週刊READING LIFE vol.232

ホストクラブで働きたい《週刊READING LIFE Vol.232 これからの働き方》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/9/18/公開
記事:都宮将太(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
はじめに、読者の中にホストクラブやキャバクラ、ガールズバー等で働いている方がいて、そんな方々に勘違いされたくないので前置きしておく。これから書く文章はホストやキャバクラ等で働くことを甘く見ているはわけでは決してない。
むしろ私は、一時期ガールズバーにはまって、新車が購入できるくらいの金額を、一人の女性につぎ込んだ経験もあるくらいなのだ……。

 

 

 

これから先、AIの時代に突入していくだろう。AIに仕事をとられる人も多くでてくるかもしれない。
AIにできて、人間にできないことなど数えきれないほどある。単純ミスも激減するだろうし、企業からしたら人件費を節約できる。
だが逆に、人間にできて、AIにできないことって何かあるだろうか……。
今回の記事を書くにあたって考えた。そして、私なりに答えを出した。
『人を楽しませるとこと』
これが答えだ。
人を楽しませることは、人間にしかできないだろう。
そこで真っ先に思いついたのが、ホストクラブとキャバクラ、それにガールズバーだった。
多くの女性を虜にするホストクラブ。多くの男性を虜にするキャバクラ。そして、私を虜にしたガールズバー。
これらの場所からは、人を楽しませることが学べる。私はそう思った。
 
 
「ホストで働きたい」
今回の記事を書く数日前、冗談半分で友人言った。
そうしたら友人が返答した。
「お前鏡見てこい(笑)」と。
その返答スピードは早かった。熱いコップを触ったとき、反射的に手が離れる。それくらいのスピードだった。
お酒の席とはいえ失礼は返答だ。だが、的を得ている返しでもあった……。
ホストとして働いた経歴も、ホストに通ったこともないため、ホストに通う友人のインタビュー内容と、私がガールズバーにはまったキッカケをもとに、これから記事を書いていく。

 

 

 

 

「先週ホストクラブで二十万使った」
「一回で?」
「そう! ヤバいよね! 来月のクレジット支払い大丈夫かいな(笑)」
これは、ホストクラブにハマっている友人との会話だ。
今回の記事を書くにあたり、ホストクラブに通った経験のある友人に協力してもらった。
職場の後輩に無理やり連れていかれたのがキッカケで、彼女はホスト沼にはまったそうだ。
「ホストの何が良いのか?」
彼女に聞いてみた。
「私の話しを聞いてくれて、私がお金を使うことで好きなホストの売上が伸びる。その結果、私が必要とされているみたいで嬉しい」
と、彼女は答えてくれた。
イケメンとお酒が飲みたい。そんな返答を私は期待していたが、大きな勘違いだった。真面目に答えてくれた彼女に申し訳ない気持ちになった。
それに、彼女はどう贔屓目に見ても、男性に困ることはないルックスだ。
街中でナンパされ、食事の誘いも頻繁に来るのだ。そんな彼女が何故ホストクラブに通うのだろうか。
彼女が言った答えで、私の疑問も一気に解消した。
 
確かにそうかもしれない。
自分は必要とされている。そんな客観的事実がどれほどに私たち人間にとって大切か。そこを満たしてくれるため、ホストクラブに通っているそうだ。
そのおかげもあり、ホストクラブで過ごす際は、時間を忘れるくらい楽しいそうだ。
「イケメン目当てで行くと思ってた」
私の問いかけに彼女はこう否定した。
「正直この前ナンパしてきた奴の方がイケメンやったね」
彼女いわく、一番好きなホストのルックスは、「ザ・普通」だそうだ。
女性にモテるのにルックスは関係ないのか。喜々として彼女にそう言ったところ、
「考えが薄い!」
と言われた。
ホストは身だしなみに気を配るのは当たり前。担当したお客との会話と名前は必ず憶えていてくれて、話しているときにも、楽しめる会話を必ず選んでくれる。
相手が楽しめているのかを、終始考えているそうだ。
「お前にはできんやろ」
彼女の言葉は重く心にのしかかった。
だが、彼女はホストクラブにハマる理由は、私にも共感できる。

 

 

 

私は何故、一時期ガールズバーにハマったのだろう。
記憶の糸を手繰り寄せた。
職場の上司から無理やり連れていかれた光景が蘇ってきた。
ホストクラブにはまった友人と、キッカケは似ている。
その時に接客をしてくれた女性は、とにかく聞き上手だった。口下手な私だが、お酒と彼女の力で、トークのレベルが上がったと勘違いするほどだった。
約二時間の席だったが、非常に楽しかった。
しかし、あくまでもその日の主役は上司。私も上司を主役にするように、神経を集中させていた。
だがその翌週、私はもう一度あの楽しい空間に行きたいと思い、一人でガールズバーに立ち寄った。
 
前回上司と行ったのが初めてのガールズバーであり、今回一人で行くことに抵抗はあったが、勇気を出してみた。
扉を開けると、偶然にも前回接客をしてくれた女性が出迎えてくれた。さらに嬉しいことに、私の顔と名前を憶えていてくれたのだ。
単純だが、私がガールズバーの沼にハマったキッカケはこれだ。
私はそのお店に月に3~4回通った。お店というよりも、その女性に会うために通っていた。
恋愛感情とは全く違う感情。
私の話しを聞いてくれ、私が苦手とする会話を膨らませてくれる。
私が彼女にお金を使うことで、彼女の売上も上がり、彼女にとって私が必要な存在だと重要感を与えてくれる。
自分が必要とされている客観的事実は、非常に心強いものだ。
ガールズバーで過ごす時間は、私にとって癒しの時間だった。
 
待てよ。これはホストクラブにハマった彼女と全く同じ理由ではないか。
そうだ。根本的な理由は同じなのだ。
では、これらがAIにできるだろうか? 時間が過ぎるのを忘れるくらい人を楽しませる。加えて、相手に自分が必要とされている。といった重要感を与える。
おそらくAIにはできない。
人間であっても、一部の者しかできないかもしれない。
求める人は多い世の中で、与える人が極端に少ない。その為、人を楽しませたり、相手に重要感を与えることができる人間に、人は集まるのだろう。

 

 

 

「ちょっと待て。仕事と全然関係ないじゃないか!」
そんな声が聞こえてきそうだ。
これから私の前職の経験も踏まえ、仕事の話に繋げていく。
 
私は前職、営業職として活動していた。
営業成績で周囲と競う環境で、いつも不思議に思うことがあった。
それは、
「同じ商品を売って、なぜ人によって成績に差がつくのだろう」ということだ。
営業エリアや経験を考慮しても、かなりの差がついいていた。
むしろ、営業経験の浅い者が、成績上位にもなっていたため、経験は大きく関係していないかもしれない。
では、何がここまで違うのか。
営業成績上位の者と下位の者、それぞれの商談の場を見学して分かったことがある。
営業成績上位の者は、お客様を楽しませていた。
すぐにお客様の名前を覚え、前回話した会話の内容も忘れない。
お客様が喋っているときは決して口を挟まない。
自分の話しを聞いてくれた営業マンとの会話は、「楽しかった」と記憶に定着するのだろう。
 
「そんなの営業として当たり前だ」
営業成績下位の上司が私に言ったことがある。
だが、その上司は真逆の対応をしていた。
お客様の名前は間違え、前回の会話の内容も覚えていない。お客様の会話を遮り自分のことを喋り出す。
最終的に、「自分が楽しかった」となり、相手のことは考えないのだ。
その上司が楽しんだ商談が実際に成立したことは、私が知る限り無かった。
 
このように相手を楽しませ、重要感を与える仕事ができる人が、これからの時代は必要となっていくことだろう。
だが、これらの技術は一朝一夕で学べることではない。
これらの技術を常に駆使している現場が、ホストクラブやキャバクラ、ガールズバーだと私は思っている。
 
技術を基礎から勉強するという意味でも、私はホストクラブで働きたい!
と強く思ったのだ!
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
都宮将太(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

福岡県生まれ。福岡県在住。
自慢できる肩書き・出版実績・メディア掲載は一切なし。
2023年4月開講のライティングゼミ、2023年7月開講のライターズ倶楽部に初参加。
東野圭吾さんの「ガリレオシリーズ」をキッカケに、推理小説を好きになって約六年。自分でも推理小説書きたいと思い、「このミステリーがすごい!」の大賞受賞を目標としているアニメ好きのサラリーマン。

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2023-09-13 | Posted in 週刊READING LIFE vol.232

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