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週刊READING LIFE vol.10

クリエイティブな仕事をするための最強ツールとは?《週刊READING LIFE vol.10「クリエイター必見!コンテンツ制作に使えるライフハック」》


名前:大國沙織(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 

 
どんなときも、クリエイティブに働きたい!
これは、社会人ならば多くの人が抱く願望ではないだろうか。
会社員でもフリーランスでも、そしてどんな職種であろうが、本人の発想と工夫次第で、いくらでもクリエイティブに働くことができる時代である。
でも、肝心のアイディアが湧いてこない、発想力が乏しいと嘆く人も少なくないかもしれない。
実際、私もそうだった。
面白いアイディアを次々に提案できる人や、それを難なく形にしていく人を見ては、「ああすごいな、叶わないなぁ」と羨ましくてたまらなかった。
いわゆるクリエイティブな人というのは、もともと特別な才能に恵まれていたり、凡人にできないような努力を重ねているのだと、そう思っていた。

けれど、あるツールと出会ってからというもの、「いいアイディアが思いつかない」という悩みがあっさり解決してしまった。
仕事に使えそうなアイディアが、どんどん湧いてくるようになったのだ。
それこそ、湯水のごとく……!
決して大げさに言っている訳ではない。
本格的にそれを活用しはじめたのはここ数年のことだけれど、今でもその恩恵には与りまくっている。
「こんなに仕事に役立つなら、もっと早く出会いたかった!」と心から思う。
あまり人に教えたくないような気もするけれど、もっと活用する人が増えたら、間違いなく社会全体がよくなるだろう。
だからもう、すべての人に、自信を持っておすすめさせていただきたい。

その神ツールと出会ったのは、出版社で雑誌編集をしていたときのこと。
意見を求められても「何もいい企画を思いつきません」とこぼしてばかりの私は、「思いつきませんじゃなくて、考えるんだよ!」とよく上司に怒られていた。
どうにか絞り出すようにして提案しても、「もっとまともなアイディアが思いつかないのか」といなされ、途方に暮れる私を見るに見かねたのだろう。
当時の副編集長が、直々にアドバイスをくれたのだ。
「これが便利だよ。僕も、企画を練るときにはいつも使ってるから」
それが、画像保存ツールの“Pinterest(ピンタレスト)”との出会いだった。

いや、正確には、その存在は以前から知っていた。
なんなら、アカウントも持っていた。
とりあえず作っただけで、全然活用できていなかったけれど。
でも、私よりはるかにキャリアもあり、仕事もできて、信用できる上司からのアドバイスだったので、とりあえず素直に従ってみようと思った。
もしかしたら、すごいことになるかもしれない。
そして、想像以上にすごいことになった。

Pinterestは、SNSの一つと思われがちだが、実は「ブックマークツール」だ。
広告や装丁などのデザイン、建築、インテリア、自然や動物、世界各国の風景、料理、ファッション、車などなど、実にありとあらゆる画像が集結している。
写真だけでなく、イラストも豊富である。
そこから(あるいは他のwebサイトから)自分のページに、気になる画像を“pin(保存)”していく。
言ってしまえばそれだけのごくシンプルなツールだが、使い道はそれこそ無限大なのだ。
Pinterestでは、テーマごとに「ボード」を分けることができ、いわばそのボードごとに世界観を作ることができる。
必要に応じて特定の人と、そのボードを共有することもできる。

ではこれが具体的に、どのように私の仕事に役立ったのか。
当時の私は料理雑誌の編集をしており、広告の企画作りに取材、ラフや記事を書くことはもちろん、撮影用の料理の準備から、テーブルコーディネートから、担当ページのほぼすべてを自分でやらなくてはならなかった。
料理は学生時代に師範までとっていたので問題なくできたけれど、フードコーディネーターの資格がある訳でもなし、食卓の「見せ方」に関しては、全くのずぶの素人である。
カメラマンさんは、「この器なら布はこっちの方が合うんじゃないかな」などその都度アドバイスはしてくれるものの、撮影の準備をしておくのは編集者の仕事だった。
それぞれの料理にマッチした器や布、その他の小道具を業者に借りに行くのも、最初は何時間もかかってしまっていた。
とにかく選ぶのに時間がかかり、店内の棚の間を何往復もする羽目になる。
なかなか、全体のイメージが固まらないのだ。
料理本や雑誌を月に何冊も購入して勉強してはいたけれど、こういうセンスというのは、そんな一朝一夕で身に付くものではない。
ほかにもやることは膨大にあったので、上司にはいつも仕事が遅いと注意され、どうしたらいいものかとすっかり頭を抱えていた。

そこで、Pinterestの出番である。
Pinterestには、さまざまなテーブルコーディネートの写真も、数え切れないほど豊富に揃っている。
もちろん日本人が撮影したものだけでなく、海外の写真もたくさんある。
「北欧っぽいスタイリングがしたい」、「エキゾチックな雰囲気を出したい」などなど、それぞれのページのイメージを決めたら、検索欄にそれらしいキーワードを打ち込み、後はひたすら良さそうな写真を“pin”していく。
なるほど、こういう雰囲気を出したければこんな小物を使うといいのか、など勉強になることばかりだ。
毎日、何枚も何枚も写真を見ていると、次第に「配置の黄金法則」のようなものも見えてくる。
そして嬉しいことに、気付けば頭の中にパッとテーブルコーディネートのイメージが浮かぶようになったのだ。
Pinterestの最大の特長として、プロのカメラマンが撮影したような、非常にクオリティーの高い写真が多いことが挙げられる。
自らイメージが浮かぶようになったのは、ひとえに良質で美しい写真をたくさん眺めることを習慣にしたおかげだと思う。
アイディアが湧いてこないという人は、おそらく「圧倒的なインプット不足」だ。
単純に、それだけのことだ。
生まれ持ったセンスや才能よりも、質のいいインプットを一定量こなすことで、初めていいアウトプットができるようになるのかもしれない。

クライアントとページのイメージを詰める段階でも、Pinterestは非常に便利だ。
「こんなイメージ」というのは、言葉で伝えることはいくらでもできるけれど、お互いに全く違うものをイメージしてしまっていることも多い。
そんな食い違いが、あってはならないトラブルに繋がってしまったこともある。
イメージや世界観の共有がしっかりできていれば、そんな心配はない。
「いまいちイメージが湧かなかったのですが、写真で具体的にいろいろ提案していただいたおかげで、イメージが固まってきました」と感謝してもらえることも多い。ありがとう、Pinterest!
ほとんどの人は、得る情報の8〜9割が視覚からのものといわれている。
視覚的に相互確認しておくことがどれだけ重要か、わかるのではないだろうか。
※ちなみにフリー素材サイトではないため、その辺はご注意を!

会社を辞めてフリーランスとして働くようになってからは、今まで以上にPinterestに助けられている。
私はおもに料理家、ライター、イラストレーターとして活動しているのだが、いろいろ仕事を受けているうちに気付けば肩書きが増えてしまい、最近は冊子のデザインまで任されるようになってしまった。
もはや、何屋さんかわからない。
デザインに関しても全く知識がない私は、正直綱渡り状態で仕事をこなしているのだが、幸いなことにさまざまなデザインのアイディアも、Pinterestには溢れている。
もちろん真似してしまっては著作権的にNGなので気を付けなければいけないが、写真と同じでデザインもたくさん見ていると、オリジナルがふと浮かんでくるのだ。
やはりインプット、とにもかくにもインプットである。

聞けば、私の周りのクリエイティブに働く人達も、Pinterestを上手く活用しているという。
スタイリストの友人も、新たなデザインを考えるときは、世界中の人のファッションスナップをPinterestで見て参考にしながら、アイディアを練るそうだ。
そういえばパティシエの友人も、季節のスイーツのデザインや、さまざまな美しいラッピングの写真を見て、イメージを膨らませると言っていた。
とくにラッピングに関しては、ワンパターンになりがちだったけれどレパートリーが増えたと、嬉しそうに教えてくれた。
あやふやなイメージをはっきりと形にしていくには、視覚的にたくさん情報をインプットすることが不可欠なのだろう。

仕事以外にも、Pinterestは面白い使い方ができる。
少し大きな話になるが、自分の理想の人生を、明確化しやすくなるのだ。
いいなと思った写真を思うままに“pin”していくと、自分の好きなものや趣味嗜好が、手に取るようによくわかるようになる。
理想のライフスタイルや、旅で訪れたい場所、手に入れたいアイテムなど……。
それが見えてきたら、後はそこに向かって行動していくだけだ。
いわゆる世の成功者たちは「ドリームマップ」や「宝地図」を作って、ビジョンを視覚化している人が多い、と何かのビジネス書で読んだが、まさにPinterestはそんな使い方もできるのである。
お気に入りの写真ばかりをコレクションした自分だけのオリジナルのボードは、眺めているだけでワクワクしてくる。美しい写真やイラストの数々が、「ああ、世界って美しいなぁ」とすら思わせてくれる。
創造的な仕事ができるようになるだけでなく、理想の暮らしをクリエイトしていく手助けにもなってくれる、Pinterest。
すでに広報の一環として取り入れている企業も多いけれど、個人がもっとどんどん活用していくことで、それぞれの人生がより充実し、豊かな社会に繋がっていくような気がしてならない。

 

❏ライタープロフィール
大國 沙織(Saori Ohkuni)
1989年東京都生まれ、千葉県鴨川市在住。
4〜7歳までアメリカで過ごすも英語が話せない、なんちゃって帰国子女。高校時代に自律神経失調を患ったことをきっかけに、ベジタリアンと裸族になり、健康を取り戻す。
同志社大学文学部国文学科卒業。同大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーションコース修士課程修了。
正食クッキングスクール師範科修了。インナービューティープランナー®。
出版社で雑誌編集を経て、フリーライター、料理家として活動。毎日何冊も読まないと満足できない本の虫で、好きな作家はミヒャエル・エンデ。
【メディア掲載】マクロビオティック月刊誌『むすび』に一年間連載。イタリアのヴィーガンマガジン『Vegan Italy』にインタビュー掲載。webマガジン『Vegewel Style』に執筆中。

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2018-12-10 | Posted in 週刊READING LIFE vol.10

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