1時間で仕込む保存食作り

第13回:醤油のような味わいの琥珀色の『白たまり』は万能調味料《マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り》


2023/03/27/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
1時間あったら、いつもは何をされますか?
 
この連載では、マンションの1室で簡単にできる『1時間で仕込む保存食作り』についてご紹介します。日本に昔から伝わってきた美味しい保存食の知恵を、狭いマンションでも手軽に楽しめる工夫も含めてお伝えしますね。
 
今回は、麦でできた麦麹を使って白たまり(白醤油風)という醤油に似た味わいの調味料を一緒に作っていきます!
 

 
みなさんは、白醤油をご存じでしょうか。醤油の中でも最も色が淡く、琥珀色をしています。愛知県の一部分で作られていて、流通量はとても少ないです。白だしと勘違いされやすいですが醤油のような調味料です。色が薄いので、素材の味を活かす料理を作る時に使いやすいんです! 醤油の原材料は、小麦、大豆、塩と水です。小麦と大豆で麹を作って仕込みます。白たまりは麦の麹を使うので、小麦を原材料とする醤油と似たような味になります。けれど、白たまりは大豆が入っていないので、規格上「醤油」という名称を使えないんだそう。だから、『白たまり』という名称で売り出すメーカーがあったり、ほんの少し大豆を入れて『白醤油』という名称を使うメーカーがあったりします。今回のレシピは大豆を使わないので、名称的には「白たまり」ということになります。
 
それでは、仕込み開始です!!
 
 
<1時間で白たまりを仕込む>
麦麹500gで仕込める分量
仕込みの季節:麦麹が手に入れば年中可能。ただし、6~8月は暑くて湿度が高いので避けた方がいい
材料:麦麹500g、塩300g、水700g(途中で100gほど足すことも)
道具:煮沸消毒した容器、ボウル、菜箸
(出来上がった後で)保存容器、漏斗、ザル、こし布、ボウル
 
※麦麹の重量に対して、水が1.4倍、塩は麦麹と水の合計重量の25%が目安。
 
0:00 ① 麦麹が固まっているところを手でほぐす

 
0:05 ② 麦麹と塩をボウルに入れ混ぜ合わせる

満遍なく混ざるようにします。「塩切り」といいます。
 
0:10 ③ 保存容器に②を移す
保存容器の口が狭い場合には、スプーンなどを使ってこぼさないように入れます。
 
0:15 ④ ③に水をそそぎ、菜箸でよくかき混ぜる

 
これで仕込み完了です! 塩がしっかりと溶けているかを確認してください。溶けきれずに底に塩がたまっていると塩分濃度が低くなるのでカビなどの原因につながります。最初に塩水を作ってから麦麹をいれて作る方法もあります。どちらの方法でもしっかり塩が溶けきるように気を付けてください。蓋をして冷暗所で3か月ほど熟成させて完成です。麦麹が水分を吸いすぎて液体の表面から麹がでているようだったら水を足します。
 
時々様子を見て、上に白いオリのようなものが浮かんでいるようだったら、かき混ぜます。明らかにカビのようなもの(青いものや白いふわふわしたもの)がついてしまったら、その部分を多めにすくって捨てます。
 
3か月程たって液体の色が琥珀色になったら完成です。
 
白たまりは、時間と共に熟成していきます。塩カドがとれて味わいがまろやかになっていくのです。時には過発酵して瓶の蓋がポンと飛ぶこともあります。熟成を止めたい場合には、冷蔵庫で保管してください。私は、そのまま常温に置いて使っています。
 
白たまりや濾した粕(もろみ)の使い方をあげますので調理に使う際の参考にしてください。
 
 

白たまりの使い方


〇卵や人参、青菜など色の鮮やかさを出したい料理に
煮物、焼き物に関わらず、色の鮮やかさを出したい料理の味付けに使うと、色が変わらずに鮮やかな料理を作ることができます。卵や人参、大根、青菜、しらたきなど色がつくと野暮ったくなる食材に使うと素材の色が沈みません。また、お吸い物などでも使いやすいです。
 
〇お漬物
野菜を洗って、軽く塩でもんで水を切った後、重量の1~2%の白たまりを入れ、ジップロックなどで数時間置きます。お好みでお酢や鷹の爪、昆布などをいれても。
 
〇調味料として
レシピの醤油分量を置き換えで大丈夫です。
 
〇炊き込みご飯の調味料として
炊飯器にといだ米と炊飯ラインよりも少なめに水をいれます。お米2合に対して白たまり大さじ1~2程度、薄味だと感じる場合には塩で味をととのえます。具材を上に乗せてスイッチを押すだけ。グリーンピースやそら豆の炊き込みごはんやトウモロコシのごはんなどは色鮮やかに仕上がります。
 
〇スープの味付けに
素材を炒めて、白たまりで少し濃い目に味をつけたところに、水を足していきます。味を見ながら最後に、追い白たまりか醤油などで仕上げると、出汁いらずのスープになります。
 
〇ドレッシングに
白たまり、好きな油、酢、好みで砂糖を入れてかき混ぜます。
 
その他、お刺身につけたり、ハンバーグや肉団子などに混ぜたり、お鍋の味付けに使ったりと年中大活躍してくれます。
 
 

白たまりのもろみの使い方


フードプロセッサーなどで、ペースト状にしておくとより使いやすいです。
 
〇魚や肉のつけ床として
みりんを混ぜて魚や肉を漬け込んでおくと、日持ちがよくなります。
 
〇ハンバーグや肉団子、つみれなどの味付けに
タネを作る際に混ぜ込みます。
 
〇ドレッシングに
好きな油、酢、好みで砂糖を入れてかき混ぜます。
 
〇白ご飯にのせる
ホカホカの白ご飯にのせて食べ味噌のようにいただいても美味しいです。冷ややっこやお肉、お魚にのせても。
 
濾して液体ともろみに分け、無駄なく食べることができますので、身近に作れるお醤油風の調味料としてぜひ使ってみてください。
 
Let‘s try 白たまり!
 

 
 
(文:赤羽かなえ、写真:小島百合子)

□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)

広島県在住。横浜から広島に移住した当初はほぼ外食暮らしをしていたが、産直などで手に入る自然の恵みに魅せられて保存食作りを始める。今では味噌や沢庵などの発酵食品から梅干し、栗の渋皮煮などを手作りしながら、発酵仕掛人として発酵の魅力を伝えている。また、子供達が自分達の力で一汁二菜を作るキッズキッチンのインストラクターをしていた経験から、単に料理を作るということにとどまらない食文化を伝える食育の必要性を感じている。

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2023-03-22 | Posted in 1時間で仕込む保存食作り

関連記事