週刊READING LIFE vol.45

「SEX特集」比較!「anan」VS「Tarzan」《 週刊READING LIFE Vol.45「MAGAZINE FANATIC」》


記事:千葉 なお美(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

今年もあの季節がやってきました!
年に一度の、夏の祭典。
そう! 「SEX特集」です!
 
「SEX特集」といえば、あの老舗雑誌「anan」が有名ですよね。
「anan」といえば「すべての女性の好奇心に応えるウィークリーマガジン」をキャッチフレーズに掲げた、女性向け週刊誌。
健康、美容、旅、占いなど、取り上げるトピックは多岐に渡りますが、どれも女性が今気になる話題を掘り下げています。
そのイメージは、女性向けカルチャー雑誌の王道そのもの。
そんなananが年に一回、毎年8月に発売するのが、「SEX特集」です。
 
「anan」を手がけているのは「株式会社マガジンハウス」。
実はこの会社、「anan」以外にも「SEX特集」を発売しているのをご存知ですか?
 
それが、男性向け健康雑誌「Tarzan」です。
女性の私はなかなか手に取る機会が少ないですが、イメージは「スポーツマンの筋肉バイブル」。
私の通うトレーニングジムでも、常に最新号の「Tarzan」が置かれており、ムキムキマッチョのお兄さんがエアロバイクを漕ぎながら読んでいるところをよく見かけます。
 
そんな、女性誌「anan」と男性誌「Tarzan」の「SEX特集」。
同じ会社が同時期に発売するこの特集は、どう違うのか?
今まで「SEX特集」は「anan」一筋だった私が、図書館から借りて比較してみました!
 
借りてきたのは、過去2年分。
比較するのは、表紙、メインとなっている企画、それ以外の内容です。
 
まず、表紙です。
 
「anan」は表紙とそれに続く巻頭グラビアが大目玉。有名人を起用したグラビアは、毎年話題になります。2018年はAAA(トリプルエー)の西島隆弘、2017年は関ジャニ∞の横山裕。ちなみに2016年は当時AKB48の指原莉乃でした。男性が起用されることが多いですが、女性のときもあります。
表紙だけなら本屋でちらっと見た人も多いと思いますが、あの表紙には毎年心を鷲掴みにされます。ページをめくった巻頭グラビアではさらにエロスが倍増。この撮影までにつくりこんできたであろうボディを惜しげもなく披露し、色気も相まって「きゃ〜!」と叫んでしまいたくなるような仕上がりです。
 
一方「Tarzan」の表紙は、昨年、一昨年ともシンプルなイラスト。「えっ? もっとなにかなかったの?」と思わず口走ってしまいそうなほど、簡素です。お世辞にも「これは読みたい!」と思わせる表紙ではないですが、いやらしさがないので手に取りやすそうです。これは男性向けに、あえてこういうビジュアルにしているのかもしれません。
 
さて、次は中身です。
総ページ数は、「anan」は2年とも136ページ。
「Tarzan」は2018年が124ページ、2017年が120ページ。
 
その中でメインとなっている企画ですが、「anan」は2年連続で「読者の体験談」です。
今までで忘れられない一夜や史上最高のセックスについて、インタビュー形式で書かれています。内容が内容だけに、官能小説を読んでいるような気分に。趣旨としては、彼女たちの快感を追体験することで、幸せなセックスの本質に辿りつく、というもの。どこか架空の出来事のようにも感じられますが、アンケート結果に基づいているので、実際にあった話で間違いないでしょう。体験談は2年とも8人分。今までで一番よかった体験に基づくので、セックスの綺麗な一面を切り取っている印象。「セックスの桃源郷」を映し出していると言えるかもしれません。
 
一方「Tarzan」のメイン企画は、2018年が「ターザンが考えたハンサムセックスに必要な18の力」。
「この人に抱かれてよかった」と思わせるセックスを「ハンサムセックス」と定義し、それに必要な力を18個紹介しています。思考力、知識力、快感力、乳首力、前戯力、接吻力、勃起力、等々……。思わずクスッと笑ってしまいそうなネーミングです。女性が何を求めているかや女性の性反応について、また男性ホルモンを増やすための方法など、技術的なことまでイラストと共にわかりやすく解説されています。
 
また、2017年のメイン企画は「セックスを最強にする筋トレ術」。
主要体位の図に合わせて、その体位に必要な筋肉と筋トレを解説。「上になっても体重をかけないために、上腕三頭筋を鍛える方法」や「相手の体重を受け止めるための背筋を鍛える方法」など、6つ紹介しています。さらに女性向けに2つの体位と筋トレ術も。セックスをスポーツと捉え、日常生活に落とし込む提案をしているところが「Tarzan」らしいです。
 
最後は、メイン以外の内容です。
 
「anan」は、男女2人が裸で絡み合うショットが4ページにわたって掲載。これらも体験談に基づいたキャッチフレーズとともに、「記憶のカケラ」として散りばめられています。他にも「女性が感じるためのステップ」といったセックスの知識や極意、また「大人の保健体育」や「SEXのあれこれ」など、避妊や性感染症などのリテラシーを高める内容も。
 
「Tarzan」は、「前戯としての食事学」として、男女別にそれぞれセックスに効果的な食事メニューを紹介。性ホルモンをアップさせる食事メニュー、精子の動きを活発にする食材、膣のコンディションを保つ食材、疲労回復のための食事メニューなどがあります。また「anan」と同じように、性に関するお悩み相談室も。
 
ここまで比較して感じたのは、全体を通して「anan」は理想を追い求めるセックス、「Tarzan」はセックスという視点から見たカラダづくりに焦点を当てているということ。
「SEX特集」というといかがわしいイメージを持たれる方も多いですが、両者は下品な印象がまるでありません。それぞれテーマを持って「性」について掘り下げており、真剣に向き合っているからこそ面白い。
 
そしてこれは、年に一回。
夏にしか買えないからこそ、価値がある。
 
あなたは、「anan」と「Tarzan」、どちらの「SEX特集」が気になりましたか?
 
 
 
 

◻︎ライタープロフィール
千葉 なお美(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

青森県出身。都内でOLとして働く傍ら、天狼院書店のライティング・ゼミを経て、2019年6月よりライターズ倶楽部に参加。趣味は人間観察と舞台鑑賞。
「女性が本屋で『ちょっとエッチな本』を買うときのコツ」でメディアグランプリ3位獲得。
万人受けしなくとも一部の読者に「面白い」と思ってもらえる記事を書くことが目標。

 
 
 
 
http://tenro-in.com/zemi/86808

 


2019-08-12 | Posted in 週刊READING LIFE vol.45

関連記事