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ママ起業のリアル

第1章 ひょんなことから始まった起業〜必要なのは勢いと勘違い?《ママ起業のリアル》


記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
「起業するつもりはなくて、気づいたらなんとなく」
起業のスタートは人それぞれ。しかし多くの方がそういいます。
熱い想いを持って始めてしまうと、途中で挫折したときのダメージが大きい。
ママが起業に出会うのは、ほんの小さなキッカケが丁度いい。
 
出産を期に仕事をやめ、育児に専念しようと思いました。長い不妊治療を経てからの高齢出産だったので、仕事に未練は全くありませんでした。待ち望んだ子ども、新しい命との対面、これから始まる新しい生活に、ワクワクしか感じていませんでした。幸い夫もいて、手堅いサラリーマンをしてくれている。贅沢はではないけれど、食うことには困らない生活がありました。毎日を子どもと過ごす生活は、私にとっては楽しいもので、今このときにしか出来ない体験をいっぱいしようと、ベビーサインや幼児教室に通ったり、ベビーヨガの講師の資格をとったり、子連れで行けるところにはどこでも顔を出し、ベビちゃんとのニューライフを満喫していました。
 
「あの自然食品店が、もうすぐ閉店するらしいよ」
 
ある日のこと、そんな噂をママ友から聞きました。地域にあるこのお店は、無農薬の野菜や食材を販売している店で、赤ちゃん連れのママたちでいつも賑わっていました。ちょうど東北大震災の直後だったので、放射能汚染などを気にするお母さんたちが急増し、食の安全性が注目を浴びていた頃です。私も、長くてつらい不妊治療を経てやっと生まれた我が子ですから、なるべく安心安全なものを食べさせたいと、そのお店の常連となって、毎日のように通っていました。
 
そのお店がなくなる、と。
これは、一大事です。
 
小さい子どもを抱えるママにとって、買い物は結構たいへんなのです。子どもを連れていくにはベビーカーが必要で、電車やバスに乗ってまで買い物に行く気にはなれません。近所の、徒歩圏内にあるからこそ、使いやすくて助かっていたのです。妊娠前から通っていたこの店がなくなることは、私の生活を根底から変えるぐらいの大事件でした。
 
そんなとき、ふと、思いついたのです。
このお店を、引き継ぐことはできないかな、と。
 
ゼロからお店を作るのは大変です。しかしこのお店をそのまま引き継ぐことができたら。これだけのお客さんがすでにいる店でもありますし、頑張れば経営はなんとかなる。店舗経営、しかも自然食品店の経営などやったことはありませんでしたが、私はなぜかそのアイデアに、なにか運命的なひらめきを感じていたのです。やったこともないことを始めることに不安もありましたが、実はワクワクのほうがその何倍も大きかった。なぜなら私は、“もっとこだわったお店”を作りたかったのです。
 
そのままのお店でも悪くなかったのですが、何ならこだわりまくった最高の店を作ってみたい。赤ちゃんが食べても安全なものだけを扱うお店、裏のラベルを見なくても、全部を信頼して買えるお店、そういうお店があったらいいなと常々思っていましたから、これはむしろ私が、そういう店を自ら作るチャンスだと思ったのです。
 
そうと決めたら動くしかありません。本当に自分にできるのかどうか、到底一人ではどうにもなりませんから、そのお店の店長をしていた方に相談をしてみました。するとその女性は快く協力することを約束してくれ、そこから本格的に起業準備が始まりました。
 
残念ならが同じ場所を居抜きで引き継ぐことができなかったので、新しく場所を探す必要がありました。店舗の物件探しなどしたことがなく、どこから探していいのかまったくわかりませんでした。私が店を出したかったのは東京の下町、日本橋界隈でしたので、当然家賃は高額になります。「物件は足で探せ」とどこかから聞いてきて、エリアをくまなく歩いてリサーチするところからはじめました。テナント募集の張り紙を見ては電話をかけ、内見し、条件を照らし合わせて検討するも、なかなか希望に沿った場所は見つかりません。なるべく家賃を抑えて、なおかつ店舗だから1階がよく、お店と言えどもカフェもできるようにしたかったので、飲食店という業態で問い合わせると、大体断られてしまいます。多くのビルや物件は、飲食店が入ることを嫌います。理由はビルが荒れるから。またちょっといいなと思った物件は予算が合わず、安い物件はやはりそれなりで、なかなか納得のいく物件は見つかりませんでした。
 
3ヶ月ほどたち、探しにも疲れてきたころ、たまたま申し込みがキャンセルになったという物件があると不動産やさんから電話をもらいました。あまり期待せずに物件を見に行くと、そこが思いの外感じがよく、家賃もなんとか想定内に治まりそうです。これなら行けるかもしれないと、祈るような気持ちで申込用紙を出しました。決まったらご縁がある、決まらなかったらご縁がない、と思えばいいとわかっていましたが、なかなか決まらない物件にさすがに心も折れそうになっていて、この物件が決まらなければ、もう諦めよう、とまで思っていたのです。
 
「おめでとうございます、決まりましたよ」
 
数日後に不動産屋さんから連絡がありました。無事に物件を契約できると連絡をもらったときは、本当にホッとしたことを覚えています。物件が決まったことでようやくスタート地点に立てたような気がしました。ここから本格的に開業準備が始まります。
 
そこから毎日目まぐるしい日が始まりました。
 
物件が決まったので内装業者を入れたり、店内の什器を買いにイケアにいったり、取引先との契約があったり、アルバイトスタッフの募集をしたり。物件が決まった瞬間に開店の日を決めました。契約してからなるべく日をおかずに開店しないと、払う家賃が無駄になってしまいます。そのため開店準備を死にものぐるいで進めていったのです。
 
今から思えば、あまりにも無謀なスタートでした。しかし私は、自分が店を引き継ぐことになにか志命のようなものを、勝手に感じていたのです。普通なら、「誰かがやってくれるでしょ、そんな大変なこと」と思うでしょう。しかしなぜかその時私は、これこそが私がやるべき仕事だと、出会いに運命的なものを感じていたのです。明らかに勘違いと思われて当然、しかし起業という、ある意味クレイジーな世界への一歩を踏み出すには、どこかがクレイジーになっていなくてはムリだと思うのです。
 
もちろん、起業に準備やリサーチは必要でしょう。しかし事業計画を立てたり、将来の見通しを予測したり、条件を比べたり、収支を計算したり、そのようなことを周到にやったとしても、ビジネスが上手くいく保証はありません。むしろやったことの無いことをしようとしているわけですから、未来を予測などできるはずがありません。そこに時間と労力を費やすよりは、自分のココロに従いたい。これ! と思ったときの感動や心の震えを大切にして、その本能を信じて自分の気持ちを大事にすることが、実はあとあとまで自分の心を支えてくれるものになります。そういう気持ちがないのに、「儲かるから」とか「簡単そうだから」という打算で始めた起業は、ほぼほぼうまくいきません。なぜなら儲からなかったり簡単でなかったら、すぐ嫌になるからです。
 
しかし自分の心が動いたものは、ちょっとやそっとで嫌になることはありません。むしろこの気持ちをココロの奥底にもっているから、大変なことや辛いことがあっても乗り越えることができるのです。自分の中にある熱い想いに勝るものはありません。もしそういう気持ちを体験したら、その感情を大切にしてほしい。
 
「やってみたい、だけどムリだよね」
と思うかもしれません。
 
しかしムリかどうかは、やってみるまでわかりません。
もしやる前にムリだと諦めてしまったら、人類は月に到達していないでしょうし、飛行機は空を飛んでいないでしょう。ムリだと思わない人たちだけが、何かを生み出し歴史を作り出し、世界を変えていきます。
 
私にはムリ、ではなく私だからできる、そんな偉大なる勘違いが、起業するために一番大切なことなのかもしれません。
 
 
 
 


ママのお助けレシピ

〜一歩踏み出すために必要なレシピ〜
 
新しいことを始めるのは恐いし、勇気がいります。そんな強さを払拭し、勇気とチカラをくれるレシピをご紹介します。
 

小豆いり玄米ご飯
材料
玄米3カップ
小豆 45cc
黒ごま 大さじ1
塩 小さじ1/3
昆布 切手サイズ1枚
水 玄米+小豆の1.2~1.5倍
 
作り方(炊飯器)
1 玄米を洗って炊飯器に分量の水と一緒にセットする。そのまま8時間浸水させる。
2 小豆を丁寧にあらい、1に入れる。
3 黒ごま、塩、昆布を1に入れ、炊飯スイッチ・オン。玄米モードがある炊飯器ではそれを使ってください。
4 炊きあがったら天地返しをし、10分ほど蒸らしてできあがり。
 
新しい一歩を踏み出すチカラをくれる臓器は、腎・膀胱です。
これらの臓器を助けるためには、黒ごま、小豆、塩、昆布が活躍してくれます。
また全粒穀物である玄米のチカラもかりて、肚を座らせやる気もチャージ。しばらく炊飯器で寝かせて発酵玄米にしてから食べてもOKです。

 

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

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2020-04-27 | Posted in ママ起業のリアル

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