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ママ起業のリアル

第4章 最初の半年が肝心〜家族は応援してくれている?《ママ起業のリアル》


記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
「ゴトーコーニジュッコメント」
 
起業塾に通うメンバーが口々に言っている言葉がありました。よくよく聞いてみたらそれは「5投稿20コメント」という意味、つまり、facebookに1日に投稿を5回と、20人へコメントをしなさい、ということでした。なるほどこうやって仕事って始めていくのかと、驚き関心しました。
 
それまでFacebookなどろくにやったことはありません。だいぶん昔にアカウントだけ取って、遠方に住む友人との連絡用にちょこちょこと使っていただけです。他人の投稿など読んだこともなければ、それが仕事に使われることなど、初めて知ったことでした。いわゆるSNSマーケティングですが、この時はその言葉すら知りませんでした。そんな私が1日5投稿など、どうやって始めればいいのでしょう。
 
SNSといえば、Facebookの前に流行っていたのがmixi(ミクシィ)でした。こちらも1ユーザーとして参加はしていたものの、それを使ったビジネスがあるということなど、知る由もありませんでした。
 
そもそも、子育てをしていただけの普通の主婦ですから、マーケティングとかペルソナとかUSPとか、そんなビジネス用語とはまったく無縁の生活です。起業塾で学ぶことは毎日新しいことばかりで新鮮でした。
 
さて、その5投稿20コメント、素直にやってみようと思ったものの、どこから始めたらいいのかさっぱりわかりません。何を投稿すればいいのか。写真は必要なのか。何時に投稿すればいいのか。文字数はどのぐらいなのか。考えてもさっぱりわかりません。そもそもなんでもいいから投稿するのか、それとも何か目的意識をもって投稿するのか、わからないことだらけです。
 
すると、様々なルールがあることがわかりましたを教えてもらいました。
 
 

Facebook投稿の基本10ルール
1 必ず【】(炭カッコ)で囲んだタイトルをつけること
2 タイトルの文字は21文字以内
3 本文は5行以内で、「もっと読む」をクリックしなくても読める長さにすること
4 内容は、4投稿はセルフパフォーマンスと言われる、自分自身のことが伝わるもの
5 1投稿は、自分のビジネスに関係した、自分の専門分野の投稿をすること
6 写真はマスト。人はまず写真を見るので、イメージが重要
7 必ず自撮り写真にすること
8 自撮り写真をとるときは斜め上から写すと綺麗にとれること
9 スマホの自撮りアプリを使って美しく撮ること
10 投稿したらすぐに自分でいいねをつけてコメントを入れること

 
ルールはまだまだたくさんありました。
 
結局私は愚直にこの5投稿20コメントを、3年以上1日も休まずにやり続けることになったのですが、最初はとにかく大変でした。
 
1日5投稿ですから、朝7時から2時間おきに投稿したとしても、夕方の5時まで投稿だけでかかります。最初は1投稿を作成するのに時間がかかり、あっという間に1〜2時間がすぎてしまいます。投稿を作成する時間と、それに加えてコメント周りをする時間がかかり、合わせて10時間以上はスマホとにらめっこする生活が始まりました。
 
そうなると当然、家族がけげんな目を向けるようになります。
 
家族で公園に遊びにいってても常にスマホ。ご飯を食べていてもスマホ。移動中もスマホ。とにかくスマホから目が離せない生活になってしまいました。子どもに話しかけられてもついついスマホばかりが気になって、他のことがろくにできなくなりました。
 
こんなことではダメだ!
 
とわかってはいても、スマホが気になってしかたありません。
早くなんとか起業を形にしたい、と思っていたので、とにかく誰よりも早く、誰よりもたくさんやることをやろうとしました。とにかく早く成果を出し、お店の赤字をなんとかしたい。そう思っていた私は睡眠時間も極限まで削り、ビジネスの立ち上げに力を注ぎました。
 
問題はスマホ時間だけではありませんでした。
 
起業塾は、月に1度のセミナーと、月に2回の勉強会があり、どちらも朝から夜まで丸一日かかります。土日は起業塾とセミナー、ビジネス関係の勉強、お茶会などと予定が入り、子どもと過ごす週末の時間が一切なくなりました。
 
「とにかく、半年だから」
 
と夫にお願いし、夫も一応理解をして、快く子どもの面倒をみてくれました。私が仕事でいない週末、夫は息子を連れてあちこちに遊びにいき、食事の世話もし、とにかく応援をしてくれました。
 
しかし、です。1ヶ月に1回ぐらい、どうにもがまんできなくなるのか、喧嘩になります。まだ4歳の息子は、まだまだ親の手がかかります。そんな子どもを週末放りっぱなしでビジネスに明け暮れる母親は、世間の目からみたら「ひどい母親」かもしれません。幸い我が家の夫はイギリス人ですから、日本の基準ではない、イギリス基準ではみてくれています。イギリスは女性が君主の国で、先進国のなかでも特に女性の権利が認められている国ですから、専業主夫もめずらしくはありません。男性よりも高給で働く女性や、社会的に活躍する女性が多数存在しています。とはいえ、やはり週末一切家にいない妻に、文句の一つもいいたくなるのでしょう。
 
夫はサラリーマンなので、平日は遅くまで仕事をしてきます。その分週末はしっかり休みたいところを、エネルギーが有り余る4歳児の世話をしているのですから、疲れも溜まってくるでしょう。
またなんといっても、私があまりにも起業にのめり込んでおり、寝る間も惜しんで仕事をしていたのですから、それが心配だったのでしょう。しょっちゅうリビングのテーブルで、パソコンを開けたままうっ伏して寝落ちしていたり、時には夜遅く帰宅して玄関のドアを開けた途端、その場で眠り込んでしまったり(お酒は飲んでいません)、そんな働き方をしていましたから、明らかに異常ですよね。
 
「まだ子どもが小さいんだから、母親が一緒にいてあげないとだめじゃないのか」
「半年だから、とにかく半年だけがんばらせて」
「わかった、半年だね」
 
と、毎月同じ会話が繰り返されていきました。
しかしこの時はまだ、これが半年で終わらないものだということに、誰も気づいていなかったのでした。

 

 

 

大変だったのは、Facebookだけではありません。同時進行でいろいろやることがありました。
 
その中で最も力をいれなければならないのが、コンテンツを作ること。つまり、お客様に買っていただくための講座商品を作るということでした。
 
ただ漠然と「食」に関することを伝えたいという思いはあるものの、いったいどんなコンテンツにすればいいのかわかりません。ここから猛烈な研究が始まりました。
 
起業したい人がよく陥るのが、自分ができることをコンテンツにして、それをウリにしてビジネスを立ち上げようとすることです。しかしこのやり方は、一見正しく見えるのですが、実はほとんどの場合うまくいきません。ビジネスの鉄則は、自分ができることを提供することではなく、お客様が必要としていることを提供すること。そのためにすべきことは、まずお客様や市場のことをよく知ることなのです。
 
 

コンテンツを立ち上げる時にまずやるべき3C分析
 
3Cとは
自社・自分(Company)
お客様(Customer)
ライバル(Competitor)
 
のこと。そしてこれを考える順番は
 
1 お客様
2 ライバル
3 自分

 
お客様分析は、今実際にお客様が困っていることや、解決したいと思っていること、つまりお客様の悩みとニーズを把握することです。またそれに加えて、市場の動向や世間の風潮なども把握しておく必要があります。そこで私に課せられたのは、お客様の悩みを1000個書き出すワークでした。
 
本を読んだり、検索したり、人に訊いたりしながら、1000個の悩みを書き出すのは簡単ではありませんでした。書き出しているうちにわけがわからなくなったり、同じことを何度も書いてしまったり、行き詰まってアイデアが出なくなったり、とにかくすんなりとはいきません。
 
アイデア出しなんて、とりあえず30個ぐらいあれば充分じゃない?と思ってしまいがちですが、実は1000個書き出すことに大きな意味があります。
 
1000個という数は、ちょっとやそっとででる数ではありません。この数を達成しようと思うと、相当なリサーチが必要になります。
 
100個ぐらいまではスムーズにアイデアが出ても、数が大きくなるにしたがって、どんどんでなくなっていきます。このアイデアが出尽くしたように見えてから出るアイデアが、実はとても重要なのです。まるで雑巾をぎゅっと絞ってもうこれ以上絞れない、というところに達してから出る最後の1滴を絞り出したら、その雑巾は床に水滴を残すことなく、綺麗に拭き掃除を仕上げることができます。それと同じで、そこまで脳味噌を使って突き詰めて考えることで、お客様の心に潜んでいる悩みの根源にアプローチすることができるのです。
 
次に見ていくのはライバルです。同業他社は誰で、どのようなサービスを提供しているのでしょう。他の人がすでにやっていることを後からやっても、勝てるはずはありません。まだ誰もやっていないことを見つけることが、圧倒的なビジネスを作り出すことにつながります。
 
「食」を伝えているライバルとは誰でしょう。料理教室がまず筆頭にあがりました。私は過去にも多くの料理教室に出入りしていた経験があります。すでにかなりの料理教室の様子や実態をよく知っていたので、ライバルのことを調査するのはそんなに難しいことではありませんでした。
 
料理教室を運営している人たちは、まず料理が大好きです。しかも得意です。そのため、美味しそうな料理の作り方を教えてくれます。また同時に食べかたのコツや選び方のヒントも教えてくれますが、大抵はちょっと凝った料理を美味しく作る方法を教えてくれるのが料理教室です。
 
こういうライバルの常識がわかったら、その常識にないことで、自分ができることをやればいい。ここでやっと自分ができることが大事になってきます。
 
しかし、いくらライバルがやっていないからといって、自分にできないことはできません。自分がやってもいないことを教えるのは詐欺になってしまいますから、自分が自信を持ってできることでなければなりません。
 
料理が得意ではない私は、料理教室をしていては戦えません。食べることは猛烈に好きですが、作ることは苦手です。ならばむしろこれを売りにして、料理をしない料理教室を開けばいいのではないか?
 
こうして私は、「料理が苦手なお母さんが教える、子どもの力を最高に引き出す食べかた」を軸に、これまでに世の中になかったコンテンツを作ることができたのでした。
 
生まれたアイデアを形にし、商品という形に昇華させていくのに、何ヶ月もかかりました。過去10年以上にわたり研究してきた知識と実践の結果をもとに、3C分析で得たアイデアを組み合わせて、やっとのことでオリジナルコンテンツが完成したのが、起業塾に入ってから4ヶ月目のことでした。
 
さあ、いよいよ講座も立ち上がり、あとは販売をスタートするだけ。
そこでまた大きな壁にぶち当たります。
 
それは、「集客」という名の壁なのでした。
 
 
《第5章に続く》
 
 
 
 


頑張るママのお助けレシピ

 

応援してくれる家族を作る!
みんなで囲む豚肉のうましゃぶ

材料 3人分
野菜いろいろ
(白菜、キャベツ、もやし、ねぎ、ほうれんそうなど)
きのこいろいろ
(えのき、しいたけ、しめじなど)
豚バラ肉 300g〜好きなだけ
にんにく 大2かけ
昆布だし 鍋いっぱい

ラーメンの麺 2玉
ポン酢
 
1 鍋に昆布出しとニンニクを入れ、火にかける。ニンニクはそのまま入れておく。
 
2 1が沸騰したら、野菜を入れてひと煮立ちさせる。
 
3 2に豚肉を入れ、さっと火を通したらできあがり。ポン酢につけて食べる。
 
4 野菜とお肉が無くなったら、最後にラーメンの麺を入れてシメる。
 
適当な材料、余り物なども上手に活用できる鍋レシピは、起業ママにとっての救世主。
ニンニクがポイント!お肉の臭みを上手に消しながら、素材の旨味を引き出してくれます。しかも家族で囲むことができるので、コミュニケーションもはかれます。
 
野菜を食べない子供も、ラーメンの麺につられて食べてくれる必殺レシピでもあります。
なんとなくご馳走感がある鍋で、家族も大満足ディナータイムを!

 

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

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2020-06-02 | Posted in ママ起業のリアル

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