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週刊READING LIFE vol.20

“ぬるぬるの階段”を上るために〜マイナス10キロを達成した28歳女の場合〜《週刊 READING LIFE vol.20「食のマイルール」》


記事:笹川 真莉菜(READING LIFE公認ライター)
 
 

わたしは28年という短い人生のなかで、ひとつだけ確信したことがある。
それは、「ダイエットは“ぬるぬるの階段”だ」ということだ。

 

“ぬるぬるの階段”とは、テレビ番組などでよくあるお笑いレースのときに使われるアレだ。
階段がぬるぬるなので飛ばして行くことができず、一歩一歩踏みしめて階段を上らなければならない。また、ときに足を滑らせてずるずると滑り落ちていくこともある。

 

これはダイエットと全く同じである。

 

わたしは2年前に、ピークからマイナス10キロのダイエットに成功した。
ダイエットのきっかけは「自分を嫌いな自分」を変えたかったからだ。
3年前、25歳のときに人生最後のダイエットを決意したわたしは試行錯誤の末に糖質制限とランニングを地道に続けることを決めた。半年ほど続けていくうちに成果があらわれ、それから1年後に自分史上最もスリムな身体になった。

 

もちろんトントン拍子に体重が落ちていったわけじゃない。毎朝体重計に乗り、アプリで記録していたのだが、その時のグラフは2歩進んで1歩下がる、という感じで本当に少しずつ体重が減っていっていた。まさに“ぬるぬるの階段”を一歩ずつ踏みしめているような感じだった。

 

2年前に“ぬるぬるの階段”を上りきったわたしは、もう絶対あの頃の体型には戻らない! と心に強く決め、それからもランニングを習慣にし、毎朝体重計に乗り変化がないかチェックし続けていた。
しかし、こないだうっかり“ぬるぬるの階段”から足を滑らせてしまった。

 

原因は風邪だ。
風邪をひいている間は体力を落とさないように、食事制限をなくして食べた。真冬だったこともありあまり汗をかかず、ランニングもできない状態が続いた。
風邪は一週間ほどで治ったのだが、その間に2キロ太ってしまった。

 

わたしはアラサーの代謝のなさを侮っていた。
“ぬるぬるの階段”は、年齢を重ねるごとに“ぬるぬる”が増しているのだ。
この調子だと、1ヶ月で2年間の努力が水の泡になる……。
それではいかん! と奮起し、2年前の食生活を再開することにした。
それが以下のメニューである。

 

① お米かお酒のどちらかを断つ
やはり糖質制限の効果はばつぐんだ。
しかし仕事の付き合いなどでお酒がやめられなかったため、白米を食べるのを一切やめた。
お酒は糖質ゼロのビールや白ワインをよく飲んだ。

 

② 主食は「サラダ」
白米の代わりにキャベツを食べた。スーパーのカットキャベツを買い込み、どんぶりいっぱいにキャベツを盛って食べた。最初は口さみしいが、慣れればなんともなかった。

 

③ ゆでたまごとサラダチキンは“ぬるぬるの階段”攻略に必須
仕事で忙しかったためほとんど自炊をしなかったが、それでもダイエットを成功させることができたのはコンビニのゆでたまごとサラダチキンのおかげだ。お昼はお弁当を作っていたのだが、お弁当に必ず入れていた。ほぼ毎日食べた。

 

④ 最終手段の“プチ断食”
上記の食生活を徹底しても飲み会が続くと効果はあまり出なかったため、夏休みに「プチ断食」を行った。
真夏なので1日の食事を全てコールドプレスジュースに置き換える「ジュースクレンズ」を行った。ジュースクレンズを行ったことで胃を休ませることができ、かつ断食で身体がかなりスッキリするためダイエットへのやる気がさらに上がり、ふたたび①〜③の食生活を徹底することができた。

 

運動や入浴で汗をかいたり代謝を上げたりすることも大事だが、成果を出すには運動に併せて食事を見直すことが重要だ。食べていないのに太ることはありえない。太るのは食べている証拠なのだ。だからこそ、食べているものを見直す必要がある。

 

振り返れば、ここ最近は①と②が徹底できていなかった。
風邪を治すために2年ぶりに白いごはんを食べたら、その美味しさにやみつきになって止まらなくなってしまった。風邪をひいている間なら仕方ないが、風邪が治った後も「病み上がりだから」と言ってずるずる食べ続けてしまっていた。
最近のわたしは完全に油断していた。そりゃあ、“ぬるぬるの階段”から滑り落ちても仕方ない。

 

もちろん、年を重ねるごとに代謝は落ちていくし、痩せて不健康になっては意味がない。
しかし、わたしはただ痩せたくてダイエットをしたいのではない。わたしにとってダイエットは自分を見つめなおし「自分を好きでいられる自分」を再構築するために必要なことなのだ。

 

ダイエットは自分に自信がつくもっとも手っ取り早い方法だ。
自分の現状を見つめ、戦略を練り、そして実行しないと成果は出ないが、実行すれば必ず成果が出るし、それが明確に数字であらわれるのですごくわかりやすい。
世の中で、実行すれば“必ず”成果があらわれるものがどれだけあるだろうか? しかも自分に身近なもので、やろうと思えばすぐにはじめられるものはダイエット以外にあるだろうか?

 

“ぬるぬるの階段”は簡単には上らせてくれないけれど、上ることができたときの達成感はこの上ない。
今回の戦いはどれだけ長くなるかわからないし、もはや上れないかもしれない。
けれど、わたしは“ぬるぬるの階段”に踏ん張り続ける自分が好きなのだ。

 

サラダチキンとゆでたまごをお守りにして、わたしは“ぬるぬるの階段”にふたたび挑戦する。

 
 
 

❏ライタープロフィール
笹川 真莉菜(READING LIFE公認ライター)
1990年北海道生まれ。國學院大學文学部日本文学科卒業。高校時代に山田詠美に心酔し「知らない世界を知る」ことの楽しさを学ぶ。近現代文学を専攻し卒業論文で2万字の手書き論文を提出。在学中に住み込みで新聞配達をしながら学費を稼いだ経験から「自立して生きる」を信条とする。卒業後は文芸編集者を目指すも挫折し大手マスコミの営業職を経て秘書業務に従事。
現在、仕事のかたわら文学作品を読み直す「コンプレックス読書会」を主催し、ドストエフスキー、夏目漱石などを読み込む日々を送る。趣味は芥川賞・直木賞予想とランニング。READING LIFE公認ライター。

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2019-02-18 | Posted in 週刊READING LIFE vol.20

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