週刊READING LIFE Vol,96

あなたのそのぼやき、拾われてるかもよ《週刊READING LIFE vol,96 仕事に使える特選ツール》


記事:青野まみこ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「もしもし、いつもお世話になっております。こちらは……」
 
くっきり、クリアすぎる音声が流れている。
スマートフォンで話している、その相手の声までもばっちり録れているじゃないの。
これは使える。でもちょっと恐ろしいけど。

 

 

 

天狼院書店のライターズ倶楽部というところに入って、企画が通って取材をすることになった。
取材なら、録音しないといけないよね。それにはICレコーダーが必須でしょう? メモも取るけど、後で内容を聞き直さないといけないし。
 
そんなわけで、ICレコーダーを購入することとなった。
近所にある、家電量販店の売り場に行く。ICレコーダーだけで一体何種類あるんだろう。それに、どんな機能がついているかとか、みんな似たような感じでよくわかんないよー。
 
私は、ICレコーダーって一体何で差がつくのかをよく見てみた。
収録できるギガ数、録音時間、ラジオがついているかいないか、USB接続の充電か、乾電池か、などなど。ただ単に「録音する」ためのものに付加価値を見出すのは難しいけど、どれかを選ばないといけない。さんざん迷った挙句に選んだのは、SONYのICD-PX470Fシリーズだ。
 
SONYを選んだ理由は、特にないと言ったら怒られるかもしれないけど、価格が手ごろでそこそこ仕事をしてくれそうな感じがしたから。録音出来て、できたらUSB接続のがよかったけど、これは乾電池で動くやつだった。でもUSBの差し込み口がついていて、PCにも繋いで使えそうなのがいいかなと思って決めた。
 
取材のマニュアルなどを読むと、「録音は、できれば2台あるとよい」とあった。そうか。1台だけだと、もしそれが録れていなかったら詰むからね。保険をかけないといけないってことか。
1台はICレコーダー、もう1台はiPhoneで録音すればいいかなって思っていたが、2ヵ所目の取材に言った時のことだ。再生してみると、ICレコーダーは録れているがiPhoneは途中で録音を止めていた。何ということだろう。1台しか録れていないなんて。恐れていたことが起こってしまった。
 
これは、2台目のICレコーダーを買わないといけないな。
そう考えた私は、どんなのがいいかさんざん探した。1台目と2台目が同じICレコーダーである必要もないと思っていたし、できれば2台目はもっとお安いものがよかったし。Amazonなども探してみたけど、どうもちょうどいいものがない。
 
私は再び家電量販店に行った。そして1台目と同じ、SONYのICD-PX470Fを購入した。同じものでなくてもよかったんだけど、取材の日が迫っていて通販だと間に合わないかもしれなかった。それに、1台目がとてもシンプルで使いやすかった。録音に失敗は許されないので、できれば慣れている機種の方がちゃんとできるだろうという心づもりはあった。
1台目は白いICレコーダーだったから、今度は区別できるように黒にしようかな。そんなわけで、双子のような白と黒の2台の同じICレコーダーが私の手元にある。
 
この2台は、本当に使いやすかった。録音はシンプルでわかりやすい操作だったし、音もとてもよく拾っている。
何よりも助かるのはUSBの差し込み口で、ここを引っ張り出してPCに繋いだら、そこから音声をPCのデスクトップ上に置くこともできる。いつまでもICレコーダーをPCに繋ぎっぱなしにしないで、mp3ファイルだけで再生ができるのもありがたかった。
おまけにこの機種は燃費がよいらしく、乾電池でもかなりの長い時間を録音することができるのもよかった。録音が途中で終わってたら意味がないから。
 
そんなわけで2台は私のお供となった。
ラジオがついているのでそれを聴いてもいい。何かあるわけじゃないけど、持ち歩いていたら何かに役に立つんじゃないかとも思い、念のためにどちらかを持ち歩いている。
 
ICレコーダーを持ち歩いていたら、使う何かがあるんじゃないかと思っていたら、その日は案外あっさりとやってきた。
 
コロナ禍のため、集まっての会議というものがなかなかできない。そこで職場でもzoomを用いて会議をすることになった。その内容を記録として録音するため、私のICレコーダーが使われることになったのだ。
zoomの会議内容はそのままPCに録画もできるけど、それはセキュリティ上の関係でしないことになった。とはいえ会議の内容がわからない人がいないように、録音しておいたらどうか? という案が出て、ICレコーダーが採用されることになった。
 
うちの職場は年配女性が多いせいか、会議の内容などもあまり綿密に記録を取っていなかった。もちろん会議に入った人はメモくらいはしているけど、とても細かいところで一言一句内容を思い出してくださいと言われても無理なことが多い。その細かいところの表現の仕方で、仕事がこっちに来るかあっちに流れるかが決まるので、「言った」「言ってない」の水掛け論がとても重要だったりもするのだ。
 
こうして私のICレコーダーが職場にデビューした。
zoomをしているPCの近くにICレコーダーを置いて録音するだけだけど、再生してみると本当に意外なことがわかる。それが当たり前の機能なのだけど、実によく細かい音を拾うのだ。
 
「今日のこの会議の資料はどなたが作りますか?」
名誉職の人たちの会議だった。この会議は代々記録を残していない会議なので、事務方の議事録作成はいらなかったし、事務方そのものがあまり会議に立ち入らないことが前提だった。
 
しかし、そうはいっても細かい発言の中で、「あの時はああ言ったのに」と、誰かが不利になるような発言がされることが多かった。なので、証拠を残すためにも、事務的には今回からは録音しましょうということになった。
黙っていると、誰かのミスがこちらのせいにされてしまうようなことも多々あるからだ。
 
会議の後にICレコーダーを再生して、議事を確かめてみると、
「確かにあの時この人はこう言った」
と証言できるような独り言もある。それが大事なのだ。あとで誰かが会議では一言も出ていなかったことを始めたとしても、
「ここに証拠がありますから」「~月~日の会議では、この人がこう言ってました」
と断言できるからだ。
 
ICレコーダーは、決して人を陥れるために使うのではない。
しかしいろんな意味で「身を守る」ためのツールとして使えないだろうか。
例えば満員電車の中だって、暴言吐いてくる人なんて山ほどいる。そんな時にバッグの中から作動させるとかなんてどうだろう。それだって立派な証拠になる。
身体的な危険を伴うから、そこから身を守ることだけに使うのではない。自分の立場を悪くしないように、損しないように、その場の会話を録音して、精神的に保険をかけておくことがこれからは重要になってくる。
 
自分に関わる誰かが自分に不利な証言をした時、録音があれば「それ違うでしょう?」と言うことができるから。
そうでもしないと、自分の身なんて、自分じゃないと守れっこない。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
青野まみこ(あおの まみこ)(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

東京都豊島区出身。
フルタイム勤務、団体職員兼主婦業のかたわら、劇場鑑賞した映画は15年間で2500本。
パン作り歴17年、講師資格を持つ。2020年3月より天狼院ライターズ倶楽部に参加。
好きなことは、街歩き、お花見、お昼寝、80年代洋楽鑑賞、大都市、自由、寛容。

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2020-09-22 | Posted in 週刊READING LIFE Vol,96

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