週刊READING LIFE vol.172

仕事を通してようやく見つけた楽しさと自分らしさ《週刊READING LIFE Vol.172 仕事と生活》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース、ライターズ倶楽部にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2022/06/06/公開
記事:かずたわこ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「女性も手に職をつけて一人で食っていけるようにならにゃいかん」
そう言って、私が中学生になったある日、父が姉妹3人を集めてそう言った言葉をずっと忘れていなかった。
私が中学生、次女が高校生、長女が大学生の時のことだ。
 
当時は、女性が大学に進学する人は少なかった。
その中でも、姉二人は父の教えを守り大学を出て、安定と言われていた公務員になった。
姉達は県外の大学に進学していたが、父は病弱な私を家から出してくれなかった。
行きたくもない県内の大学に行くくらいなら、仕事をすると言って大学には行かず、高校を卒業すると、知り合いからの紹介で病院へ務めることにした。
 
10数年務めた病院では経理をし、周囲に止められたが「もっと他の会社のことも知りたいと」自分の意志は強く、なじんだ会社を退職した。そこからの人生は、それまで穏やかに過ごしていた生活とは一変して、忙しい毎日を過ごすこととなっていった。
 
当時、ラジオから流れてきた海外の会社の話は「キャリアアップするために転職をし、転職すると収入も上がっていく」という話だった。
終身雇用の日本では、そんなことは考えられないのだが、なぜか私はその時に「自分を試したい」という気持ちがあった。
好奇心が旺盛なのか、はたまた多少なりとも外国の血が混ざっているからなのか、定かではないが同年代が考えないことを考えていたことは確かである。
 
今では、転職は「悪」ではないが、当時転職は「悪」の風潮があった。私は馴染めなかった。田舎だからなのか。一生会社のために働くことを強いられて生きるのだと感じていた。
 
また、同年代と同じ考えを持たなかったことは他にもある。
「有給休暇の取り方」だ。
 
昔から有給休暇はあったのだが、休みやすい風潮がなかった。それは、中小企業がったからなのかわからないのだが……
 
「充分リフレッシュして、また仕事に集中する」これが私のモットーだったのだ。
10数年働いていた会社では、連休をうまく使って10日間アメリカへ行ったり、転職してからも有給を使って海外へ行っていた。そのたびに白い目で見られたことは否めないのだが。
最近では、コロナの関係で海外へ行くこともなくなったが、環境が許せばまた有給を使ってどこかへ行きたいとも考えている。
 
とにかく、最初の職場を辞めたあとの31歳から40代前半までは時間が許す限り働いて、すき間時間で遊んでいた。時には、朝まで飲んでそのまま仕事へ行くような生活もした。
今でこそ「副業」を会社が公認としてきているが、当時は許されなかった。
それでも、私は仕事を2つ以上掛け持ちして仕事もプライベートも楽しんでいた。
とにかく、仕事をしていろんなことを吸収するのが好きだったのだ。
これは今でも変わらない。
 
当然、忙しさにかまけていると、付き合っていた人からは愛想を尽かされて別れるということは多くあり、その結果、今でも一人で生活をしている。
仕事を優先するあまりの結果、独身女性にあるあるのことなのかもしれない。
 
経理を主として仕事をしているが、業種は様々なところを選んだ。
多くの業種を経験するのであれば、会計事務所に勤めるということも選択肢にはあったのだが、私が問題だったのか、面接に行くと雰囲気に馴染めず、あとから辞退の連絡をするということもあったので、会計事務所を選択肢に入れることはやめることにした。
ほとんどの就職先は、人からの紹介で転職を続けていたことも今思えば、感謝しかないのである。私は本当に恵まれていた。
 
時に、経理で入社しても「専務秘書専任」「営業事務」「保守管理」等、まったく違う仕事に所属となり「条件と違う」と嘆くこともあった。
普通なら話が違うと言って辞めるのだろうが「やったことないけどまずやってみよう」の考え方がベースにあったのでそのまま続け、1年経過後「やりたいのはどっち?」と自分に問い、結果「やっぱり経理だよね」という自分の心の声に従って転職をした。
 
自分への「問い」と「心の声」をよく感じることは、自分の本当の気持ちをしるには大切な時間と思っている。
 
40代後半から地元を離れ東京で仕事を始めてからは、今までのようにはいかず自力で就職活動し面接を受けるしかない。本当に苦労の連続だった。
今ならまだ40代での就職先はあるのだが、当時は40代後半の就職先を見つけるのは大変だった。履歴書も30通は送ったのではないだろうか。
また、東京に来て就職してから感じたことは、中小企業は田舎も都会もそう代わり映えしないのだなという事だ。
上京してようやく入った会社は忙しく、厳しい会社だった。副業こそできる環境ではなかったし、そのツテもなかったので当時の私はどんどん内にこもっていっていたことを思い出す。今の私とは違う自分がいた。
 
生活は相変わらず仕事中心だったが、通信大学を受講していたので「副業」ではなく「学業」に専念した。高校を卒業するときには「行きたい大学にいけないなら、大学をただ卒業するために遊びで大学にいかないほうがいい」といって高卒で仕事を始めていた私にとって、ようやく学びたい心理学の勉強を通信大学という環境で学ぶことにしていたのだ。
田舎にいる時から始めていたが、仕事が忙しいからと諦めかけていた時期もあったが、ようやく東京に来て真面目に学ぶようになり、卒業したのは東日本大震災の年でした。
 
大学を卒業したからといって何かが変わるわけではない。
会社により多少、大卒ということでお給料は良かったが、中途採用はそこにあまり影響はないようだ。唯一、私の中で大学を卒業したこと、東京へ来て初めての会社で5年経過していたこともあり、自分の中でのスキルアップを考え、40代後半で再度就職活動をした。
 
「何回就職活動をするんだ!」「我慢ができないのか」と思う人もいるかもしれないが、30代で長年勤めた会社を辞める前にラジオから流れてきた「海外の会社のでは、キャリアアップするために転職をし、転職すると収入も上がっていく」ということがどこか残っていて、日本はまだそんな環境でないことは知っていながら、新たに次の会社へチャレンジをし続けた。もちろん、年収はアップするように活動をしていた。
日本では、年収交渉はタブーとさえ言われていた時代だからこそ、そこにあえてチャレンジをしていたのかもしれない。
 
田舎とは違って、確かに東京で生活をするのは大変だ。家賃も物価も高い。
「お給料が高ければ生活できるし遊ぶこともできる」という考え方はあながち間違いではない。
東京に来たときには「まずは東京になれる」ことを優先したのでお給料はそこそこ生活できればいいかくらいのものだった。だが、その次からは違った。運よく、田舎で働いていた時の同僚の兄弟が社長を務める会社に呼ばれたり、以前勤めていた会社の役員から声をかけてもらえたりと本当に私は「ツイテ」いたのかもしれない。
 
私自身も転職は多いが、それとは別にこれまでの会社で求人に応募してきた方の面接もしていた。今回もまた、面接をしているが、若い方の転職が依然と変わってきているなと感じた。私が初めて転職をしたときと同じ気持ちなのだろうか……
24歳の男性が大学を卒業後、すでに2か所辞めていた。
私も転職回数は多いのだが、1年に1か所か……
その方以外も、多くは1か所の会社に1年から2年で転職をしている人が多く見られた。
職種も一貫性がない……
「本当は何がしたいんだろう」そう思わせてくれる人が多くいる。
質問をしても模範回答しか返ってこない。本当の自分で答えてほしいと私個人としてはそう思っていた。
 
40年近く、仕事をしてきて感じているのは自分が好きな業種がようやくわかってきたことだ。私はサービス関係、とくに「飲食業」が好きなことがわかったのだ。
え? 40年もわからなかったの? と突っ込みが入りそうなのだが、それくらい、自分がどこで誰と働きたいのかがわからずにいたのだ。なぜなら、仕事は「生活をするための手段」と思っていたからだ。
 
ようやくそれに気づいたときはすでに50半ばを過ぎていたので、転職するのにはとてもリスクがあった。だが、これも「私はツイテいる」と思えることが不思議とあったのだ。
 
当時、IT系の会社に勤めていた私は、やはり飲食業に戻りたいと求人をよく眺めていた。そんなある日、以前は一緒に働いていた同僚から「今、飲食業のシステム部にいるんだけど、経理できる人探してるんだよね。会ってみる?」と連絡があったのだ。
 
「神は私を見捨てていなかった!」
 
そう思うと同時に「会ってみる!」といって、即座に日時を決めた。
この時の決断は早かった。
 
色々話を聞いてみると課題は盛沢山だった。
それプラス「このコロナの中、飲食業の打撃は半端ではないがどうですか?」と言われ、一瞬考えるかと思っていたら、意外と「大丈夫です。やりましょう」といって決めていたのである。
あれから1年5か月がたとうとしている。
 
仕事はいつも帰りが遅く、帰宅は22時~23時の間となるが、精神的にダメージを受けることなく、毎日楽しく仕事をしている。
仕事が楽しいと、本当に疲れを感じないのだなということを最近特に感じている。
帰りが遅いことを周囲に話すと「今時ありですか? ブラックですか?」といわれることはあるが、やっている本人はそんなことは感じていないのだ。
 
これまでは「生活のため」としていた仕事だが、私にとってはいまや「自分のため」に仕事をしている。これまでスキルアップのために転職をし、年収をあげてきたのだが、ここにきて年収を下げてまでこの仕事がしたいという仕事が見つかったのだ。
「生活のため」であれば、たぶん今、この会社では仕事はしていない。
ようやく本当に自分が「自分らしく」いられる仕事を見つけたのだ。
 
最近は「自分らしい生活とは」とか「自由な時間がもてる仕事」とか、こんなフレーズでの広告をフェイスブックでよく見かける。
コロナになってからのこの2年程は特に「副業」が解禁となった企業が多くなったこともあるのだろうか。
今や、会社勤めの本業よりも副業のほうが稼ぎがあり、会社を辞めましたという人をよく周囲で耳にするようになった。
企業に所属しているからといって、自由な時間がないわけではない。
自由な時間がないと思っているのは自分なのだと私は最近思っている。
 
企業に所属していても、その時間は確かに会社に束縛されてしまうかもしれないけれど、そのほかの時間は、自分の時間だったり、家族と過ごす時間にはできるのだ。たとえ、数分、数時間だったとしても。
もし、仕事がつらいという人がいたら自分に質問をしてみてほしい。
「あなたは何をしているときが一番楽しいですか?」
「あなたが本当にしたい仕事はなんですか?」
とにかく、自分に質問をしてほしいのです。
そしてそれをノートに書きだしてほしい。かつて私がしたように。
 
思うだけではなかなか動けないことも、書いて目に見えるとちょっとした気づきがあるものです。そこから何かを変えていくヒントが得られていくのだということを私は最近知ったのだ。
そして、自分だけで頑張ってきたと思っていたことも、たくさんの人から支えられたことに気づいたのだ。そこから私の生活は一変し「楽しい」と思える日々を送るように心がけている。
 
無駄と思っているようなことも、実は無駄ではないということ。
これは、特に仕事をして学んだと感じている。すべての会社での経験が今集約されている感覚は否めない。
そして、以前から変わっていないことは「休めるときには休む」である。
海外のようにバケーションを1ヵ月もとることは日本ではないのかもしれないが「休みを取ってリフレッシュして、また仕事に集中する」ということ。
仕事も仕事以外の生活もバランスが取れる自分であること。
 
よく、家庭がうまくいってこそ仕事もうまくいくと昔から上司に聞かされていたが、それはどちらにも言えることかもしれない。
仕事がうまくいっていれば家庭もうまくいくような気がする…… と、独り身の私が言っても説得力はないがそう思っている。
「仕事も楽しく自分らしく」をモットーにこれからも生活したいものだ。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
かずたわこ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

カウンセラー、パソコン講師を経て、現在、会社員の傍らビジネスセミナーの運営を仲間と共に行う。
人生100年時代の中盤で死の淵をさまよい、生き返ったことで人生観を変える。
生きた証を残したいとライティングにチャレンジ中。

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2022-06-06 | Posted in 週刊READING LIFE vol.172

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