第17回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》
記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
前回は、第4章‘現実的な生活設計’で ‘家事の問題’についてお伝えしました。
「時代は変わったのねー、うちの息子が育児を率先してやってるなんて」
というお声をご両親様から、最近よく聞きます。
これまでもお伝えしてきた通り、結婚生活において、それぞれが育った環境の違いや見解、価値観の相違で、必ずぶつかる壁はいくつもあります。
それぞれの見解で異なりますし、個人差もございます。これらをよくご理解頂いた上で、ここから先は、読み進めて頂きたいと思います。
第17回は、‘現実的な生活設計・価値のすり合わせ続編’で、仕事についてです。
を第3回でもお伝えしました‘時代の流れ’にも沿い、私自身のお話も少しお伝えしたいと思います。
「いったい、いつになったら結婚するの」と母は性懲りもなく、私に言い続けた。
昭和の女性だからだろうか?
“女性にとって、結婚と子どもが幸せの象徴”みたいな事を、よく言っていた。
私は「また、始まった」と思い、母に対して冗談混じりに、
「結婚じゃなくて、再婚だけどね。再婚なんて、しないしない。今は仕事が楽しいし、とってもやりがいがあるし。結婚なんて考えてないよ」といつも、笑い飛ばしていた。
私は、結婚=寿退社という、昭和では当たり前だった結婚によるキャリアの中断をした。
そして今はもう「結婚しない選択」をしている。
30代後半になった私は、バツイチ独身のままで彼はいた。
「彼がいるなら、なんで再婚しないの? このままひとりでいるつもり?」
と母の突き刺さるような、このことば。
母は、昔ながらのタイプの昭和の女性。
父と大恋愛の末に20歳で結婚し、22歳で私を産んだ。
「うーん、今のままでいいかな。彼とは一緒にいて楽しいし、仕事もお互いに忙しいし、会社では社員も育ってきたし、会社が私の子どもで、社員さんが私の家族みたいな感じだし」
と反論すると、すかさず「でも、やっぱり“籍を入れてこそ”じゃないの?」
母の言葉に、私は少しだけ心が波立った。
「じゃあママは、結婚してよかった。幸せだった?」と思わず聞いてしまった。
母は一瞬、言葉に詰まった後、こう言った。
「それは……、幸せよ。パパと一緒になれて、あなたたちを育てられて。でも……」
と、少し遠くを見た。
「昔は、結婚するのが“当たり前”だったしね。結婚すると親が安心するし、近所の目もあるし。好きとか嫌いとか、そういうことより“嫁に行く”ってことが大事だったのよ」
母のその言葉の裏には、もしかしたら「自分の意志で自分の人生を選ぶ」という選択肢がなかった時代への、小さな諦めのようなものが滲んでいたのかもしれない。
「大好きな仕事も辞めて、色んな事を我慢してきた事もあったけどね」
と母が答えた。
その言葉に、私は胸が詰まった。
しかし、現実の母の人生にはドラマのような最終的な幸せが、ここにはあったのだと、信じたい。
昔は「家と家を結ぶ儀式」だった結婚式も、今は「ふたりらしさを表現する場」へと変わっていった。
そして今、さらに時代は進んでいる。
最近のお打ち合わせでは、昔とは明らかに違う“新しい選択”をするお客様が増えている。
では母はどうして、大好きな仕事を辞めたのか?
それは、下記のような時代ごとの詳細な特徴にあると思う。
・昭和時代(〜1989年)は、制度と慣習に従う「分業型」
高度経済成長期を背景に「夫が外で働き、妻は家庭を守る」モデルが標準化。
夫にとって仕事は「一家を養うための責任と証」であり、妻にとって結婚はキャリアの区切りで寿退社となるケースが一般的。
・平成時代(1989年〜2019年)は、両立に挑む「奮闘型」
男女共同参画や育児休業制度の整備が進み「結婚しても、当然仕事を続ける」価値観が定着。ただし、夫婦双方の働き方や意識が昭和的な「長時間労働前提」のままだったため、仕事と家庭の両立における肉体的・精神的負担(いわゆるワンオペ)が表面化した時代。
・令和時代(2019年〜現在)は、自分たちに合わせて設計する「チーム型」
共働きが当たり前となった上で「働くか? 辞めるか?」の二元論から脱却。
リモートワークや副業、フリーランスなど働き方の選択肢が増えたことで、夫婦のライフステージに合わせて「今は夫がキャリアの踏ん張り時」「今は妻が独立する時期」など、互いにギアを変えながら柔軟にサポートし合うスタイルへと変化。
ではここで、昭和・平成・令和の夫婦生活と仕事観の比較をしてみましょう。
①夫婦の労働スタイル
昭和 → 性別役割分業 (夫:片働き / 妻:専業主婦)
平成 → 共働き世帯の急増(移行期・両立の模索)
令和 → 多様化・個別最適(チーム・共同経営)
②仕事に対する主な考え方・価値観
昭和 → 家計を一人で支える義務(夫)であり、結婚=寿退社・家庭に入ること(妻)
平成 → 生活維持とキャリア維持の両立。女性の社会進出が進む一方、ワンオペ負担も顕在化
令和 → 自己実現・個人の自立・リスク分散・働き方を固定せず、人生のフェーズでフレキシブルに変更
③夫婦間の役割分担
昭和 →夫は会社中心(終身雇用・滅私奉公)、妻は家事・育児に専念する。仕事と家庭の領域が明確に分離
平成 → 夫婦ともに働くが、家事育児の負担は女性に偏りがち。「仕事を辞めずにいかに両立するか」が課題
令和 → 夫婦は「人生の共同経営者」。互いのキャリアを尊重し、家事育児もフラットに分担・自動化
時代の変遷をそれぞれ比べてきましたが、令和の「仕事と夫婦生活」を一言で表すなら、個の最適解を共創する『人生の共同プロデュース』です。
昭和の役割分担(分業)や平成の両立への奮闘を経て、令和は「こうあるべきッ!」という既成の枠組みから解き放たれ、おふたりにとって最も心地よい働き方・生き方をゼロから設計し合える時代と言えます。
最後に、これまでにお伝えしたケースとは全く違う‘最近の再婚事情’をひとつお話させてください。
シニア層というと少々語弊があるかもしれませんが、60代以上の男性が再婚を希望する場合。
40代、50代のバリバリ働いているキャリアタイプの女性を求める方が多いそうです。
それはなぜか?
一番多い理由は「一人でいるのは寂しいから」という事です。それは、なんとなく分かる気はします。しかし、二番目によく聞くのは「年金生活になったら、生活に苦労しそうだから」とか「若い奥さんが働いてくれていたら、貯金も減らさず安心だから」とか……。
これらのお話をお聞きする機会があり、私は少し不思議に感じました。
いかがでしたか?
皆さんも「結婚する」と決めたら、前章から続いている‘お互いの価値観’を話し合ってみて下さい。
次回、第18回は‘現実的な生活設計・住まいのすり合わせ’についてです。
住まいというのは、心地良くなくてはいけないものです。一生一緒に仲良く過ごすためにも、じっくり、住まい・家について触れていきたいと思います。
《終わり》
❒ライタープロフィール
藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』
愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年以上携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。思い立ったら世界中どこまでも行き、知らない事はどんどん知ってみたい。好奇心旺盛で、即行動をする。
何があっても、今を全力で生きる。切り替えが早く、とにかく前向き。
これまでのブライダル業務の経験を活かして、次の世代に、未来に何を繋げていけるのか?
といつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。
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