第6章 お客様へのラブレターを書こう〜メルマガってなんのため?《ママ起業のリアル》
記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
お客様を作るためには、メルマガをやらなきゃいけない。
そう言われて私は、生まれて初めてメルマガを書き始めることになりました。
いまでは当たり前になったメルマガとは、一体どのようなもので、どんな役割をはたすものなのでしょう。
ブログやSNSを使うSNSマーケティングや、メルマガを使うメールマーケティングは、もはや幅広い層に定着してきたマーケティング手法です。デジタルの世界は1995年にウィンドウズ95が開発されたことをきっかけに広がり、2000年代に入ってからは大企業によるWEBマーケティングが生まれました。いまでは当たり前になったホームページを企業がこぞって持ち始め、WEBの世界にも企業の露出がひろがりました。またこの頃オンラインショッピングが生まれ始め、インターネットを通して日本全国、世界中のものがオンラインで購入できるようになりました。さらに2010年代になると、スマホやアイパッドなど、パソコンではない、パーソナルでモバイルなデバイスが生まれ始め、WEBマーケティングも大企業のためのものではなく、広く中小企業や個人起業家たちにも浸透してきました。
そしてついに、最もデジタルに疎いと言われる主婦までもが、デジタルマーケティングの世界に足を踏み入れ、メルマガを始める時代になりました。
起業する前はそういう世界があることを一切知りませんでした。普通の主婦など、そんなものです。例えば何か必要なものがあって、なんとなく検索して見つけて、それをオンラインで購入します。そうすると後日メルマガが送られはじめます。週に1回とか、2回とか、頻度や長さはまちまちですが、ついつい目を通してしまう。そしてついつい、そこに書いてある情報に引き込まれ、次の商品をポチっとしてしまう。そういうことを当たり前にやっています。これがWEBマーケティングの手法の一つであるということも全く知らずに、情報が届くままに行動を起こしているのが、私たち消費者であり、主婦も例外ではありません。
起業して5年以上たった今なら、メルマガが何たるや、を少しは語ることもできるようになりましたが、最初は右も左も分からず、ただ「そうするものだ」とだけ聞いて、起業塾に入って3ヶ月目にメルマガをスタートさせたのです。
メルマガとはつまりメールマガジンのことです。メールアドレスを登録してくださった人に対して一斉にメールでメッセージを配信するもの。ブログやSNSとは違い、お客様のメールボックスに直接メッセージを届けることができるのが強みです。普段使っているメールサービス(GmailやYahooメールなどなんでも)で、自分でメールアドレスを管理してメルマガを送ることは可能ですが、かなりの手間暇がかかるうえに、ミスをすれば個人情報の漏洩なども心配されるため、一般的にはメルマガ配信サービスを使って配信します。メルマガ配信サービスには無料、有料と様々な種類がありますが、お金をかけるほどできることも増えていくので、起業のステージに合わせて使うサービスを選びます。
では一体どうやってメルマガ を始めのか、7つのステップにてご紹介します。
メルマガ事始め7つのステップ
1 メルマガ配信サービスと契約する
2 メルマガのUSPを決める
3 ランディングページを作る
4 ステップメールを作成する
5 メルマガ配信に必要な設定をする
6 メルマガに登録してもらう
7 メルマガを書いて配信する
1 まずはメルマガ配信サービスと契約しよう
膨大にあるメルマガ配信サービス、一体どれを選べばよいのでしょう。全くの初心者であれば、自分の先生や仲間が使っているものを選ぶことをお勧めします。
サービスによって特色があり、できることとできないこともかなり違う。また毎月かかる金額も大きく異なります。最初から一番合うもの、いいものを選びたい、という気持ちはわかりますが、まずは使ってみて慣れることが先。そのためにも、何かあったときにすぐに教えてもらえる環境にあることが大切です。先生や起業仲間たちが使っているのと同じものをひとまずは選んでみることをお勧めします。
何かいいのか、悪いのかは、まずは使ってみなければわかりません。無料で始められるものもたくさんありますので、無料のものをまずは契約して触ってみましょう。
最初はメルマガを書いて配信するだけで精一杯です。あれもこれもと欲張ろうとせず、ただメルマガが配信できれば大丈夫です。
2 メルマガのUSPを決めよう
どんな情報を配信するメルマガにしよう?
USP、つまりどんなテーマで配信し、どんな人のどんな役に立つメルマガとするのか、最初に自分で決める必要があります。
なんとなく適当に、というメルマガには、お客様は登録をしてくれません。そのメルマガ を読んで手に入るものが明確になっていないと、人は易々と自分のメールアドレスを教えてはくれないのです。
メルマガのUSPを決めるためには、そのメルマガがまず誰のどんな役にたつものなのかを設定する必要があります。例えば同じメイクでも、50代からのメイクと20代のメイクでは、気をつけるポイントが全然違います。20代のメイクをしたいと望む50代はいないわけです。そのためどんな人に届けたいかというペルソナの設定を、まずはしっかりと行いましょう。
また、20代のメイクといってもいろいろあります。特別なよそいきのメイクなのか、普段オフィスで使えるメイクなのか、または婚活に役立つメイクなのか、メイクによってもその用途やポイントは大きく変わります。読者が自分に必要な情報だ、自分のことだと思えるぐらいに絞り込むことが重要です。
こちらの例を見てみましょう。
例1) 20代女性が美しくなるメイクメールレッスン
例2) 20代女子のための「あの子ちょっと違うね」と言われるメイクレッスン
どちらも20代女子のためのものですが、どちらが登録したくなりますか。1も悪くはないのですが、どちらかといえば2のほうが、読んでみたいという興味をひくと思いませんか。
いくら書く内容に自信があっても、まずは登録をしていただかなければメルマガは読まれることはありません。そのためメルマガのUSPは、より読者に刺さる言葉を使って表現しておく必要があります。メルマガのUSP、つまりタイトルをみただけで、読んでみたいと思っていただけること。誰の、どんな悩みを解決するメルマガなのかが瞬時に伝わること。これらを意識して、メルマガのUSPを作ってみてください。
3 ランディングページを作る
メルマガのUSPが決まったら、実際に配信の準備をしていきましょう。メルマガをスタートするには、いろいろと必要なものがあります。
まずはランディングページ、通称ランぺと言われる登録ページが必要です。主婦だった私は、起業してから初めてランディングページという言葉を知りました。申し込みフォームがある簡単なページがブログにあればいいのでは、と軽く考えていたのですが、それでは登録してもらえないと、すぐに気づくことになりました。
登録をする、という1ステップを踏むためには、人の心を動かす必要があります。心が動いていなかったら、人はアクションを起こさないからです。つまり、申し込みフォームだけがあるページでは、当然人の心を動かすことなどできるはずがありません。そのため私は、人の心が動くランディングページの構造をしっかり学ぼうと思いました。
人の心を動かすランディングページ、ラブレター構造
why こんな悩みはないですか
what それを解決するのが、このメルマガです
why なぜ解決できるのか
why 私にもできる?
why なぜあなたがそれを解決できると言い切れるのか
how どうやったらそうなれるのか
申し込みたくなるランディングページには、決まった型があります。それがラブレター構造と言われるものです。登録をしてもらうには、私が何を伝えたいかよりも、読者がなにを知りたいか、のほうが大事です。なぜなら人は、他人が何を伝えるのかよりも、自分がどうなれるのかに興味があるからです。
<why とwhat>
そのため、冒頭に読者の悩んでいるであろうポイントを言葉にし、共感していただきます。共感した読者に向けて、まずは結論を伝えます。長くで冗長な文章は、いくら丁寧に書いてあっても読みづらいものです。そのためまずは結論を述べて、読者の興味を掴んでおきます。
<3つのwhy>
結論を述べたら、次にその根拠を述べていけます。
なぜ自分がその問題を解決できるのか、誰でも同じ効果があるのか、自分に伝える資格があるのかを、自分のプロフィール(肩書きや資格)やお客様の声を交えて、わかりやすく書いていきます。
いくらいいものでも、伝える私にその資格がなかったり、難しすぎて自分にできそうになかったり、他の人がよくない印象をもっているものには、人は興味を示しません。お客様が安心し、かつ興味を持ってもらえるような内容を、しっかりと盛り込んでいきましょう。
<最後のhow>
最後にどうしたらそうなれるのかを書いておきます。メルマガのランディングページの場合には、メルマガへの登録フォームが必ず必要になるし、また登録の背中を押す言葉なども必要になります。ここまでで内容がしっかりと伝わっていても、最後のフォームに不備があったら、登録はしていただけません。
最後まで丁寧に、しっかりと仕上げていきましょう。
4 ステップメールを作成する
メルマガに登録したら最初に届くメール、ステップメールを作成しておきましょう。
通常メルマガは、読者が登録した日から、その日の情報が届くように配信されるものですが、ステップメールは全ての読者が登録したタイミングで、同じステップにて配信されるメールです。5日間、7日間、3ヶ月、365日など、ステップの数はいろいろあります。
自分の想いやプロフィール、なぜこの仕事をしているのかというストーリーなど、全員に知ってもらいたいことを書いていきます。
また、自分が伝えたいことの概略や、このメルマガで伝えていきたいトピックの紹介など、メルマガに登録した人が「このメルマガはどうやら面白そうだ、もっと読んでみたいな」と思うような内容も盛り込みます。
またステップメールには、もう一つ大切なことがあります。
それは、ステップメールを読んで自分に会いたい、と思った方が、すぐに会いにこれるような動線を作ることです。
人にはいろいろなタイプがあります。じっくり読んでから行動したい人、ちょっと知ってから行動したい人、そしてすぐに行動したい人です。
ステップメールはすぐに行動したい人が、すぐに行動できるような出口を用意しておくことが大切です。お茶会やセミナー、個別相談など、申し込めるものを作りセットしておきましょう。
5 メルマガ配信に必要な設定をする
ここまででだいぶん準備ができてきました。あと一息です。
ここで、メルマガ配信に必要な設定を、一つずつ確認していきましょう。
まずは、2で作ったUSPです。書いていく内容や、届けたい相手は明確に描けていますか。そして3で作ったランディングページは、そのUSPをしっかりと伝えられているものですか。ランディングページはメルマガへの入り口です。今一度USPと照らし合わせて、見直してください。
そして4のステップメール。内容がわかりやすいかどうか、文章が長すぎず短すぎないか、誤字脱字はないかを確認します。そしてもう一つ大事なことに、スマホで読みやすくレイアウトされているかも確認しましょう。
業種やコンテンツにもよりますが、いまは50〜80%の人がスマホでメールを読む時代です。スマホで読みづらいメルマガは、せっかく中身が面白かったとしても、最後まで読んでもらえません。レイアウトのスマホ対応をお忘れなく。
また、メルマガの配信時間と頻度を決めましょう。
少し昔であれば、メールを深夜に送ってもあまり文句を言われることはありませんでした。なぜならパソコンを立ち上げない限り、メールを確認できないからです。しかし最近ではスマホが通知をしてくるので、夜遅くや深夜、早朝に送られるメールは、嫌われる傾向にあります。
メルマガの配信時間は、とても大事です。
配信時間の設定によって、開封率(メルマガを開封して読んでくれる人の割合)が大きく変わることがあります。OLやサラリーマン対象だったら、朝の通勤時間やランチタイムに読むかもしれないし、もしくは夕方、帰宅のタイミングで読むかもしれない。私は、子育て中のお母さんたちに読んでほしかったので、配信を夜の21時と決めました。
子育て中のお母さんは、ワーママか専業主婦かで生活リズムが大きく異なりますが、唯一言えることは、日中は時間がない、ということです。ワーママなら仕事があり、仕事が終わったら怒涛のような家族タイムが待ち構えているし、また専業主婦でも、家事と育児でかなりの仕事量が要求されます。ママたちが唯一くつろぐ時間、それは夜、子どもの寝かしつけが終わってからです。夕食がすみ、お風呂タイムが終わり、本を読んで寝かしつけをしたあと、ちょっと一息ついてもらいたいと想い、21時に決めました。
そのせいかどうかはわかりませんが、メルマガの開封率はかなり高く、反応もよいものになりました。
ここまでで、メルマガ配信の準備はひとまず完成しました。さていよいよ配信、ということになり、一つの事実に気付きました。それは、メルマガ読者さんがまだいない、ということ。そこで私はメルマガ読者さんを獲得するために、人生初となるキャンペーンをすることになったのでした。
起業塾に入ってまだ3ヶ月、毎日やることは山積みで、目まぐるしく過ぎていきます。朝から晩までパソコンに向かい仕事をしていた私。4歳の息子を抱え、自然食品店とヨガ講師、トリプルワークだった私がたった3ヶ月でここまでこれたのは、この状況でも一言も文句を言わない夫のおかげだと思っています。
ママ起業において一番のハードルは、夫が賛成してくれないことです。諸手を挙げて起業を応援してくれる旦那様というものは、なかなか巡り会うことができません。しかし我が夫はイギリス人ということも手伝ってか、反対することはまったくなく、仕事をやめろとか、子どもが可哀想だとか、理不尽な言葉をかけることが一切ありませんでした。
当時はそれが当たり前、ぐらいに感じていたのですが、私と同じママ起業家に出会う度に、どれほど多くのママたちが起業を反対されているのか、そして起業を応援してもらえている私はどれだけラッキーなのかを思い知ることになりました。
仕事をうまくいかせるコツは、感謝することの一言につきます。
自分が好きなことができるのは、家族や友人の応援があってこそ。また家族が反対してるとしたら、その課題に向き合うことで自分が磨かれるというチャンスを得るということ。
そう考えればどういう状況にだって、感謝の気持ちが湧いてきます。
ママ起業がうまくいく最大のコツは、周りに感謝することなのかも知れません。
《第7章に続く》
頑張るママのお助けレシピ
感謝の気持ちを持つためには、まず自分がハッピーになろう。
おいしさで思わずほっぺたが落ちる、そんなパスタのレシピです。
思わず笑顔になる!スイートな桃のパスタ
材料 3人分
スパゲティ(カペリーニなど、細いもの)240g
桃 1個
レモンの絞り汁 半個分
バルサミコ酢 大さじ1
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ2
塩、こしょう 少々
バジルの葉
<作り方>
1 桃は皮をむいて、半分は一口大に切っておく。 残り半分は1センチ角に切っておく。
2 ボウルにレモンの絞り汁、バルサミコ酢、オリーブオイル大さじ1、塩こしょう少々を入れ、そこに1の桃を入れて混ぜ合わせる。冷蔵庫に入れておく。
3 スパゲティをゆでる。パッケージに書いてある表示通りにゆでる。茹で上がったら冷水で冷やす。そのままにするとひっつくので、オリーブオイル大さじ1を回しかけておく。
4 3のスパゲティを2のボウルに入れ、混ぜる。一口大の桃は取り出して、トッピングに使う。お皿に盛り付け、バジルの葉を飾りにのせてできあがり。
桃の季節だけ楽しめる特別なパスタです。よく冷やして食べると美味しい。
生ハムなどを乗せてボリュームアップすると、パパも大喜びです。
❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)
食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。
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