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人生を変える割烹

ろくにんめ スポーツバーのオーナー、ウィリアム《小説連載「人生を変える割烹」》


記事:ギール里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 

「ゴーーーーーーーーーーーール!」
 
チェルシーvsマンUの因縁試合、今日も最後の最後でひっくり返り、マンUが勝利した。マンU,つまりマンチェスター・ユナイテッドは、イギリスのプレミアリーグにおいてチェルシーの宿敵である。チェルシーはここ数年全く勝てていない状況が続いているけれど、それでもファンは諦めない。ずっといつも、同じサッカーチームを応援すること、それがイギリス人にとっては何よりも大切なことなのだ。
 
「また、負けたの?」
「いや、負けた、わけじゃない」
「え? 負けたよね? いま」
「違う、勝利をマンUに譲っただけだ」
「……チェルシーって本当に勝たないよね。最後に勝ったの、いつ?」
「最近は結構、勝ってるんだけど」
 
ウィリアムは特に悲しそうな様子でもなく、淡々と返事をしている。結果に一喜一憂していたらイギリスのサッカーファンは務まらない。出来が悪い子ほど可愛いとも言うように、勝とうが負けようがウィリアムはチェルシーファンで、生まれる前から先祖代々チェルシーを応援している。イギリスのことわざで、「家は変えてもいい、ワイフも変えてもいい、だけどサッカーチームだけは変えてはいけない」ともいわれるぐらい、応援するチームには生涯の忠誠を誓うこと、そして家族代々同じチームを応援することが、半強制的に決まっている。90年代は長らく低迷期を迎えていたチェルシーだったが、最近ではまあまあ勝つことも増えて、ここ数年では優勝もしているので、ファンとしてもココロが軽いのだろう。
 
しかし、ユリエはまったくサッカーに興味はない。
 
「ユリエ、今度横浜スタジアムに、サッカー観に行かない?」
「いかなーい」
「オッケー」
 
ウィリアムと付き合って10年になるユリエは、スポーツには全く興味がない。付き合い始めた頃はお愛想で一緒にサッカー観戦に行ったりしてみたものの、寒いスタジアムでルールもわからない試合を長時間、ぎゃーぎゃーと大騒ぎして叫ぶフーリガンめいた男性陣に混じって眺めているのは、一度で十分だと思った。それ以来ウィリアムは、ユリエを一応は誘ってみるけれど、決して心から一緒に行きたいと思っているわけではない。一応誘うことが彼女への礼儀なのだと思っている。
 
とにかく、自分が、スポーツ観戦ができれば幸せなのだ。
そのために彼は、恵比寿にスポーツバーをオープンさせたぐらいである。三度の飯よりも好きなスポーツを、誰にも気兼ねなく丸一日見ていられる環境を得て、ただそれだけで毎日をご機嫌に過ごしているのである。
 
「ほんと、単純な奴……」
 
サッカーの次はボクシングと、ご機嫌にテレビを見続けるウィリアムをチラリと見て、ユリエはため息をついた。

 

 

 

「ユリエ、どうするの? 今度のクリスマスは、ウィリアムと一緒にイギリスいくの?」
 
仕事仲間のミアが、パソコンの手を休めて訊いてきた。
 
「いや、行かない。仕事あるもん。そんな3週間なんて休めないよ」
「え、じゃあ、ウィリアムは帰るの? 1人で?」
「そう。久しぶりに友達と飲みたいんじゃないの」
「それもそうだよね、日本では友達いないもんね」
 
ユリエは六本木にあるWEBコンテンツ制作会社で営業を担当していた。土地柄か会社のカラーかはわからないが、かなり自由な空気の会社で、仕事さえきちんとこなせば通勤時間も場所も好きに選んでいいぐらいにユルイ。しかしユリエの仕事は営業だから、出社せざるを得ない。また制作部と違ってクライアントとやりとりする部門だから、お正月などの長期休暇の直前は特に忙しいのである。のんびりと外国人のボーイフレンドとお里帰りなんてできる身分ではない。
 
ボーイフレンド、と聞くと聞こえがいいが、内心、ユリエは焦っていた。
今年38歳になるユリエは、10年前に一度離婚をしている。大して好きでもなかった相手だったが、そこそこ適齢期だし、結婚なんてそんなもんでしょ、と、軽い気持ちで結婚してみたのだった。それが大きな間違いだと知ったのは、元夫のかばんから向精神薬を見つけたときだった。元夫は精神疾患を隠して結婚しており、ユリエはそれに全く気づいていなかった。しかしなによりも隠して結婚されたことに、猛烈に腹がたった。結婚する前には全くなんの兆候もなかったものの、結婚したとたんスマホの履歴をチェックされたり、時には職場まで来られて泣きつかれたりして、これではいよいよやばいと思い、あっさりと離婚することにしたのだ。それ以来ユリエは結婚する気は一切失い、再婚する気はまったくなかったのであった。ウィリアムに出会う前までは。
 
「で、どうなの? ウィリアム、そろそろプロポーズとか、ないの?」
「ないないない、まったくない! そんな気、さらさらなさそうだよね」
「でも、もう10年ぐらい付き合ってなかったっけ?」
「うん、そう。だけど、それで何一つ不自由してないからさ、結婚する理由がないのよ」
 
たまたまクライアントであるスポーツ系動画配信サービス会社のオフィスに行ったときに、そこで出会ったのがウィリアムだった。赤坂にあるオフィスで、まだ日本に来て日が浅い彼と出会い、ひと目で意気投合した。話がとんとん拍子にすすみ、なぜか翌週築地でお寿司を食べる約束までしていた。
 
一人目の夫と分かれてから恋愛なんてめんどうくさい、男なんて懲り懲りだと思っていたユリエだったが、なぜかウィリアムとだったら自然に笑って楽しむことができた。いつもだったら「築地でお寿司なんてベタすぎる」と馬鹿にしてしまうような、冷めたところのあるユリエだったが、なぜかウィリアムと一緒だと素直に楽しめる自分がいたのだ。まだ知り合って日が浅いとは思えないぐらいの距離感に、ユリエのココロはどんどんとほぐれていき、気づいたら10年も付き合っている。
 
「結婚、してもいいかも」
 
ユリエは素直にそう思っていたが、肝心のウィリアムには全くその気がなかった。
別に、ユリエのことが嫌いとか遊びだと思っているわけではなく、ただイギリスでは「結婚」するカップルのほうが少ないぐらい、結婚しない選択肢をするカップル、つまり事実婚のカップルが多いのだ。実際ウィリアムの友人で結婚しているものは1人もおらず、彼の両親も離婚している。とことんイギリスでは、結婚に対しては夢も希望もないが、その分事実婚のカップルにも婚姻しているカップルと同様の権利が与えられているため、何一つ不自由することがない。
 
「なんで、結婚しなくちゃいけないの?」
 
一度、ウィリアムに結婚について問いかけてみたら、むしろ訊き返されてしまった。
 
「なんで、っていわれても……」
言葉につまった。
 
結婚するのがカップルとして当たり前なんだよ、なんて言っても説得力がないし、子どもがほしいからと言ってもそれはイギリス人には通用しない。なぜならイギリスでは事実婚で皆、普通に子どもを持っているのだ。
 
「いや、ほら、外国人が日本に滞在したいなら、ビザとかあるじゃん?結婚していたほうが、そういうの楽じゃない?」
 
あまりにも、色っぽくない提案だ。そして説得力もない。
外国人が就労ビザをとるのは簡単ではないはずなのだが、なぜかウィリアムはちゃっかり3年の就労ビザを取得して、なんなら無事に更新もして永住ビザまでとってしまった。ユリエの出る幕はまったくないのである。
 
「いいじゃない、別に、結婚という形じゃなくても。僕たちはお互いが好きなんだから」
 
そう言われては、もうどうしようもない。
ユリエは、この頑固で皮肉屋なイギリス人を説得できるだけの気の利いたアイデアは、全く持ち合わせていなかったのである。
 
「ねえねえ、ユリエ、ロンドンに行かないなら、クリスマスは日本にいるのよね?ちょっと、猫を預かってくれない?」
 
「猫? いいよ、ポンタね。かわいいから預かるよ」
「うわ、ありがとう! お正月に実家に帰ることにしたんだけど、両親が猫アレルギーだから連れて帰れなくて。助かった、ありがとう!」
 
「猫を預かってくれるお礼に、すっごく素敵な料理屋さん、紹介するね。ウィリアムと今度行ってきたら」
 
そう言ってミアは、デスクの引き出しからあの手ぬぐいを取り出し、ユリエに手渡して言った。
 
「とにかく、面白いところだから。ウィリアムも喜ぶんじゃない? 超日本的な、京都の料理屋さん。こういうベタな日本文化って、彼大好きでしょ」
「そうね、アイツ私よりも和食好きなぐらいだしね。ありがと」
 
すんなりとミアの提案を受け入れたユリエに、ミアはこっそり心のなかでガッツポーズをしていた。

 

 

 

「ウィル、父さんな、母さんと別れることにしたから」
 
ロンドンの南西部、ストラタムに住むウィリアムの両親は、彼が10歳のときに離婚した。3組に1組のカップルが別れるイギリスでは決してめずらしいことではなく、ウィリアムの友人たちも片親や離婚歴のある両親を持つ者が多かったので、別段ウィリアムも気にしなかった。両親が別れることは、ある意味当たり前のことだった。
 
ウィリアムが11歳の誕生日を迎える直前のクリスマスの朝、母はウィリアムの元を去っていった。なぜ別れたのかを父に問うても、父は「そのうち話すよ」と言うだけで、決して話してくれることはなかった。ウィリアムもそれ以上は訊こうとしなかった。なぜなら父には訊けないような雰囲気が漂っていたからである。母はあらゆる家財道具と、財産の殆どを持って行ってしまった。かろうじて家は残ったが、離婚が父にもたらした影響は大きかった。まだ少年であるウィリアムと、ウィリアムの妹の二人を養うため、父は深夜バスの運転手の職を得て、男手一つで兄妹を育て上げた。寡黙な父は一言も母の悪口を言わなかったが、昼間は家族の面倒を見、夜は仕事をする過酷な生活を続けた結果、心労がたたったのか、深夜バスの勤務からの帰宅途中、心臓発作に見舞われて倒れ、帰らぬ人となった。ウィリアムが16歳の時だった。
 
「結婚なんか、するもんじゃない」
 
全ては出ていった母のせいだと、誰かを責めないと気持ちのやりようがない反面、大好きな母の優しかった笑顔を思い出すと、ウィリアムはやりきれない気持ちになる。母のことが好きなのか、それとも憎んでいるのか、もはや考えてもわかるものでもなく、そのことに触れなくてもいいように、ココロに蓋をすることを自然に覚えてしまった。なるべく家から離れたいと思い、海外赴任がある職場を選んだ。それがイギリスのスポーツ動画配信サービス会社だった。丁度、東アジアエリアでのマーケット拡大のために日本にオフィスがオープンすることとなり、そのスタッフとして赴任する職に真っ先に名乗り出た。新たな場所で、新たな生活を始めたい一心で、縁もゆかりもない極東の地に単身移り住んできたのだった。それから10年、会社勤めをする傍ら、趣味が高じてスポーツバーまでオープンしてしまった。
 
日本ほど、白人にとって住みやすい場所はない。
日本語ができなくても、皆が英語を話そうとしてくれるので不便はないし、白人だと外国人でも差別をうけず、なぜかチヤホヤしてもらえる。また“ガイジン”免許をふりかざせば、少々のことはなんでも大目に見てもらえる、日本はまさにパラダイスだった。ここに住めば難しいことを考えなくていい、と思っていた矢先に出会ったのが、ユリエだった。
 
「女性はこわいし、めんどくさい」
 
そんなウィリアムの先入観をことごとく打ち砕いたのがユリエだった。いつも素直にストレートに表現してくれるから安心できるし、また頭の回転も早いので話がすぐに通じる。無理に自分を曲げてまで人に迎合しない強さをもち、かといって人に自分の正しさを押し付けない。日本女性は優しいと聞いていたが、こんな女性がいるのかと驚いたぐらいだ。
 
「彼女となら、一生のパートナーになれる気がする」
 
そう感じてはいたものの、それがどうしても結婚に結びつかない。仕事も、家庭も、住む場所も、安定させることがコワイのだ。なぜならそれを失う恐怖を誰よりも知っているからである。

 

 

 

「おいでやす、今日はようこそ、いらっしゃいました」
 
女将の朗らかな声に迎えられて、二人は先斗町の割烹ののれんをくぐった。入り口にサインもなにもない料理屋は、一見さんは一切お断りと聞いていたのでいかに敷居が高いのかと思いきや、女将の人懐こい挨拶で一気に気持ちがほぐれていった。
 
「こちらは、どちらのお方どすか。イギリスどすか。それは遠いとこからようこそいらっしゃいました。和食はお好きどすか? 何かお嫌いなものがあるようでしたら、おっしゃってくださいね」
「ありがとうございます、実は、シャコが食べられなくて」
たどたどしい日本語でウィリアムが答えた。女将はびっくりしたような顔を一瞬だけ見せてから、
「シャコって、えらい変わったもん、言わはるなあ。そんなん、京料理にはめったに出えしません。お寿司屋さんかどこかで、食べはったんどすか」
 
ユリエは、ウィリアムと初めて食べた築地の寿司屋を思い出した。
その時もシャコを指差しながら、そのビジュアルに驚いていたのだ。ユリエからしてみたら、毎日サンドイッチばかり食べているイギリス人は不思議で仕方なかったのだが、彼らからしてみたら、見ようによっては見かけがグロテスクな魚介類を、それも生で食べる日本人って、どのように写っているのだろう。普段なら文化の違いも楽しめているのだが、改めてユリエは、ウィリアムと自分の間にある、どうしても分かり得ない溝みたいなものを、感じざるを得なかった。
 
お吸い物の椀が運ばれてきた。漆に紅葉の絵柄が美しい椀である。蓋をあけるとふわっとお出汁のいい匂いが漂い、焼いた甘鯛の香ばしい香りがなんともいい塩梅である。
 
「ぐじのお吸い物どす。ぐじ、っちゅうんは、京都で甘鯛のことをぐじっちゅうんどす。若狭からええのが届いた、こんなにええのは珍しいんどす。それとな」
 
女将は思い出したように付け加えた。
 
「その透明のお出汁はスープやさかい、全部飲めるしな。ガイジンさんは、お吸い物のお汁を飲まへん方が多いんやけど、なんでやろな。そのお出汁が美味しいんやから、残さんと飲んでおくれやす」
 
外国人はなぜか、お吸い物の汁を飲まない。最初はお椀に口を付けることに違和感があるからかと思っていたらそうではなく、お味噌汁や他の汁物ならちゃんと飲むのだ。しかしなぜか、お吸い物のお出汁は残す。透明のスープが何やら不思議なのだろう。
 
「そうか、これも飲めるんだね」
 
そう言ってウィリアムは、お椀の出汁を一口飲んでみた。ただの白湯かと思っていたらそうではなく、なんとも微妙な味わいで、お出汁の旨味が存分に感じられる。嫌な雑味が一切なく、ほんのりと甘鯛のお出汁も効いている。こんなスープは飲んだことが無いと、感動でココロが震えた。自分が知っていると思っていた和食の文化には、まだまだ知らないことがいっぱいあることを思い知らせるほどの衝撃だった。
 
日本に来て10年、日本のことはもうほとんど全て、わかっているような気になっていた。自分自身もガイジンだが、いわゆるステレオタイプの、日本大好きガイジンたちを密かに馬鹿にしていたウィリアムだったが、自分も実はあまり変わらないんじゃないか。「冷奴」とプリントしてあるTシャツを「クールガイ」、つまりかっこいいヤツだと思いこんでいるガイジンを馬鹿にしていたが、自分もあまり変わらないではないか。自分にはまだまだ知らないことがたくさんある。知った気になってしまっていることほど、世界を狭め、可能性を閉じてしまうものは、他には無いのかもしれない。
 
「いつから、イギリス帰るんだっけ?」
ユリエが訊いた。
「金曜日の夜。1月3日には戻るよ。本当にユリエも、来ないの?」
「うん、いかない」
「オッケー」
 
いかない、という返事がくるのはわかっていたけど、サッカーに誘うときと同じように、ひとまず誘うのがイギリスの流儀なのか、ウィリアムの癖なのかはわからない。悲しんでいるのか何も感じていないのかも、表情からは読み取ることができない。イギリス人はとにかく感情表現が下手である。アメリカ人やイタリア人のように大げさに表現することは絶対になく、必ず周りを見てから反応を決めるのだ。ユリエはイギリス人を「空気が読めるガイジン」とすら呼んでいる。
 
「クリスマスってさ」
ウィリアムがぼそり、と言った。
「家族が集まる、大事な日なんだよね。ユリエは僕と一緒に過ごしたいと思わないの」
「一緒に過ごしたくないわけじゃないけど、日本ではクリスマスは祝日じゃないし、現実的に無理なんだよ、休みとるのが」
ユリエも、淡々と答えた。だってそれが事実なのだから。
 
「僕は、ユリエと一緒に過ごしたいと思っている。家族なんて壊れるものだと思っていたけど、それをどう創るかは他人じゃない、自分なんだってことが、今日やっと腑に落ちた。自分が思い込んでいることが、どれだけ自分の世界を狭くしているのか、ちょっとわかった気がするんだ」
 
一呼吸置 いてウィリアムは言った。
「一緒に来てほしい、マイ・ファミリーとして」
 
その時襖がすっと開いて、次の料理が運ばれてきた。
小さな俵型のおにぎりが2個、小さなお皿に乗せられてあった。
 
「今日のお食事はいかがどしたか? 最後はおむすびで、お召し上がりくださいね」
 
味付けは塩だけの、シンプルな塩むすびだった。ユリエはそのおむすびをほうばりながら、なんだか涙が止まらなかった。

 

 

 

「ゴーーーーーーーーーーール!イエス!」
 
クリスマスの夜、1人東京に残ったユリエは、テレビを見ながら叫んでいた。イギリスのプレミアリーグ、チェルシーの試合だ。ウィリアムもきっとロンドンで試合を見ているのだろう。もしかしたらスタンフォード・ブリッジまで試合観戦に行っているかもしれない。
 
結局クリスマスは離れ離れに過ごすことになったが、それも今年で最後になるに違いない。来年はおそらくロンドンで、クリスマスディナーを囲んでいるのだろう。それも、二人の子ども一緒に。妊娠がわかったばかりのお腹をなでながら、ユリエはニヤニヤしながら考えていた。
 
この子もきっと、チェルシーファンになるんだろうな。
 
 
<第7話に続く>

 
 
<<第7話につづく>>

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女将のお懐紙レシピ
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ウィリアムのココロが決まった!
ぐじの椀物
 

材料(二人分)
ぐじの切り身 2切れ
一番だし 320cc
薄口醤油 適量
ゆずの皮 少々
 
作り方
1 ぐじには塩をして、炭火でこんがり焼いておく。鱗もよく焼いてカリカリにする。
2 お出汁を温め、薄口醤油と塩で味をととのえる。
3 お椀に1のぐじを入れ、温かい2を注ぎ入れる。上に吸口のゆずの皮をのせる。
 

ココロを繋ぐ塩むすび
 

材料(二人分)
白米
天然の塩
 
作り方
1 白米を丁寧に洗い、40分ほど浸水させる。
2 十分浸水できたら、お米を炊く。土鍋で炊くと、ふんわり美味しく仕上がりますが、炊飯器でも大丈夫です。
3 炊き上がったら蓋をあけて、天地返しをして10分ほど蒸らす。
4 蒸らし終えたら手に水と塩を付けて、あつあつのご飯を結ぶ。
このとき、あまりこてこてとにぎらないこと。片方の向きで3回、もう片方の向きで3回を目安に、手際よくおむすびの形にする。
5 できあがったら盛り付けて完成。
 
白は清める色、神様の色として、清めるために使われている色です。
白いお米は神様の食べ物として、貴いものとして扱われています。

* この物語はフィクションであり、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
* レシピの効果には個人差があり、効果・効用を保証するものではありません。
* ぐじは関西で甘鯛のことをいいます。身がぐじぐじとしているからや、また釣り上げるときにぐじぐじと鳴くことから、ぐじと呼ばれると言われています。ほんのり甘い身が美味しく、高級魚として関西で広く愛されています。
*おむすびとおにぎりについて、関西では一般的に俵型、関東では三角形をしています。おにぎりの語源は握り飯から、そしておむすびの語源は、米という神様の食材を使って、それを「結ぶ」ことで神様を表現していることからきていると言われています。また「結ぶ」には、「陰陽相対するものが和合して、新たな活動を起こす」という意味を持つといわれています。日本人にとっておむすびは、なくてはならないソウルフード。具材のバリエーションでいつでも飽きずに食べることができる最強の和食といえるでしょう。(おにぎり、おむすびの語源には諸説あります)

 
 

◻︎ライタープロフィール
ギール里映(READING LIFE編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

 
 
 
 

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2019-12-02 | Posted in 人生を変える割烹

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