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北九州・小倉で100年以上続く郷土料理「ぬか炊き」を全国区にした立役者

「店頭だけで買える、レアなぬか炊き商品」~北九州・小倉で100年以上続く郷土料理「ぬか炊き」を全国区にした立役者~《WEB READING LIFE「百年床・宇佐美商店」第3話》


2022/03/07/公開
記事:田盛稚佳子(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
ぬか炊き専門店「百年床・宇佐美商店」は、三代目店主の祖母が嫁入り道具として持ってきたぬか床を100年以上、大切に守り続けている。
三代目店主である宇佐美雄介さんは、この「家宝」とも言えるぬか床を使い、北九州市小倉の食文化の保存と発展に、一役も二役も買っている人物である。
 
まずは、小倉名物であり江戸時代からずっと庶民の味とも言える青魚のぬか炊きだ。
これは第1話で紹介したが、一般的なサバの味噌煮を想像しながら口にすると、おそらくその違いに愕然とするだろう。
青魚特有の臭み、骨骨しさがまったく無いのである。
骨を取るのが苦手だから魚はあまり食べない、という方にはぜひ青魚のぬか炊きをお薦めしたい。
「骨をうまく取りながら魚を食べなければいけない」というストレスを全く感じさせない。
なぜなら、骨まですべて食べることができるからである。その柔らかさや芳醇な旨味に、驚くことは間違いないだろう。
 
次に、ぬか炊き商品としては日本初となる「スペアリブのぬか炊き」には、食べることの幸せと驚きに包まれた。
第2話で詳しく触れたが、この商品は朝の情報番組「旅サラダ」を通して全国に知れわたる大人気商品となった。
ほろほろと身がほぐれるにもかかわらず、豚肉の食感はパサパサ感どころか、しっとりとしている。このぬか炊きに使われる三元豚の身の隅々にしみ込む絶妙なぬか炊きの旨味は、他の店では決して味わうことはできない。
 

 
さて今回紹介するのは、宇佐美商店の店頭でしか購入できないレアな商品、その名も「ぬたまご」である。
「煮たまご」の間違いではないか? と初めは誰しもが思う。
どうか冒頭の商品の写真、じっと目を凝らしてご覧いただきたい。
「半熟ぬか炊きたまご」を略して、「ぬたまご」なのである。
もし店頭でこの商品を見つけたときは思わずガッツポーズが出るし、売り切れていると、なぜ、せめてあと10分でも早く宇佐美商店に来なかったのか! と激しく後悔する。
それくらいレアな商品なのである。
 

 
この見るからにしっかりと味がしみ込んでいることがわかる色、そこにガブリと嚙みつくか、箸でそっと割るかは、その時の気分におまかせである。
いずれにしても、中からとろーりと半熟の黄身が姿を現す。
黄身は固すぎず、そしてレア過ぎない。
口に入れると、んんーっ、と思わず唸ってしまうことだろう。
これは「スペアリブのぬか炊き」同様、あつあつの白飯と一緒にかき込むもよし、またラーメンなどのトッピングの主役にもよし。脇役でいるには非常にもったいない存在感なのである。
アルコールが好きな方にはお酒のアテにもちょうどいい。
どうやって食べようか、店頭に並んでいる時から献立をあれこれと考え始めてしまう商品なのである。たまご一つで大げさなと思う方は、ぜひ一度目にして舌で味わえば、この記事の内容に納得していただけるだろう。
 
今回、ぬたまごについても、その作り方を店主の宇佐美さんに伺ってみた。
「黄身が半熟とろとろに仕上がるように、火加減には気をつけます。たまごは火が通りやすい食材ですが、白身と黄身は固まる温度が異なります。いい感じの半熟というのはなかなか難しいんですよね」
今の茹で方に決まるまでに、試行錯誤を繰り返し、ようやく一番安定的かつ良い半熟具合にたどり着いたのだという。
たまごが茹で上がったら、ぬか炊きの煮汁に一晩じっくりと漬け込んで味をしみ込ませていく。この煮汁は、ぬたまご用に新しく作られたわけではない。サバとイワシを煮たぬか炊きの汁を「ぬたまご用」としてわざわざ取っているという。
 
実は、ぬたまごが生まれたきっかけは、意外なところにあった。
もともと、このぬたまごを作ろうと思ったのは二つの理由があるという。
一つはサバやイワシを炊いた時に、どうしてもその煮汁が余ってしまうことがある。せっかく旨味がしみ込んだこのタレをなんとか有効活用できないかと宇佐美さんは考えたそうだ。
二つめは、「ぬか炊き」を今まで口にしたことがない方が、ちょっと食べてみようかなと思ったときにチャレンジしやすいものは、いったい何かということに頭をひねった。
そして、考えに考えたあげく閃いたそうだ。
「そうだ! ぬたまごにしよう!」と。
 
この旨味たっぷりの煮汁を有効活用するという作り手目線、若い方やぬか炊きを知らない方に、ぬか炊きを知って食べてもらうにはどうしたらいいかというお客さん目線を、宇佐美さんは仕事をする中で常に持ち合わせている。
この柔軟な発想が、斬新かつユニークな商品を生む秘訣なのかもしれない。
「ちなみに、ぬたまごは店頭限定、かつ数量限定の商品となります。旦過市場の近くに寄られた際は、一度は食べていただきたいですね。もちろん、他の商品もご一緒に」
そう言って宇佐美さんは笑顔を見せた。
 

 
ぬたまごが店頭限定かつ数量限定であることには、理由がある。
それは、他の商品と比べて賞味期限が短いことである。
青魚の煮汁が必ずしも同量に余るというわけではないし、季節や気温によっても多少変わってくる。それゆえに材料となるたまごの量も変化する。
毎日、同数の商品が出せるとは限らず、一気にたくさん作れない場合も出てくる。
だからこそ、店頭で出会えた時は非常に得をした気持ちになるのである。
 
ぬたまごを世に出すまでに、宇佐美さんが試行錯誤を繰り返す中で一番美味しいと思った、たまごのゆで加減が「半熟」だったという。
最高に美味しい状態を保つために、他の商品よりも賞味期限を短く設定しているため、インターネットではお届けできないというのが現状である。
 
実際に店頭で宇佐美さんにお会いすると、その人柄に温かみを感じることができる。
そこには、どの商品にも自信と愛情が注がれていることがじわりとわかるからである。
たとえば「今日はサバのぬか炊きを買いに行こう」と思ってお店に伺うと、違う商品にも目を奪われたりすることがある。
予定していたものとは違う商品が気になって、違うものを買ってしまうことは、普段の買い物の中でも、誰しも経験があるのではなかろうか。
宇佐美さんはお客さんの様子を見ながら、決めるのに悩んでいそうな場合はそっと商品の説明をしてくれたり、会話をしていく中で今日のお客さんの献立に合った商品を紹介してくれる。
そして買いたいものが決まったら、店頭に並んでいる商品を吟味して、店主が自ら商品を取り分けてくれる。そのさりげない優しさにお客さんが絶えない。
 
目にも舌にもじんわりとしみ込んでくる、それが100年以上大事に守られてきた家宝のぬか床を使った、ぬか炊きの醍醐味なのである。
まだまだアイデアの宝庫である、三代目店主の宇佐美さん。
次回は「ぬたまご」とは正反対の長く日持ちする商品を紹介したいと思う。
 
 
≪第4話へつづく≫
 

□百年床・宇佐美商店
百年床・宇佐美商店|北九州名物ぬか炊き・ぬか漬け
【店舗情報】
〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町4丁目1-30
・営業時間
月〜土曜  10:00‐18:00
日・祝祭日 11:00‐16:00

 

▼百年床・宇佐美商店さんのぬか炊きが、なんと、天狼院とのコラボメニューで登場することになりました!!!

《百年床・宇佐美商店 × 天狼院書店コラボメニュー》
百年床の糠床を使った「さば」と「スペアリブ」のぬか炊きがメニューに登場‼︎
●百年床・宇佐美商店 ぬか炊き定食 1,100円(税込) さば or スペアリブ/ご飯/豚汁
●満腹セット 1,320円(税込) さば2匹 or スペアリブ 2本/ご飯/豚汁
●満腹満足セット 1,320円(税込) さば and スペアリブ /ご飯/豚汁
※+200円でドリンクをおつけできます。

「ぬか炊き」の美味しさを存分にご堪能いただける、スペシャルメニュー、ぜひご堪能くださいませ!
 

□ライターズプロフィール
田盛 稚佳子(READING LIFE編集部公認ライター)

長崎県生まれ。福岡県在住。
西南学院大学文学部卒。
地域で活躍する人々の姿に魅力を感じ、人生にスポットライトを当てることで、その方の輝く秘訣を探すべく事務職の傍ら執筆する日々を送る。

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