週刊READING LIFE Vol,96

Googleカレンダーを「秘書」にして、自分の時間を取り戻す!《週刊READING LIFE vol,96 仕事に使える特選ツール》


記事:深田 千晴(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
Googleカレンダー、多くの企業で採用されていますよね。使っている方も多いのではないでしょうか。
私も社会人デビューから8年、ずっと使っています。
でも、手放せなくなったのは、意外にも専業主婦になってからでした。
 
出産で仕事を離れて4年たちます。「まだ若いのに、キャリアは大丈夫?」とよく聞かれますが、復職には不安を覚えていません。3歳と1歳の息子たちを育てながら、元々の仕事の関連資格を2つ取得し、習い事やワークショップにも参加し、また他の業種の人と知り合う機会や、ボランティアで自分の力を試す機会にも恵まれました。多くの経験をすることができたのは、Googleカレンダーを自分の「秘書」として使っているからです。
 
専業主婦は、自由な時間がとても多いと思われがちですが、私の場合はそうではありませんでした。小さな子どものいる家庭で家事や育児をするのは、うまくいっていないお店の経営と同じです。
常に、子どもというお客様が安全に楽しく過ごせるよう気を配ります。掃除や洗濯などは合間を見つけて行いますが、子どもはおとなしくひとりで遊んでいるはずはありません。泣く、トイレ、飲み物をこぼす、おもちゃを取り合ってケンカするなどで、20分に1回は作業を中断されます。対応が終わり、さあ続きを……と思うと、今度は幼稚園のお迎えや夕飯準備など、時間の決まっている業務が迫ってくる。そうして夜には疲れ果て、気がつくと子どもと一緒に眠ってしまい、また朝を迎えて同じことが繰り返される……そんなことばかりの日々でした.
本を読もうとか、英語の勉強をしようとか、友達に会おうとか、「本来の業務以外」のことは、ずーっと後回し。1ヶ月前に予約して、楽しみにしていたイベントに行くのを忘れてしまったことさえありました。
そのイベントは本当に楽しみだったので、もちろん手帳に書いていました。その手帳も毎日持ち歩いています。なのに、気持ちに余裕がないあまり、手帳は鞄の中から出されることすらなく、ずっと忘れていたのです。
 
生活の関心の大部分が「子どもの世話」という業務にとられていると、他のことはすぐに頭から抜け落ちてしまいます。また、気がついてみると、後回しにしていたのは業務以外のことだけではありません。1ヶ月に1度くらいやろうと思っていた、洗濯機の槽洗浄や、換気扇の掃除なども、前回はいつやったのか思い出せないのです。
危機感を覚えた私は、ある決意をしました。
「その日のタスク」を、すべてスマホのGoogleカレンダーに入力することにしたのです。
 
Googleカレンダーの活用を始めたのは、私が尊敬する筑波大学准教授・落合陽一さんのスケジュール管理がきっかけでした。20代の若さで研究室をもち、メディア出演もし、個展やプロダクト開発も精力的で、いつでも八面六臂の活躍という言葉がふさわしい人です。寝る間もないほどの多忙で知られる彼ですが、実は時間の管理が大の苦手で、秘書が予定を入力したGoogleカレンダーに沿って動いているそうです。前もって細かく決められた行動予定に従うだけの状態にすることで、無駄な時間をなくし、一つでも多くの仕事をすることを目指しているとのことでした。
私には彼のように、スタッフとして秘書をやとうお金なんかありません。でも、その代わり、少し先の未来の自分のために、秘書のように何もしなくても行動の指針を示してくれる仕組みをつくりたいと思ったのです。
私はそれまで手帳やGoogleカレンダーには、いわゆるアポイントメント、人と会うような予定のみを書いていました。例えば友達とのランチ、子どもの習い事、通院などです。
しかし、「何もアポイントメントのない日」が、何もしなくていい日ではありません。食事の準備、リビング・お風呂・トイレの掃除、洗濯、寝かしつけなど、業務として行う家事は毎日あります。3日に1度は買い物にも行くし、週に1度はガスコンロ周りを拭きたいし、先に挙げた1カ月に1度の家事もあります。
家事は、プライベートではなく業務だ。そうとらえなおすことから始めました。
私は騙されたつもりで、すべての家事を入力しました。お風呂掃除から、「カレンダーをめくる」まで、すべてです。するとなぜか、頭がどんどんすっきりしてきました。そしてだんだんと家事が終わるようになり、「業務外」の時間もとれるようになってきました。
 
Googleカレンダーが良かったのは、まず何より通知をしてくれるところです。自分が忘れていても、スマホに表示されるので安心です。手帳を見るのは忘れても、さすがにスマホの通知を何日も見ないということはありません。
また、Googleカレンダーは月、週、日など、必要に応じて表示単位を変えられます。手帳のように、月ごとと週ごとのページどちらかに書き忘れた! ということもありませんし、家族と共有もできます。そそっかしい私は、予定共有している夫から「明日でかけるんでしょ? 子ども見ておくね」と話しかけられ、自分が忘れていたのを思い出した……というギリギリ笑えるエピソードももっています。
何度も繰り返すタスクの設定が1回でできるのも、家事にもってこいでした。毎日する家事なら毎日、週に1度、月に1度なら日付や曜日に関連付けて設定すると、毎回かならず通知されます。これで、「やったかどうかを忘れてしまう」心配からも解放されました。
ここまでは、もともとカレンダーの活用を考えた時から予想していた成果です。しかし、実際に家事を「その日のタスク」として登録しはじめた利点はまだありました。登録時に「開始時刻」「終了時刻」「所要時間」を考える習慣がついたことです。
「そういえば、この家事に何分くらい時間かかってるんだろう」
実際に測ってみると、家じゅうにクイックルワイパーをかけるのは15分。トイレ掃除は10分。ゴミ出しは5分。洗濯ものを畳むのは20分。逆に時間がかかるのは、夕飯の支度で、毎回45分ほどかかります。しかし、下ごしらえをしておけば10分+15分+10分などにわけることもできると、あとから気がつきました。毎朝、その日のずらせない用事に合わせて、この家事はだいたいこの時間に……などと、微調整しながらあてはめています。
登録するときのポイントは「予定」と「リマインダー」の使い分けです。私は、10分以内にできる家事は「リマインダー」、それ以上かかる家事は「予定」として登録しています。「リマインダー」ではやっていないものが予定時刻を超えても繰り越されるので、todoリストとして使えます。表示される通知を見ながら、子どもがテレビを見ている間など、ちょっと時間が取れそうなときに「リマインダー」の家事、子どもが寝た後など、前もって1時間以上が見込めるときには「予定」の家事をこなすことにしています。
その日の終わりに、リマインダーをすべて完了し、画面スワイプで消すのはとってもすがすがしい気持ちです。なかなか家族に気づかれにくく、モチベーションの得にくい毎日の家事が、明確に「達成した」とわかる貴重な瞬間です。
 
専業主婦の私は毎日他人との約束があるわけではなく、これまでは手帳に何も書いていない日も珍しくありませんでした。しかし、そういう日でもやるべき業務はあるのです。頭の中にある業務、タスクを見えるようにすることで、「気がついたら時間がなくなっている」という悲劇を避けることができます。
今では毎日カレンダーを開くだけでその日のタスクと所要時間がわかり、それによって空き時間もわかるようになりました。時間のかかる家事がない日は、子どもが寝ている間に新たな予定を入れることができます。その時間が、人と会う時間になり、勉強の時間になり、趣味の時間になりました。「今日はこの動画を見よう」、または「家事を先取りしておいて、明日は浮いた時間でいつもより遠出をしよう」などと計画できるようになったのです。
もちろん、他人との約束を登録しておくのにもGoogleカレンダーは便利です。カレンダーアプリはほかにもありますが、メール、マップはもちろん、最近普及してきたzoomなど、連携アプリの多さは突出しています。メールで受信したランチやミーティングの予定時刻は自動で登録されますし、イベントの場所などもすぐにマップ検索されるので、予定と一緒に行き方も調べられます。スマホのGoogleカレンダーにすべて登録しておけば、アプリの通知がまさにあなたの秘書のように、やるべき行動を一番いい時に教えてくれる強い味方になるのです。
 
私は専業主婦なので、家事を例に挙げましたが、働いていても別の分野の勉強や、趣味、生活経験をする時間を得たいという方、業務の多忙さをなんとかしたいという方、いらっしゃるのではではないでしょうか。そんなあなたにも、まずはぜひ一度Googleカレンダーで1日のタスクを洗い出してみてほしいと思います。Googleカレンダー、家事のような日常のルーチン業務にこそご活用ください。
 
 
 
 
深田千晴(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
東京在住の2児の母、専業主婦。現在は地域の子育て支援サイトで記事を書いたり、イベントを企画したり、ママ友が始めた「育児日めくりカレンダー」の開発に携わったりと、面白そうなことならなんでも首を突っ込んでいる。プロレベルのライターを目指し、2020年9月からライターズ倶楽部に加入。窮屈な社会に疲れた人を励まし、明日も生きてみようと思うきっかけになるようなコンテンツを発信したいと思っている。尊敬する人はちきりん、鴻上尚史、落合陽一、よしながふみ。

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2020-09-22 | Posted in 週刊READING LIFE Vol,96

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