断る場合は、‘2つ重ね’をゼロにして、‘全て肯定’でまとめていこう
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:後藤 修 (ライティングゼミ、26年1月 コース)
最近、新聞を読んだ時だった。
なんか違和感がにじみ出た。
額に皺が集まってきた気がした。
一面を「ど~や」と陣取るように、載っていた次の表現。
「できないことはできない」である。
なんで、この表現が気になるの?
そう思われた人もいるかもしれない。
確かに、そうも思える
でもね……。
このような「否定に否定を重ねる」表現が耳に入ったり、目に入ってくることが日常茶飯化している現実に私は恐ろしさを感じているのだ。
例えば、国会である議員が他の議員が裏で賄賂を要求した疑惑を追及された場合に、質問を向けられる時に発せられる言葉。
「そんなことを言わなかったわけではない」
あるいは、YouTubeで化粧品の効果を経営者が視聴者に投げかける言葉。
「綺麗にならないなんて絶対ありません」
一般用語にも思えるようだが。
私の脳内では消化しきれず、脳の端でべたりとタールのように残る感じがする。
ともかく、否定に否定を重ねる表現は人を不快の世界に引き込んでいく言葉だ。
そのように心模様を濁らさせるのは、言葉が喧嘩する様を何度も目にしてきたからである。
以前働いていた時のことだ。
ある日、上司が他の部署と密に話し合いをしていた時。
相手部署の偉い方が何かを要求をしていたようだが、私の上司はそれを拒んだ。
しかし、相手方が引き下がらず、食いつくように要求を重ねてきた。
終いに、上司はキレて叫んだ。
「できないものはできないんだ‼」
喧嘩腰で受話器を持ちながら相手方の偉い方へ怒鳴りつけていた。
この後、両部で話し合いが断絶してしまった。
重要な件だったのに、対話が停滞し続けて、話し合いが再開するまでに時間がかかってしまったのである。
その結果、関わる顧客に連絡が担遅れて、会社の評判が損なわれそうになった。
この原因は間違いなく、否定に否定を重ねた表現にあったのである。
上司がしくじったように、私もかつて働いていた会社で、否定を否定で重ねた表現で
憂き目を見た。
ある日、あるお客さんと電話対応をしている時のことだった。
ある商品の利用を申し出したお客さんだったが、どのようにしても対象者にはならなかった。
やむを得ず、私が丁寧に応対し続けていたが諦めてもらおうと説得していたが、お客さんは引く様子がなかった。
それに辛抱を切らした私は
「もう、できないことは出来ないんですよ!」
その後、お客さんは憤怒して、苦情を申し出してきたのだった。
この私は、上司やさらなる役職者からつるし上げられるように、説教され続けたのであった。
これはどうして避けられなかったのか?
そう思案している時に、目が入ったのはYouTubeだった。
それは元お笑い芸人が‘苦情処理のプロ’として講演の様子を映していた。
そこで、彼は語っていた。
「否定を重ねた表現は苦情を引き起こしやすいんですよ」
そうだったのか……。
断るような否定表現は、受け手にとっては、心地よいものではない。
どちらかというと、不愉快な思いが心に宿る表現である。
だから、否定表現を放った後に、さらに否定を込めた表現浴びせてしまえば、炎上するのはごく自然だという理屈だった。
そして、「否定表現を極力避けるように対応しましょうね」
と最後は締めくくられていたのであった。
とすると、どんな表現が適切なのかということになる。
その答えは‘否定表現をゼロ’にするということだ。
つまり、‘できない’とか‘やれない’とか否定が込められる言葉を使わない表現で話を組み立てようということである。
以前、勤めていた会社で同僚だった営業のベテラン社員が言っていたことがある。
「お客さんと話す時に、何かを断る時は、否定をにおわす表現を使わずに
2度重ねる表現になりそうなら
肯定表現に置き換えるんだよ」
もし「できないことは出来ない」の意味を込めて話すならば、
否定表現をゼロにして、肯定表現で作り上げるというものだった。
例えば、「お受けするのは難しいです」というふうにするのである。
これなら、確かに受け手の耳に入っても、不快な感覚が薄まって脳に届き、
受け手の不愉快さが軽減されるのだということだった。
同僚からそれを聞いた後、電話対応を担当していた私は早速、全てを肯定に置き換えるように表現した。
例えば、お客さんが要望したことを断られなければいけない時。
「申し訳ありません。ご対応することは難しくなっております。」
否定を重ねず、肯定表現ですべてまとめて口にした。
すると、どうだろう。
「じゃあ、分かりました……」
受け手の不満はちらと感じるも、顧客はすんなり諦めてくれることが多くなって、電話口で‘炎’は上がりにくくなったのだ。
この結果、炎上リスクがかなりの確率でさがり、上司から締め上げられることは少なくなったのである。
誰しも、何らかの場面で断る役を引き受けて、人と対峙することになることはあるだろう。
そのような時、ぜひ否定の表現をゼロにして、全ての表現を肯定でまとめてみてほしい。
それが、相手を静かにあきらめさせる道具になるかもしれないから。
≪終わり≫
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