週刊READING LIFE vol,102

30年歳を重ねた方が記憶力に長けているなんて《週刊READING LIFE vol,102 大人のための「勉強論」》


記事:記事:丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「なるほど、そうか~」
 
私は、会社員になったころから、友人に誘われたり、ふと興味がわいたりしたセミナーや講座を受けるようになった。
 
カルチャーセンターのように常時あるものではなくて、時々開催されるセミナーや講座は、なんだか特別なもののようにも思えたのだ。
 
思えば、学生時代の勉強は、いつも答えが求められるようなもので、記憶をしたり、公式に当てはめたり、決して楽しいと思うものばかりではなかった。
それでも、やらなくてはいけないという思いだけが原動力になって、一応学生時代の勉強はやり終えたという感想だ。
 
ところが、人間とは勝手なもので、学生を卒業した途端、何かを学びたいと思うようになったのだ。
大人になってからの学びは、非常に楽しいものだ。
だって、自分の好きなことだけを選んでいいのだから。
 
あるとき、友人に誘われて参加した講座は、自己啓発系のものだった。
初めて触れる、心理の学びはとてもワクワクしたものだ。
気づいているようで、全然わかっていない自分の心の内側を考える良い機会にもなった。
これまでにはない、食指が動いたのだ。
 
他にも、栄養関係の講座も受けた。
美容や健康を意識するようになり、それにはまず食事からだろうという思いから参加したのだ。
ところが、結局は〇〇サプリメントが良いというような流れになって、勉強なんだか、セールスなんだか、というような後味のものになった。
でも、それはそれで今後の取捨選択を考える、良い勉強にもなった。
 
これら、若いころに学んだ数々の講座は、その会場ではとても感心し、納得し、満足感を得たのだが、その後に続かなかったのだ。
良いことを教えてもらって、「そうだ、そうだ」と納得していたのに、講座が終わると潮が引くように、そんな思いも講座の内容も、どこかへと流れていってしまったのだ。
 
当時の私は、勉強とは本を読んだり、セミナーや講座で講師から教えてもらったり、一方方向のものばかりだった。
知識を得て、それが自分の勉強だと思っていたのだ。
ところが、それらのどれも、その後の自分に活かせていなかったように思うのだ。
今思うと、その良かったセミナーや講座の内容を私は自分の中に収めるだけだったのだ。
もちろん、行動を変えるきっかけにはなったのだが、それもあまり続くものではなかった。
やがては、そのセミナーや講座で得た知識までも、薄れていったのだ。
 
あの若かった頃の、楽しかった学びの時代から30年ほどが経つ今の方が、実はセミナーや講座での学びが活かされているのだ。
普通に考えると、若いころの方が記憶力にも長け、行動力だってあったはずだ。
なぜ、今の方が得た知識をよく覚えているんだろう。
なぜ、今の方が受けたセミナーや講座の内容を実践できているんだろう。
それは、学んできたことを家に帰ってきて娘に語っているのだ。
人間、良い話を聴いたら、誰かに伝えたくなるものだ。
自分が感動したことを聴いてもらいたいと思うのだ。
そうすることで、記憶が薄れる手前で自分の中にさらに落とし込めているのかもしれない。
人に話すことで、零れ落ちてゆく記憶を頭にとどめることができているようだ。
いわゆる、インプットしたものは、アウトプットすることでさらに理解が深まるというものだろう。
 
それからもう一つの行動は、いちいち内容を自分に質問するようにもなったのだ。
 
「私だったら、どうするかな?」
 
知識を得た後、自分の行動をシュミレーションしてみることが多くなったのだ。
例えば、ブログの書き方のセミナーだったとしたら、講師のやり方などを知識としてもらった後、自分ならどう書いていくのか?
そんな質問を自分にしているのだ。
知識の鵜呑みではなく、得た知識をいかに自分に活かせるかを考えるのだ。
全部をやろうと思うと無理がある場合もあるし、ハードルが高くなってしまい、また行動が遠のいてしまうのだ。
今、自分は何を選択するのか?
今の自分のレベルでは、どこからやってゆけるのか?
そんな問いかけを毎回するようになったのだ。
記憶として頭に入ってきたことは、なぜだか薄れてしまうのだが、一度自分の中で咀嚼して、考えたことは記憶されてゆくようなのだ。
さらには、その答えは行動につながりやすいという長所もあるのだ。
ずっと長い間、お金を出して学んだことに対して、貪欲にそれらをすべて自分のものにしたいと考えていた。
だから、必死にメモをしたりして何とか記憶しようと努力したのだ。
ところが、それらはあの学生時代の面白くなかった記憶ものの授業のようなものだった。
なので、また学んだ知識は記憶の彼方へと消えていったのだ。
自分に問うてみることで、自分が考え、答えを見つけようとするので、記憶に残りやすい。
 
大人になった今、やっと本当の意味での身に着く勉強というものが理解できたように思う。
確かに、そうやって取り入れた知識は、自分の血となり肉となって今でもずっと活かされているように感じる。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。

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2020-11-03 | Posted in 週刊READING LIFE vol,102

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