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週刊READING LIFE vol.86

子供の頃のように仲間と共に夢中になれる一生の宝物《週刊READING LIFE Vol,86 大人の教養》


記事:中野ヤスイチ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「人生は時に諦めの悪い人にだけ、微笑みかけてくれるものかもしれない」
 
どこかで、学生として学びを終えた瞬間に、仲間と学ぶ事はここで終わりだろうって、感じる事はなかっただろうか。
 
共に学生生活を過ごした仲間と別れて、それぞれが自らの手で掴んだ仕事に向かって、
一歩を踏み出そうとしていた時、こんな挨拶を交わさなかっただろうか。
 
「また、会おう!」
 
そう、僕も高校、大学と共に学び歩んできた仲間に同じことを言った。
 
どうだろう? 卒業後に一緒に学んだ仲間と会えているだろうか。
正直、僕は会えていない。
 
大学を卒業して、社会人になりたての時くらいは、一緒に学んだ仲間の心境が気になって、連絡していた。
 
その連絡もいつからか、自然としなくなっていた。
理由なんってない、なんとなく、お互いが忙しくなったからだろう。
 
そして、突然の結婚しますという連絡で、何年かぶりに結婚式で出会い、必ず、「また会おう、飲みにいこう!」と言って、別れる。
 
大学卒業した時と同じように、また会う機会は、中々訪れてはくれない。
そんな事を考えていると、ある事と同じような気がしてきた……。
 
そう、勉強である。
 
学生時代は、半ば強制的に自分を追い込んで勉強した人も多いのではないだろうか。
僕もその一人である。
 
でも、大人になったら、どうだろう? 勉強しているだろうか。
正直、僕は大人になって、何度も勉強しようと思っても、手に付かなかった。
 
ふとした瞬間に、勉強をしようと思って、勉強し始めても、気が付いたら辞めてしまっている。
 
悲しいことに、卒業アルバムと同じように大切に本棚にしまってある参考書が数えられないくらいある。ほとんどやれていない。
 
その参考書を見る度に、どこか、心の奥の方から声が聞こえてくる。
学生時代に共に学んだ仲間のような声で、「お前は、そこで諦めたんだな」って、言われているような気がしてしまう。
 
その声が聞こえてくる度に、「いや、辞めた訳ではない、今、忙しいんだ、だから、止めているだけだ」って、一生懸命に言い訳をしている自分がいることに気が付いてしまう。
 
その虚しさに心が奪われると身動きすらできなくなってしまうほど、脱力感に襲われる。
 
そんな状態の時に、仲の良かった友人の一人が連絡をくれた。
「元気にしている? 最近どう?」って。
 
どうしてか、わからないが、「変わらずに、元気で過ごしているよ」って強がったメッセンジャーを送っている自分がいた。
 
その友人からは、「今は、こんな勉強している、こんな資格取って、今はこんな仕事をしているよ」って、明るい内容のメールが返ってきた。
 
正直、心の中で、「お前はやっぱりすごいよ、すごい奴っているんだな」って、認めている自分がいた。同時に、悔しさが込み上げてきた。
 
その感覚は、学生時代にも味わっていた感覚だった。
誰一人として落ちていなかった試験に僕は落ちた、一人で追試を受ける羽目になった時、どこか取り残されている感覚を味わっていた。
 
「頭が悪いって、損だな」って、思ったことを覚えている。
でも、そんな僕にも、仲の良かった仲間は優しく声を掛けてくれた。
いや、そんなことは無かった……。
 
「大丈夫だよ、いつも通り、追試で受かればいいじゃん」って感じだった。
それが、逆に僕の心に火を付ける起爆剤的な役割を果たしてくれていた。
 
僕は学年が上がる度に数多くの追試を受けたが、無事に単位を落とすことなく、卒業することができた。それは、その時の一緒にいてくれた仲間の存在があったから。
 
仲間の存在は、とても大きかった。
 
学生生活を終えて、社会人になり、新人研修を終えたあと、誰かと一緒に仕事の研修以外で学ぶ機会は無くなってしまっていた。
 
なんとなく、社会人として生きていると、いくつか、勉強した方が良いよなってことに遭遇する機会が訪れる。
 
僕のように外資系企業に勤めている人だったら、トップが外国人になった時に、英語は話せた方が有利だよなって感じで、ふとした瞬間に勉強しようスイッチが押される瞬間は誰にでもあるのではないだろうか。
 
僕の場合、そのスイッチが押されて、近くの本屋さんに参考書を買いに行って、家に帰って、気合を入れて、「よし、やるぞ!」って参考書を読み始める。
 
始めのうちは、「今日はここまでやったら十分、最初から根気詰めてやったら、疲れてやらなくなってしまうから」と思い、ある程度の所まで進めて手を止める。
 
次の日も、やる気は続いて、参考書を開いて勉強をする。「よし、よし、今までとは違うぞ、これなら、続けられる」と少し充実感と達成感を味わう。
 
3日目、4日目くらいに、急な予定が入り、勉強ができなかった日が出て来てしまった。
すると、徐々に参考書を開く手が重くなって、本棚に綺麗にしまってしまう
 
そんな事を機会が来る度にやっていると、段々と何もしなくなってしまう。
本屋さんに行くこともなくなり、ただただ時間が過ぎる日々を送るだけになっていた。
 
何度も何度も、同じことを繰り返しながらも、懲りずに三日坊主で終わり、僕の心が折れかかっている所を誰かが、見てくれていたのだろう。
 
ある研修でコーチの資格を持っている方に出会う事ができた。
 
そして、話を聞いているうちに、コーチングに興味が湧いてきて、コーチングの勉強したいと思うようになった。その勉強する為の値段は高かった。
 
ただ、コーチングの勉強をしたいという思いだけは、どうしても取り除くことができかなった。過去にもコーチングについて、調べたことはあったが、勉強する場を見つけることができず、諦めてしまっていたからだと思う。
 
こんなチャンスはもう無いかもしれない、心がそわそわして来て、居ても立っても居られなくてなって、家に帰って、すぐに妻にどうして学びたいかを力説して、説得して、受ける事になった。
 
その時だけは、頭が悪い僕の頭もフル回転していた。
 
コーチングについて学びはじめて驚いてしまった。
今まで何度も何度も資格の勉強などを繰り返しやってきたからこそ、まったく違う感覚を味わった。
 
ただ、座学の授業を受けて、習うだけじゃない。
これが一番大きかった。
 
体験を通して、仲間と一緒に学んでいるうちに、自然とどんどん勉強したいという、感情が身体の奥から沸き起こってくるのを感じるようになっていた。
 
もっともっと勉強したいと思うようになって、コーチングを学びながら日常でも実践していくうちに、身についていくのが、何となく身体でわかるようになっていた。
 
何より、楽しかった。この楽しさを味わった瞬間に、勉強しないといけない。という気持ち以上にもっとやりたいという気持ちが強かった。
 
そして、今もコーチングの勉強をずっと続けている。出会った仲間と共に。
気が付いたら、1年以上勉強を続けられている。もう勉強という感覚すらほとんどない。
 
それでも、まだまだ足りない、もっと勉強したい、学びたいという気持ちが今もずっと続いている。
 
学生時代にも味わった仲間の存在の大切さを社会人になった今だからこそ、より強く味わう事が出来ている。共に学ぶ仲間がいる事がこんなにありがたい事だって、わかっているようで、わかっていなかった。
 
コーチングを学んでいるからだろうか、自然と繋がりが広がっていき、今まであった事がなった人達にも出会い、自分の可能性がどんどん広がっているのを感じる。
 
どこかで、大人になったら仲間は出来ないって、思っていた自分がいた。
それは、大きな間違いだった。
 
同じような志を持っている人同士が集まることで、仲間ができて、大きな力を生み出す事ができるに違いない。そこに、年齢や性別なんて関係ない。
 
あるのは、素直な自分の想いだけである。
 
その自分の想いに素直になって、見つけることが出来たモノに対しては、やらなければならいと言った義務感や使命感は無い、大きな理由だっていらない。ただただ、勉強して、実践をしたいだけなのである。それが、素直に楽しいから。
 
もちろん、楽しいだけじゃない、嫌な時だってある。でも、そんな時に、一緒に学んでいる仲間が助けてくれる。一方で、仲間が苦しんでいる時や助けを求めている時は、逆に今度は自分が力になってあげることだって出来る。
 
その一連の流れを学生時代と違い、誰かに強制的に止められることも大人にはない。
まさに、大人の教養とは、子供の頃と同じように無我夢中になって、仲間と一緒に自然と学び続けられる一生の宝物のことかもしれない。
 
是非、あなたにも見つけてもらいたい、心のから学びたいと思える宝物を。
新たな仲間と共に。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
中野ヤスイチ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

島根県生まれ、東京都在住、会社員、妻と子供の4人暮らし、奈良先端科学技術大学院大学卒業、バイオサイエンス修士。現在は、理想の働き方と生活を実現すべく、コーアクティブ・コーチングを実践しながら、ライティングを勉強中。ライティングを始めたきっかけは、天狼院書店の「フルスロットル仕事術」を受講した事。書くことの楽しみを知り、今に至る。

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2020-07-06 | Posted in 週刊READING LIFE vol.86

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