週刊READING LIFE vol.217

ゼルダを求めて三千里《週刊READING LIFE Vol.217》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/5/29/公開
記事:小田恵理香(READING LIFE編集部ライターズ俱楽部)

2023年5月12日。
世界的にも人気なゲームが発売された。
“ゼルダの伝説”である。
最新作“ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム”は発売3日にして1000万本を売り上げた。国内では224万本。
2021年には発売されてから35周年を迎えたこの作品。
リメイクされたものや最新作を含めると累計20タイトル以上あるわけだが、なんと1億3000万本売り上げている。日本の人口に匹敵するほどの数なのだから驚きだ。
任天堂のゲームと言われるとダントツで知名度が高いのが“マリオ”、次に出てくるのは“ポケモン”のイメージはあるが侮ることなかれ。
最新作の前作である“ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド”はゲームのアカデミー賞と言われている“ゲーム・デベロッパーズ・チョイス・アワード”で大賞を受賞しており、世界のゲーム開発者から注目されているといっても過言ではない。
果たしてこのゲームはなぜ、人々を魅了するのだろうか?
そして同時に読んだ方はこうも思っているだろう。
「いやいや。20も作品あるのに全部やる時間はありませんって」
「出過ぎてどれから始めたらいいのかわからん」
そんな方にこそ、ぜひこのまま続きを読み進めていってもらいたい。

ゼルダの伝説はそもそもどんなゲームなのか?
基本的には単純な話。
物語の舞台はハイラルと言う国。
実はゼルダと言うのは主人公ではない。
名前のタイトルから主人公はゼルダと言う名前なんじゃないかと思いがちである。
(私も実際そうだった)
ゼルダはハイラル王国のお姫様である。
そしてプレイヤーの分身となる主人公はリンクという。
リンクには『その世界にリンクする(繋がる)』という由来がある。
なので
「ゼルダの伝説は『その世界にリンクしてゼルダをテーマに冒険する』と言える」
と開発チームの担当者は語っている。
ハイラルは平和な国だ。
だがそこへお決まりの悪役の存在がいる。
ガノンだ。
シリーズによってはガノンドロフとされていることもあるが同一と思っていい。
話によっても異なることもあるが、作中にはトライフォースと言うものが出てくる。
これは触れるとその人の願い事を何でも叶えてくれるという神の力。
勇気・力・知恵の3つから成っており、リンク・ガノン・ゼルダの3人がその力をそれぞれ宿す運命にある。
毎度ながら悪役であるガノンはこの力を独り占めして、世界征服を企てゼルダを誘拐してしまうものだからリンクは助けに行く。
勇者と姫と悪役。
まぁ、よくあるお話だ。

その単純な話でシリーズが20作品以上展開されているが、実は1つ1つの作品は独立した内容になっているのだ。
つまりどの作品から始めても楽しめるようになっている。
任天堂のゼルダの伝説公式HPでは作品の時系列も載せられているので、こだわりたい方は時系列を楽しんでみるのもありだと思う。
ゼルダの伝説歴25年目になる私がぜひ、この作品は楽しんで頂きたいとあえておススメするのならば“ゼルダの伝説 時のオカリナ”である。
1998年に発売されたこの作品はリメイクもされており、最新機種任天堂switchでもプレイすることが出来る。
“時のオカリナ”自体も国内外で数々の賞を受賞した。
またアメリカ・ニューヨークのストロング国立演劇博物館にある“世界のビデオゲームの殿堂”に“スーパーマリオブラザーズ”、“マインクラフト”と同様に登録されてもいるのだ。
発売された当時はゼルダ作品シリーズ初の3D作品であった。
まずこの作品の魅力はオカリナを使って演奏すること。
オカリナの演奏で謎を解き、時には馬を呼び、嵐を呼び、また自分で作曲することもできる。
作中の多彩な登場人物も魅力的なのだが、

森に住むコキリ族の少年として暮らしていたリンク。
コキリ族の住人は1人1匹ずつ妖精が付いているのだがリンクには妖精が付いていなかった。そんなある日、リンクの元に妖精ナビィが現れる。
ナビィに導かれコキリ族の森の守護神であるデクの樹の元へ行ったリンク。
「わしにかけられた呪いを解いてくれ」
頼まれて呪いを解いたリンクはデクの樹からあることを告げられる。
“リンクはコキリ族の人間ではなく、ハイラルの人間ハイリア人である”
“そして世界を救う運命にある”
“聖地にあるトライフォースが世界征服を企むガノンドロフに狙われている”
リンクはデクの樹の示すままにハイラル城へ向かい、そこでゼルダ姫と出会う。
ゼルダ姫はガノンドロフよりも先にトライフォースを手に入れてほしいとリンクに頼むというストーリーである。
また話が進んでいくうちに現在のリンクの世界である少年時代と7年後の世界である大人の世界を行き来する壮大な展開となる。
子供ではいけない場所、逆に子供だからこそ行ける場所、大人でないとできないこと。
2つの時代をオカリナで行き来しながら謎を解くのもまた面白い。
この作品はゼルダの伝説の時系列では一番のターニングポイントとなる作品である。
時のオカリナで勇者が敗北してしまった世界と、勇者が勝利した世界の大きく2つに分かれ展開されていくのだ。
知らなくてもゲームは十分楽しめるのだが、知っておくとよりゼルダの伝説という作品を楽しむことが出来るだろう。

ゼルダの伝説は、ゲームのジャンルで言うとアクションゲームの分類にあたる。
リンクを操作し敵を倒していく。
そこに“謎解き”要素があるのだが、この“謎解き”もまた面白いのだ。
“謎解き”というよりはどちらかと言うと“仕掛け”の方が正解かもしれない。
正義の武器が悪の手に渡らないように、あの手この手で仕掛けが仕込まれていてそれを解かなければ先には進めない。
この仕掛けには時にいら立ち、
「こんな仕掛け、攻略本買わせようって作戦だな!くっそー!」
って言うぐらいに巧妙に仕掛けられている。
もちろん作中にヒントは出てくるのだが。
ただこの仕掛けを解除できた時の嬉しさと言ったら、何と表現すればいいのかわからない達成感。
謎解きゲームにはまる人はこれに近しいものがあるのかもしれない。
そして解いた先に宝箱があって、お宝が出てこようものならもうテンションは爆上がりである。
アクションゲームと聞くと、
「いや私そこまで反射神経無いんですけど……」
「ゲームの技術そんなにないんですけど……」
と思われるかもしれないが、ゼルダの伝説に関しては心配ご無用だ。
本当に不思議なのだがやっていくほどできる。
道中で手に入る、色んなアイテムを駆使するのもいい。
例えば行き詰まり、もうお手上げだと思ってもアイテムを使うとあれだけ苦労していたのにすんなりできてしまったなんてこともよくある。
そうして数々の困難を乗り越え、宿敵ガノンと対峙するのだ。
そしてゼルダ姫を救出する。
毎度エンディングを迎える時はまるで自分もハイラルの勇者になったような、そんな感覚に浸ることが出来る。

最新作の前作にあたる“ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド”では
「目を覚まして……」
と不思議な女性の声で目覚めた主人公リンク。
かつての記憶はない。
声に導かれるまま、“シーカーストーン”を手にする。
すると老人が現れる。
かつてハイラル王国は厄災ガノンの復活により、滅びてしまったこと。
ゼルダ姫が100年もの間厄災ガノンを抑えていることを告げる。
リンクは厄災ガノンを討伐しゼルダ姫を救うためハイラル城を目指した。
今回の作品はそんな厄災ガノンを討伐してしばらくたった後の話だ。
主人公リンクはゼルダ姫とともにハイラル城の地下を調査していた。
地下にて発見した謎のミイラに触れると、城は宙に浮き、謎の遺跡群が空から降り注ぎ、ゼルダ姫は姿を消していた。
ハイラルは天変地異に見舞われてしまったのだ。
手掛かりを求め、リンクは再び冒険の世界へと身を投じるというのが今回のストーリー。
舞台はお馴染みのハイラルなのだが、今回の作品の注目すべき点は大地だけではなく空へと舞台が広がっているところ。
さらに様々な物体を自由に組み立てられる新システム“ウルトラハンド”というツールが導入された。これはモノを運んだりくっつけたりすることが出来るツールで活用することで様々なものを生み出すことが出来る。
丸太を繋げてイカダをつくるのはもちろん、公式のHPでは車を作ることができることが確認されている。プレイヤーの想像力次第だが、中には戦車を作成した強者もいる。
砲台や火を噴く装置も付けられるのだが、木製で作ってしまったがゆえに乗り物が燃えてしまったという悲しい出来事も起こっている。
SNSにはそんな強者たちの渾身の作品たちが溢れかえっている。
プレイヤーの遊び方に個性が現れ、たくさんの可能性があるゲームともなっているのだ。

もしこの記事を読んで、興味が沸いたら是非ゲームをプレイしてもらいたい。
最近は私もゲームをする時間がなかなか取れず、とは言えゲームの世界にのめりこみたいのでついゲーム実況者の動画に行きついてしまうのだが。
私がよく見ているゲーム配信者は良く言う。
「動画を見て楽しむのもいいんですけど、一番はこれで興味を持ってもらってぜひ自分の目で見て自分の手でプレイしてもらいたい」
たしかにその通りだ。
手に汗を握りながら苦労しながらダンジョンをこなし、できた時の達成感。
自分でクリアした達成感。
そして、様々な困難を経てゼルダ姫に会えた感動。
まさに母を訪ねて三千里のマルコとお母さんがやっと会えた時ぐらいの感動がある。
だが、これは自分で体感しないと得られないものだからだ。

子供は寝た。
ようやく私の時間。
一通りのことは終え、もう後は寝るだけの状態にしてある。
さて、今日もゼルダの伝説を進めよう。

□ライターズプロフィール
小田恵理香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

大阪生まれ大阪育ち。
2022年4月人生を変えるライティングゼミ受講。
2022年10月よりREADING LIFE編集部ライターズ倶楽部に加入。
病院で臨床検査技師として働く傍ら、CBLコーチングスクールでコーチングを学び、コーチとして独立。日々クライアントに寄り添っている。
CBLコーチングスクール認定コーチ。
7つの習慣セルフコーチング認定コーチ。
スノーボードとB‘zをこよなく愛する一児の母でもある。

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2023-05-24 | Posted in 週刊READING LIFE vol.217

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