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20万のカメラ買ったけど何撮ればいいっすか?


 

 

 

 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:村人F(26年9月ライティングゼミ withAI)

 

「20万のカメラ買ったけど何撮ればいいっすか?」

この質問を聞いた99%が「なに言ってんだコイツ」と思うだろう。しかし私の本心から出た問いなので仕方あるまい。

写真好きの回答はこれだ。

「カメラを持ち歩けば自然とシャッターを切る」

確かにそうだろう。だがそんなことをしたくなる場所がない。例えば通勤路は家から駅まで2分である。これで撮りながら歩くと時間がかかり、何のためにこの立地を選んだという話だ。駅も論外である。大都会名古屋は人だらけであり肖像権の厳しい現代においてはモザイクだらけの現代芸術写真しか生まれない。

「じゃあ観光は?」となるとiPhoneで十分だし、モデル撮影会も2年くらい参加したが微妙だった。だからつい3ヶ月前に10万円で買ったカメラを売ったのだ。

しかし、声が聞こえてきた。

「カメラ……ないの?」と。

事あるごとに「今持っていないんだ」という謎の欠乏感に苛まれ、気付いたら検索フォームにメーカー名を書いており、AIとの相談もオススメマシンの話ばかりで、頭の一部がカメラを持っていない事実に侵食されていた。だから中古で狙っていた品を見つけた瞬間60回払いで購入したのである。いったい、この感覚はなんなのだろうか。

「撮りたいもの」が浮かんだからだと最初は思った。ちょうど2週間後、両親が名古屋旅行に来る予定だったので「よっしゃ買ったるわ!」と覚悟を決めたのである。これはよくある理由だろう。子どもの運動会とか、購入にはたいてい家族が絡む。

「じゃあその日だけレンタルでええやん」と思ったあなた。確かに値段の面ではそう見える。1泊2日で1万円程度だからそのタイミングだけ借りればいい。他はずっと放置みたいな状況が目に見えていることを考えるとコスパもよさそうだ。

しかし、持っていなきゃダメなのである。別に眠っていてもいい。ただ「家にカメラがある状態」を想像以上に求めていた。両親の旅行など口実に過ぎない。本質は別にある。

理由の1つ目は、いいカメラを常に使える状況にしたかったからだ。写真は瞬間の芸術だから撮りたいタイミングで道具を持つ必要がある。その点、レンタルだと非常に心もとない。そんなシーンは突然やってくるから到着日まで待っている余裕なんてないのだ。

2つ目はカメラを所有するだけで、日々の色が輝いてくるからである。これが一番大きかった。なぜか。毎日を「写真を撮りたくなる可能性がある日」に変換できるからだ。

生活では同じような行動をしている。通勤電車は決まった時間だし、仕事も大きくは変わらない。なんてことない日々が人生のほとんどだろう。

しかし、これが高いカメラ1台で一変する。なぜなら「写真を撮ろう」という気持ちで物を見られるからだ。このフィルターが実にいい働きをしてくれる。

普通に生きていれば何も起こらない。しかし撮る意識を持つと面白いところが目に付くのである。散らかった机の上にある妙な高級感を放つお菓子のパッケージや、不思議な角度の積読タワーなど、いつもはしょうもないと思っていた日常が、カメラを持つとふとした瞬間きれいに見える。これはiPhoneでは起こらない。写真しか撮れない機械を20万円で買ったから得られた視点だ。

こうなると手元に置いていなくてはならない。レンタルなんかやった瞬間に大赤字だ。こういう日々はずっと続くのだから。

だからこそ3ヶ月前にカメラを売ったにもかかわらず買い直したのだ。具体的に撮りたいものなんてないし、結局ずっと眠ることになっても構わない。私の生きる日々には、突然20万のハイエンド機で撮りたくなる可能性がある。この気持ちを持てるだけで十分なのだ。これこそ、いざその場面が訪れたときに値段の付けられない思い出を生み出す「ときめき」である。

私と同じ「撮りたいものがないから」という理由で購入をためらっている方々、買ってしまおう。いいカメラというのは手元にあるだけでも心を穏やかにしてくれる。その気になれば素敵な写真を残してくれる機械がある日々は思っていたより尊いのだ。

値段もそこまで心配しなくていい。60回払いにすれば月額4000円以下とAIとかに払っている金額と同じくらいだ。しかも仮に金欠になった場合、カメラを売れば10万以上の現金に換えられるという保険にもなる。二重に心の安寧をくれるとはなんとお得な買い物か。

カメラは世の中を見る目をきれいにする。私たちの日常は思っていたより20万の機材で写す価値があるのだ。散らかった机もこいつで撮ると味があると気付く。大金を出す理由なんて、これだけで十分だ。

 

≪終わり≫

 

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