ママ起業のリアル

第12章 消える起業家、残る起業家〜長く続ける起業に必要な3つのお守り《ママ起業のリアル》


記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
「最近あの人みないけど、どうしたんだろうね」
「ああ、辞めたらしいよ」
 
起業の世界では、たくさんの方が現れては消えていきます。私自身起業してから7年目になりますが、当初からずっと残っていらっしゃる人は数えるほどしかおらず、常に新しい人が現れては消え、現れては消えを繰り返していきます。
 
じっくり腰を据えて、腹をくくって起業をする人は、もしかしたらそもそも多くはないのかもしれません。とくに女性、しかもママたちとなると、続けていくことに対して障害がある場合が男性よりも多いのかもしれません。夫の転勤、妊娠、出産、子どもの学校事情、さまざまな家庭の事情で中断せざるを得ないこともあります。女性は男性より起業することのハードルが低い分、辞めるハードルも低くなるのか、長く続かない人たちを多く見かけます。
 
ただ私は、それがダメだと言っているわけではありません。それはいろんな事情がありますから、途中で断念することなんて誰にでもあると思います。また本人にやりたい気持ちがありあまるほどあったとしても、どうしても中断せざるをえない状況になることもある。自分の心が折れる場合、また他かの圧力がある場合、いろんなケースがあると思いますから、やめていく人を一概に「根性がない」などと言っているわけではありません。
 
ただ、もったいないな、と思うのです。
せっかく熱い思いをもってはじめて、一生懸命やっていたにもかかわらず、ある日突然消えてしまうということが、なんだかとても悲しく、心が痛むわけです。せっかくの想いを叶えられないこと、また志半ばで諦めなければならないこと、そういうことをたくさん見るのは、なかなかどうして辛いのです。
 
他人のことですから、放っておいたらいいのかもしれません。気にしなければいいだけのことかもしれない。だけども私は自分が一人の女性として、またママとして、子どもたちに背中を見せられる存在でありたいと思っているので、それを途中で諦めざるを得ない人たちに対して、なんとも言えない悲しさを感じてしまうのです。
一体、どうしたら、ずっと続けていけるのでしょう。
長く続けている人と、消えていく人たちとは、一体何が違うのでしょう。
今日のテーマは長く続けていけるママ起業について振り返りながら、私が長く続けることができている理由を3つに紐解いていきます。
 
 

絶対に諦めないと決める


起業塾に入って数ヶ月たったころ、とある先輩のサクセスストーリーをシェアしていただく機会を得ました。女性で、しかもお子さんが3人いらっしゃるママさんです。さらに年齢が還暦を超えているので、お子さんは全員成人されている。そんなママ起業家さんが月商7桁を達成されて、その行動の軌跡をシェアしてくださる時間がありました。
 
具体的な行動記録やダンドリなどいろいろとお話くださった後、最後に言われていた言葉が「絶対に諦めないと決める」でした。
 
ビジネス経験のない女性で、しかも還暦を超えていて、その歳で何か新しいことを始めるのは無理だろうと、多くの人は思うでしょう。新しいことをスタートさせるには、ものすごいエネルギーが必要になります。やりたい、という強い気持ちはもちろんですが、スタートアップの膨大な作業をこなしていくためには、かなりの体力も必要になります。
 
しかし彼女は体力的に、30代の女性にもまったく引けを取らず、もしかしたら30代女性よりもはるかにエネルギーに満ち溢れていました。毎日森を駆け回って子どもたちと遊ぶことを仕事にされているので、とにかく身体的なエネルギー数値の高い女性だったのです。東京都内でとくにエクササイズをすることなく生活している女性に比べたら、はるかに鍛えていらっしゃる。体力においては年齢の衰えを全く感じさせないパワフルさでした。
 
しかし問題は体力だけではありません。昨今起業するとなると、パソコンやスマホ、インターネットの操作が必須となります。何をするにもパソコンを使うので、1970年代以前に生まれたパソコンネイティブ世代ではない人たちにとって、今の時代で起業するにはかなりのハンデとなります。
 
しかし彼女はそれもものともせず、「苦手なのよね」と言いながら一つずつトライし、できるようになっていきました。人より時間がかかったかもしれませんが、ブログは書くわ、メルマガは書くわ、資料も作るわ、とにかくテクノロジーというテクノロジーを着実に使えるようになっていきました。その世代であれば「パソコンとかもう無理だから」とトライすらしない人たちも多いなか、彼女は30代、40代が多い起業家メンバーに混じって、必要なスキルを身につけていったのです。
 
その努力が身を結び、売り上げという形で一つの成果につながったわけですが、その根底にあったのが「絶対に諦めないと決める」という言葉でした。
 
「諦めない、と決めたら、むしろとっても楽になりました。だって、諦めるという選択肢がそもそもないわけですから、そこを考えなくていいじゃない」というようなことを話されていた記憶があります。
 
諦めるという選択肢をそもそも持たないこと、そういう考え方があるのか、と目から鱗が落ちる思いでした。そしてそう思えばいいんだという大きな気づきになりました。絶対諦めないと決めさえすれば、絶対に成功する。そう確信した私はこの日から、絶対に諦めないと心に深く決めたのでした。
 
決める、というのは、本当に心から決めるということです。
途中で変更するとか、意図をまげるとか、一切ないことなのです。
あとでもし意見をひっくり返すのであれば、それは決めたことにはなりません。決めるということは、それを100%やり通すこと。それさえできれば絶対にうまくいくと、還暦を超えた女性の先輩が教えてくださったのですから、やらないわけにはいきません。
 
絶対に諦めないと決める。
一言で書くとこれだけかと思ってしまいますが、この言葉は起業してからの全ての期間を通して、私の頭から離れたことはありません。
 
 

一人でやろうとしない


集団行動が苦手なんで、と、ついつい一人でなんでもやろうとしてしまう人がいます。私もそんな人の一人です。
 
できれば一人がいい、誰かがいたら気を遣うし、大体人は自分のペースにはついてこれないので足手纏い(今思うとなんと傲慢な!)になるし、一人がいいと思って生きてきました。一人で生きていけるとすら思っていました。
 
しかし、起業をする上で、その考えは甘いことがよくわかりました。
人は、一人では一馬力です。
 
起業を志す人たちと出会うと、皆なぜ自分が起業したいと思うのか、その気持ちを伝えてくれることがよくあります。もちろん起業なのでお金を稼ぎたい、家族のため、子どものためにサラリーマンより収入を増やしたいという気持ちもあるだろうけれど、その隣にはきちんと、なぜ自分が自分のそのコンテンツで起業をしたいのかという、熱い想いがあることを聞かせてくれます。
 
そうなるとこちらはそのストーリーに心を打たれ、その人のことを応援したくなります。心の源泉について語り合いシェアし合うのですから、当然仲良くなっていきます。仲良くなっていくと、誰よりも仲間のコンテンツに詳しくなり、共感するムードが高まり、自分のよき理解者が増えていきます。
 
彼らは折に触れ正直で忌憚のない感想をくれたり、時には厳しいフィードバックをくれたり、またある時は別の視点からの的確なアドバイスをくれたりします。お互い、ゼロからイチを生み出す時間空間を共有しているので、ものすごく仲良くなれるわけです。
 
よく大人になってから腹を割って話す友人なんか作れない、という人もいますが、そんなことは本当になく、むしろ大人になって、起業という自分を曝け出す場を共有するメンバーたちとは、同志というか親友というか、ものすごく濃い人間関係を構築することができました。一人でも生きていけると思っていた傲慢な私でしたが、仲間がいることで多くを助けられていることにも気づきました。
 
仲間がいるということは、誰かに依存することとは違います。依存するまえにそもそも、自分の足でしっかりと立つという覚悟と気概が必要で、強くあろうとする個人があつまり、彼らがお互いを応援しあうからこそ、より強固なコミュニティになります。
 
このコミュニティの力ほど、女性起業、しかもママ起業において必要なものはないのかもしれません。家庭や職場で反対されることもままあるママ起業の世界では、自分を応援してくれる味方をつくることは最優先かつ必須事項です。またたとえ家族や友人も応援してくれていたとしても、本当の起業の辛さや楽しさを分かち合えるのは同じ体験をしたことある人たちだけ。起業家仲間、同志という学生の頃のフレンドシップに近い関係は、油断すると心が折れそうになるママ起業にとって必要不可欠であり、何よりも頼もしい仲間なのです。
 
 

尊敬できる師匠の存在


自己流は事故流、なんていう言葉があります。文字通り、自己流でやると事故るよ、ということですが、起業に関していうと自己流でやってみようとする人がかなりいます。
 
私は素直に起業塾なるところにいき、誰かからの教えをいただいて起業しましたが、そうでない人もがくさんいます。
 
「とりあえず自分でやってみます」
「自分なりにやってみます」
 
そういって一人の殻に閉じこもるばかりか、誰からも教えてもらおうとしない。このタイプの人は消える候補ナンバー1です。
 
学校の勉強でも先生に教わります。スポーツもコーチや監督に教わります。なのにビジネスに関しては、なぜか自分で勝手にできると思う人が多いのでしょうか。ビジネスは学校の勉強よりもはるかに難しいし、プロスポーツなみに厳しい世界です。なのになぜか、一人で、独学でできると思う人が存在する。
 
それって例えば私が、独学でテニスを覚えて、ウィンブルドンで勝つと言っているようなものです。これをプロテニスプレイヤーが聞いたら、おそらく嘲笑うでしょう。
 
私は起業したとき、迷わず起業塾の扉を叩きました。自分でできないことは誰かから学ぶしかないだろうと、何人かの起業コンサルさんを比較し、よさげなところを選びました。選んだ基準は「なんとなく」。なぜなら、起業コンサルさんの良し悪しなんて、何も知らない当時に判断がつくはずがないじゃないですか。
 
通常なら、その人の成果や評判、プロフィールといったものが判断基準になるのかもしれません。もちろんそれらも一応参考にしましたが、決め手ではありませんでした。
 
決め手になったのはその方の卒業した大学と、会ったときの”感じ”。
たまたま私の親友たちと同じ大学を卒業していたことは、その方に親近感をもつことができた大きな要素でした。
また会ったときの”感じ”というのは、つまり人として魅力的かどうかということ。
 
人のどこに魅力を感じるかは人にもよると思いますが、私の場合は嘘のない性格かどうか、ということが大きい。飾らず、偉そうぶらず、また必要以上に謙遜もせず、等身大で、かつ自分に自信もあるけど、決して虚勢をはらない人。
 
品川のカフェでお会いしたその人は、第一印象では怖い人かなと思ったものの、話をするうちに「この人はちゃんと話をしてくれる人だ」という確信を持ちました。実績や結果も大事かもしれませんが、私にとっては、誰よりも自分と真剣に関わってくれるかどうかが、師匠選びの大きな基準になりました。
 
私はその師匠のもと、2年半の年月をかけてビジネスを学び構築し、一定以上の成果をあげさせていただきました。またそこを離れてからも、常に誰か師とあおぐ存在を持ち続けています。
 
なぜなら私は、成長をストップさせる気がまったくないからです。
ビジネスは進むにつれて、自分のステージが変わっていきます。またステージがかわると、目指すものも変わっていきます。私はその都度自分にとって、最適最良の師匠とのご縁を大切にしています。自分の先を行き、私を指南してくださる存在は、長く続けていくために不可欠な要素だと思っています。
 
たまに、自分の師匠だった人の悪口を言う人を見かけます。
「あの人はひどかった」とか「お金のことしか考えていない」とか「性格が悪い」とか、それは言いたい放題に悪口を言う人がいます。
 
悪口を言うのは勝手ですが、そこに何の意味があるんでしょう。
 
完璧な人などいないし、師匠なのだから自分の世界とは一つ二つ上の世界にいて当たり前です。その人のことがわからないのは自分のせいだし、文句ばかり言っていてはなにも始まりません。どんな師匠であれ、そこで成果をだすかどうかは、それを決める自分にかかっています。
 
もしうまくいかなくて、それを師匠のせいにしていたら、その人は一生自分ができないことを誰かのせいにし続けるでしょう。
 
師匠が悪いから、仲間が悪いから、夫が反対するから、子どもが小さいから、うんぬんかんぬん、様々な言い訳を拵えて、それらが自分が成果を出せない理由だと言い張るでしょう。
 
だけどね。
 
全て、自分ごとだから。
 
成果を出すと決めるもの自分。成果を出さないと決めるのも私。
物事は全て自分が源です。
 
やる、と決めたらやるのは自分。
できてもできなくてもそれは全て自分ごとだと腹を括ることができたら、それが起業を続けるための大きな礎になります。
 
まずは、自分で決めよう。腹の底から。
 
 
 
 
《第13章に続く》


頑張るママのお助けレシピ

養おう忍耐力&集中力!ルッコラとオレンジのサラダ
<材料>
ルッコラ 1袋
オレンジ 1個
くるみ ひとつかみ
オリーブオイル 大さじ1
オレンジの絞り汁 大さじ1
バルサミコ酢 小さじ2
お好みで塩、胡椒
 
<作り方>
1 ルッコラは洗って水をよくきっておく。オレンジは皮をむき、薄皮もむいて房から実を分けておく。
2 くるみはオーブンに入れて、140度で3分ほどローストする。香ばしい匂いがしてきたら取り出し、軽く刻む。
3 サラダボウルにルッコラ、オレンジ、くるみを入れる。そこにオリームオイル、オレンジの絞り汁を加えて軽く混ぜ合わせ、最後にバルサミコ酢を散らしたら出来上がり。
 
*肝臓を助け、デトックス機能をサポートする緑の野菜と酸味のあるフルーツをふんだんに使ったサラダです。
*まぜるだけで簡単。レモンよりはマイルドな柑橘のオレンジを使うことで、食べやすくなります。
*お子様と食べる時はルッコラは苦くて難しいので、その場合はレタスなどでも代用可能。
*くるみは脳の機能をアップするブレインフードでもあります。

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いてます。 ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-10-12 | Posted in ママ起業のリアル

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