週刊READING LIFE vol.56

新しいもの好きは世の中の16%だ《週刊READING LIFE Vol.56 「2020年に来る! 注目コンテンツ」》


記事:しゅん(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

「2020年に来るコンテンツってなーんだ?」
 
なぞなぞ? そんなのわかるわけないよ。なんてったって、今だにタピオカだって飲んだことないんだから。新しいものや流行り物に興味なんかないよ。
 
みんながみんな、新しいものや流行りものが好きだと思ったら大間違いだ。
 
「キャズム」って知ってるかい? マーケット上、人は5種類に分けられるっていうんだ。
 
1.イノベーター(革新者): 新しもの好き
2.アーリーアダプター(初期採用者): 流行りに敏感
3.アーリーマジョリティ(前記追随者):新しものには慎重だけど、早めに手を出す
4.レイトマジョリティ(後期追随者):慎重で、新しいものに懐疑的
5.ラガード(遅延者):最も保守的で最後まで手を出さない
 
1と2で16%、3と4で68%、5が16%で、1と2に流行るのと、3以降に流行ることの間には大きな溝が合ってそこを乗り越えるのは大変だって理論だ。
 
まあ、ここでは溝の話はどうでもよくって、実に84%の人が新しいものには慎重だって話だ。そして、私は3か4だ。新商品発売には並ばないし、新しくできたお店にもすぐには行かない。
 
そんな人間に、「2020年に流行るものはなーんだ?」って聞かれても皆目検討がつかない。
 
そもそも、新しい物好きの人の気持がわからないから、教えて欲しいくらいだ。「え? 逆に新しいものに慎重な人の気持を教えて欲しい」って? いいだろう。教えてあげよう。

 

 

 

新しくできたお店って、なんだか混んでるよね? 行列ができたり、店内が混んでたり。わざわざそんな時に行かなくても良くない? 「え? 最初は開店セールやったりしててお得だ」って? まあ、そうかもしれないけど、人混みが落ち着いてからでいいかな。いい店なら長く続くだろうから、いつでも行けるしね。行った人の評判を聞いてからでも遅くないかな。
 
あと、新しい商品が発売される時に並んで買う人とかも居るけど、あれってすごいよね。徹夜とかしたりするんでしょ?
 
私、新しい商品を開発して売る側の立場でもあるんだけど、新しい商品って戦略的に発売日を決めたり、短い期間で開発するってやるから、どうしても時間が足らなくなるんだよね。そうすると何が起こるかっていうと、テストする時間が足らなくなる、テストで見つかった不具合を修正する時間が足らなくなる。すなわち、まだ品質が安定しきってないってことも多々ある。その状態で、新発売!っていうのを買うのはちょっと怖いなって、考えちゃう。
 
その一方、そういった新しい商品を早期に購入して下さるお客様が居るからこそ、新しい商品が広まるし、使って頂くことによって出た問題をご指摘頂くことで、品質も安定していくわけで、時には厳しいお言葉を頂くこともあるけれども、ありがたい存在だなっていつも感謝している。

 

 

 

他にも、新しいものが、これまで世の中に存在しなかったような場合には、その新しいものが自分の生活をどう豊かにしてくれるのかってイメージがなかなか湧かなかったりするので、もう少し多くの人が使いだして世の中に解説や使用レポートが溢れて、理解できるようになってから手に入れようと思うことも多い。
 
仕事でプログラミングを20年ほどやってきたが、その間に、新しい技術が泡のように現れては消えていった。そこから学んだのは2つ。
 
1つ目は、新しいものに素早く対応できるのも才能であり、私にはその才能はないということ。
 
新しい技術や考え方は、これまでの延長線上にないことも多く、これまで頭の中にあった考え方のモデルでは理解できず、新しいモデルを頭の中に構築する必要があって、どうもこの部分に私は時間が掛かるようだ。「こういうこと?」って何度も頭の中で仮モデルを構築しては壊し、しっくりするモデルを頭の中に構築してやっと理解ができる。
 
そういえば、高校時代の科学で、水分中の濃度の計算についての考え方でも、なかなか理解ができずに、友人に何度も何度も「こういうこと? 違う? うーん、じゃあ、こういうこと?」って聞いて、やっと理解できたのを思い出した。
 
ただ、世の中にはこういうことに長けた人も居て、あっという間に新しい技術に対応したプログラムを作ったり、試してみた結果をブログに発表していた。それらを見ていて、「ああ、ここは私が戦える場所じゃないな」ってつくづく思ったもんだ。
 
ただ、おもしろいもので、そういう瞬発力に優れた人が、その後、継続的にその分野で活躍し続けるかどうかは別の話で、うさぎとかめの話のように瞬発力が全てではなく、持久力で勝負する方法もあるのだということも学ぶことができた。
 
2つ目は、新しい技術や考え方が登場する時には華々しくても、すぐに話題に上らなくなるものも多いと体感したことだ。
 
だから、新しいものの登場に一喜一憂するんじゃなく、しばらく様子を見て判断すれば十分だし、昔から使われている技術や考え方が定期的に見直されている様も何回も目にしてきていた。
 
なので、結局は新しいものに踊らされるんじゃなく、基礎をしっかり固めることが、長い目で見たら大事なことだと理解した。基礎って地味だし、過去からの蓄積だから学ぶ量も多くて大変だけど、地に足をつけてしっかり歩み続けることの方が、私には合っていると考えている。
 
本でも、古典を読めってよく言われる。多くの人に読まれ、いいと認められたからこそ長いこと重版を重ね生き残っている。それと一緒なのかなって思う。

 

 

 

こんな感じで、新しいものや流行り物には興味なく生きてきたので、2020年に流行りそうなものは何か? と聞かれても、まったくピンとくるものはない。
 
新しいもの好きな方々に試して頂いた結果、本当にいいものは残っていくと思うので、そうなってから試すので、私は十分かな。
 
新しいもの好きな方々、いつもお世話になっております。
皆様のおかげで、様々なものを試す手間が省けて助かっております。
今後ともよろしくおねがいします。

 
 
 
 

◻︎ライタープロフィール
しゅん(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

ソフト開発のお仕事をする会社員
2018年10月から天狼院ライティング・ゼミの受講を経て、
現在ライターズ倶楽部に在籍中
心理学と創作に興味があります。
「勇気、不安、喜び」溢れた物語を書いていきます。
日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー

http://tenro-in.com/zemi/102023

 


2019-11-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.56

関連記事