北九州・小倉で100年以上続く郷土料理「ぬか炊き」を全国区にした立役者

日本初の商品が、食べることを二度楽しくする〜北九州・小倉で100年以上続く郷土料理「ぬか炊き」を全国区にした立役者〜《WEB READING LIFE「百年床・宇佐美商店」第2話》


2022/02/21/公開
記事:田盛稚佳子(READING LIFE編集部公認ライター)

福岡県北九州市にある旦過市場(たんがいちば)には、ここでしか食べることができない激ウマな肉がある。

それは「スペアリブのぬか炊き」である。

ぬか炊き専門店「百年床・宇佐美商店」の三代目店主である、宇佐美雄介さんが開発した日本初のこの商品は、全国ネットの情報番組「旅サラダ」に紹介されるやいなや、またたく間に大人気商品となった。

この「スペアリブのぬか炊き」の味を一言で語るのは非常に難しい。

なぜなら、食べた人にしかわからない旨味が凝縮しているからである。

そして、この商品には誰しも二度は驚かされてしまうだろう。

まず特筆すべきは、肉のやわらかさだ。

普通のスペアリブだと思って、骨を片手でつかみ、反対の手で持った箸に力を込めて骨から身を取ろうとする。ところが、ついつい力が入りすぎてしまい、思いのほか一気にポロッと肉がほぐれてしまうのである。

最初にこのスペアリブを箸で触れた時の触感は本当に衝撃だった。

たとえば、魚で身離れがいいいというのは誰しも聞いたことがあるだろう。

しかし、この「スペアリブのぬか炊き」の身離れは、おそらくほとんどの方が経験したことがないはずだ。

箸を入れた時点で、食べる前からワクワクすることはもう間違いない。

そして一口頬張ると、さらに身離れの良いその肉がほろほろとほぐれていき、これは本当に豚肉なのか!? と驚かずにはいられない。

豚肉特有の脂身のしつこさをまったく感じないのである。

しかも、口の中でとろけるのだ。お世辞ではなく歯がいらないと言っても過言ではない。

お子さんからご高齢の方まで不自由なくいただけるはずである。

そして、その美味しさたるや!!

甘味と旨味、ほどよい煮汁の染み込み具合は濃すぎず、絶妙なバランスを保ちながら肉が口の中を泳いでいく。このまま、ずっと口の中に閉じ込めておきたい、そんな旨さがある。

一方で、その気持ちとは裏腹に白飯を一気にかき込みたい衝動にも駆られる。

肉を一口食べて、白飯を。今度はプルプルの脂身の部分を一口食べて、また白飯をかき込む。

他におかずは何も要らない。

「ぬか炊きに出会えてよかった!!」

宇佐美さんの作った「スペアリブのぬか炊き」を口にすると、きっとこう感じるだろう。

少しの量でこんなにもご飯が進むおかずが、果たして今まであっただろうか。

どうしたら、こんなに美味しい「スペアリブのぬか炊き」ができるのか。

店主の宇佐美さんに伺ってみた。

「とにかく、スペアリブは本当に時間と手間がかかるんですよ。でも、他店にない商品だからこそ、自信があるんです」

サバやイワシなど青魚のぬか炊きであれば、第1話にあるように、煮込むだけでも最低2時間半から3時間程度は必要だ。

そして、いざ豚肉を仕込むとなると、煮汁に入れる前にさらに作業工程が一つ増えるという。

それが、脂抜きである。

宇佐美商店では三元豚のスペアリブを使用しているそうだが、こうしたアバラ肉は、もし何もせずにそのまま煮込んでしまった場合、脂分が多すぎるゆえ必要以上に味がクドくなってしまうのだそうだ。

脂抜きのためにスペアリブの下茹でをすること軽く1時間。

その後、醤油やみりん等を入れた煮汁に入れて、さらにじわりと火を通していく。

色が徐々にあめ色に変わっていき味が染み込んできたら、宇佐美商店自慢のぬか床を入れて、じっくりとコトコトコトコト煮込んでいく。

こうして炊き上げるまでには、なんと4時間もかかるのだそうだ。

店内にあまたある商品の中で、これでやっと店頭に出す一品が出来上がる。

しかし、裏を返せばそれだけの手間と時間をかけているからこそ、少しの量でも満足度が高く、また食べたいと思わせてくれるのである。

青魚の時と同様、やはりぬか床を入れる量を季節やちょっとした気温の変化に応じて、微妙な調節をしながら「スペアリブのぬか炊き」を仕上げているのだそうだ。

「その時期に、最もいい状態でお客さんに食べてもらいたい」

という宇佐美さんの意気込みを感じることができる商品である。

「100年もののぬか床」から生まれる、滋味あふれる商品の数々。

今回の「スペアリブのぬか炊き」については、実はギリギリまで紹介をためらった。

なぜなら、宇佐美さんがこの商品を作る大変さを丁寧に語ってくださったことと、こんな美味しい商品がさらに有名になったら、いったい何ヶ月待ちになるのか予測不可能だったからである。

しかし、人生の中でこの「スペアリブのぬか炊き」の美味しさを知らないまま過ごすというのは、なんとももったいないことか。

店主の宇佐美さん渾身の商品だからこそ、一度は味わうべき一品である。

さらにもう一つ、どうしても店頭に行かないと購入できない商品があるので、これはまた次回に紹介したい。

(第3話につづく)

<< 第1話はこちら

□百年床・宇佐美商店

百年床・宇佐美商店|北九州名物ぬか炊き・ぬか漬け

【店舗情報】
〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町4丁目1-30
・営業時間

月〜土曜  10:00‐18:00
日・祝祭日 11:00‐16:00

 

▼百年床・宇佐美商店さんのぬか炊きが、なんと、天狼院とのコラボメニューで登場することになりました!!!

《百年床・宇佐美商店 × 天狼院書店コラボメニュー》
百年床の糠床を使った「さば」と「スペアリブ」のぬか炊きがメニューに登場‼︎

●百年床・宇佐美商店 ぬか炊き定食 1,100円(税込) さば or スペアリブ/ご飯/豚汁
●満腹セット 1,320円(税込) さば2匹 or スペアリブ 2本/ご飯/豚汁
●満腹満足セット 1,320円(税込) さば and スペアリブ /ご飯/豚汁
※+200円でドリンクをおつけできます。

「ぬか炊き」の美味しさを存分にご堪能いただける、スペシャルメニュー、ぜひご堪能くださいませ!

□ライターズプロフィール
田盛稚佳子(READING LIFE編集部公認ライター)

長崎県生まれ。福岡県在住。西南学院大学文学部卒。
地域で活躍する人々の姿に魅力を感じ、人生にスポットライトを当てることで、その方の輝く秘訣を探るべく、事務職として勤める傍ら執筆する日々を送る。

この記事は、人生を変える天狼院「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」をご受講の方が書きました。 ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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