だった。そういう意味では気に入ってやっている。でもそれは、その時の自分の仕事の周りを見渡して、みんなにとって解決するに値する課題がそこにあると感じたから、その解決に乗り出した、という格好での異動で、今後、一生これをやって行こうと思っているわけではない。
 
「これが私のライフワークです」と胸を張っていうには、もうちょっと、長期的な視点というか、まさに「人生のテーマ」というような、ロングスパンでの意思がないといけないように感じている。
 
ライフワークって、実際のところ、何なのだろう。
 
私が思い描くのは、たとえば、社会人としてバリバリ働いている人が、それとは別に、地域で長年何かのボランティアをしていたり、職業とは別に、たとえば小説や漫画を好きで書いていたりすることだ。
 
単なる娯楽の意味の趣味というよりはそれを通じて何かを成そうとしている活動。
 
何を失っても、それは続けていきたい、というようなもの。
 
こうなると、天狼院書店のREADING LIFEともなれば、ライフワークは「書くこと」だとおっしゃる方が多いのかもしれない。
仕事とは別のところでの活動という意味では、私にとっても、書くことは似たポジションではあるが、まだ、ライフワークと言い切れるほどの領域まで高められていないと思っている。
 
「ライフワーク」という響きには、ものすごく、憧れはある。
 
ライフワークのある人生。
仕事は仕事で楽しく打ち込み、社会とつながり、世界とつながり、仕事場の仲間がいて、成果を上げて。
その一方で、ずっと続けていきたい活動を、人生の軸として持っている、という生き方。
 
うん、格好いいなぁと思う。
 
自分で起業をしている人たちの中には、本業が、まさにライフワークだという方も多いのかもしれない。
 
大げさに考えないで、自分にとって、何かそういうものになりそうなものがないのか、考えてみたいと思う。
 
自分の職場に目を転じると、今の仕事をライフワークにしていると言って良いのではないかという先輩は、確かにいる。
モノを作るのが大好きで、今はプログラミングという形でモノ作りに邁進されている。
「私はモノを作っていれば、それが幸せなんです」と言い切るほどはっきりした方針の持ち主で、私はその人にプロジェクトに入ってもらうときには、仕事を進めるうえで必要な事務作業はその人にはお願いせず、すべてこちらで引き取ることにしている。別に、その人が事務作業をできないわけではなくて、組織全体として考えたときにそうするほうが明らかに効果が最大だからだ。
その先輩は、モノづくりが幸せと言い切るだけのことはあって、これを作ってほしいとオーダーする側が途中でぶれたり仕様が変わったりすることも計算に入れて、時に無茶ぶりも受け止め、内容に対して作るのに時間がかかりすぎるときには折衷案を積極的に提案してくれ、緻密な調整をし、どうにか納期の範囲で極力高品質なものを作る、という技術には本当に長けている。
きっと、いくつ部門を異動しても、仮にもし、会社が変わることがあっても、おそらくあの先輩はひたすらにモノを作り続けていくのだろうと、無理なく想像できる。
 
そう考えていくと、サラリーマンだからと言って、仕事の中でライフワークを果たせないわけでもなさそうだ。
ある程度生き生きと仕事をしている自覚のある自分にとって、今の仕事は自分の軸とどのようにかかわっているのか、もう少しちゃんと考えてみても、よさそうだ。
 
私の仕事は、600人くらいの技術コンサルティング会社の中で、社内システム周りの業務改善をすることだ。やむにやまれず引き受けている運用業務もゴマンとあるが、基本的には、改善業務、つまり、何かを変えていくことが価値だと思っている。
先ほどの先輩の例が、「モノづくり」がライフワークの軸で、今の具体的な手段がプログラミングであったということから、自分の場合を考えてみよう。
 
今の具体的な仕事の内容は実は手段なのだと捉えなおして、私が今後、今の仕事から何か変わっても、ずっとやっていきたいと思っているのは、どういう要素だろうか。
たとえば、管理系から営業や事業部門に行ったとしても、こういうことに関わっていくことが自分の喜びだと思うのは、何か。
 
そう考えていくと、いくつかのキーワードが出てきた。
 
「成長と改善」
 
「秩序と仕組み」
 
「チーム」
 
書いてみると、自分のことなのに、そうだったのか、と、驚くような感覚がある。
 
それは、こう書いてみて初めて、仕事以外でも、自分が積極的に関わろうとすることには、確かに、こういう要素がちりばめられているものが多いことに、思い当たったからだ。
 
何をするにも、全体の秩序をつい考える。私のことを気遣いの人だと言ってくれた人がいたが、おそらく、申し訳ないが、それは個人に対する思いやりに端を発したのではなくて、全体の秩序を優先した結果、出てきた行動だった可能性が高いと、自己分析できる。ルールにうるさいので、やり方を間違えるとよく煙たがられる。
 
一度やったことを仕組みで残せたら楽だなという発想がよくある。その分、仕組みに凝ってしまい、細かく仕組化しすぎて、実際には全然自分が使いこなせないという失敗も多い。仕組みと改善というのは割とセットでとらえられる概念でもあるかもしれない。うまい仕組みができると、個別で改善するよりもずっと大きな効果が得られるからだ。
 
成長という面は、仕事にこそしなかったが、高校の教育職員免許状を持っていて、人の成長には若いころから関心がある。自分の成長だけでなく、たとえば、人がそれまでと違う何かに気づいて考えや行動をプラスに変える瞬間などに気づくと、勝手にウルウルしていたりする。
 
チームという点は、子供のころから集団生活が大好きなようで、その点もかなり合点がいく。
 
そうこうして、考えてみると、ライフワークというには抽象度が高いが、
 
「チームを通して、自身と関係者の成長を促しながら、秩序と仕組みを作るのが好き」
 
らしいということが、これを書きながら見えてきた。
たしかに、こういうことがからんでいる何かなら、お金とは関係なく、喜んでかかわっていくかもしれないな、と、思える。
 
もっとも、これは、本日時点ということで、今後さらにバージョンアップしていくことがあるだろう。でも、少なくとも、何か、自分の行動の軸になっているのは間違いない。
 
私の人生のテーマは、「成長と改善」「秩序と仕組み」「チーム」。
 
こんな答えが出るとは、書き始めたときには思っていなかった。
 
書くことの面白さも味わえた今回の、「ライスワークとライフワーク お金には代えられない私の人生テーマ」。
 
あなたにとって、それは、何だろうか。

 
 
 
 


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2019-04-30 | Posted in 週刊READING LIFE Vol.30

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